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2019年2月4日月曜日

今年は日英が戦略的同盟関係を模索する年になるか

日本国民の関心は周囲の近海に偏りがちで思考がグローバルにひろがりにくいのはなぜでしょうか。その点で安倍外交が国民の先を走れば走るほど国民に違和感が残りそうです。そもそもホルムズ海峡の危機は日本にとって「周辺事態」ではないとどうして言えるのでしょうか。国境線しか頭にない方には利益線は受け入れられないでしょう。日英接近はその意味で思考を試す機会になりそうです。英国原稿なのでdefenceになっています。思えば英語もこれまで米語中心ですが、そろそろ多様性に目を開いていいのではないでしょうか。

Is increased UK-Japan defence cooperation leading to a new strategic alliance? 日英の防衛協力強化は新たな戦略同盟関係につながるか

Rob Clark
January 30, 2019

At a time of reduced certainty surrounding the security of both the UK and in particular Japan, these two island states are looking at increased military cooperation in order to maximise their respective capabilities. 安全保障環境で不確実性が増す中で共に島しょ国家の両国が防衛面の協力関係を強化して能力を最大限に引き出そうとしている。

年は日英両国にとっては安全保障防衛関係で良い結果を生むべく課題にとりくむ年になる。
安倍晋三首相の1月訪英で両国関係が改めて注目された。これまでの一年半では2+2含む大臣級会合に加えメイ首相の2017年訪日もあったが今回の首脳会談で防衛関係のさらなる強化を目指した。特にサイバー、対テロ、英海軍と海上自衛隊の交流強化をめざし海軍間の関係強化を強調したのには理由がある。
HMS Albion proves big in Japan on landmark visit to Tokyo
東京へ寄港したHMSアルビオン

安倍訪英中にHMSモントローズの日本寄港予定の発表があり、過去12ヶ月で英艦艇の日本回航は4隻となる。違法な瀬取りによる北朝鮮への石油その他禁制物資の受け渡しを国連安全保障理事会決議2375号に基づき取り締まる任務もこなすが、両国海軍は昨年も共同演習を展開しており、HMSアーガイルの他、HMSサザランド、アルビオンが自衛隊艦艇に加わり、国際法に則った地域秩序の維持が日英両国の国益に叶うことを示した。
英国の視点でみると東南アジア新興国へのアクセス維持、国際通商航路をインド太平洋で維持することがEU脱退後の英経済の成長に不可欠である。日本の視点では米国との同盟関係がギクシャクする中で中核的権益の確保のためにも別の方法も模索したいところだ。従来の安全保障の枠組みを多様化させるのは米国の現政権と中国の軍事的台頭の2つが背景にある。
第二次大戦終結後の日本の安全は日米安全保障条約(1951年)で米国が模索し、1960年の日米相互協力安全保障条約では条約の終了を想定しておらず軋轢も増えている。2016年に共和党候補になったトランプが大統領当選の暁には米国による日本防衛の責任を見直すと発言し、日本の核武装さえ容認した。こうした可能性は幸いにも実現していないが、トランプは安全保障では日本に有利と見ており、日本では日本の弱点を不安視する声が強まっている。
トランプ率いる米国の修正主義で改めて弱点が浮き上がり、さらに中国が強気に出る傾向が強まるなかで日本は三方面で打開策を模索している。まず、いずも級ヘリコプター空母を限定的とはいえ航空母艦に改装することがあり、F-35十数機を搭載する。日本は100機超を80億ドルから130億ドルで米国から導入する。
HMSサザーランドがJSときわから洋上補給を受ける

