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2026年6月17日水曜日

ドイツ海軍がMQ-9Bを導入し、P-8ポセイドンと連携運用しロシア潜水艦の探知追尾を行う

 

ドイツ海軍はMQ-9Bシーガーディアン無人機の初号機を2028年に受領する(ドイツ連邦軍)

ドイツ海軍はP-8とMQ-9ドローンを連携運用しロシア潜水艦を監視する

‘The threat is there’: Germany to pair P-8s with MQ-9 drones to keep an eye on Russian subs

「MQ-9Bは、我々がP-8と共同運用する最初の(無人)システムとなる。これらのシステムを航空機と緊密に連携させるのが狙いだが、段階的に進めていく」と、ドイツ海軍航空司令部のブロダー・ニールセン大佐は述べた。

https://breakingdefense.com/2026/06/the-threat-is-there-germany-to-pair-p-8s-with-mq-9-drones-to-keep-an-eye-on-russian-subs/


ベルリン発 — ドイツは、北欧海域におけるロシア潜水艦の監視を目的にP-8A対潜哨戒機とMQ-9B無人機を組み合わせた有人・無人チームを運用する計画であると、軍高官が述べた。

「脅威は確かに存在する」と、ドイツ海軍航空司令部のブロダー・ニールセン大佐は木曜日にベルリン航空ショーで記者団に語った。「自分のすぐそばに正体不明の潜水艦が潜んでいるのは誰も望まないだろう。……ロシア潜水艦がどこにいるか、把握しておいたほうがよい」

ニールセン大佐はさらに、ロシアの潜水艦による脅威が高まると予想しており、欧州諸国はこの動向を注視していると付け加えた。4月、ドイツは初めてボーイングP-8Aポセイドン海上哨戒機をスコットランドに展開し、英国空軍(RAF)と北大西洋で共同哨戒を行い、ロシア潜水艦活動を追跡した。

ニールセン大佐によると、この展開は2024年に署名された「トリニティ・ハウス協定」に基づき実施されたもので、ドイツのP-8Aを英国空軍ロッシーマス基地へ随時派遣し、同基地の英国ポセイドン部隊と共同作戦を行えるようにする。ドイツはP-8Aを8機発注しており、昨年1号機を受領した。

さらに同国は1月、ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズとMQ-9Bシーガーディアンを8機調達する契約を締結しており、最初の納入は2028年を予定している。

「MQ-9Bは、我々が運用する最初の(無人)システムとなる。構想としては、これらを航空機と緊密に連携させて運用することだが、段階的に進めていく」とニールセン大佐は述べ、海軍ではP-8と無人システムを併用した運用をまだ試みていないため、この組み合わせの運用化には時間がかかると指摘した。

ジェネラル・アトミックスのデイブ・アレクサンダー社長は本誌に対し、対潜戦能力を備えたMQ-9Bについて、同社と正式に契約を結んだ最初の国はドイツであると語った。

同社幹部は、ドローンとP-8Aによる有人・無人チーム運用における潜在的な活用事例について詳しく説明した。P-8Aは、潜行中の潜水艦の追跡を支援するソノブイを100個以上搭載・投下することができる。

「P-8がソノブイの敷設を行う間、MQ-9Bでその上空を飛行し、継続的に監視を行うことができる。これにより、P-8は空中給油のために離脱する時間を得られる。必要であれば、2日間飛行し続け、そのエリアを監視し、視認情報を提供し、航跡データを収集するISR能力を提供できる」とアレクサンダーは述べた。

敵潜水艦がソノブイの敷設位置を突き止めた場合、ドローン自体から追加のブイを投下し、P-8をバックアップとして呼び出すことも可能だと彼は付け加えた。

ドイツは2030年までにMQ-9Bの全機を受領する見込みだ。■


2026年6月3日水曜日

バルト海のゴットランド島がNATO防衛の拠点になってきた ― 欧州はそれだけロシア侵攻を現実のものと受け止めているのです。それにしてもプーチンはロシアを誤った方向に導いていますね

 


写真:ビクター・ジャック

NATOはバルト海の防備を整備しプーチンに対抗

NATO prepares a Baltic fortress to head off Putin


米国との安全保障関係が疎遠になる中、ゴットランド島はロシアの攻撃に備えている

  • POLITICO

  • ヴィクター・ジャック

  • スウェーデン・ゴットランド島発

https://www.politico.eu/article/nato-prepares-a-baltic-fortress-to-head-off-putin/


