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4月, 2022の投稿を表示しています

スウェーデン、フィンランド両国のNATO加盟を招いたのはプーチンの誤算、それとも織り込み済みのリスク?

          フ ィンランドとスウェーデンのNATO加盟は可能性が高い。ロシアのウクライナ侵攻は、両国で世論を一変させ、2004年にバルト三国とバルカン諸国が加盟して以来、初の大幅拡大となる政治プロセスが開始された。NATOは、プロセス開始にオープンで、意欲的にも見える。ではなぜここにたどり着いて、どこへ進むのだろうか。       歴史の経緯    フィンランドとスウェーデンは、それぞれ独自に中立の道を歩んできた。ナポレオン戦争終結後、スウェーデンはヨーロッパの勢力均衡政治に深く関与するのを避けてきた。第一次世界大戦、第二次世界大戦双方で、西側連合国、枢軸国双方から脅威を受けても、スウェーデンは参戦を回避した。スウェーデンの中立へのこだわりは、NATOとの関係が深まった現在でも根強く残ったままだ。  一方、フィンランドは、1809年のフィンランド戦争でロシアがスウェーデンに勝利した後、ロシア帝国に帰属することになった。大公国としてのフィンランドは、ロシア帝国の一部として準自治権を長く享受した。第一次世界大戦末期にロシアが崩壊すると、フィンランドは独立を宣言した。フィンランドはドイツ皇太子を君主に選出したが、ドイツが間もなく連合国に降伏したため、協定は終了した。その後20年間にわたりフィンランドは独立を保ち、ソビエト連邦を警戒しながら平和を保っていたが、1939年、ロシア侵攻で冬戦争が始まった。1941年6月、敗れたフィンランドはナチスドイツのソ連攻撃に加わったが、最終的にはソ連軍が勝利し、1944年に降伏を余儀なくされた。フィンランドは民主制度の維持を許されたが、外交政策は大きな制約を受けることになった。    変化 中立は、領土拡張戦争に反対する規範がある限り、機能する。だが規範が破綻すると、各国は別の選択肢の模索を迫られる。この問題に対するロシア外交は軍事的、政治的な脅威でフィンランドとスウェーデンをNATOにさらに接近させてしまった。  フィンランドとスウェーデンは、過去20年間、NATOと幅広く協力してきた。両国の軍事組織はNATO諸国の軍事組織と連携し、経験を積み、装備はその他NATO加盟候補国の装備よりも適合性が高く効果的であることは間違いない。スウェーデンとフィンランドは、スカンジナビアの中立性に関して長く協力関係を築いており、NATO加盟の機

ウクライナ戦:黒海のロシア海軍はイルカで特殊部隊の水中侵入を阻止?動物愛護勢力が黙っていていいのか?

  H I Sutton Illustration for USNI News   ロ シアが訓練されたイルカを黒海の海軍基地に配備して防御させていることがわかった。      ロシア海軍は、セヴァストポリ港の入り口にイルカの檻を2つ設置した。衛星画像を調べたところ、イルカ檻はウクライナ侵攻の始まった2月に移設されていた。  セヴァストポリは黒海にあるロシア海軍の最重要の海軍基地で、イルカは、米国とロシアがともに訓練してきたダイバー対応に使用され、ウクライナ特殊部隊の港内侵入と軍艦への妨害工作を防ぐのがねらいか。  衛星写真を見ると、港内部には、ウクライナのミサイルの射程圏外とはいうものの、海中破壊工作に弱いロシア海軍の重要艦船が多数存在している。冷戦時代、ソ連海軍は黒海でイルカ訓練含む、海洋哺乳類プログラムを開発した。その部隊はセヴァストポリ近郊のカザチヤ・ブフタを拠点と、現在もその場所に存在する。  1991年のソビエト連邦崩壊に伴い、同部隊はウクライナ軍に移管され、かろうじて存続してきた。2014年のロシアによるクリミア併合で、同部隊はロシア海軍の管理下に置かれた。その後、海洋哺乳類プログラムが拡張され、運用が再開された。   H I Sutton Illustration for USNI News Satellite image ©2021 Maxar Technologies Used with Permission     これは、ここ10年間にわたるロシアによる海洋哺乳類プログラムへの再投資の一部で、黒海艦隊の他北極圏での別の作戦も含まれる。  北極圏では、ロシア北方艦隊は各種海洋哺乳類を使用している。シロイルカとアザラシは、黒海で使用されているバンドウイルカより脂肪層が厚く保温性が高いため、寒さ対策に優れている。  近年は北極圏での活動も活発になっている。海軍の秘密基地であるGUGI(深海研究部Main Directorate Of Deep Sea Research)のオレニア・グーバにもシロイルカの檻が設置された。この組織は、ロシア軍の重要な海底諜報資産を担っているとされる。  2019年4月23日、ノルウェー北部に訓練されたシロイルカが姿を現した。BBCによると、地元では「Hvaldimir」と呼ばれており、このクジラはロシア海軍プログラムか

