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2026年1月26日月曜日

GCAPでイタリアが開発費上昇に直面 – 英国もイタリアもお金を出せないと早晩言い出しそうで、そうなったら日本は両国を下請けに単独で開発に向かえばいいのでは

 

GCAPのイタリア分担が210億ドル超に上昇

Defense News

トム・キングトン

2026年1月20日(火)

2024年7月22日、ファーンボロー国際航空ショー初日、イタリア国旗の色に彩られたグローバル戦闘航空計画(GCAP)第6世代戦闘機のコンセプトデザイン。(ジャスティン・タリス/AFP via Getty Images)

ローマ発―イタリア国防相は議会に対し、三国共同開発のGCAP戦闘機の設計・開発費が過去5年間で60億ユーロから186億ユーロ(70億ドルから218億ドル)へと3倍に膨れ上がったと報告した。

この費用増額発表は議会への支出承認要請の中で行われ、野党「五つ星運動」から批判を招いた。「これはイタリア軍史上最も高価な計画であり、90機で180億ユーロを費やしたF-35を凌駕する」と五つ星運動議員団は声明で述べた。

イタリアは英国・日本と共に第6世代戦闘機GCAPチームに参加しており、2035年までに新型戦闘機の配備を目指す。

イタリアのプログラム分担額を改定した文書は今月、上院防衛委員会に送付された。同委員会では火曜日に審議が行われ、おそらく来週にも承認投票が行われる見通しだ。

この文書は下院防衛委員会でも採決される。メローニ連立政権が両院で過半数を占めるため、委員会での承認は確実視されている。

この文書は、2021年に議会に提出された以前の内容を更新したもので、イタリアはプログラムの第1段階(コンセプト評価と予備設計)と第2段階(完全開発)の分担金として60億ユーロを支払うとされていた。

新文書では支出額について「当初プログラム第1・第2フェーズで60億ユーロと見積もられていたが、技術成熟化・試験開発・設計におけるコスト増を考慮し、2025年価格ベースで186億ユーロに上方修正された」と記されている。

本誌が入手した文書によると、第1フェーズの一部を賄う20億ユーロの資金は既に確保済み。したがって第1・第2フェーズ完了にはさらに166億ユーロが必要となる。

文書には、2037年まで年次分割で支払われる総額88億ユーロの資金承認要請が含まれている。

総額166億ユーロ達成に必要な残り78億ユーロは、将来的に調達される予定だと文書は付記している。

五つ星運動党は声明で「本計画の価値を疑うものではないが、議会委員会が現金自動支払機のように数十億ユーロを軽々しく発行し、予想支出のこの大幅な増加について詳細かつ綿密な説明すら提供しないことは容認できない」と記した。

1月16日に東京で行われたイタリアのジョルジア・メローニ首相と日本の高市早苗首相の会談では、両首脳が「GCAPの進展に満足を表明」し、「2035年の初号機納入目標達成の重要性」を確認していた。■

トム・キングトンについて

トム・キングトンはディフェンス・ニュースのイタリア特派員である。


Italy faces GCAP warplane price tag topping $21 billion

By Tom Kington

 Tuesday, Jan 20, 2026

https://www.defensenews.com/global/europe/2026/01/20/italy-faces-gcap-warplane-price-tag-topping-21-billion/


2025年4月26日土曜日

教皇葬儀に参集する各国首脳を護衛する航空防衛体制でイタリアは厳戒態勢中(The Aviationist)


Pope's funeral security plan

教皇フランシスコの葬儀が行われるサンピエトロ広場。(画像提供:イタリア警察) インセット:イタリア空軍のF-35 ライトニング II(上)とF-2000 タイフーン(下)。(画像提供:イタリア空軍)  


皇フランシスコの葬儀を主催するにあたり、イタリアは参加者の安全を確保するべく、大規模なセキュリティ計画を起動中だ。

 2025年4月26日、ローマは厳重な警備下にある。バチカンでフランシスコ教皇の葬儀が執り行われるためだ。この機会に、約50人の国家元首と10人の君主を含む160の国際代表団がローマに到着し、20万人を超える人々がイベントに参加する。  


