ラベル 戦車 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 戦車 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年2月13日金曜日

戦車が王者の座を追われているのがウクライナ戦の事実だ:ドローンの登場がすべてを変えてしまった ウクライナ戦線は新しい装備・戦術の実験場だ

 

ロシアが2022年以降11,654両の装甲車両を失い、武装ドローンの前に地上戦の様相はここまで変わっている

19fortyfive

ジャック・バックビー

Russian T-90M Tankロシア製T-90M戦車。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

概要と要点:4年に及ぶ紛争は重装甲戦車のルールを根本的に書き換えた。当初は戦術的ミスと歩兵による不十分な掩護に苦しんだロシアの戦車部隊は、今や月間最大45,000回の「目標攻撃」を実行する一人称視点(FPV)ドローンによる致命的な攻撃に直面している。

―この執拗な空中監視により、モスクワは減少する新式戦車の在庫を温存するため、旧型T-62およびT-55戦車の再配備を余儀なくされている。

―ウクライナが2025年までに450万機のドローン生産目標を掲げる中、戦車はも標的となり、高度な電子戦防御と絶え間ない隠蔽によってのみ生存が可能となっている。

ドローン生態系:ウクライナの450万機目標

ロシア・ウクライナ紛争はほぼ4年間にわたり、新たな技術の台頭により戦場と重装甲戦術が劇的に変化する中、将来の紛争で何が起こるかを世界に示してきた。

2022年2月のロシア初期侵攻計画では戦車が中核を担い、装甲部隊がキーウや主要都市へ直行した。両軍が消耗戦を続ける現在も、戦車は中核的役割を果たしている。

しかし変化したのは「キルチェーン」――敵の能力を特定・標的化・無力化するプロセスだ。安価なドローンが装甲車両を発見・追跡・破壊する速度は、戦争初期に想像もできなかった水準に達している。技術が存在しなかったわけではないが、これらの装置を大量生産するインフラが整っていなかったのだ。

戦車の損失は顕在化の一途だ。これは特にロシアにとって深刻化する問題で大規模な戦車部隊で戦争に突入したものの、より攻撃的に装甲部隊を投入せざるを得なかった。

ロシア製T-90M戦車。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

アナリスト間で数字上の合意はまだ得られていないが、ウクライナ軍参謀本部の最新情報によれば、2月9日時点でロシアは紛争全体を通じ戦車11,654両と装甲戦闘車両24,013両を失ったと主張している。

初期の戦況での戦車喪失

2022年初頭の戦争初期数ヶ月間、ロシアの戦車損失は主に戦術計画の誤りと兵器の運用不備に起因していた。

ロシアの装甲部隊は予測可能な進路を頻繁に選択し、歩兵による前衛支援が不十分だったり、航空支援や偵察が限られていた。

これによりウクライナ防衛軍は繰り返し待ち伏せ攻撃の機会を得て、車両を孤立させた。時には完全に破壊したり、乗員に無傷の戦車を放棄させ、後に鹵獲した。こうした戦術は「放棄」および「鹵獲」された戦車の数が非常に多いとオープンソース情報に基づく報告によれば、ロシアの損失は2025年だけで戦車4,308両、装甲戦闘車両・歩兵戦闘車両8,735両、装甲人員輸送車722両に上り、うち1,209両が放棄され、3,169両が鹵獲された。

しかしウクライナも、特に2022年に装甲部隊の損失が甚大であった。陣地保持や反撃、そして直接火力支援に戦車が依然として不可欠だったためだ。

ただし、ウクライナが小規模な戦力で防衛態勢から戦争を開始したため、戦車損失は争奪戦の町を死守したりロシア軍の進撃を遅らせたりする過程で発生することが多かった。オリックスが視覚的に確認した総数(意図的に控えめな数値)によれば、ウクライナの戦車損失は4桁に達し、5,571両の装甲戦闘車両(戦車を含む)が損傷・放棄・鹵獲された。

軍用ドローンが全てを変えた

戦車損失がこれほど高止まりしている主因は、安価な無人航空機(UAV)の活用により、戦場が常に詳細に監視されている点にある。小型クアッドコプターは樹木帯や経路の偵察を、固定翼ドローンは長距離偵察を可能にした。また多くの状況で、ファーストパーソンビュー(FPV)ドローンが最終攻撃の遂行に活用されている。

