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2026年8月23日日曜日

米海軍の兵站がペルシア湾で破綻した理由とは―空母リンカンで一時的にせよ糧食不足に陥った事態が発生。乗組員のメンタルヘルスも今日のひ弱な兵員には必須となっているようです

 Aircraft carrier supplies

ペルシャ湾に展開する空母への海軍のサプライチェーンは、イランによるミサイル攻撃で同地域の主要港湾が閉鎖されたことで混乱を来している。海軍写真:マス・コミュニケーション・スペシャリスト1等兵ライアン・ライリー撮影。

海軍空母は戦闘地帯でなぜ食料不足に陥ったのか

How a Navy aircraft carrier ended up short on food in a war zone

ペルシャ湾に展開する艦艇に物資を供給してきた物流拠点がイランに攻撃されたため、海軍は数千マイルも離れた場所から物資を調達せざるを得なくなった

海軍の空母で食料他の深刻な不足が発生しているとの報道は、国防総省が「USSエイブラハム・リンカンの乗組員には十分な物資が供給されている」と急いで強調しているにもかかわらず、一般市民に衝撃を与えた。

しかし海軍にとって、リンカンの艦内状況は単なる一隻の問題にとどまらず、サプライチェーンが遮断された際に、物流拠点への攻撃が艦隊に与える負担の大きさを浮き彫りにしている。

バーレーンにある米国の主要基地やアラブ首長国連邦(UAE)の港湾に対するイランのミサイルおよびドローン攻撃により、海軍は「リンカン」含む艦艇への物資をディエゴ・ガルシアやシンガポールなどから調達せざるを得なくなっている。こうした輸送では、補給艦が4,000マイル以上航行することが余儀なくされる。

国防当局者は、バーレーンとUAEの閉鎖がイラン戦に従事する海軍艦艇に与える影響について、概ね言及を避けてきたが、複数の海軍専門家は本誌に対し、海上での食料や物資の不足は、港の閉鎖に起因する可能性が高いと語った。

補給ルートの延長、配送の遅延

RANDコーポレーションの上級政策研究員ブラッドリー・マーティン退役海軍大佐によると、長年にわたり、米軍はペルシャ湾内の港や備蓄拠点から、中東で活動する艦艇への補給を行ってきたという。

「ペルシャ湾内のこれらの港や航路が脆弱となる可能性は以前からもちろん認識していたが、それは容認することを選んだ脆弱性だった」と、マーティンは本誌に語った。

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イラン戦はこれら拠点に脅威を与え、ホルムズ海峡を通じた米軍の補給船の移動能力を著しく制限してきたと、マーティンは述べた。ニューヨーク・タイムズは、イランのドローンおよびミサイル攻撃によるバーレーン基地への甚大な被害が引き起こした補給問題について、最初に報じた。

「そのため、補給はペルシャ湾外の港――ディエゴ・ガルシアや、さらにはシンガポール、あるいはスエズ運河を経由して――から行わざるを得なかった。当然、これにより物資配送は遅れることにならざるを得なかった」とマーティンは述べた。「距離の問題は、戦闘後方支援部隊の艦船数が不十分であったことや、作戦を支援する戦闘艦が移動・再配置を余儀なくされたことによって、さらに悪化していた可能性が高い。」

艦船は港湾でも補給を受けることができるが、「リンカン」は240日以上連続して航海を続けており、配備期間中に新記録を樹立した

艦船への食料の積み込み

ヴァージニア州アーリントンにある非営利シンクタンク兼研究機関「海事戦略センター」の海軍専門家スティーブン・ウィルズによると、通常、海上を航行中の空母は作戦のペースにもよるが、3日から6日ごとに補給を受ける必要があるという。

イラン情勢により補給ルートが長くなったことは、中東の米軍艦艇への生鮮食品の配送に影響を与える可能性があると、ウィルズは本誌に語った。

「一般的に、空母には、マカロニとチーズ、マッシュポテト、各種冷凍食品やその他のタンパク質源といった、私が『乾物』と呼ぶものがかなり十分に積み込まれています」とウィルズは述べた。「つまり食料は確保されているのですが、問題となるのは、果物や野菜など通常期待される新鮮な食品の供給が途絶えることがあるという点です」

USS Abraham Lincoln

2026年8月16日、空母「エイブラハム・リンカン」が、艦隊補給油槽艦「USNSヘンリー・J・カイザー」と海上補給を行っている様子。海軍写真。

空母への補給は航空機によっても行われるが、1機あたりの積載量に限界があると、ワシントンD.C.のシンクタンク「ヘリテージ財団」に所属する退役海軍大佐ブレント・サドラーは述べた。

サドラーは本誌に対し、もう一つの課題として空母が沿岸からどれほど離れているかという点を挙げた。陸地から遠ければ遠いほど、1日あたりに補給に赴ける航空機の数は減る。しかし、戦闘地域で沿岸に近づけば、米軍部隊は敵の武器の射程圏内に入ってしまい、危険にさらされることになる。

リンカンの場合、艦内の食料問題は約2週間で安定したとサドラーは、見ている。これは、日本やシンガポールから中東へ物資を輸送するのにかかる期間に相当する。同氏はさらに、海軍が補給路の調整に尽力している様子は、太平洋地域で紛争が発生した場合の状況を予見させると付け加えた。