ステルス戦闘機導入ができたのは防衛費の増額で2019年から2024年にかけ1,880億ポンドを支出するのが第二の方策だ。防衛予算が国会を通過したのは中国の海軍空軍の活発な動きへの対応が念頭にあるためだ。とくに東シナ海の尖閣諸島方面が懸念対象だ。
三番目があらたな提携先を模索し、米国との同盟関係の脆弱性を担保したいとする。このため安倍はロンドンに赴き、メイは東京を訪れ、その他高級大臣訪問が続いた。
英国はEU離脱に備える中でヨーロッパの安全は比較的恵まれていると見ており、英国はスエズ以東に目を向け、急拡大するグローバル市場としてマレーシア、ヴィエトナム、香港、インドネシア、シンガポール、インドとの提携を強め、オーストラリア、ニュージランド、インド、日本との既存防衛関係を強化すべきである。
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英フリゲート艦が海自艦船と太平洋を航行している

日本の自衛隊との共同作戦体制を強化し英国は自国権益に不可欠な通商と資本移動の自由の維持ならびにグローバル規模で法の支配による秩序維持につながる関係の構築をめざしている。
これまで18ヶ月の努力を元に戦略的な同盟関係が日英両国で生まれれば双方にとって有益な成果を今後期待できるはずだ。■

2017年4月17日月曜日

★★国防力の源泉は経済力、HMSオーシャン売却を迫られた英海軍の惨状



オーシャンは商船構造で経費をケチって建造した英海軍の苦しい台所の象徴のような大型艦ですが一般人には空母に見えるので海軍力の象徴なのでしょう。また艦齢も若く、それを手放さざるを得ないところまで英海軍は追い詰められているのでしょうね。日本で言えば、「かが」一隻しかないところに後継艦建造の予算がなくみすみす売却するようなものでしょうか。国防力の充実には経済力がまず必要だと改めて教えてくれる事象です。

「the herald」の画像検索結果 

HMS Ocean could be sold to Brazil for £80million 

英海軍唯一のヘリ空母HMS オーシャンをブラジルに売却

By Gayle_Herald  |  Posted: April 13, 2017
OceanleavesDevonport12375ダベンポートを出港するHMSオーシャン
英海軍旗艦のHMSオーシャンがブラジルに80.3百万ポンドで売却されるとの報道がある。
  1. ブラジル記者ロベルト・ロペスがプリムスに母港をおくヘリコプター空母は来年にも退役除籍の予定でブラジルが購入を狙っていると伝えている。
  2. Ukdefencejournal.org.ukへロペスは80.3百万ポンド(約110億円)で決まったと伝えブラジル海軍は分割払いで購入したい旨提示しているという。
HMSオーシャン
  1. 英国防省MoDは先週、HMSオーシャンの外国売却を検討中であると認めていた。
  2. ブラジル報道によれば政府関係者が価格は妥当と判断し、購入に前向きだと言う。
  3. MoDは「選択肢を検討中」で他国への売却もありうるとしているが、軽空母HMSイラストリアス(愛称ラスティ)がトルコのスクラップ業者に2百万ポンドで売却されたとの発表が数ヶ月前にあったばかりだ。

売却で英国は空母が皆無の状態になることに批判

  1. 2015年11月にMoDはHMSオーシャンを2018年に国防支出削減策で後継艦調達予定ないまま退役させると発表。同艦は2014年に65百万ポンドで改装したばかりだ。
  2. 売却すると新造HMSクィーン・エリザベスが2023年に就役するまで英海軍に空母がなくなる。
  3. 7ヶ月にわたる地中海、ペルシア湾岸任務から帰港したばかりのヘリコプター揚陸空母の退役案には各方面から批判が出ている。
  4. 11月には前国防相マイケル・ボイスが退役に「戦略的な配慮が全くない」とし、決定は国防予算が「圧倒的に不足している」ためだとした。
  5. ボイス卿は参謀総長を2001年から2003年まで務め、予算逼迫で各軍は10パーセント削減を求められ訓練や軍関係者の生活で悪影響が出ていると指摘する。
  6. 上院からも元海軍トップの労働党アラン・ウェスト卿が批判している。「きわめて危険な」世界状況を鑑みれば新型空母の供用開始までHMSオーシャンは予備役にまわすべきだと同卿は政府に求めている。
  7. 国防相ハウ伯爵は海軍戦力削減策に反対していた。これに対しボイス卿は大臣の反応は「特に強いものではない」と見ており、「オーシャン売却で戦略的な悪影響は皆無と大臣は見ているのか」「国防予算全般がひどく不足している状況で今回の決定となっている」と批判。「RAFでも人員不足が深刻」と付け加えた。
  8. MoDはHMSオーシャンの売却価格についてコメントを拒否している。MoD報道官「オーシャンの今後について選択肢を複数検討中で別の国への売却もその一つです」「現時点では内容をお話しできません」

