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2023年11月19日日曜日

PLAN駆逐艦が南シナ海で「敵対標的」に主砲、電子妨害で撃退。世界の常識を堂々と破る中共の軍事行動には警戒が必要だ。

 Warrior Mavenの記事です。PLANは公海上で簡単に実弾を発射する規定になっているようです。これでは、偶発事件が発生したら深刻な結果がすぐ生まれてしまいます。ますます中共の行動に注意する必要がありますね。

China News Service

南シナ海で中国駆逐艦が「空中目標」を艦砲射撃で撃退

新型駆逐艦が「空中目標」に艦砲と電子戦兵器を「敵対装備」に発射した。

新たに就役した055型人民解放軍海軍(PLAN)の駆逐艦が南シナ海で戦闘準備訓練中に、艦砲と電子戦兵器を発射したことがあきらかになった。

中国政府が支援する環球時報紙は、中国海軍の055型駆逐艦「遵義」 Zunyiが 「疑わしい空中目標複数」を探知し、発砲し、破壊したと報じている。

同紙は、「空中目標 」が具体的に何だったかを明示しておらず、敵対的なドローンの一種の可能性がある。PLANが何らかの 「有人 」目標に発砲し、迎撃したとは考えられないが、記事は敵対的な発砲があったことを明確にしている。

「演習中に同艦の早期警戒・探知システムは、空中標的と思われるものを複数発見し、有利な位置を取り、妨害弾を放ち、近接武器システムを発射することで、迎撃に成功した」と『環球時報』は報じている。PLA海軍は主砲で標的にダメージを与えたという。

事件の詳細は明らかにされていないが、EWと近接防御兵器の形で標的を迎撃する決定は、PLANが南シナ海の海上シナリオで殺傷力を行使する意思があることを示している。

「敵対的な対象が同艦に接近し、同艦は高速反撃で応戦し、主砲で目標に大きなダメージを与えた」と環球時報は報じている。■

Chinese Destroyer "Fires On" Suspected Aerial Targets & Shoots at Hostile Vessel in South China Sea





2022年8月5日金曜日

PLAN大型駆逐艦055型の詳細な高精度写真がネット流出し、その性能を推定してみた

  

Our Most Detailed Look Yet At China’s Type 055 Super Destroyer

Chinese internet


中国の055型駆逐艦の詳細な高精度写真が出てきた。同型駆逐艦は艦隊近代化を推進する北京の象徴だ

 

 

国人民解放軍海軍(PLAN)の055型駆逐艦「南昌」(船体番号101)の高解像度クローズアップ画像がネット上に掲載された。これらの画像で、中国で最も近代的で高性能な水上戦闘艦の兵装、防御システム、その他特徴を、珍しく詳細にわかる。現在、少なくとも2隻の055型が、ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け台湾周囲での訓練に参加するため所定位置に移動中とされ、能力がフルに発揮される可能性がでてきた。

 

画像はすべて、中国語テレビが放送した番組のスクリーンショットと思われ、その後、同国のマイクロブログサイトWeiboを通じネット上に投稿された。すべての画像の下3分の1には、"1927 "と "2022 "という年号が含まれる。これは、今年の8月1日の中国人民解放軍(PLA)自記念日(単に軍隊の日とも呼ばれる)の放送の一部であったことを強く示唆している。PLAは1927年8月1日の南昌蜂起にその起源を発している。

 

南昌がどこで撮影されたかは不明だが、中国東北部の山東省青島母港で撮影された可能性がある。いずれにせよ、2020年就役した055型の最初の就役艦のさまざまな重な要素を、非常にクリアに見ることができる。それ以来、低視認性(ステルス)設計の特徴を取り入れた同艦は、少なくともあと6隻が建造されている。中国メディアは過去に、少なくとも16隻が最終的にPLAN戦闘艦隊に加わる見込みと報じている。

 

