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2025年12月10日水曜日

AEW&Cの完全無人化か可能なのか、MQ-9Bを早期警戒管制機に転用する試験をGA-ASIとサーブが2026年夏に実施予定(The Aviationist)

 ― AEW&CはE-3のサイズから737やそれ以下にダウンサイジングし、さらに一気に無人化まで進みそうですね、そこまで電子技術が進展しているのですね

MQ-9B AEW&C Test in 2026

MQ-9Bに搭載されたサーブのAEW&Cポッドのコンセプト図(画像提供:GA-ASI)

試験は同社所有のMQ-9Bにサーブ製AEW&Cシステムを搭載しカリフォーニア州のGA-ASI施設「デザート・ホライズン」で実施される

ジェネラル・アトミックス・エアロノティカル・システムズ(GA-ASI)は、サーブと共同で2026年夏にMQ-9B遠隔操縦航空機(RPA)向け新型ポッド式空中早期警戒管制(AEW&C)能力の試験を実施すると発表した。両社が新システム開発を先に発表していた。

サーブ開発によるAEW&Cポッドを搭載したGA-ASIのMQ-9Bは、南カリフォルー二アにある同社のデザートホライズン飛行運用施設で試験される。両社は同システムが運用開始される年として2026年を挙げていた。

無人航空機によるレーダー監視の導入は、西側諸国及びNATOの同領域における能力が低下する中で行われる。実際、E-3AWACSの老朽化、NATO向けE-7Aウェッジテールキャンセル、米空軍仕様の遅延などにより、宇宙ベースの追跡やE-2Dアドバンストホークアイといった代替手段による能力の穴埋めが検討されている。

GA-ASIはドバイ航空ショーに先立ち、MQ-9B RPAプラットフォームの信頼性を改めて強調し、2025年10月31日に「第三の寿命」に相当するフルスケール疲労試験(FSF)を完了したと発表した。同社によれば、「3回目にして最終となる寿命試験」では「12万稼働時間(機体寿命あたり4万時間以上の飛行時間)」を検証し、「機体設計の妥当性を確認する重要な節目」となった。この試験はNATO STANAG 4671規格への認証取得に向け、機体構造の健全性を立証するものである。

興味深いことに、MQ-9Bポッド式AEWの将来試験発表はドバイ航空ショー開幕日と重なり、同能力が既に国際的に販売されていることを示唆している。関心を持つ顧客の詳細や、GA-ASIとサーブが潜在顧客向けに提示する産業提携による優遇条件が明らかになる可能性がある。

手頃な価格で持続的かつ効果的な監視

プレスリリースでGA-ASIは、サーブのAEWセンサーを「世界最長航続距離・最高耐久性を誇る無人航空機(RPA)」であるMQ-9Bと組み合わせることで、「海上や陸上で持続的な航空監視を実現する」と述べた。これにより「現在存在しない、あるいは高価で導入が困難な地域、例えば海上を航行する海軍空母など」でもAEWが可能になるという。

特筆すべきは、サーブがグローバルアイAEW&C機の主要コンポーネントであるエアリーアイ空中AESAレーダーシステムの開発元であり、さらにグリペンEおよび将来のユーロファイターEKに搭載される人工知能ベースのアレクシス電子戦システムも開発中だということだ。

「MQ-9B向けAEWソリューションは、戦術航空兵装・誘導ミサイル・ドローン・戦闘爆撃機・その他脅威に対する防御のため、空域における重要な感知能力を提供する。中高度長航続UASの運用可用性はあらゆる軍用機中最高であり、無人プラットフォームとして搭乗員の危険を回避できる」とGA-ASIはプレスリリースで説明した。これは無人AEW能力の具体的な使用事例、戦術シナリオ、理論的コンセプトを浮き彫りにしている。

このシステムを、米空軍やNATO空軍が使用するF-35ライトニングII、ダッソー・ラファール、ユーロファイター・タイフーン、将来のE-7Aウェッジテイルといった機材に統合することで、現代の脅威に対する信頼性の高い空中レーダー監視能力を構築できる。