HMSオーシャンとは

  1. 排水量21,500トン全長667フィート(203メートル)のHMSオーシャンは英海軍最大の艦艇で揚陸ヘリコプター空母だ。最高速度18ノットで1,300名の上陸部隊を車両40両と収納できる。
  2. ヘリコプター18機の運用が可能でアパッチ、マーリンMk3、チヌークMk2を搭載する。
  3. 1995年10月11日進水で1998年2月に女王陛下により命名された。
  4. 以後各種ミッションに投入され、エイヤフィヤトラヨークトル火山噴火によるく空路途絶(2010年)で立ち往生した軍関係者を移送したこともある。
HMSオーシャン艦上の女王
  1. 2002年にはジブラルタルと誤認しスペイン領ラニネアにあるサンフェリペ海岸に部隊を揚陸させ外交問題を巻き起こした。スペイン報道は「侵攻」と騒ぎたてた。
  2. 2015年の戦略国防力見直しで65千トンのクイーンエリザベス級空母のうち一隻を海兵隊揚陸作戦に転用すると決まった。■

2016年12月3日土曜日

歴史のIF ② フォークランド戦争でアルゼンチン潜水艦の魚雷が機能していたら


ASWが困難であることに改めて驚かされます。もっとも英海軍はフォークランドでは対潜哨戒機を運用できず能力で限定があったのでしょうが、ディーゼル潜水艦とは言え大きな脅威になることを示していますね。

The National Interest


How the Falklands War (Thanks to a Stealthy Submarine) Could Have Gone Very Differently

November 27, 2016

1982年に発生した短期間ながら熾烈なフォークランド諸島(アルゼンチン名マルヴィナス)をめぐる戦闘は英国海軍力による勝利と受け止められている。英海軍任務部隊は激しい航空攻撃をものともせず南大西洋でアルゼンチンから領土を奪還した。