全長590.5フィート強、全排気量1万2000~1万3000トンの055型は、米軍では巡洋艦に分類され、西側で「レンハイ」級とも呼ばれる。ちなみに、米海軍のフライトIIIアーレイ・バーク級駆逐艦は全長509.5フィート、排水量10,864トン程度となる。また、全長と排水量を比較すると、055型は、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦の全長567フィート、排水量10,752トンより大きい。

 

 

航行中の055型は確かに印象的だ(Uncredited image)

 

俯瞰写真では、南昌の垂直発射システム(VLS)セル112個をよく見ることができる。これはフライトIIIアーレイ・バーク級駆逐艦(96セル)より多く、タイコンデロガ級巡洋艦(122セル)よりわずかにf少ない。また、中国の055型より大型の米海軍ズムウォルト級ステルス駆逐艦(80セル)よりもミサイル発射能力は大きい。055 型に搭載されている VLS の設計は、PLAN の 052D 型駆逐艦にも採用されているが、現世代の米海軍の軍艦に搭載される Mk41および Mk57システムと顕著な違いがある。

 

中国の「ユニバーサル」システムが使用するセルは、ホットランチミサイルとコールドランチミサイルの両方の能力を持ち、米国装備より大きい。ホットランチミサイルは、メインロケットブースターがランチャー内で点火するもので、コールドランチミサイルはブースター点火の前に何らかの方法、多くの場合圧縮ガス発生装置を用いて最初に射出される。

 

高温発射のミサイルの発射の仕組みは完全には解明されていないが、発射時に炎を含むスリーブ内のセルに装填するようだ。このため、米国製のMk41やMk57に見られる、ミサイルから炎を逃がす専用チャンネルが不要になる可能性がある。このため、このセル用に設計された冷温発射ミサイルは、利用可能なスペースを最大限に生かした設計が可能となり、保護スリーブを必要としないため、熱発射型よりも大型化が可能と推測されている。

 

南昌の前方VLSアレイの全景。フレームチャンネルやその他の種類の通気口は設計上存在しない。. Chinese internet

VLSアレイが見える南昌の別のビュー。Chinese internet

アーレイ・バーク級駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズのMk41 VLSアレイの中央部チャネルから、SM-6ミサイルがホットランチングされると、炎が吹き出すのが見える。中国の055型VLSには、このような火炎放射チャンネルがない。. US Navy

 

 

アメリカ海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦USSファラガット搭載のマーク41垂直発射装置から発射されるトマホークミサイル、跳ね上げ式の火炎排気溝が特徴。US Navy

また、画像でわからないが、アレイにベントシステムがつく可能性もある。

いずれにせよ、055型のVLSアレイは、多様な種類の対空および対地ミサイルを搭載できるよう設計されている。このシステムは、少なくとも陸上攻撃および対艦巡航ミサイルのYJ-18およびCJ-10ファミリー、対艦巡航ミサイルのYJ-83、対空ミサイルのHQ-16およびHQ-9、ロケット支援魚雷のYu-8の発射が可能であると報告されている。輸出用に開発され、中国共産党が採用していない対空ミサイルDK-10も、このセルから発射できると言われている。

 

 

南昌の130mm海軍砲H/PJ-38(左)と30mm近接武器H/PJ-11(右)が見える. Chinese internet

 

VLSアレイに加えて、055型は艦首砲塔にH/PJ-38 130mm海軍砲、主上部構造の前に11バレル30mm H/PJ-11近接武器システム(CIWS)を搭載している。艦尾のヘリコプター格納庫(主にハルビンZ-9用に設計されたが、新型Z-20Fを収容できるかもしれない)の上部には、24セルのHQ-10短距離地対空ミサイルランチャーが搭載されている。H/PJ-11 HQ-10 ランチャーは、後者がアメリカ海軍で使用されているRIM-116 Rolling Airframe Missile (RAM) ランチャーに大きく似ており、どちらも近接防御、特に向かってくる対艦巡航ミサイルに対する防御を目的としている。

 

 

南昌の艦尾ヘリコプター格納庫の上には、24連装のHQ-10地対空ミサイルランチャーが取り付けられている。Chinese internet

 