 イタリアの警察当局と軍は、ローマ上空に飛行禁止区域を設定し、屋上に狙撃手、地上に4,000人の警官、対UASチーム、沿岸に防空ミサイル駆逐艦を配備するなど、イベントの安全確保に当たっている。ここまでの大規模な作戦はイタリア民事保護省と緊密に連携して実施されており、国家安全保障部隊がすべて動員されている。イタリア警察、カラビニエリ、財務警察(グアルディア・ディ・フィナンツァ)、陸軍、海軍、空軍が協力し、首都上空に保護的なセキュリティ「ドーム」を構築している。


空中監視セキュリティ計画

フランシスコ教皇の葬儀期間中、ローマ周辺で実施される空域制限は、4月25日12:00 UTCから4月26日20:00 UTC(推定)まで有効とし、多層防御システムの一部となる。このセキュリティシステムの第一段階は、ローマ市中心部を基準点とする半径75海里の防空識別区域(ADIZ)の設置だ。このゾーンは主要なフィルターとして機能し、当局が接近する航空機を監視・識別する。

 この広範な周辺区域内では、ローマ上空を半径35海里の円形区域に設定し、VFR(視界飛行規則)航空機およびドローンの飛行が禁止される。最も厳格な制限は、ローマ上空に半径6.5海里の飛行禁止区域で制限を執行するための巡回航空機用に専用区域も設定されている。

 これらの措置は、G7首脳会議のような高レベルのイベントで実施される厳格な航空保安措置と類似している。リアルタイムの空域監視を実施するため、イタリア空軍は潜在的な脅威に迅速に対応可能な高度な航空資産を配備している。


教皇フランシスコの葬儀に伴うローマ上空の空域制限措置。(画像提供:Desk Aeronautico


ローマ上空の空域保安を確保する戦闘機

式典中の潜在的な航空脅威に迅速に対応するため、イタリア空軍の戦闘機は、NOTAM(航空機操縦者向け通知)で設定された専用空域内で、首都近郊で戦闘空中哨戒(CAP)任務を実施する。投入される航空資産は、既に活動中の日常的な迅速反応警戒部隊を強化し、空域侵犯が発生した場合、数分以内に応答可能だ。

 この任務に割り当てられた機体は、イタリア空軍の最先端プラットフォームであるユーロファイター F-2000 タイフーンと F-35A ライトニング II だ。各機は、全国に展開する主要な作戦基地から展開される。このうち最も関与する可能性の高い基地はアメンドラ、ジョイア・デル・コレ、グロッセトで、プラティカ・ディ・マーレが前線基地または代替基地として関与する可能性がある。迎撃はCAP任務中の航空機が行うが、必要に応じて他の航空機が緊急発進する準備が整っている。

 作戦に参加する戦闘機はすべて、短距離・中距離の空対空ミサイルを含む実弾を装備している。この配置により、パイロットは潜在的な脅威に効果的に対応できる。さらに、大規模な群衆と多数の要人が集まる高度に敏感な国際イベントにおいて、武装した戦闘機の存在は、潜在的な敵対的または不正な行動に対する有効で具体的な抑止力となる。


イタリア空軍の主力機F-35とF-2000。(画像提供:イタリア空軍)

低速機への迎撃任務

上記の戦闘機資産は、軽飛行機やヘリコプターなどの低速機に非常に有効だが、イタリア空軍はローマ周辺の制限空域に侵入を試みる「低速機」脅威に対抗するため、第二の防御層として専用設計のシステムを配備する。イタリア空軍のCSAR(戦闘捜索救難)中隊は、プラティカ・ディ・マーレにHH-139ヘリコプターを配備し、作戦を支援する。

 同ヘリコプターは「低速機迎撃」任務に割り当てられ、指定されたセキュリティ・ペリメーター内での低速航空機の監視と迎撃を実施する。同ヘリコプターは、無線で連絡が取れない場合でも、迎撃した航空機と非言語的な連絡を確立するための視覚通信パネルを装備している。


HH-139Aが低速機迎撃訓練飛行を実施中。(画像提供:ステファノ・ドルソ)

 状況がさらに悪化した場合、HH-139は「低速機迎撃オペレーター」と呼ばれる専門要員を乗せ、空中戦闘能力を発揮でき、オペレーターは、低速脅威を無力化する精密兵器の使用で特別訓練を受けている。

 飛行中の航空機を低速でも移動するプラットフォームからスナイパーライフルで狙うことは容易な任務ではないが、オペレーターは航空機のエンジンなど指定された目標を撃破し、緊急着陸を強制する訓練を受けている。目標は脅威を安全に無力化し、地上人員のリスクを最小限に抑えることだ。