  1. 戦いの殆どでアルゼンチン海軍のディーゼル動力潜水艦サンルイが英海軍に立向かっていた。同艦へほぼ200発の対潜兵器が向けられたが無傷で帰港している。同艦は対潜フリゲート艦に2回も攻撃するチャンスがあり、兵装が正常に作動していれば英国の勝利は大きな代償を求められていただろう。
  2. アルゼンチン軍事政権はフォークランド諸島を占拠し、国内政治で点数稼ぎを狙った。実際に開戦になるとは考えなかった軍事政権は判断を誤り、英国首相マーガレット・サッチャーが事態をエスカレートし軍部隊を迅速に動員するとは予期していなかった。
  3. 作戦立案の不備を如実に語るのはアルゼンチン海軍の潜水艦部隊だ。機関不調で潜行できず、修理に入っている艦もあった。旧式のサンタフェがフロッグマン部隊を送り、4月2日の侵攻当日を支援したが、その時点で最新鋭のサンルイはその翌日に出港しマルヴィナス周辺で戦闘哨戒を実施する命令を受けた。
  4. サンルイはドイツの209型ディーゼル潜水艦で小型かつ費用対効果の高い潜水艦で大量に建造された途上国向けの艦だ。排水量は1,200トンで36名が乗り組む同艦はマーク37対潜魚雷14発とドイツ製SST-4有線誘導式対水上艦魚雷10初を搭載。潜行時に42キロ、浮上時に21キロの速度を誇り、500メートルまで潜行可能だ。
  5. 同艦乗員の技量が逸話になってているが、フォークランド戦争の時点でアルゼンチン海軍の最良の乗員はドイツにいた。かわりにサンルイには経験の浅い乗員が乗っていた。艦長フェルナンド・アズグエタ中佐は潜水艦のベテランだったが209型の経験は浅かった。
  6. さらにサンルイの艦の状態はひどいもので中途半端な修理を拙速で受けていた。シュノーケルは漏れ、排水ポンプは作動不良で4基あるディーゼルエンジンの一つは故障していた。潜水夫がほぼ一週間かけて艦体とプロペラからフジツボを除去しないと速度と静粛性が確保できなかった。
  7. 同艦は4月11日に出港し、政治状況が悪化する中、指定地点で待機に入った。最初から不具合にあう。火器管制装置は魚雷3本を同時に発射してしまう。出港後8日目で故障して、乗員は修理方法もわからない。手動有線誘導で一本の魚雷を発射するのがやっとだったが、サンルイはそのまま任務を続けた。
  8. 一方、サンタフェは第二次大戦中の旧米海軍潜水艦バラオ級で4月17日に海兵隊員及び技術要員をサウスジョージア島へ移送すべく派遣された。同島はアルゼンチンが占拠しており、同艦は4月25日に隊員を下船させていたが出港が遅れ、午前9時に英ウェセックスヘリコプターのレーダーで探知され、ただちにワスプ、リンクスのヘリコプター部隊が飛来した。サンタフェには二発の爆弾が命中し損傷したが、AS-12対艦ミサイルも命中した他、機関銃掃射を浴びてしまう。同艦は座礁したあと、英軍が捕獲した。サンタフェへの攻撃が英軍攻撃の幕開けとなった。
  9. 翌日サンルイは哨戒を命じられ、4月29日に英艦攻撃許可が出た。
  10. ただし英海軍はサンルイの通信内容を傍受しており、同艦を狩るヘリコプターとフリゲート部隊を準備した。英艦隊には対潜任務用のフリゲート、駆逐艦とヘリコプター空母一隻があり、潜水艦6隻も待機していた。
  11. 5月1日にサンルイのパッシブソナーが対潜フリゲートのHMSブリリアンとヤーマス二隻を探知した。アズクエタ艦長はSST-4魚雷一発を9キロ地点から発射したが直後に誘導線が切れた。艦長は急速潜航し海底で隠れようとした。ブリリアントが攻撃に気づき、フリゲート艦二隻はヘリコプターとソナー探知の正体を突き止めようとした。爆雷30発、魚雷数発を発射した英艦はクジラ数頭を殺しただけだった。
  12. その翌日、英潜水艦コンカラーがアルゼンチン巡洋艦へネラル・ベルグラーノを撃沈し乗員323名が犠牲になった。アルゼンチン水上艦はすべて本国近海に逃げ、英侵攻部隊に立ち向かうのはサンルイのみとなった。英部隊は各所でソナー探知と潜望鏡を目視したとし、サンルイがいない海域で魚雷発射していた。
  13. 一方でサンルイの乗員は5月8日に英潜水艦からの魚雷攻撃を受けたと思い込、回避行動をとり、マーク37魚雷を海中の探知目標に発射し、魚雷は爆発して目標は消えた。これもクジラと思われる。
  14. その二日後にサンルイはタイプ21対潜フリゲート艦HMSアローおよびアラクリティをフォークランド海峡の北方で探知した。高速走行するフリゲート艦が立てるノイズに隠れてサンルイはアラクリティから5キロ地点まで接近し、SST-4魚雷一発を発射し、次発の準備に入った。
  15. だが再びSST-4の誘導線が発射直後に切断してしまう。ただし、一部の説明ではこの魚雷はHMSアローの曳航していたおとりに命中したものの爆発しなかったとある。アズクエタ艦長は二発目発射を諦め、反撃を受けないうちに離脱を命じた。
  16. 英艦はそのまま航行を続け、攻撃に気づいていない。アラクリティ艦長に至っては終戦後になって初めて知ったということである。
  17. 落胆したアズクエタ艦長は本国に向けて魚雷が役立たずだと打電すると帰港許可の通信が入ったため5月19日に基地に戻った。アルゼンチン占領部隊が降伏したのは6月14日でサンルイは結局再度戦場に出動できなかった。15年後にサンルイは退役した。
  18. サンルイの魚雷で何が問題だったのだろうか。説明は多々あり、乗員のミスや技術上の不良がいわれる。メーカーのAEGからは魚雷発射が遠すぎたとの説明があったし、アルゼンチン乗員が誤ってジャイロの極性を反対にしてしまったとの説もある。このため魚雷が制御できなくなったという。ただし、魚雷の爆発部が活性化されず深度を維持できなかった証拠がある。そのせいか、AEGはフォークランド紛争後に同社魚雷の改良を数次に渡り実施している。
  19. サンルイは高性能潜水艦ではなく、乗員も卓越した技能はなかった。それでも有能な艦長の指揮下で通常戦術を駆使しながら対潜フリゲート艦から逃げ回ることができた。しかもフリゲート艦は世界有数の海軍国の所属だった。魚雷が予定通り作動していれば逆に数隻を撃沈していたかもしれない。
  20. 英海軍は高価な対潜兵器とヘリコプターを2,253ソーティ送り出して実際に存在しない探知目標を狩ろうとし、サンルイは結局探知できていない。
  21. 第二次大戦後の潜水艦戦は幸いにもきわめて事例が少ない。フォークランド戦争の教訓から安価なディーゼル潜水艦でも乗員が有能で装備がよく整備されていれば侮れない敵になることがわかったのである。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: South African Type 209 naval submarine SAS Charlotte Maxeke. Wikimedia Commons/LA(Phot) Caroline Davies/MOD