タイパー055の飛行甲板は意外と広く、大型のヘリコプターでも十分なスペースが確保されている。

 

南昌の上面写真では、4基の726シリーズ防御用ランチャーがよく見えるが、ち2基は上部構造物の後部の両側に取り付けられている。これらの24セルランチャーには、照明弾、レーダーを眩惑するチャフを満載したカートリッジ、小型無線周波ジャマーを搭載したアクティブデコイ、小型深海爆薬を搭載した対潜ロケットなどが装填可能だという。前2者は主に対艦ミサイルからの防御を目的とし、後者は潜水艦、魚雷、コンバットダイバーとの交戦を想定している。

 

南昌の726系ランチャーは左右に2基ずつ、計4基が見える。 Chinese internet

 

 

055型駆逐艦に搭載された726型ランチャーがデコイや対潜ロケットを発射する様子を映した中国国営放送の以前の放送のスクリーンショット。 CCTV capture via YouTube

 

しかし、おそらく最も興味深いのは、南昌の艦橋上部縁に沿って取り付けられた箱型のアンテナの配列が非常に鮮明に見えることだ。055型設計の特徴であり、これまで不明だったが、情報筋は、同艦の電子戦(EW)スイートの重要部分と推測している。

 

 

南昌の艦橋の上に設置されたこの箱型のアンテナの配列は、すべての055型駆逐艦の特徴であるが、何か謎めいたものがある。Chinese internet


055型がある程度の電子戦(EW)と電子支援措置(ESM)能力を有していると理解されている。これには、電子攻撃能力、潜在的な敵対レーダーや他の信号放射体の発見、追跡、分類能力が含まれるとされる。

 

EW/ESMシステムは、部分的には、前部上部構造の側面の下部(および格納庫構造の両側)に設置された固定面アレイで、364B型ドラゴンアイ・アクティブ電子走査アレイ多機能レーダーと混同しないように注意する必要がある。このレーダーは、敵対するレーダーやその他の信号の発信源を発見、追跡、分類するだけでなく、ある程度の電子攻撃を実行する能力も備えている。

 

Sバンドのドラゴンアイレーダーは、艦の統合マストに取り付けられた固定面スキャンアレーアンテナを利用したXバンドレーダーで補完され、より小型でステルス性が高く、高速移動するターゲットを正確に追跡し、武器誘導を行うことができるようになった。マストには、EW/ESMシステムや追加レーダーと連動できる固定フェースアレイが追加されている。

 

南昌の364B型ドラゴンアイレーダーに関連する前部左側の固定フェースアンテナは、ブリッジ下の上部構造の側面に見られる。右側には、左側の艦橋翼の下にある別の長方形の固定面アンテナの小さな部分が見えるが、これは同艦の電子支援電子戦装備の一部と理解されている。 Chinese Internet

 

 

南昌のXバンドレーダーに関連する2つの長方形の固定フェースアンテナが、統合マストの基部に向かって見えている。Xバンドレーダーに関連するものの上に取り付けられているマスト上の小型の固定面アンテナは、電子戦システムまたは他のレーダーの一部である可能性がある。この画像の左下には、364B型レーダー用の大型背面アンテナの1つも見える。 Chinese internet

 

055型は基本的な航法レーダー、船首搭載型および牽引型ソナー、電気光学および赤外線センサーシステムも備えている。

 

 

電気光学および赤外線フルモーションビデオカメラを搭載した複数のセンサータレットと思われるもの、航法レーダー、その他各種通信システムに関連する多数のアンテナなどが、南昌の上部を広く撮影した写真に写っています。また、艦橋後方の上甲板には白い容器に入った救命いかだ、マスト後方の上部構造物中央部にはフラッシュマウントされた排気筒が見える。Chinese internet

 

外国艦艇と比較して欠けていると思われるのは、大型通信ドームだ。小型の衛星通信システムがいくつか見られ、大型のものも1つあるが、これらの艦船や他の中国軍艦の長距離安全通信とネットワーク能力について疑問を抱かざるを得ない。もちろん、地域内で活動する場合には、それほど差し迫った問題ではないが、中国がその海軍、特に055型に世界的な展開の野心を持っていることを考えると、これは熟考すべきことである。