NATOは、風雨にさらされるバルト海の島を急速に要塞化している。軍事立案部門は、この島をロシアに対する同盟の最前線として、戦略的に極めて重要な拠点の一つと見なすようになってきている。

バルト海の真ん中に位置するゴットランド島は、ロシアの重武装された飛び地であるカリーニングラードからわずか300キロメートルの距離にある。ロシアの侵略、ハイブリッド攻撃、そして欧州の安全保障に対する米国のコミットメントの揺らぎに懸念が高まる中、スウェーデンとNATO同盟国は、ゴットランド島を再び軍事要塞へ変えるべく急ピッチで動いている。

先週、スウェーデンは2024年のNATO加盟以来、同島で初めてとなるNATO主導の演習を終了した。13カ国から約1万8000人の兵士が、ロシアによる攻撃に備え、ゴットランド島の埃っぽい平原で訓練を行った。

島の西側で兵士たちが装甲車の間を縫うように移動する中、スウェーデンのマイケル・クレッソン国防参謀総長は本誌に対し、ロシアの攻撃は「いつ起こってもおかしくない」と語った。

演習は、スウェーデンが直面する困難を浮き彫りにした。米国は参加規模を縮小した(ドナルド・トランプがNATOから距離を置くという大きな流れの一環である)上、訓練に参加したウクライナ軍は、スウェーデンの装甲部隊を瞬く間に撃破することで、ドローン戦術での熟練ぶりを披露した。

全面戦争には至らないものの、ロシアによる目立たないハイブリッド攻撃への対応を調整する必要もある。

「ロシアの活動が著しく活発化している……ケーブル切断、ドローンの上空飛行、スパイ活動事例多数が見られる」と、シンクタンク「アトランティック・カウンシル」の北欧担当ディレクター、アンナ・ヴィースランダーは述べた。「米国の関与について不確実性が大きい状況下では……ロシアがこれを好機と捉えるリスクが高まる」

不沈空母

デンマーク、スウェーデン、そして一時的にロシアとの間で支配権が移り変わってきたゴットランド島は、極めて重要な戦略的資産である。

スウェーデン国防参謀総長ミカエル・クレッソン。 | ビクター・ジャック/POLITICO

「現代の(兵器)システムの射程と配置を考えれば、ゴットランド島を掌握すれば、バルト海の多くを掌握できる」と、政府系機関スウェーデン国防研究庁の副所長、ニクラス・グランホルムは述べた。

同島は、この地域全域における航空作戦の重要な発進拠点としての役割から、「沈まない空母」という異名を持つ。同氏によれば、そこから離陸した戦闘機は、バルト海のどの首都にも「数分以内」に到達できるという。

ロシアが同島を占領し、防空システムを配備すれば、バルト三国やフィンランドへ物資を輸送する船舶や航空機を遮断し、同盟国の増援部隊の流入を断つことができると彼は主張した。逆にNATOがゴットランド島を保持すれば、モスクワのバルト海へのアクセスを遮断し、長距離ミサイルを用いて地域を防衛し、ロシア国内の深部まで弾薬を発射することが可能になる。

ロシアの脅威に対応し、ストックホルムは人口6万人の同島の再軍事化を急速に進めている。これは、冷戦後にゴットランド島にわずかな兵力しか残さなかった兵力削減の流れを逆転させるものだ。スウェーデンはインフラ整備に2億ユーロ以上を投資し、防空システムを再稼働させ、CV90装甲車とレオパルト2戦車を装備した連隊を再編成した。

ゴットランド連隊の司令官アンドレアス・グスタフソンは本誌に対し、「1年以内に」4,500名の現在の駐留部隊に「少なくともさらに1,000名」の輪番部隊が加わると語った。同氏はまた、長距離砲兵部隊が「早ければ」合流することを期待していると付け加えた。同島には2028年から、新しい中距離防空システム「IRIS-T」が配備される見込みだ。

ヴィースランダーによると、想定されるシナリオの一つに、ロシアが民間船を利用して島へ部隊上陸を密かに試み、その際、無線信号を妨害し、ドローンで防空システムを無力化するというものがあるという。