「東アジアで戦争が起きるとすれば、それはまさにイランで起きたような形で起こるだろう」とサドラーは述べた。「事態は急展開する。適応せざるを得ない。頼れる供給網をあらかじめ整備しておかなければならない。」

状況は「誇張されていない」

リンカン艦内での食糧不足の報道について専門家が指摘した問題について尋ねられた際、海軍は本誌に対し、ハング・カオ海軍長官代行の8月14日の声明を参照するよう指示した。声明には、「新鮮な補給が得られない場合には食事計画が調整されたが、食事が欠けることは一度もなかった」と記されている。

しかし、現在リンカンに勤務する水兵の母親は、乗組員の家族の数人が、愛する人たちが直面している問題について声を上げ始めていると語った。

「これほど多くの家族がまったく同じことを言っているのなら、おそらく家族の話に耳を傾け始めるべきでしょう」と、匿名を条件に本誌取材に応じたその母親は語った。

彼女によると、息子は3月に、乗組員に配給される食糧が限られていたと伝えてきたが、それ以降は状況が改善されたという。

「つまり、食糧問題が全国的なニュースになって解決したのだと思います」と彼女は述べた。

それでも、彼女は息子を心配していると語った。息子によると、リンカンの長期展開により、乗組員の士気が低下しているという。また、ある乗組員が海へ飛び込もうとしたが制止され、別の乗組員は海に飛び込んで救助されたとも話していた。

また、彼女は、リンカンの乗組員が直面している困難を過小評価する米政府当局者の発言にも異議を唱えている。

「不満を口にするのは水兵たちではない」と彼女は言った。「彼らは依然として職務を全うしている。彼らは今も、祖国に奉仕することを誇りに思っている。私の息子もそうだ。彼は今も誇り高きアメリカ人だ。祖国を愛している。任務に必要なことは何でもこなしているが、それは決して大げさな話ではない」■

ジェフ・ショゴール

ペンタゴン担当シニア記者

ジェフ・ショゴールは、『Task & Purpose』のペンタゴン担当シニア記者である。20年近くにわたり軍事関連の取材に携わっている。メールは schogol@taskandpurpose.com まで、Twitterでは @JSchogol73030 へダイレクトメッセージを送ってほしい


2026年8月21日金曜日

USSジョージ・ワシントンの中東展開で空いた西太平洋に米海軍は別のCSGを派遣できそうだが、やりくりはかなり苦しい–新型CVN建造や就役が遅れる一方で供用中の各艦の負担は増す一方です

 The arrival of the USS George Washington to the CENTCOM region highlights the strain on the carrier fleet.

(U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Anthony Vilardi)


USSジョージ・ワシントンの中東到着で空母部隊の逼迫状況が浮き彫りに

USS George Washington’s Mideast Arrival Highlights Strain On Carrier Force

リンカンに代わりワシントンが配備されたことで、西太平洋に空母が1隻も残らなくなり、海軍が需要に対応するのに苦労する状況は、好転する前にさらに悪化する可能性がある

ジョージ・ワシントンは、昨日米中央軍(CENTCOM)管轄区域に到着した後、本日アラビア海を通過した、と同軍がXを通じて発表した。この動きは空母エイブラハム・リンカンの負担を軽減することを目的としたものであり、テヘランとの緊張が続く中、米国がイランの港湾に対する海上封鎖を継続している状況下で行われた。しかし、この展開により、少なくとも当面の間、米国は西太平洋で空母を1隻も保有しない状態となり、米国の軍事力投射で最も重要な資産での負担の大きさが浮き彫りとなっている。複数の空母にまたがる長期展開は、空母部隊に極度の負担をかけており、展開後の復旧に必要な整備が当初の予定より長引くことで、大きな連鎖反応を引き起こす可能性がある。同時に、空母の建造遅延も、将来の部隊運用に悪影響を及ぼしかねない。

ワシントンを、母港である横須賀からCENTCOM管轄区域へ再展開する必要性が生じたのは、リンカン乗組員の健康状態に対する懸念がきっかけだった。報道によると、同空母は昨年の展開以来、上陸休暇のための寄港を一切行わず、24時間体制の作戦活動の中で過酷な状況に耐えてきたという。この問題は、乗組員や海兵隊員の心身の健康を懸念する人々から激しい怒りを招いたが、メディアが状況を過大に報じていると主張する米当局者からの反発も招いた。

ワシントンの追加配備は、リンカンが同地域を離れたことに伴うものである。これにより、現在中東には2隻の空母が展開していることになる。USS ジョージ・H・W・ブッシュ4月23日に同地域に到着した

8月20日、アラビア海を航行中の空母USSジョージ・ワシントン(CVN 73)の飛行甲板で作業を行う米海軍兵士たち。ジョージ・ワシントン空母打撃群は、昨日中央軍(CENTCOM)管轄区域に到着した後、予定通りの展開の一環として中東で活動している。出典:米中央軍

米国とイランで互いに砲火を交えることは止んだものの、同地域は依然として火薬庫のような状態にある。ワシントンとテヘランの両方がホルムズ海峡の支配権を主張しており、敵対行為を終わらせるための交渉は決裂している。

封鎖の継続に加え、CENTCOMがオマーンに近い優先ルートを通じ原油数百万バレルを輸送しようとしている状況下では、空母が提供する航空戦力や、護衛艦が提供する攻撃・防衛ミサイル能力が依然として必要だ。これは特に、不測の事態への対応、イランへの抑止、そしてイランに対しワシントンの要求に従うよう圧力をかける上で当てはまる。