米特殊作戦部隊はウクライナ戦をこう見ている。20年を対戦闘員戦に注力して、変革に取り組むが、予算増が厳しい。

    ロ シアによる2カ月に及ぶウクライナ戦から、米国の特殊作戦部門は教訓を少なくとも2つ得ている。まず、米国が過去20年で培ってきた国際的パートナーシップが、大きな役割を果たしている。そして、無人機がさらに大きな役割を果たしている。 空軍、陸軍、海軍、海兵隊の各特殊作戦司令部の指導部はいずれも、水曜日の上院軍事委員会の新興脅威・能力小委員会で証言した。公聴会の焦点は、一般的な即応性と2023年要求での予算不足分だったが、質問の多くはウクライナに集中した。 アイオワ州選出の共和党ジョニ・アーンスト上院議員 Sen. Joni Ernst, R-Iowa は、「侵攻後のリスクは何か」と質問した。「EUCOM米欧州司令部のこれまでの業績とプレゼンスを拡大する必要があるのはどこか」。 陸軍のジョナサン・ブラガ中将 Lt. Gen. Jonathan Braga は、ロシア侵攻によって、東ヨーロッパ全域で「長年にわたる世代を超えた関係」を引き続き拡大する必要性が「強調」された、と答えた。 「ロシアと中国の脅威の規模と範囲を考えると、米国だけで対応はできないだろう」とブラガ中将は述べた。「そのため、国際的なパートナーについて、更に各国の能力と能力を高めることがいかに重要であるかについて話している」。 更に、同中将はウクライナでの「多数国」の特殊作戦部隊との国際的なパートナーシップは、「語られていない物語」だと述べた。 ブラガ中将は、「今すぐ人数は挙げられないが、各国は団結している。この20年間、異なる戦場、異なる大陸で共に働き、共に汗を流し、共に血を流してきたことが、効果を出していると思う」と述べた。 海軍特殊戦司令官のヒュー・ハワード少将 Rear Adm. Hugh Howard は米国の特殊作戦は「変曲点」にあると、述べた。 ウクライナは「特殊作戦の第5の時代」の象徴で、これまで20年間、米国の特殊作戦が重きを置いてきたテロ対策からのシフトだ、とハワード少将は述べた。 「テロ対策に過剰に力を注いできた」「海上領域で私たちにしかできないことをメインにするため、緊急に動いている」  海兵隊の特殊作戦司令官ジェームス・グリン少将Maj. Gen. James Glynnも同意見だ。 「過去 20 年間に投資し開発してきたテロ対策のスキルで、転用可能なのはどこまでか。どの程度