ゴットランド連隊司令官のアンドレアス・グスタフソン。 | ヴィクター・ジャック/POLITICO

こうした懸念はあるものの、特に2024年にスウェーデンがNATOに加盟して以来、ゴットランド島の安全保障は現在「良好な状態」にあると彼女は付け加えた。

演習は多国籍協力を検証することを目的としており、カナダとデンマークの兵士、フィンランドのF-18戦闘機、英国の狙撃兵、米国とノルウェーの海兵隊、そしてオランダのアパッチヘリコプターが結集した。

スウェーデンの同盟加盟は「我々が計画を再設計したことを意味する」と、ヴァージニア州にあるNATO統合司令部の計画担当副参謀長フランスのフレデリック・ド・ルピリー海軍少将は述べた。

ゴットランド・ギャップ

ロシアによる正面からの攻撃に備えるだけでなく、ゴットランド島はモスクワからのハイブリッド脅威の増大にも直面している。

過去18ヶ月間で同島では重要なポンプが破壊され突然の水漏れが発生し、海底光ファイバーケーブルの切断に見舞われ、航空機から救急車に至るまであらゆるものに影響を及ぼす電波妨害が頻繁に発生している。

クレッソン陸軍参謀総長は、こうしたハイブリッド攻撃について「かなり懸念している」と述べた。「明らかにロシアの戦略は……弱点や脆弱性を特定し、それらを最大限に利用しようとすることにある」と彼は付け加えた。

スウェーデン軍の訓練を支援している、ウクライナ中部出身のドローン操縦士、タリク(24歳)。| ビクター・ジャック/POLITICO

その他NATO加盟国と同様、スウェーデンも米国の支援が減少、あるいは全くない状況下で戦わなければならないという差し迫った見通しに直面している。この1ヶ月だけでも、トランプはドイツとポーランドからの突然の部隊撤退を発表し欧州を不意打ちにし、さらなる長期的な戦力削減を示唆し、同盟の信頼性を損ない、ワシントンの信頼性についてさらなる疑問を投げかけている。

その揺らぎを示す兆候として、事情に詳しい人物によると、米国はゴットランド演習への派遣兵力を大幅に削減した。米陸軍欧州・アフリカ軍(USAREAF)の広報担当者は本誌に対し、「各国からの参加規模は計画段階で変更されることがよくある」と述べ、それでも300人の米兵が参加したと指摘した。当初の計画人数については明らかにしなかった。

一方で演習に参加した米軍兵士らは、軍同士の絆は依然として強固であると主張した。「我々の部隊は極めて良好に連携している」と、ゴットランド島に派遣された米海兵隊大隊の指揮官、トラヴィス・チェンバレン中佐は述べた。「我々は高いレベルの統合を目の当たりにしてきた……部隊をどのように保護し、島全体で兵站支援を提供するかについて、非常に詳細な統合安全保障計画に取り組んできた」と、彼は兵士たちが芝生の囲いの中でスウェーデン軍兵士と交流する中、語った

GDPの2.5%を防衛費に充てるNATO加盟国の中でもトップクラスの防衛費支出国であり、強力な国内兵器産業を有するスウェーデンは、「ゴットランド島の防衛において米国に依存していない」とヴィースランダーは述べた。しかし、ペイトリオットPAC-3ミサイルや装備の整備といった後方支援など、特定の兵器システムに関してはワシントンの協力が必要だと彼女は述べた。

今回の演習は、ドローンによる大規模攻撃という新時代の到来も浮き彫りにした。この分野において、ウクライナとロシアは革新性と生産能力の面で同盟国を大きくリードしている。

ゴットランド島に派遣された米海兵隊大隊の指揮官、トラヴィス・チェンバレン中佐。 | ビクター・ジャック/POLITICO

コールサイン「タリク」というウクライナ中部出身の24歳のドローン操縦士によると、ウクライナ兵17名がドローンを展開してスウェーデン軍部隊を殲滅したため、スウェーデン軍は演習の一部を3回にわたりやり直すことを余儀なくされたという。

「最大20両の戦車が機械化攻撃を仕掛けるというシナリオの任務があった」と彼は本誌に語った。その背後では、継ぎ接ぎされた片道攻撃用ドローンが田園地帯の空を飛び交っていた。「ただドローンを飛ばしただけだ。敵は全部見えたから、格好の標的だったよ」と彼は言った。