TWZ/IAN ELLIS-JONES

記事前半で指摘した通り、こうした状況により、米太平洋軍(PACOM)司令官のサミュエル・パパロ提督は、中国や北朝鮮による潜在的な侵略を阻止・対抗するための空母による戦域内の展開能力を一切持たない状態にある。太平洋における空母の空白期間は2024年までは稀であったが、この年は数十年ぶりに、米国がアジアに空母を1隻も展開していない状態となった。米軍は主に中東に注力してきたが、中国が米国にとって最大の脅威であり、北朝鮮が依然として予測不能で危険な存在であるため、PACOM管轄地域は国家安全保障機関内の多くの人々にとって依然として最大の懸念事項である。太平洋におけるロシアの活動も、数ある問題の一つに数えられる。

リンカンの長期展開と、交代艦の必要性は、たとえ一時的とはいえ、PACOMに問題を生み出しただけではない。通常、空母の展開期間は約6~7ヶ月で、艦船が即応態勢を維持し、乗組員が疲労困憊しないように設定されている。それが守られない場合、艦船や乗組員だけでなく、修理の予定を立て、その実施のため作業員を手配していた施設にも影響を及ぼすという連鎖的な問題が生じる。

要するに、艦艇が巡航に費やす期間が長ければ長いほど、徹底的な整備のためにドック入りする期間も長くなり、ある一定点を過ぎると、この関係による影響の規模は急激に膨れ上がる。航海期間が数日延びるだけで、造船所での滞在が数週間延びることになり、その連鎖は続く。造船所の設備、特に超大型空母に対応できる施設は限られているため、重要なスケジュールは瞬く間に崩壊し、複数の艦艇に作業が積み重なり、計画よりもはるかに長い期間、運用不能状態に陥ることになる。この件に関する詳細は、こちらの過去の特集記事で詳しく読むことができる。


https://www.nytimes.com/2026/03/16/us/politics/uss-ford-fire-iran-ヴェネズエラ.html 

これにより、乾ドックでの滞在期間が延長される見込みだが、これはUSS ドワイト・D・アイゼンハワーが展開を終えた後に経験した状況と似ている。注目すべきは、フォードで生じた損害により、イラン戦争が激化していた3月に同艦が中央軍(CENTCOM)管轄区域を離脱せざるを得なかったことです。その結果、同海域に配備されていた空母は1隻のみとなり、皮肉なことに、それがリンカンだった。

NAVAL SUPPORT ACTIVITY SOUDA BAY, Greece (Feb. 23, 2026) The world’s largest aircraft carrier, Ford-class aircraft carrier USS Gerald R. Ford (CVN 78) arrives at the NATO Marathi Pier Complex in Souda Bay, Crete, Greece, during a scheduled port visit on Feb. 23, 2026. NSA Souda Bay is an operational ashore installation that enables and supports U.S., Allied, Coalition, and partner nation forces to preserve security and stability in the European, African, and Central Command areas of responsibility. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Hannah Donahue)

2026年2月23日、予定されていた寄港中に、USS ジェラルド・R・フォード(CVN 78)が、ギリシャ・クレタ島のスーダ湾にあるNATOマラティ埠頭複合施設に到着した。(米海軍写真:マス・コミュニケーション・スペシャリスト3等兵ハンナ・ドナヒュー) 3等兵ハンナ・ドナヒュー

海軍は建造の遅れを取り戻すために整備スケジュールを調整せざるを得なかったため、空母部隊は他にも課題に直面している。

将来のフォード級空母「ジョン・F・ケネディ」の引き渡しは、2027年3月まで予定されていない。JFKは、大西洋沿岸沖での4日間の航海期間を経て、8月15日に受領試験を完了したばかりだ。海軍は当初、ケネディを2022年に引き渡す予定だったが、海軍の2026会計年度予算要求によると、「先進着艦装置(AAG)の認証完了と、先進兵器エレベーター(AWE)の継続的な作業を支援するため」、引き渡しは2027年3月に延期された。これを補うため、USS ニミッツの退役が先送りされた。

2026年8月12日、就役前海試のため出港する、将来の「ジョン・F・ケネディ」。(HII)

フォード」級プログラム全体が数年の遅れたままの中で、米海軍は「フォード級」への変更案を評価中と報じられており、これによりさらなる遅延が生じる可能性がある。これには、アイランド上部構造を飛行甲板上前方へ移動させることや、電磁式航空機発射システム(EMALS)カタパルトおよび先進兵器エレベーター(AWE)を、将来のUSS ドリス・ミラー以降廃止することが含まれる。

供用中の空母では、4隻が現在運用停止中、あるいは整備期間に入るのを待っている状態である。

NEWPORT NEWS, Va. (April 8, 2024) The Nimitz-class aircraft carrier USS John C. Stennis (CVN 74) is moved to an outfitting berth in Newport News, Virginia, April 8, 2024. John C. Stennis is in Newport News Shipbuilding conducting refueling and complex overhaul to prepare the ship for the second half of its 50-year service life. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Simon Pike)

2024年4月8日、ヴァージニア州ニューポート・ニューズの装備整備バースへ移動するニミッツ級空母「USS ジョン・C・ステニス」(CVN 74)。同空母は現在、ニューポート・ニューズ造船所で、50年にわたる就役期間の後半に備えるための燃料交換および複合オーバーホールを実施中である。(米海軍写真:マス・コミュニケーション・スペシャリスト2等兵曹 サイモン・パイク) 2等兵曹 サイモン・パイク