中国はこうやって途上国を自国影響圏に取り込む。ソロモン諸島で安全保障に先立ち民間航空を使った陰謀があったことが露呈。

                                                                                                                                                                  AVIC 中国とソロモン諸島がソロモンを南西太平洋の航空ハブにしようと画策していたことが、2019年の覚書から明らかになった。 (この記事はターミナル1に先に掲載しました) ソ ロモン諸島政府と中国の  AVIC Commercial Aircraf の覚書が流出し、眠ったような太平洋の島国を航空ハブに変えようとした野望が明らかになった。2019年の覚書では、ソロモン諸島政府がAVICから飛行機を購入する見返りに、ソロモン諸島周辺の飛行場36箇所を改良し、ソロモン諸島と中国間に直行便を導入する提案があった。 ソロモン諸島をハブにする遠大な計画 覚書全文は、オーストラリア放送協会(ABC)が金曜日朝に報道した。  ソロモン諸島は中国と安全保障条約を締結したことで、ソロモン諸島に中国軍が常駐する可能性が生まれ、米国、ニュージーランド、オーストラリアは大いに不快に感じているが、この覚書は今回の騒動の中で流出した。  2019年11月15日、中国でソロモン諸島の通信・航空担当大臣 Ped Peter Shanel Agovaka とAVICの最高顧客責任者 Zhang Yong が署名した覚書は、以下のように述べている。 「BRI(一帯一路構想)と本MOUを通じ、ソロモン諸島は西太平洋の航空ハブになるよう希望し、ソロモンは既存の国内飛行場インフラを強化し、国営航空会社の機体のアップグレードを希望する。 「ソロモンは、ホニイラへ中国から直行便を受け入れ、地域ハブとなる地域航空構想の一翼を担うよう希望する。ソロモンはMA600/MA700やY-12等の新型機を入手し、飛行場施設を改修する必要がある。 「ソロモン諸島は、MA600/MA700航空機の運用に向け飛行場の改修、CAAC(中国民用航空局)とCAASI(ソロモン諸島民間航空局)間の検証認証の実施、および当事者Bによる当事者Aの能力開発支援を同時に行う」(同)。 AVICは、発展途上国に航空機販売のニッチ

NGAD有人機型の単価が「数億ドル」になる予想が出てきた。空軍長官がNGADの最新状況を下院で話した。

  ボーイングのコンセプトアートは、Next Generation Air Dominance戦闘機のデザインの可能性を示している。空軍長官フランク・ケンドールは、有人NGAD戦闘機の単価が数億ドルになる可能性があると述べた。 (Boeing)   米 空軍が秘密裏に開発中の次世代戦闘機「Next Generation Air Dominance」は、史上最も高価な航空機になる可能性があり、有人操縦型では機体単価が数億ドルになる予想が出てきた。      水曜日の下院軍事委員会で、NGADの価格について質問されたケンドール長官は、予想水準を明らかにしなかったが、空軍では数億ドルになると見ていると発言。  ケンドール長官は、「皆さんの注目を集めて当然の数字です」と述べた。「高価な機体になる」とした。となると、8000万ドルというF-35の2倍以上となる。  長官は、NGADは「信じられないほど効果的」であるが、戦闘効果を拡大するためには、安価なプラットフォームを伴う必要があるとし、自律無人機との同時投入を想定していると述べた。  NGADの自律型ウイングマンのコスト情報は不明だが、フロリダ州オーランドで3月開催された空軍協会イベントで、ケンドールは、空軍は戦闘無人機のコストが有人機の半分以下になるのを望むと述べていた。  ただし、NGADの有人機型が1機あたり数億ドルなら、無人ウィングマン機はF-35と同等かそれ以上のコストになる可能性があることになる。  NGADプログラムは長期的に維持費を抑えるため開発段階で適切なステップを踏んでいる、とケンドール長官は述べた。機体がアップグレードやメンテナンスを容易に受けられるよう、政府管理のモジュール設計とインターフェースを使用することで実現する。  ケンドール長官は、この戦略は競争につながり、さらなるコストダウンが実現すると語った。  「NGADの初期段階で正しく理解することに時間と労力を費やす価値があります。その結果は、後々の維持管理で、はるかに大きな金額効果をもたらすからです」「NGADプログラムは、このアプローチを採用しています」。  ドナルド・ノークロス議員が提起した、NGADのスケジュールが「右にスライドしている」との懸念に対し、ケンドール長官は、空軍は2030年代初頭のNGAD配備を想定していると述べ、それまでは

F-15EX調達は80機へ大幅削減。将来の戦闘機戦力構造で米空軍上層部は大胆な構想をねっているのだろうか。それとも......

