米海軍のコンステレーション級フリゲート艦の危機は深まる一方だ(National Security Journal) ―A.バーク級駆逐艦の負担軽減も期待されていたフリゲート艦が逆に米海軍の負担になります。この難問をどう解決するのでしょうか。もがみ級を売り込むチャンスかもしれませんね。(アップデート 米海軍はついに堪忍袋の緒が切れてコンステレーション級をスクラップにしたようです。このあとお伝えします)

コンステレーション級フリゲート艦(米海軍)。画像提供:業界資料。

米海軍のミサイルフリゲート艦FFG(X)のアーティスト・レンダリング。この新型小型水上戦闘艦は、対空戦、対潜戦、対水上戦、電子戦、情報作戦を遂行する多目的能力を持つ。設計はFREMM多目的フリゲート艦を基にしている。2020年4月30日、ウィスコンシン州マリネット・マリン社に10隻の建造契約が授与された。
要点と概要 – コンステレーション級フリゲート艦は、沿海域戦闘艦(LCS)の代替案として海軍に売り込まれた。実績ある欧州の船体設計を最小限の変更で採用し、能力ある小型水上戦闘艦を低リスクで実現するはずだった。
-実際には、設計改変はより大規模、より複雑で、より高価なものへ変貌した。先頭艦は建造前から重量制限を超過している始末だ。
-スケジュール遅延、コスト増、産業的ボトルネックが、まさにこれらの問題を回避すべき計画を今や悩ませている。
-コンステレーション級は救済策となるどころか、設計規律と強固な産業基盤がなければ次世代米軍艦計画は躓き続けるという警告となった。
コンステレーション級建造の惨事は警告とすべきだ
米海軍が2020年にコンステレーション級フリゲート艦の設計を選定した際、沿海域戦闘艦(LCS)計画を巡る混乱と論争からの明確な決別を意図していた。長年にわたる機械的故障と早期退役の後、海軍は高価なプラットフォームに過度なリスクを負わせることなく実戦任務を遂行できる信頼性の高い小型水上戦闘艦を必要としていた。当局者によれば、解決策は、実績ある欧州製の船体を選び、米国製センサーと兵器を追加し、設計作業を可能な限りシンプルに保つことだった。
その結果、低リスク、低コストで、予定通りに完成するフリゲート艦が誕生することになった。これは、LCS で達成できなかったすべての要素である。
沿海域戦闘艦 USS クーパーズタウン NSJ 2025年10月14日撮影。
沿海域戦闘艦 USS クーパーズタウン。2025年10月14日、ナショナル・セキュリティ・ジャーナル撮影。
沿海域戦闘艦の甲板砲。米海軍。2025年10月14日、ナショナル・セキュリティ・ジャーナル撮影。
4年後、その約束は今、我々の目の前で崩壊しつつある。コンステレーション級は、あるべき姿と程遠い。重量超過で、納入時期は遅れ、予想コストは何度も上昇している。この計画は、回避すべきだった問題と同じ種類の問題をすべて経験しており、それらの問題は、米海軍の造船ポートフォリオ全体に見られる問題を反映している。
このフリゲート艦計画は、米海軍にとって都合の悪い問題点を浮き彫りにしている。設計規律の欠如、産業基盤の限界、非現実的なスケジュールとの戦いが今も続いているのだ。これらの問題の一部は海軍の管理下にあるが、大半はそうとは言えない。
では、コンステレーション級はこのまま海軍が必要とするものを提供できるのか?それとも、米海軍がこうした任務上重要なプロジェクトを遂行するには支援が必要だという、また別の事例となるのか?