 

南昌をトップダウンで見ることで、055型の設計が現代的であることがよくわかる。これらの艦船は、近年、PLANが能力を向上させ、兵力投射能力の拡大に行ってきた多大な努力の代表例だ。これらの艦船を建造するスピードは、中国が海軍の近代化目標を支えるために確立した素晴らしい造船事業の産物だ。

 

昨年、南昌は055型として初めて空母護衛艦として航行した。同型艦は、PLAN空母艦隊が成長するにつれて、主要な役割を果たす予想がある。同時に、中国沿岸から遠く離れた場所での活動を任務とする他の水上戦闘グループの重要な構成要素となり、独立した作戦を実施することも可能になると思われる。

 

このように考えると、PLANが055型を台湾を正面から狙う一連の攻撃的な演習に参加させようとしていることは、驚くべきことではない。この訓練は、ナンシー・ペロシ米国下院議長が台湾を訪問したことへの直接的な報復である。

 

中国共産党系新聞「環球時報」の報道によると、台湾上空でのミサイル発射など、前代未聞の危険な武力行使が行われる可能性があるという。演習は明日から週末にかけて行われる。

 

もちろん、055型はその能力を実戦で一回も発揮していないことは注目に値する。また、これらの駆逐艦や各種サブシステムがどのような基準で建造されたのかも不明である。6月には、イタリアの防衛ニュースサイト Geopolitica.infoが、パキスタン海軍が中国製のズルフィカー級フリゲート艦に大きな問題を抱え、エンジン、武器システム、センサーなど主要システムに問題が発生しているとする記事を掲載した。ズルフィカーは、パキスタン向けに開発された053H3型に改良を加えたものである。同報告は未確認のままであるが、中国の新型軍艦が実際にどの程度の能力を持つのか、見た目や書類上のステータスがいかに印象的であっても、未知の部分が多いことを思い起こさせるものである。

 

いずれにせよ、今回公開された「南昌」は、中国の超巨大駆逐艦で最も見栄えのするものであり、今後数年間でさらに同型艦を目にすることになると思われる。■

 

Our Most Detailed Look Yet At China’s Type 055 Super Destroyer

BYJOSEPH TREVITHICKAUG 3, 2022 6:44 PM

THE WAR ZONE

 



2022年2月10日木曜日

PLANの055型レンハイ型大型駆逐艦の実力とは。大型艦に強力な装備を搭載した手強い存在なのか、それとも....?

 米海軍は055型を巡洋艦と認識していますが、PLANは一貫して駆逐艦と呼んでいます。

 

055型レンハイ級巡洋艦のVLS二基は、米海軍のMk41VLSより大型だ。

 

055型レンハイ級は多くの点で中国海軍PLANによる米海軍イージス巡洋艦への対抗策だ。大型重装備の同級各艦は中国空母の護衛を任務とする。新たに入手した情報から同級の建造物が続いているようだ。


 

8隻完成ずみの055型レンハイ級巡洋艦が存在感を増している。PLAN保有の水上戦闘艦中で最大の戦力を有するは疑う余地なく、新情報として2隻が大連で建造中だと判明した。

 

055型初号艦は南昌(101)で2017年6月進水し、その後7隻が大連、上海で建造された。排水量13千トンと現在建造中の水上戦闘艦として世界最大だ。米イージス巡洋艦より約25パーセントほど大きい。

 

20年前の中国艦艇は西側、ロシア双方に大きく遅れを取っていた。米国がイージス搭載防空駆逐艦の建造を進める中で、中国艦は短距離ミサイルしか搭載していなかった。だが055型の登場で米海軍タイコンデロガ級イージス巡洋艦に匹敵する艦が生まれた。

 

米海軍のイージス戦闘システムの中核は強力なAN/SPY-1パッシブ電子スキャンアレイ(PESA)レーダーだ。大型のフェイズドアレイで、各艦に4基搭載し全方向を監視する。これに高度自動化と統合機能を組み合わせ、優秀な状況認識能力が実現する。これまで中国の装備品は数十年遅れている観があった。