ウクライナのドローン産業は戦争開始以来著しく成長し、民間メーカー、アマチュア愛好家、国家支援メーカーからなる広大なエコシステムへ拡大した。

ロシア製T-90戦車。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

ドローンの正確な生産数は定義によって異なる(例:FPVと全UAVの区別)が、傾向は明らかだ:ウクライナはこれらの兵器の産業規模生産へと移行している。2025年、ウクライナのゼレンスキー大統領は公の場でウクライナを「ドローン戦争の世界的リーダー」と称し、同年におけるドローンの450万機生産目標を掲げた。これらは全てウクライナの工場で製造される予定だ。一方、ロシア自身の年間目標も300万~400万機であった。

ドローンは大規模に投入されている。キーウ経済学研究所の報告書によれば、ウクライナ軍は月間3万~4万5千回のFPV「標的攻撃」を実施している。戦争開始からほぼ4年が経過した今、戦場の様相は大きく変化した。戦車は上空からの防護と電子戦保護なしでは移動できず、さもなくば、破壊対象の車両の数分の一のコストで製造された兵器に即座に発見・攻撃される。

ロシアも同様の動きを見せている。2025年半ばの報告ではドローン生産の顕著な増加が指摘され、戦争研究所はロシアの「滑空爆弾とシャヘド型ドローンの大規模生産」が「前線におけるロシアのBAI作戦を継続的に支援する」と分析している。

ドローンの生産・配備競争は、両軍を従来の装甲攻撃から、隠蔽と囮を駆使した分散戦術へと転換させている。また双方とも、上空からの脅威に対する戦車の被曝を最小化する「撃って逃げる」戦術を頻繁に採用している。

ロシア製T-90M戦車。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ

ドローンがロシア戦車配備を形作る

ドローン戦術はロシア戦車の戦術に影響を与えるだけでなく、その使用と有効性により、ロシア側は設計欠陥問題を抱えたままの老朽化・危険な戦車の配備を余儀なくされている。

FPVドローンと継続的な航空監視により、不足する新型戦車の配備がり危険で補充が困難になっているため、ロシア指揮官はソ連時代のプラットフォーム(特にT-62、さらにはT-54/55の派生型)改修型にますます依存している。

報告によれば、ロシアは2026年1月までに少なくとも334両のT-62を失っており、生存性の欠陥が明らかであるにもかかわらず、直接射撃目的で前線に投入されることで損失は加速している。FPVドローンはいわゆるジャック・イン・ザ・ボックス効果を悪用し、砲塔回転台に貯蔵された弾薬に引火する上部攻撃を仕掛けることで、砲塔を吹き飛ばす壊滅的な爆発を引き起こす。

ウクライナドローン。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

ドローンによる消耗戦は現在、ロシアに残存する新型戦車の温存を迫ると同時に、地上作戦の継続のため生存性の低い旧式車両への依存度を高めている。それでもOSINT追跡によれば、2026年2月上旬時点でロシアの戦車損失は1日あたり約6両のペースで増加中だ。

著者について:ジャック・バックビー

ジャック・バックビーは、ニューヨークを拠点とする防衛・国家安全保障専門の英国人研究者・アナリスト。軍事能力、調達、戦略的競争を専門とし、政策立案者や防衛関係者向けに分析記事の執筆・編集を手掛ける。19FortyFiveやNational Security Journalで1,000本以上の記事を執筆した豊富な編集経験を持ち、過激主義と脱過激化に関する書籍・論文も執筆歴がある。

本記事のテーマ:

防衛, 特集, 軍事, ロシア, T-64, T-72, T-90, 戦車, 戦車, ウクライナ, ウクライナ戦争

執筆者:ジャック・バックビー

ジャック・バックビーはニューヨーク在住の英国人作家、過激主義対策研究者、ジャーナリスト。英国、欧州、米国を報道対象とし、左派・右派の過激化の分析と理解に努めるとともに、現代の喫緊課題に対する西側諸国の政府の対応を報告している。著書や研究論文ではこれらのテーマを探求し、分極化が進む社会に対する実践的な解決策を提案している。最新著書は『真実を語る者:RFK Jr.と超党派的な大統領職の必要性』である。



The Death of the Tank? Why Russia Has Lost 11,654 Armored Vehicles Since 2022

By

Jack Buckby

https://nationalsecurityjournal.org/the-death-of-the-tank-why-russia-has-lost-11654-armored-vehicles-since-2022/


2025年11月30日日曜日

戦車全廃の決定をくだした米海兵隊の新戦術ドクトリンは中国に悪夢となる(National Security Journal)

 