さらなる事態への備え

スウェーデン、NATOは、これらの問題に対処するため懸命に取り組んでいると主張している。

最近のハイブリッド攻撃を受けて、地域政府の責任者メイト・フォーリンは、沿岸警備隊、警察、消防、軍、病院、水道・エナジー事業者らと「毎週」会合を持ち、エナジー不足から物資の封鎖、地元の港への武力攻撃に至るまで、あらゆる想定されるシナリオへの対応策を策定していると述べた。

「あらゆる事態を把握しておかなければならない」と、島の中世からの首都ヴィスビーにあるオフィスから彼女は語り、現在、島内の全92の教区と連携し、あらゆる危機シナリオへの対応方法を指導していると付け加えた。

ゴットランド連隊長のグスタフソンは、ウクライナのドローン部隊から即座に教訓を得ていると語った。「彼らが実際に使用し、日々直面しているドローンの数には驚かされた」と彼は述べた。「私が得た最大の教訓は、我々もドローンを用いた訓練を増やさなければならないということだ」

ゴットランド島の事実上の市長メイト・フォーリン。 | ヴィクター・ジャック/POLITICO

しかし、同盟にとってゴットランド島が重要であることを踏まえると、一部の首都では依然として、NATOはさらに多くができるはずだと指摘している。匿名を条件に自由に発言した2人のNATO外交官は、ロシアを牽制するため、同盟はゴットランド島に長距離防空システムを恒久配備することを検討すべきだと述べた。

「鍵は、モスクワに主導権を握らせないことだ」とクレッソン氏は語った。「我々は手をこまねいて、ロシア軍の再編がどの程度進むかを待っているべきではない」とスウェーデンの国防相は述べ、「その代わりに、常に警戒を怠らず、準備を整えておくべきだ」と続けた。

2026年5月22日金曜日

イラン戦争で米欧の戦略的同盟が崩壊する姿を我々は見させられているのだろうか

 French President Emmanuel Macron, Italian Prime Minister Giorgia Meloni, British Prime Minister Keir Starmer, and German chancellor Friedrich Merz, arrive at the Elysee Palace to talk about navigation in the Strait of Hormuz, on April 17, 2026.

2026年4月17日、ホルムズ海峡の航行問題について協議するため、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、イタリアのジョルジア・メローニ首相、英国のキア・スターマー首相、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相がエリゼ宮に到着した。Jeanne Accorsini/Sipa - WPA Pool/Getty Images

欧州大陸はワシントンに頼るべきではないと学びつつある

  • Defense One 

  • ファラ・N・ジャンペンシルベニア大学上級講師

  • 2026年5月19日 午後2時45分(米国東部時間)

2026年2月28日に米国とイスラエルによるイランへの攻撃が始まって数日後、スペインのペドロ・サンチェス首相は、70年以上にわたり米軍が駐留してきたロタ海軍基地とモロン空軍基地の使用を米軍に拒否した。

「我々は主権国家であり、違法な戦争には加担したくない」とサンチェスは述べた。これに対し、ドナルド・トランプ米大統領はスペインに対する全面的な貿易禁輸措置をちらつかせて応じた。

数週間後、トランプの欧州における最も親密な同盟国で彼の2回目の就任式に招待された唯一のEU首脳イタリアのジョルジア・メローニ首相が、ワシントンとの決別を公然と表明した。

「意見が合わない時は、そう言わなければならない」と彼女は述べた。「そして今回、我々は同意しない」。その後、ローマは南イタリアの基地での米軍爆撃機への給油を拒否した。

これらは些細な外交上の摩擦ではない。同盟政治と核安全保障の研究者として、筆者は戦術的な意見の相違よりはるかに大きなものを見ている。イラン戦争による最も重大な犠牲者は、テヘランにいるわけではないかもしれない。それは同盟国としての米国の信頼性であり、それとともに、大西洋横断同盟そのものかもしれない。

イラクとの比較は誤解を招く

米国とイスラエルによるイランへの空爆は、欧州同盟国との事前の協議が事実上一切ないまま実行された。トランプ政権は、NATO加盟国を戦略的意思決定の参加者としてではなく、徴用されるべき、あるいは支援を拒否した場合には懲罰の対象となる後方支援のインフラとして扱った。