 

大連で艦艇二隻の建造が始まっている。分析したところ055型巡洋艦二隻のようだ。

 

これが2000年代になると変化し、中国艦艇が一気に近代化した。そのひとつが052C型ルーヤンII級で中国版のイージス駆逐艦とされる。052型は052D型ルーヤンIIIに発展し、346Aフェイズドアレイレーダーを搭載した。AN/SPY-1と異なり、これはアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)だ。

 

055型には346B型の最新装備が搭載されている。イージスと実戦でどんな違いがあるのかは非公表だ。ただ明らかなのは中国製装備品が成熟度を上げており、確実に改良されていることだ。中国部隊にも同様の状況認識能力が実現していると考えてよい。

 

重武装


高性能レーダーに組み合わされる垂直発射管システム(VLS)が各種兵装を運用できる。対空ミサイルに加え、対潜、対地攻撃用だ。055型のVLSはタイコンデロガの122より少ない112だが、セルは大型になっている。ただし兵装装てん方法が異なる。この違いは技術の差というより運用方法と優先順位の違いだろう。

 

防空装備はきわめて類似している。中国のHHQ-9ミサイルにはロシアS-300の影響が色濃く、米スタンダードミサイルと似た役割を想定している。米海軍ではESSM短距離防空ミサイルも搭載しており、VLSセルに短時間で装てん可能だ。中国055型にはこれに匹敵する装備はないと思われるが、かわりに24連装のHHQ-10短距離装備がつく。米中ともに近接対空装備CIWSを搭載する。

 

また中国のYu-8対潜ミサイルはおおむね米海軍のVL-ASROCに近い。

 

狙いが違う

 

中国艦では対水上艦戦に重点を置いている。このためYJ-18長距離超音速対艦ミサイルを搭載している。同ミサイルと比較するとタイコンデロガ級のハープーンはいかにも小型で旧式に映る。ハープーンは最大8発搭載するが、055型はもっと多くのYJ-18を積める。

 

一方でタイコンデロガ級はトマホーク対地攻撃巡航ミサイル(LACM)を搭載する。055型もLACMとしてYJ-18を利用するようだ。中国には巡航ミサイルを多数そろえており、055型にLACM運用能力がないとは考えにくい。

 

そして兵装面で大きな違いは対弾道ミサイル(ABM)能力だ。米イージス艦はRIM-161(SM-3)ミサイルで中距離弾道ミサイルの迎撃が可能だが、中国艦にはこれに匹敵する装備は導入していないようだ。

 

中国独自の装備として055型で対艦弾道ミサイル(ASBM)を将来導入するとの予想がある。この場合は大型といえども現行VLSの改装が必要となろう。

 

米巡洋艦は一世代前の設計


米中の巡洋艦で最大の違いは艦齢だ。055型は外観、設計思想で一世代新しい。055型の傾斜つき構造とクリーンな艦橋まわりはタイコンデロガ級の角ばった外観と対照的だ。ただ外観だけで戦闘艦の能力は比較できない。とはいえ、米艦が長期にわたり供用されていることは明白だ。

 

タイコンデロガ級は40年近く供用され、退役があと数年というところになってきた。一番古いUSSバンカーヒルの退役は来年の予定だ。各艦には、巡洋艦の後継艦はない。かわりにアーレイ・バーク級駆逐艦の最新仕様艦が想定される。

 

アーレイ・バーク級の最新版フライトIIIはタイコンデロガ級より新しいものの、055型と比較すれば基本設計が1980年代と古い。かつ、艦容は中国艦より小さく、VLSセル数も少ない。もちろんそれだけで米駆逐艦が055型に劣るわけではない。多くの面で両艦は近い存在だ。

 

重要なのは、艦設計を比較しての議論があることだ。20年前は比較対照がなかった。今や、中国艦艇は、そのような議論を成立させるだけの威容を示している。

 