ニミッツ級空母は想定される50年の就役期間の半ばに、原子炉燃料交換を含む長期にわたる近代化・整備期間であるRCOHを完了する必要がある。海軍は、USS ハリー・S・トルーマンを皮切りに、将来このようなオーバーホールのスピードアップと要員削減を図るため、そのアプローチを見直している

トルーマンはヴァージニア州ノーフォークの埠頭に停泊しており、ステニスに続いてRCOHに入るのを待っている。東海岸でこのような大規模な整備を実施できる造船所は1か所しかないためである。

USS ロナルド・レーガンは、現在、西海岸で展開不能となっている唯一の空母である。同艦は以前、日本の横須賀に前方展開していたが、2025年半ばにUSS ジョージ・ワシントンとの船体交換を完了し、現在はワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所および中間整備施設で乾ドックに入っている。2025年にドライドッキングPIA(DPIA)の契約が締結された際、作業は2026年8月までに完了する見込みであり、そのスケジュールは予定通り進んでいるようだ。Stars & Stripesによると、ロナルド・レーガンは17カ月に及ぶDPIAを今月末までに完了し、就役に復帰する見込みである。

これにより、緊急時に太平洋へ急行できる空母は3隻となり、うち1隻は配備準備がほぼ整っている。USS セオドア・ローズベルト、USS カール・ヴィンソン、USS ドワイト・D・アイゼンハワーは、それぞれ異なる準備段階にあり、今後の配備に向けて訓練を行っている。セオドア・ローズベルトは、5月にCOMPTUEXを完了した後、夏にかけて大規模演習「RIMPAC 2026」に参加しており、近いうちに展開すると見込まれており、太平洋へ派遣される可能性が最も高い。同じくサンディエゴを母港とするカール・ヴィンソンは、8月10日に出港し、現在西海岸沖で訓練中だ。本稿執筆時点において、ドワイト・D・アイゼンハワーは、展開後の16か月にわたるPIA(展開後点検)を終え、4月に海上試験を完了し、直近では7月27日、乾貨物・弾薬輸送艦USNS メドガー・エヴァースとの弾薬積み込み作業を実施した後、母港へ帰港した。

リンカンは、本記事の前半で触れた通りCENTCOM管轄区域を離れてサンディエゴへ帰港中だが、いつ就役に戻るかは不明である。2027会計年度の予算文書によると、同空母に対してDPIAが今後予定されているが、そのスケジュールは不明確だ。他の空母の長期展開の経緯を踏まえると、これも延期の可能性がある。

したがって、近いうちに別の空母打撃群が西太平洋へ向かう可能性が高く、空白期間は長期化しないだろう。しかし、度重なる長期展開を経て、米国の空母戦力は将来的に、より深刻な整備期間不足の危機に直面する恐れがある。■

ハワード・アルトマン

シニア・スタッフライター

ハワードはTWZのシニア・スタッフライターである。中東やウクライナに重点を置き、紛争について頻繁に執筆しているほか、世界中の軍・諜報当局者や業界リーダーへのインタビューも行っている。フロリダ州タンパ近郊に在住。同地は米中央軍(CENTCOM)および米特殊作戦司令部(SOCOM)の本拠地である。


イアン・エリス=ジョーンズ

オーディエンス開発責任者

イアンはTWZの包括的なソーシャルメディア戦略を遂行し、OSINTアナリスト兼リサーチャーとして編集チームに情報可視化のスキルを提供するとともに、週刊の空母追跡レポートおよびニュースレターの運営を担当している。


オリジナル版の読者コメント

  • 心配しないでください。ますます当たり前になりつつある1年近くにも及ぶ空母の展開について、帰港後に艦が長期にわたりドック入りしなければならないという点で、何らかの悪影響が出ることはないでしょう。

    • 利用可能なドックがなければ、長期のドック入りなどあり得ません。

  • 余談:将来の海軍艦艇に関する朗報ですが、DDG-51の後継艦の最初のレンダリング画像が公開されました。この艦は実戦能力に優れ、最高司令官が求める美しい外観も満たしています:

  • 職務に不適格な無能な管理者を当選させた代償です。

  • タイラーのコメンテーター陣(FTA)が全盛期だった頃、一般的な通説として、米国こそが地球上で唯一、2つの海で2つの戦争を同時に戦う能力を持つ国だとされていた。

  • トランプ大統領の無能で準備不足な指導下では、もはやそうではないと確信している。

    • 「対テロ戦争」という茶番劇が米軍の通常戦力を破壊する以前から、米国は実際には2つの戦争を同時に戦う能力など持っていなかった。

    • ドナルドのおかげで、今やイランとの戦争ですら、敗北せずに戦うことさえできない状況にまで追い込まれた。

  • 太平洋地域のすべての同盟国

  • 「あの肛門ポリープ大統領」が、自身の崇高な「梅毒にかからなかったことが私にとってのベトナム戦争だった」という自画自賛を称えるため、CVN-81の艦名を「ドリス・ミラー」から改名しようとしていると指摘した皆さん、その見事な的中を祝って葉巻を1本どうぞ。