Marines with Bravo Company, 4th Tanks Battalion, fire the M1A1 Abrams tank during a live-fire exercise as part of Exercise Arrow 18 in Pohjankangas Training Area near Kankaanpaa, Finland, May 15, 2018. Exercise Arrow is an annual Finnish multi-national exercise with the purpose of training with mechanized infantry, artillery, and mortar field training skills in a live-fire exercise. This is the first year the Marine Corps is participating in this exercise and the first time the M1A1 Abrams tanks have been in Finland. (U.S. Marine Corps photo by Staff Sgt. Marcin Platek/Released)

2018年5月15日、フィンランドで実施された「アロー18」演習で、海兵隊第4戦車大隊ブラボー中隊のM1A1エイブラムス戦車が実弾射撃訓練で発射した。アロー演習はフィンランドが主催する年次多国籍演習(米海兵隊写真:マルチン・プラテック軍曹/公開)

要点と概要

- 海兵隊が2021年にM1エイブラムス戦車の廃棄を決定した際は過激に見えたが、後から見れば将来の戦争を見据えた明確な構想に沿ったものだった。

- 筆者ブレント・イーストウッド博士は、戦車は対反乱作戦には不向きであり、海兵隊が想定する中国や北朝鮮とのハイスピードの島嶼転戦には遅すぎ脆弱すぎると主張する。

- 「2030年部隊構想」は、NMESIS による「動的ミサイル戦闘」、海軍防空システムとの緊密な統合、FPV から MQ-9A リーパーに至るドローンへの大規模投資を通じ海兵隊を転換させるものである。

- ウクライナの戦車墓場、高い維持コスト、過酷な沿岸環境は、海兵隊の判断が正しかったことを示唆している。

海兵隊が戦車を廃棄した判断は正しかったのか?

ヴェネズエラに対する武力示威および潜在的な軍事行動の一環として、米海兵隊は 11 月 17 日の週にトリニダード・トバゴと合同演習を実施している。

これは、ドナルド・トランプ大統領がヴェネズエラに対する潜在的な攻撃について「決断を下した」ことを受けたものである。この部隊は、カリブ海の米国南部軍に配属されている第 22 遠征部隊で構成される。

この海兵隊が所有しない資産の一つにM1エイブラムス戦車がある。海兵隊は2021年にエイブラムス戦車を退役させる決定をした。

当時、筆者はこの決定に納得できなかった。フォートノックスに本拠を置いていた装甲部隊で訓練を受けた陸軍歩兵将校として、筆者は戦車戦と装甲騎兵作戦に強い親近感を抱いていた。

(DoD photo by Sgt. Bob O'Donahoo, Australian Army. (Released))

2001年5月25日、オーストラリア・クイーンズランド州ショールウォーター湾訓練場で実施された「タンデム・スラスト2001」演習において、第3海兵連隊第1戦車大隊所属のM1A1エイブラムス戦車が実弾射撃攻撃前に機動する様子。タンデム・スラストは、危機対応計画の立案と緊急事態対応作戦の実行を訓練する、米・豪・加の18,000名以上が参加する合同軍事訓練である。

テロリストや反乱軍との戦いに適さない兵器システム

その後、韓国で訓練中のエイブラムス戦車を見たが、その速度と火力には感銘を受けた。

海兵隊は正しい判断を下したのか?海兵隊幹部が検討した検証の一つが、対テロ戦争における戦車運用の実績だった。

イラクやアフガニスタンでの対反乱分子戦において、エイブラムス戦車は民心の掌握に有効な手段ではなかった。

確かにこの装甲の巨獣は生存性は高かったが、敵は戦力対戦力での戦いで戦車と交戦しない選択を容易に下せた。

エイブラムスは標的を探し求めながら、サイコロの目が出ない状態だった。装甲部隊は、問題が見つからない解決策に過ぎなかった。

海兵隊はまた、水陸両用戦という自らのルーツへの回帰を目指していた。南アジアと中東での戦争が終結し、海兵隊の指揮系統は2030年代を見据え、フォース・デザイン2030と呼ばれる新たな戦闘教義を開発していた。

中国の台頭への答えだったのか?