コンステレーション級で本来あるべき姿
コンステレーション級は、問題を抱えた沿海域戦闘艦(LCS)計画が残した能力の空白を埋めるため、2017年に開始された海軍のFFG(X)競争の産物である。
目標は、対潜戦、防空、水上攻撃、護衛任務を遂行可能なフリゲートを配備することだった。いわば「万能型」のフリゲートである。
海軍は多目的フリゲート艦を安定性と成熟性を重視した設計とし、新規設計ではなく実績ある欧州の船体を採用する選択をした。設計提案を行う造船会社には、既に就役している親艦を基にした提案が求められた。
フィンカンティエリ・マリネット・マリンは、信頼性・静粛性・総合的な柔軟性で広く評価されているイタリアのFREMMフリゲート艦を基にした設計で、最終的に競争に勝利した。海軍はこの戦略が妥当だと判断した。欧州の船体は必要な箇所にのみ適応させ、生産を加速させる方針だ。
FREMMの評判もプロジェクト実現性を高めた。イタリアとフランスは既に同級艦を運用しており、設計は航続距離・持続力・対潜能力において高い実績を有している。
計画中の米国仕様は、米海軍の要求に合わせ、最新の米国製センサーや兵器を搭載するようカスタマイズされる。フリゲートにはAN/SPY-6(V)3レーダー、32セルのMk 41垂直発射システム、イージス派生型戦闘システムが搭載される予定だ。
また、効率性と静粛性を確保する複合ディーゼル電気推進システムも搭載される予定だ。
空母打撃群や水陸両用部隊の護衛艦として、前方展開資産として、さらには紛争地域における対潜戦の中核拠点として、十分な能力を備えることになる。
当初、この計画へ期待は高かった。未検証のコンセプトの採用から脱却した点が評価されたのである。
これはLCSの苦戦を経て海軍が求める転換点だった。しかし設計が進むにつれ、海軍は基本船体に変更を加え、一連の追加要件や新規要件を組み込み、内部配置まで見直すようになった。これにより計画は当初想定された単純なものではなくなった。
だが修正を重ねるごとに、海軍のリスク低減戦略は蒸発し始めた。
重量超過、遅延、予算超過
2023年から2024年にかけ政府監査機関と海軍当局は本計画における重大な問題点を認め始めた。
第一に、最も懸念されるのは重量増加だ。政府監査院(GAO)によれば、先頭艦であるUSSコンステレーションは既に設計重量マージンを超過しており、将来の近代化や追加装備の余地がほとんど残されていない。
重量増加は重大な問題だ。将来のアップグレードを困難にするだけでなく、現行艦の安定性、航続距離、生存性にも影響する。2060年代まで運用される予定のフリゲート艦は、現時点で重量超過を避けるだけでなく、将来的に新たなセンサー、電子戦システム、兵器を追加する余地を持たねばならない。建造前からその余地を失うのは重大な危険信号だ。だが現状はまさにその状態にある。
スケジュール遅延も積み上がり始めている。
艦艇建造は数年遅れており、海軍当局者は設計変更などが原因でスケジュールに重大な圧迫が生じていることを認めている。
遅延には誤った判断も大きく寄与しているが、より制度的な問題、特に労働力不足と産業基盤の逼迫は海軍にとって対処がより複雑だ。
コストも上昇している。海軍の予算文書によれば、設計の不安定さがプログラム全体に波及する中、調達コストは上昇傾向を続けている。海軍とフィンカンティエリはコスト増加の規模で見解が分かれていると報じられているが、関係する当事者すべてがその存在を認めている。
結局のところ、コンステレーション級は将来がどうあれ、米海軍と連邦政府双方への警告とするべきだ。単純化が鍵であり、国家の造船インフラは深刻な改善を必要としている。■
著者について:
ジャック・バックビーは英国出身の作家、反過激主義研究者、ジャーナリストで、ニューヨークを拠点とする。英国、欧州、米国を報道対象とし、左派・右派の過激化を分析・理解するとともに、現代の喫緊課題に対する西側諸国の政府の対応を報告している。著書や研究論文ではこれらのテーマを探求し、分極化が進む社会への実践的な解決策を提案している。最新著書は『真実を語る者:RFK Jr.と超党派的大統領制の必要性』である。
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By
Jack Buckby