問題は現在大連で建造中の最新055型が先に建造された8隻と異なるのかだ。ASBMはじめ新装備を搭載する可能性は十分ある。■

 

 

Bigger Than A US Navy AEGIS Cruiser: China Is Building More Type-055s - Naval News

H I Sutton  12 Jan 2022


2022年1月9日日曜日

PLANの2021年主要就役艦を見る。055型、052DL型など。17万トンを一気に就役させたPLANは東アジア海軍軍拡をスタートさせてしまった。今後は揚陸艦整備に中心を移すのか

 

055型DDG、052D型DDGが空母遼寧に随行したPLANのCSGがUNREPでAORが三隻に同時に燃料補給している。

 

民解放軍海軍(PLAN)の2021年は実り多い年となった。誘導ミサイル駆逐艦少なくとも8隻、強襲揚陸艦(LHD)2隻、原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)1隻が新たに加わった。

 

東海艦隊に編入された水上艦では皆無だった。同艦隊は台湾海峡を専門とする。かわりに南海、北海艦隊(朝鮮、日本、南シナ海)に新型艦が配備されPLANは外洋での戦闘能力を増強した。

 

055型駆逐艦 

055型駆逐艦ラサ(102)、南昌(101)

 

 

VLS112セルを搭載し、NATOでは巡洋艦の分類を受ける(レンハイ級CG)055型は中国艦隊最強の戦力を誇る水上戦闘艦である。一号艦南昌が2020年末に就役し、計四隻が2021年までに配備された。

 

055型駆逐艦は建造中艦艇で世界最大だ。全長180メートル、全幅20メートル、満載排水量は13千トンで、比較すると米海軍タイコンデロガ級巡洋艦及びフライトIII仕様のアーレイ・バーク級駆逐艦は9,800トン、英海軍45型は8,500トンだ。PLANの制式名称は「10千トン級駆逐艦」となっている。米国防総省は2017年以来一貫して「巡洋艦」と呼んでいる。

 

055型の兵装

 

  •  130 mm H/PJ-38 主砲x1

  • VLS 112セル

  • H/PJ-11 CIWS x1毎分 10,000 発発射

  • HQ-10 短距離ミサイル

  • デコイ発射装置

  • 魚雷

 

VLSセルは64が前方、48が後方に配備されている。052D型駆逐艦搭載のと同じで、ミサイルはホット、コールド両用の発射方式に対応する。これは集中キャニスター発射装置Concentric Canister Launcher (CCL)を採用したことで可能となった。

 

中国ミサイルはすべて全長が9メートル、直径0.85メートル未満に統一されており、VLSセル運用が可能だ。

 

PLANは055型一号艦にHQ-9B対空ミサイルを搭載し、射程200Kmとした。YJ-18A対艦ミサイル、YJ-18派生型の新型中距離対空ミサイルも052D型駆逐艦で導入済みだ。また新型対潜ミサイルYu-8Aも運用可能だ。

 

052DL型駆逐艦

052DL型駆逐艦開封Kaifeng (124) が実弾発射を北海艦隊の演習で行った。2021年秋。開封は全長を延長したDL型では6号艦、052型では19号艦となる。

 

 

055型は建造費が高いが、やや小型ながら経済性の高い052DL型も昨年PLANに5隻就役している。中国初の多用途駆逐艦としてPLANで重要な位置づけとなっている。

 

  • 苏州Suzhou (132)

  • 淮南Huainan (123)

  • 南寧Nanning (162)

  • 開封Kaifeng (124)

  • 桂林Guilin (164)

  • 湛江Zhanjiang (165) *未確認*

 

052D型昆明Kunming級(NATO制式名称ルーヤンIII型)は中国海軍で最新の誘導ミサイル駆逐艦(DDG)で、先に出た052C型DDGと艦体は共通だが、052D型ではセンサーと兵装で改良点が多い。各艦は米イージス駆逐艦に相当する存在とされる。

 

 

同級の建造は上海、大連の造船所二カ所で続いており、一号艦昆明(172)は2014年3月就役している。

 