欧州各国政府は、米国との関係が最も深い国々でさえ、作戦への参加を拒否した。これに対しトランプ政権は、スペインへの禁輸措置の脅しや、ドイツからの米軍5,000人の撤退をもって応じた。

「米国は決して忘れない!!!」トランプは2026年3月31日、Truth Socialにこう投稿した

ワシントンでは、これを2003年の再来と見なすのが常だった。当時、フランスとドイツはイラク戦争に反対した。2003年1月、ドナルド・ラムズフェルド国防長官は、フランスとドイツを「旧ヨーロッパ」と一蹴し、ポーランド、チェコ、ハンガリーを含むポスト共産主義の「新ヨーロッパ」に接近を図った。

一見、この類似点は説得力がある。中東での米国による一方的な戦争、欧州の参加拒否、そして大西洋を挟んだ非難合戦。

しかし、この比較は隠れているものの方が多い。2003年、米国は欧州を連合に加えたがっていた。ジョージ・W・ブッシュ政権は国連の承認を求め、同盟国を懐柔し、欧州の拒否を対処すべき問題として扱った。

2026年、トランプ政権は欧州の関与をそもそも望んでいない。同政権は同盟国をただ乗りと見なし、経済的強制で威嚇している。同盟国の躊躇を交渉の材料ではなく、報復の理由として扱っているのだ。

より根本的な違いは構造的だ。2003年当時、大西洋横断同盟は依然として、集団防衛、自由貿易、そして国際的なルールに基づく秩序への共通のコミットメントの上に成り立っていた。

今日、トランプ政権は、NATO、ロシア・ウクライナ戦争、あるいは貿易や移民を規律するルールに関しても、従来米国を欧州のパートナーと結びつけてきたコミットメントを共有していない。

2003年のイラク戦争をめぐる意見の相違を覆い隠し、ニコラ・サルコジ大統領が2009年までにフランスをNATOの指揮下へ再統合することを可能にした共有された価値観は、もはや修復の役割を果たすには存在しない。

2026年4月、ハンガリーにおけるヴィクトル・オルバーンの16年にわたる支配が崩壊したことで、トランプは主要な欧州諸国政府の中に、真剣な政治的同盟国を失った。

真の先例はスエズである

より示唆に富む先例は、さらに過去に遡る。1956年、英国とフランスは、イスラエルと連携し、スエズ運河をめぐってエジプトと戦争状態に突入したが、その計画をアイゼンハワー政権から隠蔽していた。これに対しワシントンは、英ポンドを暴落させると脅し、ロンドンとパリを屈辱的な撤退へと追い込んだ。

この危機は、英国がもはや独立した大国ではないことを受け入れた瞬間として記憶されている

しかし、そのより重要な遺産は戦略的なものであった。スエズ危機は、ヨーロッパの米国への依存の深さを露呈させた。その屈辱が、シャルル・ド・ゴールによる独立したフランスの核抑止力の追求を後押しした。また、この危機は欧州統合を加速させ、真の戦略的自律性の実現が世代を超えたプロジェクトとなるという認識を植え付けた。

イラン戦争は、その教訓の条件を逆転させている。1956年、欧州諸国はワシントンから独立して行動することはできないと学んだ。2026年、彼らはワシントンの同意が得られるとは限らないこと、そして米国が彼ら抜きで、彼らの公言した利益に反し、経済的犠牲を強いる形で行動することを学んでいる。

パターンは同じだ。米国への依存は持続不可能であり、自律的な能力はもはやオプションではない。変わったのは、欧州が今や財政的、経済的、軍事的手段を、かつては考えもしなかったような方法で活用する意思を持っているという点だ。

EUによるウクライナへの900億ユーロの共同融資は、自律的な欧州の戦略的姿勢を示している。米国による関税措置に対してEUの「反強制」貿易措置を発動する議論や、フランスの核戦力拡大、抑止力の「欧州化」の提案も同様である。

こうした戦略的姿勢については数十年にわたり議論されてきた。イランとの対立が、それらを現実のものとしている。

これはまだ欧州の戦略的自立とは言えない。欧州は依然として、米国の防空、衛星能力、情報に軍事的に依存している。

例えば、ホルムズ海峡の封鎖は、米国の液化天然ガス、ロシアのパイプライン、中東の炭化水素、そして中国が支配する再生可能エネルギーのサプライチェーンをめぐる、不快なエナジーの現実と向き合うことを強いている。エナジー安全保障への利用可能な道筋のいずれも、信頼できるパートナーを経由するものではない。