  • 彼は自分の名前のついた空母を手に入れ、しかも黒人からの栄誉を剥奪している……

    • 彼にとっては、いくらあっても足りないだろう。彼は正真正銘のゴマすり野郎だ。

  • 共和党は、ホワイトハウスを掌握しているときは戦争、減税、そして酔っ払った船乗りのように散財することを好む。ホワイトハウスを掌握していないときは、歳出凍結、緊縮財政、予算削減を好む。我々は16年間にわたる戦争を経験してきたが、その合間に12年間、戦争で使用された兵器の維持や更新が行われなかった……

2017年10月22日日曜日

超大型空母に未来はあるのか、RAND研究成果に見る小型空母の可能性


大は小を兼ねるのか。これまでの流れの頂点が新型フォード級空母ですがさすがに米国もこれでいいのかと考えつつ、必要な戦力を積算するとどうしても大型艦になるジレンマに苦しんでいるのでしょうか。一方で強襲揚陸艦の新世代USSアメリカが新しい動きの芽になりそうですね。超大型空母が過去の遺物になるのかそれともこれからも平和の守り神の主役の座に残るのか、まだまだ論争は続きそうですがそんなに悠長なこと言ってられるのでしょうか。筆者は日本が一部負担して米海軍が運用する部分所有権みたいな空母が今後生まれると見ていますが。


Small Aircraft Carriers: RAND Report Won’t Convince McCain

RAND報告が型空母構想を検討したがマケイン議員は納得させられず

Navy photo
USSジェラルド・フォード
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 20, 2017 at 8:28 AM
  1. 米海軍には小型かつ安価な空母が必要であると予算超過・予定遅延のUSSジェラルド・フォードを念頭に元海軍パイロットのジョン・マケイン上院議員はずっと主張してきた。真っ向から反対するのが大型空母建造を推進する団体ACIBCで米海軍向けRANDの研究成果を引用しつつNational Interestに見解が掲載された。だがマケインに簡単に引き下がる気配がなく、RANDも小型空母構想のうち一案は検討の価値ありと考えている。
  2. RAND報告書はマケイン主張に異議を立てるものではないとある議会スタッフが教えてくれた。報告書は上院軍事委員会委員長のマケインが提起した疑問に答えていないからだ。「最も過酷な環境下でフォードが実施できる能力との比較で代替各案を検討している」と高度戦力を有する中国のような敵との対決を想定している。「また各案でうまく対応できないと分かったのも驚きに値しない」とこのスタッフは語っている。「空母の任務をあらゆる角度から検討し、フォードは過剰戦力で小型空母がより適していると言えるのか検討している」
  3. RANDもマケイン主張の中心課題に一言だけ言及している。つまり、「海軍は新しい『ハイローミックス』空母戦力を検討すべきだ」とのくだりでマケインの論文Restoring American Power.を引用している。「従来型の原子力推進スーパー空母は互角の戦力を有する大国への抑止ならびに撃破には有効だが、実際の日常運用たる兵力投射やシーレーン確保、近接航空支援や対テロ作戦なら小型で安価な通常動力空母で十分用が足りる」
  4. RANDは大型小型空母の組み合わせの方がうまく行き、各種ミッションに対応でき「リスクを低減し」ながら「管理しやすくなる」と結論づけている。ただし同シンクタンクは長期的解決策として深く検討していない。
将来の海軍戦闘構想 (CSBA graphic)
  1. RAND報告書は立法上の要求に十分こたえられない。上下両院が成立させた国家防衛認可法(NDAA)(2016年)の128節(d)項では海軍に対し代替空母構想を以下の形で議会提出するよう求めている。
  • 「各種作戦シナリオで」
  • 「CVN-78級空母に代わるものあるいは補完するもの」
  • 「排水量2万トンから10万トン超までの範囲で」
  1. これに対しRAND報告書では
  • 「最も過酷なシナリオ」での機能を分析しただけ
  • フォード級に対し「低コスト空母代替策」を検討し、
  • 検討範囲は2万トンから10万トンの範囲のみ
  1. マケイン議員は小型空母を推進派だが、NDAAは海軍に現在のスーパー空母を上回る艦の検討も求めており、大小両端で検討を求めているのにRANDはこれをしていない。
  2. 批判は脇においても「大きいことはいいことだ」がRANDの結論ではない。研究では「小型化には代償がある」としている。同シンクタンクの結論は建造費用を下げても戦闘能力が切り下げられるのは割りが悪いということだ。RANDはフォード級より三割小さい中間サイズの原子力空母も検討している。
Navy photoUSS フォレスタル。米海軍はこの大きさの通常動力空母は運用していない。
オプションは四つ
  1. RANDは構想を四つに分け、それぞれで長所短所が大規模戦闘で露呈するという。
  2. ハイエンドが10万トン原子力空母構想(CVN 8X)でフォードよりわずかに大きく高価格の選択肢だ。RANDは建造単価を下げた場合ソーティ形成能力つまり機材の着艦、燃料補給、装備再充填ののち発艦させるくりかえしが「わずかながら低下する」と結論づけた。フォード級でも開発にあれだけの予算がかかりながら、バグ対応していくと節減効果は期待できない。
  3. ローエンドが2万トン通常動力空母(CV-EX)で第二次大戦中の護衛空母の現代版だ。ここまで小さいと空母航空隊全部の運用は無理でジャンプジェット機のF-35Bやティルトローター機のV-22オスプレイ並びにヘリコプターの運用しかできない。かつ機数が限られる。電子戦機材は大型空母や陸上基地から運用を迫られる。あるいは新規開発の垂直離着陸機に支援任務を期待するしかないだろう。そうなると護衛空母構想は「実用性に乏しい」とRANDは結論付けている。
  4. この中間に興味を引く選択肢が用意されている。
HMSクイーンエリザベス
  1. 7万トン原子力空母(CVN-LX)はフォードより3割小さいがフルサイズ飛行甲板で同じ機材を運用できる。(同規模の通常動力空母の提案も英クイーンエリザベスやかつてのUSSフォレスタルなどの例からあるが、RANDはなぜか検討していない) この艦だと同じ一日でもフォードのソーティー数に及ばないが、RANDはこのことは「ストレスのかかる戦闘シナリオでは制約条件にならない」と結論付けている。深刻なのは7万トン艦が搭載する一機あたり弾薬燃料量はフォードより低くなる点だ。このため同艦は再補給が頻繁に必要となり、戦火の環境では望ましくない。それでもRANDは「相当の節約効果が就役期間全体で期待できコンセプトをさらに磨けば大いに期待できる」としている。
  2. 4万トン通常動力空母(CV-LX)は現行の強襲揚陸艦USSアメリカを大型化した構想だ。アメリカ同様にこの艦の飛行甲板も小さいため運用はF-35、V-22、ヘリコプターしか期待できず部支援も必要になるが、護衛空母構想よりは支援度合いは低くできる。艦そのものも現行艦を発展拡大すればいいので「低リスク」かつ費用対効果が高いとRANDは見ており、二隻あればフォード級一隻の機能のほとんどが期待できるが、全部とまでいかず、艦隊に追加負担をかけない代替策にだという。
USSアメリカ(LHA-6)
  1. マケイン論文は小型空母を求めており、具体的にはこの規模を想定しているが現行の空母打撃群(CSGs)の肩代わりは期待していない。かわりに通常動力軽空母群を建造し高艦齢のワスプ級大型甲板型揚陸艦の代替にしたいとする。揚陸即応集団(ARGs)の中核がワスプ級で海兵隊を運ぶのが任務だ。構想では海兵隊に航空戦力を増強し厳しい環境に対応させ、艦隊航空戦力の増強はそこまで期待しない。だがこの構想はマケイン提案にありながら海軍がRANDに委託した際には薄められている。
  2. 「本研究内容で論争が終止符を打たれることはないし、その他にも似たような結論の研究成果が出ている」と元海軍のブライアン・マグラスが記者に語っている。「小型かつ限定目的の空母には将来の艦隊に立ち位置が残されているが、大型原子力推進空母群に付随こそしても代替する存在にはならない」■