どこまでの能力があるのか

GA-ASI とサーブの AEW は、見通し内および SATCOM(衛星通信)制御システムによって実現され、「早期探知と警報、長距離探知と追跡、同時目標追跡と柔軟な戦闘システム統合」を提供すると、プレスリリースは述べている。

「MQ-9B に AEW&C を追加することで、当社のプラットフォームに重要な新機能が追加される」と、GA-ASI 社長の David R. アレクサンダーは述べた。「我々は、洗練された巡航ミサイルや、単純だが危険なドローンの群れから、世界中のオペレーターを保護する、持続的な AEW&C ソリューションを提供したいと考えている」と述べた。

中国は、AESA レーダーを搭載した WZ-9 Divine Eagle ドローンで、すでに同様の能力を導入していると報じられており、トルコも Kizilelma および Akinci UCAV で同様の能力の獲得を目指している。費用対効果の高い無人 AEW 資産は、人間の耐久力、機体疲労、メンテナンスの制約を受ける有人プラットフォームの負担を軽減できる。

空軍は、防御作戦と攻撃作戦の両方において、特定空域で大幅な航空拒否を実施したり、少なくとも敵の計画を複雑にしたりすることができる。

MQ-9の進化

システム面では、MQ-9は進化しつつある。この無人航空機は、ポッド装備による迅速な再目的化が進み、対潜戦(ASW)、対ドローン任務電磁波探知、データ/通信中継といった、リスクは低いものの重要な役割を担うようになっている。

ポッド式AEW(空中早期警戒)能力は英国へ導入される見込みだ。英国国防省は検討中であり、MQ-9を英国海軍の空母打撃群向けAEW要件に採用し、マーリンHM2空中監視管制機と置き換える。GA-ASIが最新のプレスリリースで明示したように、この新能力はMQ-9シリーズの全RPA(無人航空機)を包含する。具体的にはスカイガーディアン、シーガーディアン、英国のプロテクターRG1、そして新型MQ-9B STOL(短距離離着陸)機である。

GA-ASIが風洞試験していた「STOLミッションキット」は、MQ-9Bシーガーディアンおよびスカイガーディアン無人機向けに開発されたもので、空母搭載型および汎用無人機による早期警戒(AEW)、対無人機(C-UAS)、さらに短距離滑走路や海軍資産からの通信・データ中継・ISR/標的捕捉任務を支援する。本誌の分析では、STOLキットは既存のMQ-9Bに迅速に装着可能なシステムとなり得る。一方、グレイイーグルのC-UAS試験は、空母運用向けにMQ-9Bにキットを装着する前に、STOL翼の性能を迅速に実証する目的で実施された可能性がある。■

タグ:AEW&C空中早期警戒管制GA-ASIジェネラル・アトミックス・エアロノティカル・システムズMQ-9BMQ-9B スカイガーディアンSAAB

パース・サタム

パース・サタムのキャリアは15年にわたり、2つの日刊紙と2つの防衛専門誌で活動してきた。彼は戦争という人間の活動には、どのミサイルやジェット機が最速かといった次元を超えた原因と結果があると信じている。そのため、外交政策、経済、技術、社会、歴史と交差する軍事問題を分析することを好む。彼の著作は防衛航空宇宙、戦術、軍事教義と理論、人事問題、西アジア・ユーラシア情勢、エネルギー分野、宇宙開発に至るまで幅広い。


GA-ASI and Saab Will Test MQ-9B AEW&C Variant in the Summer of 2026

Published on: November 17, 2025 at 4:31 PMGoogle News IconFollow Us On Google News

 Parth Satam

https://theaviationist.com/2025/11/17/mq-9b-aewc-test-summer-2026/




2020年4月4日土曜日

F-35よりグリペンに魅力を感じる国とは....