フランスとドイツは、統合をどのように進めるべきかについて、ほぼすべての詳細において依然として意見が一致していない。しかし、自律のための政治的条件――すなわち、戦略的意思決定の共有においてもはやワシントンを信頼できないという欧州共通の認識――は、過去のいかなる危機も生み出せなかった形で結晶化した。

1945年からの「大西洋横断協定」は、米国の安全保障上の保証と引き換えに、欧州が世界戦略で従属的な立場をとると定めていた。2003年のイラク戦争はその協定にひびを入れ、トランプ政権第一期は協定に亀裂を生じさせ、イラン戦争はそれを完全に破綻させた。

これに取って代わるものは、新たなパートナーシップではない。それは、時として利害が重なりつつも、戦略的展望がますます乖離しつつある二つの大国間の並行関係となるだろう。

1956年、欧州は自らがワシントンにどれほど依存しているかを学んだ。2026年、欧州はその依存がもはや持続不可能となったことを学びつつある。■

ペンシルベニア大学およびパリ政治学院(Sciences Po)の国際関係学プログラムに在籍する学生、エレニ・ロムタティゼが本記事の執筆に協力した。

Why the Iran war is breaking the US‑European strategic alliance

The continent is learning that it must not count on Washington.

By Farah N. Jan

Senior Lecturer, University of Pennsylvania

May 19, 2026 02:45 PM ET

2025年4月7日月曜日

ドナルド・トランプのロシア戦略がNATOを終焉させかねない(19fortyfive)

 

Craiyon


ランプ大統領とゼレンスキー大統領の不運な大統領執務室での会談以来、見出しではNATOの終焉、米国がSACEURポストを放棄、さらに「NATOにおける米国に代わる5〜10年計画」を策定中の欧州の取り組みが飾っている。

 大西洋の両岸関係における前例のない混乱の核心にあるのは、米国とロシアとの関係における根本的な変化で、ウクライナ停戦交渉の大きな背景だ。

 これまでのところ、交渉プロセスはモスクワに有利に働いている。というのも、政権はロシアを政治的孤立から事実上脱却させており、その一方で、ウクライナにかけた圧力に比べれば、交渉でロシアにかなりの自由度を与え続けているからだ。

 キーウが30日間停戦に同意した今回の交渉では、モスクワはウクライナの送電網への攻撃を控えるとだけ発表するとウクライナの民間人標的への攻撃をすぐ再開した。

 政策転換の第三の要素は、欧州との関係に関して政権が相対的に距離を置いていることである。 エマニュエル・マクロン大統領は欧州の「戦略的自立」の必要性を再び説き、フリードリヒ・メルツ次期ドイツ首相は欧州が米国から独立する時が来たと宣言している。

 要するに、トランプ政権がNATO生態系に与えた衝撃を受け、欧州の最大級同盟国が、自分たちの将来はもはやアメリカとともにあるのではないとすばやく決断したように見え、これは同盟の将来にとって芳しくない。

 もしワシントンが大西洋両岸関係に関し現在のまま軌道を歩み続け、ブリュッセル、ベルリン、パリが自国の安全保障を米国なしでもやっていけるかのように振る舞い続けば、論理的な結末は、NATO本部の灯が消え、SHAPEが存在意義を失うことになるかもしれない。

 トランプ政権が追求する策略は、ウクライナ戦争を含むストレスの種を排除するために、ロシアとの関係を改善するだけでなく、協力関係を構築することであることは今や明らかだろう。 ワシントンの「逆キッシンジャー」戦略が成功し、ロシアを中国から完全に引き離せなくても、少なくともこのアプローチによって、インド太平洋で米中が衝突した場合にプーチンが習近平を支持することを抑制できる。

 これがアメリカのロシアとの和解の背後にある主要なデザインならば、その成功の可能性は非常に低く、アメリカの劇的な譲歩によって代償を払わなければならないだろう。 ロシアがヨーロッパで新帝国主義を推進できるかどうかは、中国からの継続的な支援にかかっている。中国の支援がなければ、ウクライナでの戦闘を維持しながら、国内で一定の安定を保つことはできなかっただろう。