海兵隊の作戦立案部門が考慮した戦いの一つは、中国との紛争であった。海兵隊は南シナ海における中国の軍事化島嶼との戦闘に投入される可能性があった。

これには水陸両用上陸作戦が必要となる。

また北朝鮮が韓国に侵攻した場合、沖縄からの迅速な展開も求められた。戦車は冷戦時代の消耗品と見なされ、いつでもどこでも展開可能な装備とされた。

現代はミサイルが全てだ

海兵隊は中国や北朝鮮との「キネティック・ミサイル戦」とも呼べる状況を正しく予測していた。海兵隊は防御用に地対空ミサイル、攻撃用に弾道ロケットの火力を必要としていた。

陸軍はペイトリオット防空システムと終末高高度防衛システム(THAAD)を配備している。

海兵隊は陸軍と共同訓練でこれらの運用を習得したが、悪魔の犬ども(海兵隊の異名)は独自の中距離防空システムを必要としていた。

上陸地確保を目指す大隊上陸部隊を保護する目的だ。

海兵隊は陸上発射型トマホーク巡航ミサイルの配備を想定していたが、発射システムは重すぎて迅速な展開が困難と見なされた。

トマホークが「過酷な沿岸環境」で有効であることは知らなかったのだ。

致命的なミサイルシステムの時代

代わりに、ジャードッグ(海兵隊兵士)は海軍・海兵隊遠征艦艇阻止システム(NMESIS)を開発中だ。

これは陸上での海兵隊を脅かす艦艇への反撃に用いられる。一方、海軍打撃群の残りはイージス兵器システムで海兵隊を敵機・ミサイル・ドローンから守る。

これは勝利の方程式だが、訓練演習以外で実際にこれが機能する様子はまだ見られていない。

戦車も組み込まれたらどうなるか?このような迅速な水陸両用攻撃では現実的ではないだろう。

海兵隊が迅速に橋頭堡を確立できると仮定して、戦闘の 2 週目または 3 週目に、陸軍がエイブラムス戦車やブラッドリー戦闘車両を含む独自の機械化攻撃部隊を投入するとしたら。

ウクライナでの実証実験は、戦車の全盛期は過ぎたことを証明した

また、戦車は戦闘において脆弱であることもわかっている。ウクライナは戦車の墓場となっている。

対戦車ミサイルは正確である。群れをなし、徘徊する特攻ドローンは戦車にとって致命的である。ウクライナに寄贈されたエイブラムス戦車は、あまり実戦に出番がなかった。したがって、海兵隊は戦車を処分するという先見の明のある決断を下したことになる。

さらに戦車は、特に東アジアの湿気と高温が予想される環境では、維持管理が困難で正常な稼働を保つのが難しい。

海兵隊は整備士と技術者の部隊全体を削減し、これらの人員を他の軍事装備の整備に再配置できた。

海兵隊はドローン部隊にも注力できるようになった。小隊レベルまで、ウクライナとロシアで極めて有効だったFPV(ファーストパーソンビュー)ドローンを装備している。

いずれ海兵隊の歩兵戦闘員全員が、迅速かつ効率的に使用できる独自のFPVドローンを装備する時代が来るかもしれない。

海兵隊は最近、MQ-9Aリーパードローンを装備した部隊をインド太平洋地域に派遣し、フィリピン軍と共同作戦を開始した。

この部隊は「海兵隊無人航空機戦隊」と呼ばれる。リーパーは監視・偵察、近接航空支援、捜索救助、精密なミサイル攻撃を支援する。

海兵隊の戦車に関する判断は正しい。2030年戦略では、数日で敵を屈服させる電撃攻撃における速度・機動性・奇襲性を重視している。

戦車はその作戦を遅らせていただろう。海兵隊は今やNMESISシステムによるキネティックミサイル戦闘に集中できる。

艦船の対空能力を活用する水陸両用上陸作戦では、海軍と緊密に連携する。戦車の維持費は高額であり、対戦車ミサイルや敵ドローンの前にその有効性は低下する。

海兵隊が5年前に未来の戦争を見据えていた点は評価すべきだ。対テロ戦争終結後、変革の時が来ていたのである。

海兵隊はエイブラムス戦車に良い思い出を持つかもしれないが、戦車の欠点は急速に顕在化していた。

西半球で同盟国と協力し、必要に応じカリブ海で戦う準備を整える、新たな活力に満ちた海兵隊の活躍に期待したい。■

著者について:ブレント・M・イーストウッド

防衛問題に関する3,000 本以上の記事を執筆しているブレント・M・イーストウッド博士は、著書世界に背を向けないで:保守的な外交政策』および『人間、機械、データ:戦争の未来動向 のほか、さらに 2 冊の著書を執筆している。ブレントは、人工知能を用いて世界の出来事を予測する技術企業の創設者兼最高経営責任者であった。米国上院議員ティム・スコットの立法フェローを務め、国防および外交政策の問題について上院議員に助言を行った。アメリカン大学、ジョージ・ワシントン大学、ジョージ・メイソン大学で教鞭をとった。ブレントは元米国陸軍歩兵将校である。X @BMEastwoodでフォローできる。