排水量7,500トン、全長157メートル、全幅17メートルで280名が乗り組む。

 

052D型は外洋運用を主眼とし、052C型とほぼ同じ艦容だが戦闘システムを向上し、中国海軍のめざす「小幅改良で迅速発展させる」方針を体現する存在だ。

 

VLSで対空、対潜、戦術巡航ミサイルを運用する。三連装魚雷発射管も搭載している。

 

14号艦淄博Zibo(156)から052DL型となり、全長を4メートル延長した。ヘリコプター格納庫と飛行甲板がこの恩恵を受ける。Z-20新型ヘリコプター搭載を想定と思われ、ハンガーは同ヘリ2機を格納できる。517B型レーダーが052D型に搭載されたが、有効距離を延長した新型レーダーに変更されており、低電力消費ながらステルス機探知が可能といわれる。

 

075型 LHD

075型 LHD海南 (31)の艦上に昌河Changhe Z-18ヘリコプター多数がみられる

 

「攻撃用艦艇」に加え、2021年にヘリコプター空母二隻がPLAN艦隊に加わった。075型強襲揚陸艦海南Hainan(31)と広西Guangzi(32)だ。これで中国もLHD運用国に加わった。噂のあるカタパルト発艦無人機空母076型の登場も今後予想されるが、071型LPD8隻の建造も進み、大型水上戦闘艦で整備が一段落するとPLANは揚陸艦建造に中心を移すとみられる。台湾海峡の緊張が高まる中、建艦部門は東海艦隊に焦点をあてそうだ。

 

中国海軍は075型開発を2011年開始した。ヘリコプター空母で排水量30千トン超を想定し、狙いは「垂直」強襲揚陸能力の整備で台湾東部の山岳地帯を念頭においているようだ。

 

性能諸元では公開情報では「排水量36千トン」「ヘリコプター28機運用」「ディーゼルエンジンは12,000 kWの16PC2-6B」「CIWSx4、HQ-10x2、H/P-11x2」とある。

 

075型は米海軍LHAよりやや小ぶりに見えるが、フランス、スペイン、オーストラリア各国のLHDより大型である。イタリアが計画中のトリエステ級LHDにかなり近い艦容だ。

 

075型初号艦は記録破りの短期間で建造され、中国の艦艇建造は極端なまで早いペースで行われており、他国が追随できない。PLANはLHD8隻を発注といわれ、さらに大型艦076型の計画で噂がある。

 

075型LHDはPLANの揚陸作戦能力を従来の071型LPDから高次元に引き上げるだろう。

 

094型 SSBN

094 型SSBN 長征18

 

 

094型(NATO名称晋級)原子力推進弾道ミサイル潜水艦(SSBN)の少なくとも一隻が2021年4月に就役している。

 

長征Chanzheng18は094型6号艦あるいは7号艦で艦番号421がついた。初号艦は2007年就役している。

 

094型はJL-2型SLBM12発を搭載し、推定射程は7,400 km (4,600 mi)とされる。艦の全長は135メートルだ。

 

総評

 

これだけの規模の建造を進めた2021年のPLANだが駆逐艦部隊だけ見てもVLS合計768セルが追加されたことになる。これ以外に小型054A型フリゲート艦、056Aコルベット艦もある。結局、2021年にPLANに就役した艦艇は総合計170千トンと、太平洋で他の追随を許さない。日本が海軍力整備に本腰を入れ、南朝鮮も外洋海軍整備に乗り出す中で、同地域は100年前の再現のような海軍軍拡レースに入ろうとしている。■

 

 

PLAN in motion: Chinese Navy's Massive Ship Commissionings in 2021 - Naval News

Naval News Staff  06 Jan 2022

 

About the author:

Lia Wong is a student and aspiring polyglot passionate about OSINT. With experience in translating live media on political movements in Asia, she prides herself on her print and social media gathering/analysis talents. Young and eager, she focuses particularly on Western Pacific forces and the geopolitical impact of their interactions. Her Twitter handle is @LiaWongOSINT.