 ウクライナでの停戦交渉がどう決着しようとも、ロシアの経済的弱体化により、中国との連携を維持することが不可欠となる。

 トランプ政権の対ロシア政策再編で最も重要な側面は、ロシアの帝国的侵攻を抑止し、必要であればヨーロッパを防衛する原則に立脚した、過去80年にわたる大西洋地域におけるアメリカの国家安全保障戦略を根底から覆す危険性があることだ。

 最終的な分析では、ウラジーミル・プーチンにとって、ウクライナ戦争終結に関する交渉の結果は、ロシアがヨーロッパでどれだけの自由度を得られるか、つまり、当初の要求のどれがトランプ政権によって満たされるか、拒否されるかに関わっている。

 ここでの付随的な疑問は、アメリカの国家安全保障戦略が一連の取引に還元されるのか、それとも文化的・歴史的要因が最終的な主導権を握るのかということである。

 アメリカは帝国の時代を定義した19世紀型の国際関係に逆戻りしているのだろうか?

 米欧同盟は間違いなく、この80年間で最も困難な時期を迎えている。

 ロシア帝国主義を理解する上で、ワシントンが基本に立ち返ることは極めて重要である。

 また、NATOが空洞化し、19世紀型のヨーロッパ勢力圏に戻る可能性が、ヨーロッパ大陸だけでなく、おそらく太平洋を含む他の地域でも、アメリカの国益にどんな意味を持つかを理解しなければならない。■

Donald Trump’s Russia Strategy Could End NATO as We Know It


By

Andrew A. Michta


https://www.19fortyfive.com/2025/03/donald-trumps-russia-strategy-could-end-nato-as-we-know-it/?_gl=1*wgglv0*_ga*MTE2OTcwMTA1OS4xNzQzMDI0NDkx*_up*MQ..


ルールに基づく秩序は神話だった:ウクライナ危機を煽ったのNATOだった(19fortyfive)

 MLRS like those used in Ukraine. Image Credit: Creative Commons.

韓国陸軍の第5砲兵旅団によるMLRS戦闘射撃訓練。



西側諸国の指導者たちは、ルールに基づく国際秩序を支持すると主張しているが、実際の行動はこの理想と矛盾することが多い。NATOは、ロシアが安全保障上の「レッドライン」を明確に警告しているにもかかわらず、ウクライナには加盟する権利があると主張することで、現在の紛争に大きく寄与している。


NATOがウクライナ危機の火種だったのか? 国際システムがどのように機能するかという神話と、実際にどのように機能しているかという現実の間に激しいコントラストがある。 何十年にもわたり米政府高官は、ワシントンの目的は「ルールに基づく国際秩序」を守り推進することだと主張して、 各国が他国に対して武力を発動すべきではないと主張してきた。各国はまた、近隣諸国の干渉を受けることなく、地域の外交、経済、さらには軍事組織に参加するあらゆる権利を有するべきであると主張してきた。

NATOとウクライナ危機 後者の原則は、ウクライナの地位をめぐるロシアとNATOの対立の主な原因となっている。2014年にロシアがクリミアを掌握し、2022年2月にウクライナに全面侵攻するまでの数年間、西側の政策立案者たちは、モスクワの意向にかかわらず、キーウにはNATOに加盟する国際法上のあらゆる権利があると主張していた。    NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、2021年後半にその点を極めて強調している。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とその同僚たちの見方はまったく異なっていた。プーチンは2007年2月のミュンヘン安全保障会議での演説で、ウクライナをNATOに加えようとするいかなる努力も、ロシアの安全保障にとって耐え難い脅威である限り「レッドライン」を越えることになると強調していた。

 2022年の侵攻に至るまでの数年間、多くのロシア政府高官がこの警告を繰り返したが、米国とNATOの指導者たちは、問題の兆候が高まっていることに気づかないままだった。

 現在進行中の戦争で恐ろしい破壊と人命が失われているにもかかわらず、NATOの欧州加盟国は、ウクライナとロシアの戦闘を終結させる和平合意には2つの特徴が含まれなければならないと主張し続けている。  ひとつは、モスクワが征服したウクライナの領土をすべてキーウに返還すること。