The U.S. Marines Don’t Have Tanks Anymore and That’s Bad News for China

By

Brent M. Eastwood

https://nationalsecurityjournal.org/the-u-s-marines-dont-have-tanks-anymore-and-thats-bad-news-for-china/


コメント:最近は西半球の防衛が米国の識者の頭の中で強くなっているようで、トランプのように地政学というよりビジネス取引で物事を考える向きにはいざとなったら台湾防衛など切り捨てるのではないかと心配です。(トランプは一回も台湾防衛へコミットする発言はしていないと思います)


2023年8月22日火曜日

2千両もの装甲車両を喪失したロシアの対応策は保存中旧式戦車の「再生」。新型戦車の生産が追いつかないため。

 


ロシアがウクライナ戦争で失った戦車は2200両以上。プーチンは代わりに旧式戦車を「再生」しようとしている

シアはウクライナとの紛争で2,200両以上の主力戦車を失ったが、装甲車両戦力では依然大きな優位を保っている。ウクライナが少量の戦車を供給するドナーを見つけるのに苦労する一方で、ロシアの工場は新しい車両を着実に前線に送り込んでいる。実際、ロシアは戦車を製造するのではなく、作り直しており、その能力は限界に達しているのかもしれない。


戦車メーカーと再生産メーカー

ロシアには、モスクワから1000マイル東のニジニ・タギルにある、かつて強大だったウラル・ヴァゴン・ザヴォド(UVZ)、つまり「ウラル貨車工場」という戦車工場があるだけだ。第二次世界大戦中はスターリン・ウラル戦車工場183号として、毎月1,000両という驚異的な数のT-34戦車を生産していたが、長年の汚職と悪質な管理が同施設を蝕んだ。UVZの目玉である超大型戦車T-14アルマータは、発表から8年経った今も生産されていない。UVZは月に20両のT-90M戦車を生産することになっているが、かつて英国陸軍情報部にいた独立アナリストのセルジオ・ミラーは、UVZは開戦以来おそらく40両のT-90Mを生産しているのみと推定している。

 ロシアの "新型 "戦車の大半は、保管中の古い車両を再生したものだ。同様に米陸軍のM1A2エイブラムスは、カリフォルニア州ドイルのシエラ陸軍基地に保管されていた数千両のM1をリビルドしてアップグレードしたものである。

 ロシアには、20年前のT-90から1960年代の錆びついたT-62まで、旧型戦車の備蓄が膨大にある。これらは、BTRZ(装甲車両修理工場)における改修で原材料となる。現在、このような戦車工場は3つある: オムスクトランスマッシュ、オムスク輸送機械工場、サンクトペテルブルク近郊の第61BTRZ、シベリアの第103BTRZである。以前のBTRZは主に輸出ビジネスを行っており、ロシア軍だけでなく、ベネズエラ、ベトナム、ニカラグア向けの戦車も生産していた。現在は、ウクライナの戦いで失われた戦車の補充を優先している。

 ロストフ近郊の第71BTRZとモスクワ地方の第72BTRZの2つの工場が昨年発表され、すでに稼働している可能性がある。いずれも損傷車両を修理し、古い在庫を近代化する。また、他の車種を専門とするBTRZも少なくとも10カ所ある。


旧型戦車が新しい戦車へ

ロシアの改修プロセスは大規模だ。各車両はおよそ1,000点の部品に解体され、それらは元の車両を示すラベルが貼られ、洗浄と修理または交換のため専門作業場に送られる。車体は、古い塗装や錆を落とすために鉄粉で磨かれる。エンジンはテストされ、オーバーホールされる。

 改修とは、車両を再び動かすことだけではない。基本的なT-72を最新のT-72B3に変えるには、元のエンジンを50%強力な新型に交換し、砲を誘導ミサイルを発射できる改良型に交換し、装甲を爆発反応装甲ブロックでアップグレードする必要がある。新しい照準器、サーマルイメージャー、弾道コンピューターとデジタル暗号化無線機も含まれる。