訓練で武器を構えるSlow Mover Interceptor Operator。(画像提供:イタリア空軍)


監視網

プラティカ・ディ・マーレ空軍基地の第71飛行隊に所属するG-550 CAEW(コンフォーマル・エアボーン・アーリー・ウォーニング)は、監視能力を活用して空域を厳重に監視する。必要に応じて、CRC(管制報告センター)と連携し、CAEWは「ゾンビ」(戦闘機用語で迎撃対象の呼称)や首都に向かう確認済みの脅威に対する迎撃作戦において、戦闘機を誘導する。

 リアルタイムの状況を把握し、地上部隊の動向を拡大監視するため、イタリア空軍はMQ-9AプレデターB(イタリア空軍は「リーパー」の名称を採用していない)遠隔操縦航空機(RPA)を配備している。NOTAM(航空機操縦者向け通知)で公表された飛行経路に従い、プレデターは第28飛行隊が駐留するアメンドラ基地で運用され、イベントを厳重に監視するセキュリティ体制を支援するため、リアルタイムの情報を収集する。


プラティカ・ディ・マーレ空軍基地に着陸するG-550 CAEW。(画像提供:デビッド・チェンチオッティ)


 イタリア空軍に加え、警察、国家憲兵隊カラビニエリ、税関所属のヘリコプターが群衆の状況を一貫して監視し、最高レベルのセキュリティを確保する。教皇の死去以来、参列者が安全にサンピエトロ大聖堂に到着できるよう、地域のすべての動きをヘリコプターが監視してきた。

 高度センサーを搭載したヘリコプターは、緊急時において地上要員への誘導支援を行う能力を有している。また、GIS(イタリア・カラビニエリの特殊部隊)やNOCS(イタリア警察の特殊部隊)などの特殊部隊要員を、地上での潜在的脅威への対応のため、目標地点へ輸送する任務も担う。

カラビニエリのUH-139Dが監視任務中にコロッセオ上空を飛行する。(画像提供:カラビニエリ)

 4,000人を超える警察官と2,500人の市民保護ボランティアが、イベントに参加する人々を監視し支援する。サン・ピエトロ大聖堂への流を管理し、危険な状況を回避するため、特別なルートが用意されている。

 さらに、イタリア海軍は監視とミサイル防衛任務にカオ・デュイリオ級ミサイル駆逐艦を配備している。Nave Duilioカイオ・デュイリオ級ミサイル駆逐艦。(画像提供:イタリア海軍)


次世代の脅威 – 対無人航空システム(C-UAS)作戦

 小型無人航空システム(UAS)など、新興の脅威に対抗する保護任務は、イタリア空軍の専門部隊である第16航空団「フチリエリ・デッラ・リア」とイタリア陸軍に割り当てられている。オペレーターは、レーダー探知システム、電光センサー、電子妨害装置を駆使し、ドローンの飛行を阻止するC-UAS(対無人航空システム)任務を遂行する専門資格を有している。

 これらの高度資産は、ローマとバチカン市内に戦略的に展開され、敏感な地域における最高レベルのセキュリティを確保している。ドローンの脅威は、その小型化により探知を回避する能力が生まれていることから、大規模な混乱で中心的要因となっている。例えば、近年、ヒースロー空港で小型ドローンが数時間にわたり航空交通を遮断する事件が発生した。

 技術的には「携帯型電磁妨害システム」と呼ばれるこれらの装置は、ドローンの制御に用いられる同じ周波数帯で高強度電磁パルスを放射し、パイロットの制御装置との接続を断ち切る。これにより、ドローンは緊急モードを起動し、出発地点に戻すか、現在の位置に着陸させることで安全に無力化される。


フランシスコ教皇の葬儀に各国首脳が到着

ローマの空は、世界的な航空交通の異例の集中を目撃している。ほぼ

すべての大陸を代表する国家・外交機が連続して到着し、世界各国の首脳、君主、要人が最後の別れを告げるために集まっている。

 これらの高官の到着に伴う例外的な規模とセキュリティ要件に対応するため、イタリア当局はローマ・チャンプイノ空港、ローマ・フィウミチーノ空港、プラティカ・ディ・マーレ空軍基地を国家代表団の公式到着ポイントに指定した。これらの施設は、このような大規模な高官の到着に伴う複雑な物流作業に対応できるよう特別に整備されている。

