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ハインライン短編『犬の散歩もお引き受けします』にたくましい自由企業の精神(最近使われなくなっていることば)を見る

  解説 企業家精神がここまで全面に出た小説も珍しいのではないでしょうか。しかも、これは1941年の作品です。ハインライン自身は海軍兵学校卒の職業軍人でしたが、病気で退役し、いろいろな事業に失敗して高くついた教訓を学んだのでしょうね。SF小説のプロットを使いながらいろいろ教えてくれる作品になっていますので、資本主義のメカニズムを学ぶ新興国にも需要がありそうなストーリーになっています。 犬の散歩も致します  「ジェネラルサービシズでございます」。彼女は温かいもてなしと非人間的な効率のちょうどいいバランスで、ビュースクリーンに話しかけた。スクリーンは一瞬明滅し、太り気味で気弱で、着飾りすぎで運動不足の婦人のステレオ写真を作り上げた。「ああ、私の愛する人」とその映像は言った。「助けてくれないかしら」。 ミス・コーメットは、その女性のガウンと宝石(もし本物なら、彼女は心の中で見繕った)の値段を素早く見積もり、利益を上げられる顧客だと判断した。「では、お困りのことをお聞かせください。まずお名前をお聞かせください」。彼女は自分を囲む馬蹄形の机のボタンに触れた。 「でも、全部関係あることなんです」とイメージは主張した。「ピーターが腰を壊してしまうわ」。  ミス・コーメットはすぐに「MEDICAL」と書かれたボタンを押した。「ポイオは危険だと言ったのに。母親がどんなに苦しんでいるか、あなたにはわからないでしょう。ちょうどこの時期にもね。とても困ってるのよ」。 「付き添いましょうか?」「付き添うですって?記念病院がやってくれますよ。心配なのは晩餐会のほうです。プリンチペッサがとても困るわ』。  信用部の応答ランプが怒ったように点滅していた。ミス・コーメットは彼女を追い払った。「そうですか。私たちで手配しましょう。では、お名前とご住所と現在地をお願いします」。  「でも、私の名前をご存知ないのですか?ええ、もちろんです。お気遣いありがとうございます。私はピーター・ヴァン・ホグバイン・ジョンソン夫人です」。  ミス・コーメットは反応を抑えた。信用部門に相談する必要はない。格付けはAAA(無制限)だった。  「でも、あなたに何ができるのかしら」とジョンソン夫人は続けた。「私は一度に2つの場所にいることはできません」。「ジェネラル・サービシズは難しい仕事が好きなんです」とミ...

日曜特集 ハインラインの未来史シリーズはここからはじまった 死を正確に告げる技術を開発してしまった男の物語

  LIFE-LINE (1939) ハインラインによる解説  1939年の初め、私は選挙戦に惨敗し、無一文になっていた(私は2番手だったが、そもそも政治家に二等賞はない)。私は海軍艦艇の兵装、砲術、火器管制に長けていたが、陸上では需要がなかった。私は多額の抵当権を設定した家を "所有 "していた。 その頃、『スリリング・ワンダー・ストーリーズ』がこんな広告を出した。   アマチュア作家募集!!!! 一等賞 50ドル 50ドル  1939年には、50ドルあればステーションワゴン3台に食料品をいっぱい詰めることができた。50ドル分の食料品を自力で手に入れようと、私は "Life-Line"という物語を書いた。タイピングが遅いので4日かかった。しかし、『スリリング・ワンダー』誌には送らず、『アスタウンディング』誌に送った。 アスタウンディングは例の「大賞」より20ドル高い70ドルで原稿を買ってくれた。  *******************************************************************************   議 長が秩序を求めた。頑強な会員数名で熱血漢を座らせると、罵声やブーイングは徐々に消えていった。議長席の壇上にいた演説者は、この騒ぎに気づいていないようだった。淡々とした、かすかに横柄な顔は無表情だった。議長は発言者に向き直り、怒りと苛立ちをかろうじて抑えた声で話しかけた。「ピネロ博士」、「博士」はかすかに強調された。「ご発言中に見苦しい暴言を吐いたことをお詫びしなければなりません。同僚たちが、科学者としての品格を忘れ、どんなに大きな挑発であろうとも、講演の邪魔をするとは驚きです」。ピネロは彼の顔を見て微笑んだ。議長は目に見えて怒りを抑え、こう続けた。「私は、このプログラムがきちんと順序よく終了することを望んでいます。とはいえ、教養のある人なら誰でも誤りだと知っているような考えで、私たちの知性を冒涜するような発言は控えていただきたい。もし発見があったなら、それだけにとどめておいてください」。  ピネロは白く太った両手を広げた。「まず、皆さんの妄想を取り除かなければ、新しい考えをあなた方の頭に叩き込むことはできません」。  聴衆はどよめき、わめいた。会場...