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米英安全保障の新時代へ 英空母で米海兵隊機材を運用



UK, US Enter New Era: ‘Unprecedented’ Carrier-Sharing Plan

“We’re not talking about interoperability anymore, we’re talking about proper integration to a level we’ve never seen,” Fleet Commander Vice Adm. Jerry Kyd told me on the deck of the UK's new carrier. 

on October 21, 2019 at 1:44 PM

一国では十分な安全保障が実現できない時代になっているのでしょうか。これまでの同盟関係の先をゆく運用統合が始まっています。NATO加盟国によるAWACSや大型輸送機の共同運行、仏独両国の部隊運用に加え、イギリスの新鋭空母が米海兵隊のF-35B運用を始めます。価値観を共有する同盟国であることが第一の条件のようですが、翻って日本はだれと組めるでしょうか。

英海軍が自国保有機のVTOL着艦を新鋭空母で初めて実施した。. Pic: Paul McLeary)
<HMSクイーン・エリザベス艦上にて> 米海兵隊のF-35B部隊が英新鋭空母艦の処女航海で艦上展開をする。これだけ親密な同盟国同士でさえ「前例のない」一歩となる。
「共同作戦体制はもはや話題ではない。いままでにない統合体制の適正なレベルを話題にしています」と英艦隊司令官ジェリー・キッド中将が大西洋上で航空機の離着艦を訓練する同艦で語った。
英空母での米海兵隊運用は「開闢以来前例が無い」と同中将は述べ、「同じことができる別の2国の組み合わせはないでしょう」という。
キッド中将以下英海軍関係者は米英両国の「特別関係」を高評価する。米海軍トップは世界の反対側から両国海軍の密接な連携の理想を語っている。
「両国の作戦環境では共通の価値観とあわせ集団的対応が海洋安全保障で必要だ」と米海軍作戦部長マイク・ギルデイ大将がベニスのシーパワー会議で講演している。
同大将は英海軍の能力向上とともにNATO各国との海上共同作戦の増加に触れ、マイク・ミュレン元作戦部長が当時1,000隻体制の海軍力整備を提唱していたことにを言及し、「1万隻でもいいのではないか。志を共有できる協力国と海洋コモンズを自由かつ開かれた形で維持すべく一緒にもっと多くの仕事ができる」
同盟諸国部隊との連携強化に向かう背景には中国海軍の急速な増強と強硬な姿勢があり、予測が困難なロシアの存在もある。「こちらは国際規範を守り、グローバル経済の繁栄を促進し、世界各地の水路を航行する権利を保護している。小国が大国にいじめられることをなくすためにもこれは必要だ」
同様にキッド中将も統合強化は潜在脅威各種のため必然と見ている。「中核となる同盟国と統合をもっと進めるべきだ。法に基づく国際体制が脅威を受ける中で西側の価値観を強化しつつ共同作戦を進める必要がある」と語る。
キッド中将は昨年秋の公試で米東海岸まで航海したクイーン・エリザベスの指揮を取り、今は英海軍全体の運用を取り仕切っている。昨秋は米F-35を同艦から運用したが、英海軍パイロットは自国保有のF-35Bの同艦からの運用を始めており、同機を空母艦上で運用する米国以外で初の事例となった。
QEには今回新設のウェストラント19空母打撃群としてタイプ45駆逐艦HMSドラゴン、対潜艦HMSノーサンバーランド、給油艦RFAタイドフォーズが加わっている。

英空母で米海兵隊機材を運用する意味

マイケル・アトレー准将は記者に対し、新型艦での新型機運用は「大きな前進の一歩であり、(空母運用の)復活だけの意味があるわけではない」と語る
F-35の先にウェストラント19空母打撃群のタイプ45駆逐艦HMSドラゴン、対潜艦HMSノーサンバーランドが随行している。
QEは今年7月から2021年の地中海中東方面への展開に備え準備中で、
英海軍が空母を運用するのは10年ぶりのことになる。
新型空母は最初からF-35運用を念頭に建造されており、
英関係者は「第五世代」艦としてインヴィンシブル級空母から大きな前進
になると強調。インヴィンシブルの退役は2010年で、誇り高き英海軍の伝統
の中で空母不在の時間が続いていた。
「本艦は英国の戦略で大きな意味があり、英国最大級の艦艇だが
米海兵隊との共同運用が可能であり、これも大きな推進力となる」
(キッド中将)
米海兵隊との統合と並行して海兵隊は米海軍とあらたな戦力構造評価を進め
ているなかで、今年末に評価がまとまり両軍の連携がさらに強化する見込み
だ。ほぼ20年間中東での地上戦に終止してきた海兵隊には大きな変化となる
海への回帰であり、無人機によりF-35Bの空中給油を試行し、太平洋地区の
未整備拠点での運用を目指しているのも伝統的な米国の海空での優越性
が消えつつある中での対応に過ぎない。
海兵隊上層部は将来の姿を模索する図上演習を実施すると先月発表したばかりで、
ギルディ大将は海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将とともに書簡をまとめ、
兵力投射の新しい姿を共同検討する。目標は両軍の教義の方向性を合わせ、
訓練や装備計画での補完機能の実現にあり、海軍は海兵隊部隊に移動手段と援護
だけを提供するだけにとどまらない姿勢を示している。
英海軍が米空母の不足状態を補完する?
QEが運用開始に備える中、英海軍がその中で大きな役割を演じる可能性
がでてきた。
QEの艦隊編入で「いきなり高度ネットワーク環境に入り、米軍と次の4、
5年にわたり、わずか10年前には想像もできなかった高性能機材の性能を
最大限活用する」とキッド中将は述べる。
英海軍のF-35運用2号艦HMSプリンス・オブ・ウェールズは北海で公試中
で2023年の初回配備に備えている。新鋭空母2隻が揃い、機材や任務を
米海軍、海兵隊と交換するのは米東海岸で配備の米空母がトラブルつづき
で予定通り出動できない中で大きな一歩となるのはまちがいない。

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