2015年6月24日水曜日

★ F-35B>スキージャンプ式離陸に初成功


「defense tech」の画像検索結果

F-35B Leaps off Ski Jump for the First Time

by BRENDAN MCGARRY on JUNE 23, 2015

BF-04 Flight 298. First Ski Jump on 19 June 2015 with Mr. Peter Wilson as the pilot.

F-35Bがスキージャンプ方式による初の離陸に成功した。
  1. 離陸は6月19日にパタクセントリヴァー海軍航空基地(メリーランド州)内のテスト施設で行ったとペンタゴン報道官ジョー・デラヴェドヴァ Joe DellaVedova が発表した。「今回のテストはF-35Bを英国およびイタリアの航空母艦で運用するための大きな一歩」
  2. 両国はSTOVL仕様の同機をスキージャンプで空母運用する予定で、短距離離陸でも大重量で運用できるスキージャンプの利点を生かす。
  3. 英国は140機を調達予定で、すべてF-35Bとする。イタリアは90機のうち30機をF-35Bとする。
  4. このうち英海軍は新造空母HMSクイーン・エリザベスに搭載する。同艦は来年に就役する。さらにHMSプリンスオブウェールズが2017年に進水する。イタリアは軽空母カヴールを改装して同機を運用する。
  5. 対照的に米海軍はF-35Cを調達する。同機はカタパルト発艦、拘束ギア着艦方式で大型空母での運用を想定。
  6. 公表写真ではF-35Bのノズルが下方に向けられ上昇率を最大に設定していることに注意されたい。英国防省は同機の離着陸時の自動制御を高く評価している。
  7. ただし実際の運用はまださきのことになりそうだ。今回のテスト実施でも数か月の遅れが出ており、クイーンエリザベスでの艦上公試は2018年以降になる予定。■


2013年8月13日火曜日

英国によるF-35飛行中隊は2018年に誕生か

U.K. Prepares For Major JSF Procurement Decisions

By Tony Osborne
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com August 05, 2013