 現在、該当する航空機約64機がフライト追跡サイトで確認されており、ローマへ向かっている。式典には合計160の代表団が参加する見込みで、国際的な参加の規模を反映している。■


Everything You Need to Know About the Air Defenses Protecting World Leaders at the Pope’s Funeral

Published on: April 26, 2025 at 1:22 AM

 Elia Silvestris

 Stefano D'Urso

https://theaviationist.com/2025/04/26/popes-funeral-security-plan/



2025年3月31日月曜日

イタリアが日本からP-1海上哨戒機の導入を検討中(Defense News) ― 欧州のアメリカ離れもありますが、P-1が正当な評価を受けたのであれば商談は成立する可能性があるでしょう。ともかく日本には実績が必要です。

 

2015年、相模湾での観艦式で、海上自衛隊のP-1がフレアを発射した。 (Toru Yamanaka/AFP via Getty Images)

タリアは、地中海での敵対的な潜水艦に対処するため、川崎重工業の海上哨戒機P-1の購入を検討している。これは、米国機材を購入してきたイタリアの伝統を破り、日本との関係を強化する動きである。

イタリア空軍のルカ・ゴレッティ(Luca Goretti)司令官は金曜日、海上哨戒能力の不足をどのように補うつもりなのか記者団に尋ねられ、「P-1は、利用可能な選択肢の1つ」と述べた。「日本と素晴らしい関係を築いています」と彼は付け加えた。

P-1は、海上哨戒機としてゼロから設計された4発のエンジンを搭載したプラットフォームで、2013年から海上自衛隊が33機運用されている。ただし、これまで輸出には成功していない。

イタリアは2017年に長年使用してきた海上哨戒機アトランティークの最後の機体を退役させ、後継機として、エアバスレオナルドが共同開発したATR 72を導入した。同機は空軍と海軍が共同運用している。

しかし、この機体には対戦能力が欠如しており、あくまでつなぎ機材と見なされていた。

そのギャップを埋める新たな購入は、友好国および敵対国による地中海での新たな海軍活動と時期を同じくすることになる。

米国製P-8航空機ではなくP-1を導入することは、イタリアが米国からB767空中給油機、C-130、ガルフストリーム偵察機、F-35、リーパー無人機などを調達しようと長年模索してきたと対照をなすことになる。

イタリアは最近、GCAP第6世代戦闘機プログラムで英国と協力し、日本とも関係を強化している。

2023年には、レオナルド社は、日本のパイロットがイタリアでM-346の訓練を受けるようになったことを受け、川崎T-4ジェット練習機に代わる機体としてM-346ジェット練習機を日本に売り込んだ。

3月13日、イタリア議会でGCAPプログラムについて演説したゴレッティ空軍参謀長は、日本と第6世代ジェット機で協力していることが、他分野での協力の可能性についての議論を促していると述べた。

「現在、日本にイタリア代表団が滞在しています。日本とのさらなる成長の可能性があるからです。その中には、日本向け訓練機の開発や、共同パトロール機の開発も含まれています」と彼は述べた。「我々の協力関係は、つい最近まで考えられなかった新たな可能性を切り開いています」。

ゴレッティ参謀長が示唆した、日本とのイタリア製ジェット練習機取引と、イタリアとの日本製哨戒機取引は、トレードオフの可能性を示唆したもので、2012年にイタリアがイスラエルにM-346を売却し、その見返りとしてイスラエル製センサーを搭載したガルフストリームとイスラエルの偵察衛星を購入したことを想起させる。■

Italy looks to fighter friend Japan for a new maritime-patrol plane

By Tom Kington

 Mar 29, 2025, 01:48 AM

https://www.defensenews.com/global/europe/2025/03/28/italy-looks-to-fighter-friend-japan-for-a-new-maritime-patrol-plane/

トム・キングストンはDefense Newsのイタリア特派員である。


2025年3月18日火曜日

GCAPは欧州の軍事的自律性と相互運用性への一歩になる(The Aviationist)―イタリアの視点を紹介する機会が少ないのでこの記事をお伝えします。GCAPだけでなくFCASやNGAD/FA-XXにも触れています

 

ローマ上空を飛行するGCAP機の想像図。(画像提供:レオナルド)