Saab Gripen

空宇宙産業の大手企業で Saab AB ほど特異な存在はない。共同開発が当たり前の現代の戦闘機開発で、小国スウェーデンが自力で輸出競争力のある戦闘機を生産している。JAS 39グリペンは数カ国が供用中でさらに十数カ国で採用の検討対象となっている。

開発の経緯
グリペンの誕生は1979年で、スウェーデン政府がそれまで供用してきたドラケン、ヴィゲンの後継機を国内で開発する決定をしたことが出発点だ。高性能ジェット戦闘機開発の能力を有する航空宇宙産業がある国でもスウェーデンは最小規模で、グリペンは同国の産業基盤を健全に保つ効果も生んだ。▶グリペンは第4世代機 (F-14、F-15、 F-16、F/A-18、 MiG-29、 Su-27) の全盛期に誕生し、各機の開発過程で得られた教訓を盛り込んだ。スウェーデンは意図的にステルス性能を付与しなかった。各国で購入可能な価格帯を実現するためだ。▶初飛行は1988年12月で初期作戦能力を1996年に獲得した。生産実績は306機で、事故で10機喪失している。

特徴 
グリペンの特徴は機体サイズの小ささと第4+世代の他機より低い価格だ。グリペンの単価は60百万ドル未満とされる。Jane’sの報道では運行経費で同機を下回る機種はないとある。▶グリペンはパイロットに優しい設計で有名で、画面表示が簡単に把握でき、インターフェイスが比較的単純だ。武装面ではメテオ空対空ミサイルを世界で初めて搭載し、視界距離外(BVR)兵装として最大80マイルまで敵機を追尾し破壊する。グリペンCではメテオを4発搭載し、グリペンEでは7発になる。▶グリペンEの最大離陸重量は16.5トンで、最大速力はマッハ2かつスーパークルーズを実現。航続距離は1500kmだ。BVR戦とドッグファイトで各機に劣らない。

供用国・検討中の国
Saabがグリペン輸出に成功したのはハンガリー、チェコ、タイ、ブラジル、南アフリカで、入札中はフィンランド、カナダ、ボツワナ、コロンビア、クロアチア、インド、インドネシア、フィリピンの各国だ。その他同機に関心を示す国は多い。▶Saabは技術移転に比較的寛容で、現地企業に一部部品製造を任せている。防衛支出の国内説明がつくので各国政府にグリペンは訴求力のある選択となる。▶ただし英国にグリペン輸出の拒否権があることに注目だ。これはBAEシステムズの関与が理由だ。このためアルゼンチンは同機を取得不能となった。▶グリペンの商業的成功は本質的な性能水準が理由ではないという向きがある。Saabをめぐり賄賂提供の噂が度々出ているが、訴追まで至った例は少ない。ブラジルではグリペン取得から当時の大統領ルーラ・ダ・シルバが窮地に追い込まれた。大統領の息子へ資金が流れたとされ、真相は未解明だ。▶スイスではグリペン22機の導入をめぐり住民投票騒動になり、清廉さを誇るオーストリア、チェコでも贈賄捜査がスキャンダルに発展している。

今後
各国の需要からグリペン生産ラインは今後も安泰だろう。グリペンを「戦闘機の将来像」と表現する向きがあるのは同機の価格帯と相当の性能さらにアップグレードが容易なためだ。「ソフトウェア第一」の姿勢で他機種よりもアップグレードが容易かつ安価に可能となる。▶とくにグリペンEは長期に渡り防空戦闘機として活躍するだろう。

まとめ 
グリペンの実戦投入例はまだない。グリペンは二級空軍部隊の主力で、実戦が現実になっていない各国で低価格から選択肢となっている。とはいえ、そうした各国でも実戦となればグリペンの性能を発揮する場となろう。低価格とあわせ整備が簡単なグリペンは戦闘投入の備えができている。■


Image: Saab.
この記事は以下を再構成したものです。

Not an F-35, But a Beast: Sweeden's Gripen Fighter Is One Heck of a Fighter Jet

Cheap, at least in this case, does not mean bad--or non lethal.
April 3, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: SaabJAS-39 GripenSwedenFighterCorruption

Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government.