2016年6月6日月曜日

★米中もし戦わば 中国空母をどう攻撃すべきか




Visit Warrior

How The US Navy Would Attack Chinese Carriers

JAMES HOLMES
12:24 AM


海軍大学校教授が中国空母を撃破する必要が生れたら攻撃潜水艦、空母搭載戦闘爆撃機、ミサイル他をどう投入するべきかを説明している。

  1. 中国は「空母キラー」誘導ミサイル各種で米海軍の原子力空母を猛攻撃すると喧伝をやめる兆候はないが、なかでもDF-21DとDF-26対艦弾道ミサイル(ASBM)は人民解放軍(PLA)が接近阻止領域拒否 (A2/AD) の要と期待する装備だ。
  2. 中国は自国の装備の威力を各方面に信じ込ませることに成功し、ペンタゴン取材の報道関係者も例外ではない。ペンタゴンはDF-21Dで「空母含む艦船攻撃」がPLAに可能で中国沿岸から900マイル離れても可能とあたかも事実のごとく記載した中国軍事力分析報告書を刊行している。
  3. 恐ろしく聞こえる。だが米海軍にも空母キラーがある。正確に言えば艦船キラーか。空母を機能不全にし沈没させのが可能なら小型艦にも同じ効果が生まれる。対艦兵器は数の威力で効果が増大し、有効射程距離、破壊力でも同様で米海軍は冷戦後の休日状態から目覚めている。どちらの陣営の空母キラーが勝利するかは海戦の発生場所で変わる。
  4. 空母キラーのイメージに西側はもう慣れっこになっており、中国のロケットが米海軍の誇りを海底に沈め、同時にアジア域内の同盟国への米支援も葬るというものだ。もっと悪いのはPLA指導部はわざわざ艦船や航空機をはるか沖合に送らずに世界の歴史に残る戦績をあげることが可能なことだ。ASBMの発射キーを回せばいいのだ。
  5. その可能性はある。有効射程など技術面になぜ執着するのか。DF-21Dは900マイルの射程があることになっているが空母艦載機の到達範囲をはるかに超えている。そうなれば空母打撃群はアジアの戦闘区域に到達したら大打撃を受けてしまう。さらに射程距離が食い違うのが恐ろしい。昨年9月の北京軍事パレードではDF-26の最大射程は1,800から2,500マイルだと伝えていた。
  6. 技術開発がうまくいけば、PLAの弾道ミサイルはアジアの第二列島線付近を航行する米海軍、同盟国軍側の艦船にとって脅威となる。DF-26の射程上限はASBMが列島線を超えた地点にも到達することになるからだ。
  7. これを大西洋に例えるとグアム東にいる艦船を中国沿岸から攻撃して沈没させるのはワシントンDCからグリーンランド東にいる艦船を狙うのと同じだ。グアムまで届くミサイルがあればハワイや米本土からかけつける部隊には危険状況を意味するが、グアム、日本、その他西太平洋各地での船舶運航はたえずミサイル攻撃の恐怖がつきまとうことになる
  8. ただしPLAがDF-21Dを供用開始して5年以上たつが洋上に向けたテストを一回も実施していない事実に注目すべきだろう。さらにDF-26では実戦想定テストをほとんど実施していない。平時の未完成技術は有事には失望させる結果しか生まない。