英国防省がF-35による最初の戦闘機中隊編成の最終決定段階に入った。.
    1. 74百万ポンド(114百万ドル)のどんでん返しでF-35C艦載型へ変更を2010年にしたあとで2012年には短距離離陸垂直着陸型F-35Bへ再度変更した同国は「メインゲート4」と呼ばれる調達契約上の大きな通過点に向かいつつあり、英国初の飛行中隊の機材購入のみならず実際の運用への移行を始めようとしている。調達契約ではF-35Bを14機の発注となろう。
    2. 英国防装備支援部門でライトニングIIプロジェクトチームを率いるリック・トンプソン准将Royal Navy Commo. Rick Thompsonによると第一号中隊の編成は2018年になるという。その時点でクイーンエリザベス級空母の一号艦の公試が開始されているはずだが陸上運用能力の獲得が同年末になるという。
    3. 当初英国が同機開発に参加した時点では138機を購入するとしていたが、現在は48機の確約をしているにすぎない。メインゲート5の決定は2017年ごろの予定で残りの機体導入を承認する。トンプソン准将によると2015年の戦略国防安全保障見直しまでいかなる決定もされないという。この見直しで英国が購入するJSFの機数が決まるという。ただし同准将は英国が48機を超える調達の予定があるかについては言及していない。
    4. JSFを空母運用想定しているとはいえ、中心的な役割は英国空軍(RAF)がとることが増えている。ノーフォーク州のマーハム空軍基地が同機の運用拠点と位置づけられている。第17飛行中隊がライトニング運用評価部隊として再編成され、2015年にエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)に誕生する。そして有名な第617飛行中隊ダムバスターズが最初の運用部隊となる。両隊には英海軍とRAFから人員を派遣する。第二番目の運用部隊が英海軍の中隊番号をつけられる予定。
    5. 英国が受領済みのF-35Bは三機で、すべて英米合同海兵隊訓練部隊としてエグリン空軍基地(フロリダ州)で運用中だ。英海軍、RAFから一人づつのパイロットが教官としての訓練を受けている。整備要員20名もエグリンで訓練中だ。機体は英国所有であるが、米海兵隊とRAFのパイロットが交互に操縦することが米国防総省と英国防省の取り決めで実現している。
    6. 英軍機材は2014年にエドワーズ空軍基地に移動し作戦運用テストおよび評価を受ける。同基地にはすでに英軍関係者がおり、受入れ準備中。2014年第三4半期にパイロット訓練を海兵隊のボーフォート基地(サウスカロライナ州)で開始する。
    7. 最初に搭載する兵装としてレイセオン製ペイブウェィIVおよびMBDA製 AIM-132Asraam 空対空ミサイルを機外に装備する。英国による選択型精密射程兵器Selected Precision Effects at Range (Spear) に近い関係者によるとライトニングIIは最高24発のSpear IIIミサイルを搭載可能であるという。同ミサイルはパナヴィア製トーネードGR4が搭載する現有のブリムストンの後継モデルである。レイセオンはペイブウェィIVをJSF対応にする改修を作業中だ。
    8. 関係者が指摘するのはJSFにより「国際間連携が高まる」といい連合軍として各国の装備を有事の際には融通して使用できるのだという。
    9. 英国にとって要注意なのは同機の運用支援面だ。これについてトンプソン准将は英国の目標は空軍向け海軍向けに同等の支援体制を確立することで、ロッキード・マーティンのインターネットによる自動ロジスティックグローバルサポートソリューションAutonomic Logistics Global Support Solutionを利用するのだという。
    10. この海空両用での支援体制の前例にはハリアーGR9を共用運航ハリアーJoint Force Harrier (JFH) として英海軍とRAFが共同運用したことがあり、ライトニングIIの空母運用で参考にするもようだ。なお建造中の新空母はライトニングII運用を最初から前提にしている。■