オーシャンは商船構造で経費をケチって建造した英海軍の苦しい台所の象徴のような大型艦ですが一般人には空母に見えるので海軍力の象徴なのでしょう。また艦齢も若く、それを手放さざるを得ないところまで英海軍は追い詰められているのでしょうね。日本で言えば、「かが」一隻しかないところに後継艦建造の予算がなくみすみす売却するようなものでしょうか。国防力の充実には経済力がまず必要だと改めて教えてくれる事象です。
HMS Ocean could be sold to Brazil for £80million
英海軍唯一のヘリ空母HMS オーシャンをブラジルに売却
英海軍旗艦のHMSオーシャンがブラジルに80.3百万ポンドで売却されるとの報道がある。
- ブラジル記者ロベルト・ロペスがプリムスに母港をおくヘリコプター空母は来年にも退役除籍の予定でブラジルが購入を狙っていると伝えている。
- Ukdefencejournal.org.ukへロペスは80.3百万ポンド(約110億円)で決まったと伝えブラジル海軍は分割払いで購入したい旨提示しているという。
- 英国防省MoDは先週、HMSオーシャンの外国売却を検討中であると認めていた。
- ブラジル報道によれば政府関係者が価格は妥当と判断し、購入に前向きだと言う。
- MoDは「選択肢を検討中」で他国への売却もありうるとしているが、軽空母HMSイラストリアス(愛称ラスティ)がトルコのスクラップ業者に2百万ポンドで売却されたとの発表が数ヶ月前にあったばかりだ。
売却で英国は空母が皆無の状態になることに批判
- 2015年11月にMoDはHMSオーシャンを2018年に国防支出削減策で後継艦調達予定ないまま退役させると発表。同艦は2014年に65百万ポンドで改装したばかりだ。
- 売却すると新造HMSクィーン・エリザベスが2023年に就役するまで英海軍に空母がなくなる。
- 7ヶ月にわたる地中海、ペルシア湾岸任務から帰港したばかりのヘリコプター揚陸空母の退役案には各方面から批判が出ている。
- 11月には前国防相マイケル・ボイスが退役に「戦略的な配慮が全くない」とし、決定は国防予算が「圧倒的に不足している」ためだとした。
- ボイス卿は参謀総長を2001年から2003年まで務め、予算逼迫で各軍は10パーセント削減を求められ訓練や軍関係者の生活で悪影響が出ていると指摘する。
- 上院からも元海軍トップの労働党アラン・ウェスト卿が批判している。「きわめて危険な」世界状況を鑑みれば新型空母の供用開始までHMSオーシャンは予備役にまわすべきだと同卿は政府に求めている。
- 国防相ハウ伯爵は海軍戦力削減策に反対していた。これに対しボイス卿は大臣の反応は「特に強いものではない」と見ており、「オーシャン売却で戦略的な悪影響は皆無と大臣は見ているのか」「国防予算全般がひどく不足している状況で今回の決定となっている」と批判。「RAFでも人員不足が深刻」と付け加えた。
- MoDはHMSオーシャンの売却価格についてコメントを拒否している。MoD報道官「オーシャンの今後について選択肢を複数検討中で別の国への売却もその一つです」「現時点では内容をお話しできません」
HMSオーシャンとは
- 排水量21,500トン全長667フィート(203メートル)のHMSオーシャンは英海軍最大の艦艇で揚陸ヘリコプター空母だ。最高速度18ノットで1,300名の上陸部隊を車両40両と収納できる。
- ヘリコプター18機の運用が可能でアパッチ、マーリンMk3、チヌークMk2を搭載する。
- 1995年10月11日進水で1998年2月に女王陛下により命名された。
- 以後各種ミッションに投入され、エイヤフィヤトラヨークトル火山噴火によるく空路途絶(2010年)で立ち往生した軍関係者を移送したこともある。
- 2002年にはジブラルタルと誤認しスペイン領ラニネアにあるサンフェリペ海岸に部隊を揚陸させ外交問題を巻き起こした。スペイン報道は「侵攻」と騒ぎたてた。
- 2015年の戦略国防力見直しで65千トンのクイーンエリザベス級空母のうち一隻を海兵隊揚陸作戦に転用すると決まった。■
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