  1. それでもASBM技術を中国が成熟化させれば有効装備になる。米軍は相当する装備を有しておらず、今後も整備に走らないだろう。米国は中距離弾道弾開発を条約で禁じられており、かりに米政府が条約を反故にしても十年とまでいかなくても数年かけないと兵器体系としての開発、試験、配備は実現しないだろう。
  2. だからと言って米海軍に選択肢がないわけではない。米海軍は敵空母にどう対応するだろうか。答えはニューポートの海軍大学校で用いる標準的な内容にある。つまり、時と場合次第だ。
  3. まず交戦場所がある。空母同士の海戦となればはるか遠隔地の海上が舞台となりPLAの不沈空母たる中国本土から離れることになると、沿岸基地のASBM、巡航ミサイル、航空機が到達できない。
  4. これは艦体対艦隊の想定だ。事態はいつも投入する火力により決まるし、将兵の資質、戦術判断力、生への執着も作用する。PLA指揮官は陸上配備の兵器を大量投入してくるだろう。同時に米海軍も日本、韓国、オーストラリアの同盟軍とともに沿海部での戦闘を試みるだろう。そうなると中国同様に同盟各国の陸上配備装備が艦隊の戦闘力を補強することになる
  5. 戦術戦の舞台二つは大きく異なる。後者はより混乱を極め戦争の霧に包まれる可能性が高い。さらに敵が大胆な動きをすれば予測は一層困難だ。
  6. 米海洋戦略と沿海部近くの海戦で共通するのは潜水艦戦の重要性だ。原子力推進攻撃潜水艦(SSNs)には米ヴァージニア級、ロサンジェルス級があるが水上通商路の遮断が可能だ。あるいはA2/AD防衛網を突破して敵船舶を強襲し、敵の領海内で空母でさえも攻撃できる。
  1. つまりSSNsが米海軍の主力戦力だ。だからこそ議会がSSN部隊の規模縮小で現在の53隻を2029年に41隻体制にしたら大きな誤りとなる。これは23パーセントの戦力ダウンになり、一方で中国は2020年に潜水艦78隻を稼働させようとしている。ロシアも静粛化が進んだ潜水艦の復活に入っている。
  2. そうなるとアメリカの空母キラーは潜水艦になる。そこで近未来の対中国空母の戦闘を語るのは未来予測の様相を示してくる。現時点のPLA海軍は空母一隻しかない。ソ連時代に起工したものを完成させた遼寧で同艦は練習艦のままの公算が大きく、遼寧を改良した実戦用の空母数隻が建造中と伝えられる。

  1. 中国が二隻目の空母を完成させたと仮定しよう。初の国産空母となる。ニューポートニューズ造船所がほぼ同寸の初のスーパー空母かつ通常動力のUSSフォレスタルを起工から就役まで三年で完成させている。
  2. さらにPLA海軍が空母任務部隊を洋上で運用する技術を確立したと仮定しよう。そうなると中国は新型空母を切れ目なく就役させ迅速に艦隊に投入することになる。想定する遠洋公海上の衝突は2020年ごろとしている。.
  3. 2020年でも米海軍水上部隊の空母キラーの主役は空母航空隊で今と変わらない。原子力空母は戦術航空機をおよそ85機搭載する。将来登場する中国空母の航空隊規模の予測はばらついているが、固定翼機・ヘリコプター50機とすの上限を採用するとしよう。これだと米海軍の空母搭載機数はPLA海軍空母より70パーセント多くなる。
  4. また米艦載機が中国機より優れていることはほぼ確実だ。次に登場するPLAN空母は遼寧と同様にスキージャンプ式構造のようだ。このため機体重量に制約が生まれ、搭載燃料や兵装量でも中国機には不利に働く。
  5. 米海軍のCVNは蒸気式あるいは電磁式カタパルトで大重量の戦闘攻撃機を発進させる。兵装量が多いということはそれだけ打撃力も多くなり、燃料搭載量が増えればそれだけ長く飛べることになる。
  6. F-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機はおよそ400カイリ先の敵を攻撃できるが、武装を投下した後はより長く飛行できる。中国がJ-15が同等の航続距離があると喧伝すしているが、ここでも米軍機が数の上で有利で、一機あたりの攻撃力も上だ。そこで米海軍が優勢と判定できる。