タリア国際問題研究所による新しい研究は、GCAPの組織と3か国のパートナーのアプローチを検証し、イタリアが課題に適切に対処し、機会を捉えるべく提言を行っている。

 グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)へのイタリアの参加に関する新たな情報が、国際問題研究所(Istituto Affari Internazionali)の研究で明らかになった。同研究所は、2025年3月23日にローマで開催された「GCAPと国家システム:イタリアの課題と機会」と題するプレゼンテーションで、「グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)におけるイタリア、日本、英国の新たなパートナーシップ」と題する研究を発表した。

 新しい研究では、3か国のGCAPへのアプローチ、プログラムにおける制度運営と産業協力、欧州および米国における同様のイニシアティブの現状、現在の課題と将来の機会、さらにイタリアの国別システムに対する15の提言が分析され提示されている。

 GCAPは、政治、軍事、産業などの観点から、イタリアにとって非常に優れたプログラムであると評価されている。

 政治レベルでは、日英伊3カ国が対等の立場で、かつ、運用面および技術面での完全な主権を保証した上で直接協力するのは、米国主導のF-35プログラムでの経験を経て、初めてのことだ。軍事的レベルでは、イタリアと英国のユーロファイター、日本のF-2戦闘機を補完し、2035年以降に登場する有人戦闘機の要件は厳しいものとなる。産業レベルでは、3か国における航空宇宙および防衛産業にとって、一連の重要な技術における質的な飛躍となる。


戦略的な重要性

 今回の研究では、軍事支出に対する一般市民の懐疑的な見方にもかかわらず、GCAPはイタリアにおいてF-35プログラムと比較して政治的な反対がほとんどないことを強調している。これは、F-35の主な反対理由のひとつである米国の関与がGCAPにないことが理由であり、これにより、運用面および技術面でのより大きな自主性が実現している。

 今回の研究が発表される数日前、F-35の「キル・スイッチ」神話が再び話題のトピックのひとつとなった。イタリア空軍参謀総長のルカ・ゴレッティ将軍もこの件について言及し、「米国が照明を消しても、航空機はこちらの格納庫にあるので、飛行させられる」と述べたが、同時に「我々は自らの足で歩けるようにならなければ」とも強調した。

 この研究で挙げられたもう一つの重要な理由は、イタリアが英国および日本とともに GCAP において33.3%の均等なパートナーシップを確保しており、F-35案件よりはるかに大きな産業的利益を確保していることだ。イタリアは、パナヴィア・トーネードやユーロファイター・タイフーンなどの先行事業における数十年にわたる軍事および産業協力関係を基盤のもとに、英国を欧州における主要な防衛パートナーと見なしている。

 英国と同様に、イタリアも長期的にはユーロファイターを代替する必要があるが、一方でF-35を補完する必要もある。一定期間、この2機種とGCAPは共存せざるを得ない。最新のタイフーンは2060年代まで運用され、次世代戦闘機との相互運用が想定されるからだ。

 「2040年代までに、イタリア空軍はGCAPの段階的導入と並行して、180機以上のF-35およびアップグレードされたユーロファイター・タイフーンを運用し、欧州で最先端空軍の一つとしての地位を確固たるものにするでしょう」と、この研究は述べている。「しかし、イタリアはUCASで遅れをとっており、そのギャップにはGCAPが対応できる可能性がある」。

 産業面では、GCAPはイタリア産業界に多くの機会をもたらすだろう。特に、主システムインテグレーターであるレオナルド、推進システム、電子戦システム、ミサイルシステムの副主システムインテグレーターであるアヴィオ・アエロELTグループMBDAイタリアには、それぞれ多くの機会がもたらされるはずだ。世界全体では、GCAPに9,000人が従事しており、そのうちイタリア国内で約3,000人が従事している。今後35年間でイタリア国内で約8,600人の新規雇用が見込まれている。

 新規雇用者は理系出身が多数で、産業界、軍、大学、研究センター、中小企業間の新たな協力体制が生まれている。このプログラムは、あらゆる分野で技術の飛躍的な進歩を促す可能性があるため、教育レベルでも幅広い動員が重要となる。レオナルドなどの企業は、積極的に新規人材の採用と研修を行い、大学や技術系機関と協力して教育プログラムをGCAPの要件に適合させる取り組みを行っている。


GCAP new model

GCAPコンセプトモデル。(画像提供:レオナルド社)


ガバナンスと産業構造

前述の通り、GCAPにおけるイタリアと英国の協力関係は、トルネードやタイフーンでの長年の経験を基盤としているが、「日本の国際的な防衛調達プロジェクトにおける限られた経験は、特に輸出管理や法的枠組みに関して、三国間協定に複雑性を持ち込む」ことになる。