 もうひとつは、ウクライナがNATOに加盟する権利を保持することである。ロシアの軍事的利益の大きさを考えれば、どちらの要求も現実離れしている。

 実際、ある国が、より大きく強力な隣国と敵対する軍事同盟に参加する「権利」を有するという主張は、国際的なパワーポリティクスの最も基本的な要素を無視している。  

 国際法によれば、1962年、キューバとソ連は理論上、島に弾道ミサイルを配備する「権利」を持っていた。 当然のことながら、米政府高官と米国民の大半は、そのような考え方に寛容ではなかった。

 事実、ワシントンは、国際法などお構いなしに、その結果を阻止するため核戦争を起こす用意があるように見えた。今日、西側諸国の指導者たちが、クレムリンの高官が自国の安全保障に迫る脅威をおとなしく受け入れると思い込んでいるように見えるのは、米北大西洋条約機構(NATO)の傲慢さの反映である。

ルールに基づく秩序への挑戦 米国とその同盟国がルールに基づく国際システムを支持しているとするワシントンの全体的な主張は、世界の他の国々ではますます利己的なペテンとして否定されるようになっている。アメリカの圧力に逆らい、ウクライナでのロシアへの制裁を拒否したワシントンの軌道外の国々の決定は、彼らの冷笑の度合いを裏付けている。

 NATOとは純粋な「防衛」同盟であるという西側当局者の公式姿勢も嘲笑に値する。冷戦終結後のNATOの行動をざっと調べただけでも、NATOが明らかに攻撃的な同盟になっていたことがわかる。

 1990年代のボスニアとコソボへの軍事介入は、同盟が防衛ではなく攻撃的な使命を持って活動している明らかな事例であった。NATOの飛行機とミサイルは、ボスニアのスルプスカ共和国のセルビア人と、コソボのイスラム教徒の反乱を鎮圧しようとするセルビア政府軍を攻撃した。

 ムアンマル・カダフィを失脚させるためのNATO作戦の一環として、飛行機とミサイルによるリビアへの大規模な攻撃も同様だった。アフガニスタン、イラク、シリアのように、大規模な軍事作戦がNATOの任務として公式に指定されていない場合でも、参加した部隊の大半はNATO加盟国のものだった。

 NATOの主要加盟国は、個々にも侵略行為を行ってきた。ベトナム、ドミニカ共和国、レバノン、グレナダなどにおけるワシントンの行動は、リストの中でも突出したものである。 フランスは、チャドやその他のアフリカ領土に軍事介入を繰り返しているが、「防衛」措置として正当化するのは難しい。

 トルコが1974年にキプロスに侵攻し、現在も同国の領土の40%近くを占拠しているのは、特に明白で継続的な侵略行為である。

 このような実績を考えれば、NATOはルールに基づく国際秩序を守ることを約束した純粋な防衛同盟なので恐れることはないという主張を、ロシアやその他の潜在的敵対国が尊重していないのは当然である。

 モスクワとの関係を構築する上で、米欧の指導者たちは、影響圏の概念が依然として大国間の相互作用に大きく関係していることを認識する必要がある。

 欧米の政策立案者は、ロシアに対する行動において、その基本原則に違反していることを認識するだけでなく、公に認めなければならない。  このような現実主義は、モスクワとの関係を修復し、ウクライナで実行可能な和平解決を実現し、とりわけ危険な危機を終わらせるために不可欠な前提条件だ。ルールに基づく国際秩序について、利己的で不誠実な神話にしがみついていても誰も得をしない。■


The Myth of a Rules-Based Order: How NATO Fueled the Ukraine Crisis

Western leaders claim they support a rules-based international order that respects national sovereignty, yet their actions often contradict these ideals. NATO insists Ukraine has the right to join despite Russia’s explicit warnings about its security “red lines,” contributing significantly to the current conflict.

By

Ted Galen Carpenter


https://www.19fortyfive.com/2025/04/the-myth-of-a-rules-based-order-how-nato-fueled-the-ukraine-crisis/


著者について テッド・ガレン・カーペンター博士

ランドルフ・ボーン研究所シニアフェロー、19FortyFive寄稿編集者。  国家安全保障、国際問題、市民的自由に関する13冊の著書と1,300本以上の論文がある。  最新刊は『Unreliable Watchdog』: The News Media and U.S. Foreign Policy』(2022年)