 このプロセスは、スクラップヤードの車両を近代的な戦闘マシンに変えるもので、ゼロから新しい車両を製造するよりもはるかに安く、速い。

 各工場では、理想的な条件下で月におよそ20両の近代化戦車を生産できる。6月にオムスク・トランスマッシュを訪れたショイグ国防相は、年内にT-80 BVMを153両生産するよう指示したと述べた。この目標はOTMの生産能力の上限を示すもので、到達する可能性は低い。しかし、経営不振に陥っているUVZと異なり、オムスク・トランスマッシュでの最近のビデオでは、再生されたT-80BVMをウクライナに運ぶ鉄道車両が映っており、ねらいどおりのレベルで操業しているようだ。

 UVZだけで月10両以下だったロシアの戦車再生能力は、120両以上に拡大する。この数字は、プーチンの右腕であるドミトリー・メドヴェージェフが、おそらく楽観的であろうが、ロシアは2023年に1500両の戦車を製造すると主張していることと一致する。


戦車の鉱山を深く掘る

戦車生産の継続は、原材料の入手可能性に完全に依存する。輸入電子機器が入手できないことはロシアに大打撃で、前線に到着した車両の中には、赤外線サーマルカメラや最新機器が欠けているものもあると言われている。戦車は移動火力支援や砲兵として使用されることが多く、戦車対戦車の遭遇戦は今のところほとんどないため、このことはあまり重要ではない。それより重要なのは、ロシアの戦車再生産が枯渇の兆しを見せていることだ。

 戦前、ロシア各地の貯蔵基地には推定1万両の旧式戦車が保管されていた。このうち、まだ使用可能な戦車はごく一部で、おそらく10%程度だろう。それ以来、BTRZは残りの戦車に精力的に取り組み、新車に作り変えるかスクラップにしている。

 最大の装甲車両保管地は、モンゴルとの国境に近いブリヤート州のヴァグジャノヴォで、戦車、兵員輸送車、その他の装甲車が混在している。ヴァグジャノヴォは最低ランクの施設である。最もグレードの高い保管場所は空調管理された格納庫で、その下は非加熱の格納庫で、カバーや日よけの下での保管がそれに続く。ヴァジャノヴォでは車両は屋外保管されており、商業衛星による調査が可能だ。

 『モスクワ・タイムズ』報道によると、戦争開始時、ヴァグジャノヴォ施設には3840台近くの車両が保管されていた。ウクライナ侵攻から8カ月後の2022年11月には2600台に減り、2023年5月には2270台に減った。

 多くの車両が比較的急速に引き抜かれたのは驚くべきことで、おそらく最も状態の良い車両が復帰できたのだろう。もっと多くのBTRZが稼働しているはずなのに、引き抜きのペースは月150台前後から50台前後にまで落ちている。一説によると、BTRZはすでに処理しきれないほどの車両を保有しているという。可能性が高いのは、数台を稼働させるため車両を共食いし、改修に適した候補の供給が尽きていることだ。

 オープン・ソース・インテリジェンス・グループ『オリックス』のアナリスト、ヤクブ・ヤノフスキーによれば、残り2270両のうち、おそらく1000両はボロボロで(たとえば砲塔がないなど)、修理もできず、錆びついたまま放置されるだろうという。このことから、ロシアはすでに使用可能な車両の60%ほどを使い果たした可能性がある。


生産と破壊 

第二次世界大戦中、ソ連はドイツを上回る生産力で勝利を収めた。ロシアは莫大な損失を被ったが、ナチスが破壊するより早く戦車を製造することに成功し、同時にドイツが製造するよりも多くの敵戦車を破壊することに成功した。ロシアは今のところ戦車で大きな優位を保っているが、今回は生産速度が破壊速度に大きく遅れをとっている。

 メドベージェフは3月の兵器供給業者との会談で、1941年にスターリンが書いた電報を読み上げた。「チェリャビンスク・トラクター工場での戦車外板供給の注文を誠実かつ予定通りにこなすよう頼む。祖国に対する義務に違反するようなことがあれば、犯罪者のように叩き潰す」。

 これはおそらく、クレムリンに蔓延している雰囲気を示すものだろう。ロシアが保管する旧式T-62の数が鍵となる消耗戦に発展するとは誰も予想していなかった。当面は、改修T-62がロシア戦線を維持し続けている。プーチンは、戦車の修理工場が使用可能な最後の1両を手放し、生産が事実上ゼロになる前に、欧米のウクライナ支援が枯渇することを切に願っているに違いない。■


Russia Has Lost Over 2,200 Tanks in the Ukraine War. Putin Is Trying to 'Rebuild' Tanks as Replacements - 19FortyFive

In fact, Russia is rebuilding tanks for the Ukraine war rather than building them, and their capacity to do so may be reaching its limit.


By

David Hambling