 しかし、3か国は並行して外交および経済協力を行い、安全保障および防衛だけでなく、技術、貿易、エネルギーに関する新たな合意にもつながるGCAPのガバナンス強化に尽力している。これをさらに支援するためGCAPのガバナンス構造が課題を克服し、機会を最大限に活用できるよう、革新的で弾力性のあるものとして設計されている。

 2023年12月には、効率性を確保し、野心的なプログラムスケジュールを遵守するために、意思決定権限を委任された自律的な国際機関として、GCAP国際政府組織(GIGO)条約が締結された。GIGOのガバナンス構造は、運営委員会(SC)とGCAP機関で構成されている。

 SCは各国代表で構成され、持ち回り制でリーダーシップを担い、監督と戦略的方向性を決定します。英国レディングに本部を置く GCAP エージェンシーは、プログラムの実行管理、産業活動の調整、規制順守の監督を行い、最高経営責任者(CE)は設立国間で3年ごとに持ち回り制で選出される。

 2024年12月に設立された英国、イタリア、日本の企業によるジョイントベンチャー(JV)とGCAPエージェンシーが同居することで、政治と産業のダイナミクス間の相乗効果が促進されることが期待されている。最初のGIGOのCEは日本から、一方、JVの最初の最高経営責任者(CEO)はレオナルドから選出される。

GCAPプログラムに関するインフォグラフィック。(画像:英国国防省

他のプログラムとの比較

 今回の研究では、GCAPは2つの主要な次世代戦闘機プログラム、すなわちフランス、ドイツ、スペインによるFCAS(Future Combat Air System)と、米国空軍の第6世代戦闘機構想であるNGAD(Next-Generation Air Dominance)と比較されている。

 2017年にフランスとドイツが開始したFCASは、広範な欧州の防衛構想の一環として第6世代の航空戦闘システムの開発を目指している。スペインは2019年より正式参加し、同国が対等の役割を目指していることから、エアバス・スペインよりもインドラを国内の産業リーダーに選定した。しかし、同プログラムは依然としてガバナンスと資金調達に関する課題に直面している。

 FCASはGCAPと異なり産業パートナー間のジョイントベンチャーを設立していない。その代わり、フランスの軍備総局(DGA)が調達機関として機能し、これが戦略的に機微な案件であることを示している。FCASの産業チームには、ダッソー・アビアシオンエアバス、インドラ、タレス、そしてITP Aeroの支援を受けているMTUとサフランのジョイントベンチャーである欧州軍用エンジンチーム(EUMET)が含まれている。

 現状では、FCASは次世代兵器システム(NGWS)、武装ドローン、ネットワーク中心の戦争のための専用クラウドで構成されている。フランスは、有人航空機の生存性と致死性を向上させるため、新しいドローンをデコイ、兵器運搬機、分散センサーとして想定しています。

 エアバスとダッソー・アビアシオンの間のガバナンスと産業のワークシェアリングをめぐる対立のため、進捗が遅れている。戦闘機実証機とデジタル設計権限をめぐる意見の相違が原因だ。さらに、スペインが平等な参加を維持できるかどうかは、財政的および技術的な制約により依然不透明なままだ。

 また、資金調達も依然として課題であり、フェーズ1Bは2022年に38億5000万ユーロの契約で開始され、2026年までの研究が対象となっている。ただしフェーズ2は2026年まで開始されない見込みで、実証機への資金調達計画はあるものの、飛行するのは2029年になるかもしれない。就役予定は2040年で、FCASはGCAPより5年遅れるため、その実現可能性に懸念が生じている。さらに、ドイツがF-35購入を決定したことで、不確実性が増しているが、同国はFCASに対する姿勢は変わらないとしている。

次世代戦闘機と無人機のレンダリング。いずれもFCASプログラムの一部。(写真:エアバス)

 F-22 ラプターの後継機として開発が計画されているNGADプログラムは、機密性の高さ、要求事項の変化、コスト面への懸念などにより、長年にわたり不確実性に直面してきた。 1機あたり3億ドルと推定されるコスト、無人航空機技術の急速な進歩、中国の防空能力の向上により、米空軍内では有人戦闘機が必要なのかという議論が巻き起こった。