  1. さらに2020年には対艦兵器が性能を向上させているはずで搭載も始まっているだろう。現在の水上部隊の主力対艦兵器はハープーンミサイルで1970年代の産物で射程は60マイルを超える程度だが、PLA海軍の最新装備YJ-18は290カイリといい、影が薄くなる。
  2. そこで米兵装開発部門は射程距離の不足を大急ぎで解消しようとしている。ハープーンのメーカー、ボーイングは射程距離を二倍にしようとしている。ペンタゴンの戦略能力整備室はSM-6対空ミサイルを対艦攻撃用に転用し、水上部隊の攻撃範囲は一気に三倍になる。その他にトマホーク巡航ミサイルを対艦型に改装したものを昨年にテストしており、冷戦時代並みの超長距離攻撃能力が復活する。別に新型長距離対艦ミサイルが開発段階にある。
  3. 海軍にとって新型兵器の投入配備には重要な意味がある。「分散攻撃力」構想の下で海軍は各艦に火力を確保しつつ目標に集中させようとする。つまりこれまでより多くの艦船に対艦ミサイルを搭載し、補強策として電磁レイルガンや艦載レーザー兵器を投入して目的を実現する構想だ。
  4. だが米海軍には空母キラー専用の兵装は多数ある。潜水艦、艦載機、新装備の投入で米海軍は2020年でも大洋海軍力を十分確保しているだろう。問題は公海での交戦は対中戦で最も可能性の低いシナリオなことだ。たとえば太平洋中央部分で中国が沿岸火力支援が届かない状態で戦闘を挑んでくるとは考えにくい。
  5. 可能性が高いのはPLAの接近阻止兵器の有効範囲内での交戦だ。中国は自国領土に近い列島線付近の海域を一番心配する。同海域はアジア同盟各国の安全を守り航行の自由を保障し、海上パワーを確保する米国にも重要だ。そのため米中の対立が熱くなればこの海域や上空で交戦が始まる可能性が高くなる。
  6. 交戦が始まれば究極の面倒事になるかもしれいない。米軍がアジア本土に近づけばA2/AD防衛網に高い代償を払うことになる。空母キラーのASBMが西太平洋各地で発射されれば交戦一日目で西太平洋へ向かう艦船にミサイルの雨が浴びせられる。ミサイル搭載の小艦艇やディーゼル潜水艦が歩哨の役割となり、対艦巡航ミサイルを発射してくるだろう。
  7. 沖合警戒ラインでは不十分とばかりに沿岸から対艦兵器が発射される。ASBMだけでなく巡航ミサイルやミサイル搭載航空機が投入されるはずだ。原子力空母は浮かぶ飛行場だが各地の陸上航空基地や各種ミサイルと対決になる。総じてA2/ADは米側の艦艇指揮官にとって面倒な戦術作戦上の問題になるだろう。
  8. PLA海軍艦艇は西太平洋を航行する限りは太平洋の真ん中やインド洋他遠隔地より威力を発揮するはずだ。要するにPLA海軍とは砦防御を固める兵力なのだ。危険になれば容易に陸上防御網の有効範囲内に逃げ戻ることができ、自艦火力に陸上防御網を追加して強力な敵に対抗する
  9. 要塞艦隊には暗い運命が洋上はるか沖合で待っている。防御の傘は使えないからだ。母国近くでは沿岸火砲支援の元でうまく機能する。中国はここに期待している。

  1. 歴史の教訓を見てみよう。要塞艦隊構想は前からあり、海上権力の主導者アルフレッド・セイヤー・マハンがこの用語を生み出したと思うが、帝政ロシア海軍の例がある。ロシア艦隊は要塞砲の有効射程範囲内に残る傾向があり、火力で勝る敵に対抗していた。こうして艦隊は要塞の前方防御網となったが、艦隊は要塞砲を防御網に使っていたことになる。
  2. 要塞艦隊の背景としてマハンには旅順口の火砲が念頭にあったのだろう。渤海への入り口であり首都への侵攻経路にあたる旅順は日露戦争1904-1905年では東郷平八郎が指揮する日本帝国海軍連合艦隊が一貫して砲撃を加えていた。
  3. 旅順港のロシア分遣隊は要塞砲の射程内にいる限りは安全だったが、成果はほとんどあげていない。東郷長官以下の日本部隊はロシアと1904年に公海上で短い交戦をしている。1905年5月にも再び対決の場面が生まれ連合艦隊は対馬海峡でロシアバルチック艦隊と海戦をした。
  4. ロシア艦隊は簡単に日本海軍に圧倒された。だがもし旅順港の要塞砲が日本艦隊に正確な砲撃を加えていたらどうなっていただろうか。マハンの要塞艦隊構の有効範囲が拡大されていることがわかる。長距離かつ有効な火力支援があればロシアは逆に勝利をおさめていたかもしれない。劣勢な側が勝ちを収める場合もある。
  5. この例が現在でも通用するかは疑問だ。要塞としての中国は飛行基地や移動対艦兵器多数で数百マイル沖合の敵艦隊を標的にする。確かに大洋の真ん中では米海軍はPLA海軍に対してはるかに強力だ。艦隊対艦隊の対決で陸地か支援がなければアメリカの優位に動くだろう。だが仮説上ではアジア本土に近い場面での交戦では一方的な米優位は難しい。
  6. 米海軍が想定する大青原での交戦は発生の可能性が低いにもかかわらず装備作戦面がこれに特化しているようだ。一番脅威度が高く、発生可能性も高いシナリオはどちらなのか疑問は残る。空母攻撃兵器により要塞艦隊がマハンの死後何十年もたって懸念対象として復活している。中国にとっては優位な状況だ。

----本稿はNational Interestが最初に掲載した。
著者ジェイムズ・ホームズは海軍大学校で戦略論を教え、Red Star over the Pacificを共同執筆している。見解は本人のものである。

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