 2024年7月、米空軍はNGADを一時中断し、その妥当性の再評価作業に入った。2024年12月までに有人プラットフォームの必要性が再確認されたが、当時空軍長官であったフランク・ケンドールは引き続き予算の制約について警告を発し続けた。2025年度の予算要求には、NGADに27.4億ドル、CCAに5.57億ドルが含まれていた。NGADに関連するNGAP(Next-Generation Adaptive Propulsion)プログラムでは、GEアエロスペースプラット・アンド・ホイットニーによるエンジン設計の競争に70億ドルが投じられたが、戦闘機の正確な構成(単発か双発か)は依然として不明である。

 米海軍のF/A-XXプログラムは、F/A-18E/FスーパーホーネットおよびEA-18Gグラウラーに代わる海軍独自のNGADで、さらに機密性の高いプログラムとなっている。空軍と別に、海軍は新しい推進コンセプトよりも既存のエンジンの派生型を選択している。NGADが航空優勢を優先するのに対し、F/A-XXは長距離攻撃や艦隊防衛を含む多目的任務に重点を置くことになる。


訓練と運用統合

GCAPで中核プラットフォームが進化するにつれ、先進的な航空部隊の不足が深刻化している中で、パイロット訓練が極めて重要となる。訓練では、限られたパイロットのプールから最大限の準備態勢を確保する必要があるため、シミュレーション、拡張現実(AR)、システムエミュレーションは、次世代の航空戦闘へのシームレスな移行に不可欠だ。最新の物理的およびデジタルインフラを備えた強力な訓練パイプラインは、システム・オブ・システムズとしてのGCAPの有効性を確保する上で極めて重要となる。

 シミュレーショントレーニングの進歩にもかかわらず、高性能ジェット練習機は依然として不可欠だ。しかし、新型練習機を開発するよりも、すでにF-35パイロットの訓練に使用されているイタリアのM-346などの既存プラットフォームをアップグレードする方が効率的なソリューションとなる。 訓練専用の無人戦闘航空システムを導入すれば、実戦配備前にパイロットに有人無人チーム(MUM-T)を体験させることができ、GCAPの中核開発へのリソース集中が可能となる。

 さらに、攻撃訓練ではステルス機による脅威を再現する必要がある。これは、コストの制約によりF-35の稼働率が限られている空軍にとっての課題だ。潜在的な解決策は、ステルスUCAS攻撃機を開発することで、これはGCAPの補助システムとしても機能し、パートナー諸国間の技術協力の新たな道を開くことにもなる。


イタリアの課題と戦略的機会

GCAPは、イタリア、日本、英国にとって技術的な飛躍となる野心的な取り組みだが、2035年という厳しい期限は、ユーロファイター・タイフーンやF-35などの過去の戦闘機プログラムより厳しく、効率的なガバナンスモデル、強固な産業戦略、そして多額の投資を必要とする。GCAPは課題を提起する一方で、イタリアの防衛産業、労働力、そして国際的なパートナーシップにとって大きな機会をもたらす。

 GCAPにおける役割を最大限に高めるために、今回の研究では、政治、産業、軍事の取り組みを統合する「国土全体」のアプローチを採用すべきだと述べている。機密性の高いインフラや安全な情報システムへの投資と並行し、長期的な防衛イノベーションに向けた考え方の転換が重要だ。高度なスキルを持つ科学・技術・工学・数学(STEM)分野の人材を確保することが不可欠であり、教育イニシアティブや採用活動が必要となる。

 また、特に無人戦闘航空システム(UCAS)に関しては、依然としてイタリアの弱点のままであるため、サプライチェーンの強化も必要であると、今回の研究は指摘している。GCAPは、イタリアのUCAS開発を加速させ、技術的独立性を確保するための触媒としての役割を果たすべきだ。 また、イタリアは後退を避けるために安定した長期的な資金提供を行わなければならず、財政的なコミットメントも同様に重要だ。

 さらに、輸出戦略と新たなGCAPパートナー候補の管理も慎重に行うべきであり、ユーロファイター事例の複雑な輸出業務は避けなければならない。技術共有と国際販売に関する早期の合意が鍵となる。

 最後に、GCAPはイタリアの防衛産業政策のモデルとなるべきであり、諸外国との関係ならびにNATO-EU間の協力関係を強化するものであるべきである。■



The GCAP Program: A Step Toward Europe’s Military Autonomy and Interoperability

Published on: March 17, 2025 at 2:55 PMFollow Us On Google News

 Stefano D'Urso


https://theaviationist.com/2025/03/17/gcap-institute-for-international-affairs-study/