  F-15EX調達が80機に縮小され、現行のF-15部隊の後継機が無人機になる、あるいは交替機材がなくなる事態が生まれかねないと空軍上層部は見ている。 本 日、空軍の最高幹部は議会で、F-15EXイーグルII戦闘機の購入について最低144機とした当初案から80機に削減されると確認した。  F-15C/Dイーグル多数を新規生産分のF-15EXで置き換える案は放棄しており、F-15C/Dイーグルの退役後の最終的な戦力構成では無人プラットフォームが鍵となる、現在運用中の一部の部隊が最終的に飛行任務から外れる可能性があるとも述べた。  フランク・ケンドール空軍長官とチャールズ・Q・ブラウン空軍参謀総長は、本日の下院軍事委員会での2023年度予算案に関する公聴会で、F-15EXの将来と関連事項について、他の話題とあわせて語った。予算要求では、イーグル IIの総発注数を80機に削減すると示されていたが、これまで完全に明らかにされていなかった。この件に関しては、多くの疑問が呈されていた。  「F-15EXの調達を加速し、早期に完了させる」とケンドール長官は、空軍が2023会計年度予算案で予想より多くの同型戦闘機の購入を求めながら、総購入数を80機に抑えた理由について質問され、こう説明した。「調達規模を大幅に減らしている」。  空軍長官は、これまで同様に、F-15EXプログラムの全面的な中止を検討したかどうかについて肯定も否定もしなかった。また、イーグルIIの運命を決定する際に、空軍がどの選択肢を検討したのかについても詳しく説明しなかった。  F-15EXは、 The War Zoneが最初に報じて 2018年に浮上した。空軍は2020年に最初のイーグルIIを発注し、昨年、最初の試験用二機を引き渡した。  ケンドール、ブラウン両名は、購入総数が減少しても、F-15EXは空軍が将来の戦闘機ミックスで重要な存在であることに変わりはないと議員に語った。公聴会でブラウンは、イーグルIIの大きな積載量について、特にステルス戦闘機F-35Aとの比較で、空軍当局が新型機の重要な能力として認識していると強調した。  F-15EXは、2027年に運用開始が予定される極超音速攻撃巡航ミサイル(HACM)を搭載する最初の空軍機となる予定と、ブラウン大将は公聴会で明らかにした。空軍はこれまでも、イーグル

サイバーセキュリティ。民間防衛産業の機微情報防衛にNSAが真剣に対応している。

      米国の防衛関連企業の機密情報は、敵の標的となる。 NSAは、サイバーセキュリティ・コラボレーション・センターを中心に、各企業と連携しサイバー脅威に対抗している。 著者モーガン・アダムスキー Morgan Adamsk i は、NSAのサイバーセキュリティ・コラボレーション・センターのディレクターを務めている。 敵 は、米国の重要インフラ事業者、特に防衛産業基盤(DIB)事業者のコンピュータネットワークを常に探っている。  ロシア情報機関やモスクワの代理勢力、中華人民共和国政府などは、地政学的な対立の場合、米国の機密情報を盗み、防衛力を低下させようとしている。これに対するこちら側の努力はこれまで十分ではなかった。  国家安全保障局(NSA)は、米国の防衛に不可欠なシステムを研究、生産、維持する各企業を保護することに専念している。著者は、NSAでサイバーセキュリティ・コラボレーション・センターを運営している。その使命は、防衛産業の企業や厳選されたサービスと緊密なパートナーシップを通じ、サイバーセキュリティの脅威と戦うことにある。  各パートナーが肩を並べ、包括的な脅威のイメージを構築し、外国の敵対勢力が米国の重要なネットワーク、特に DIBにアクセスを狙う攻撃的な試みを阻止するために対応している。 NSA本部内の脅威対応センター、January 25, 2006. REUTERS/Jason Reed  連邦政府全体のサイバーセキュリティへの取り組みでは、各機関が別々の権限と能力で戦いに臨んでいる。NSAは広範なデータソースにアクセスできるが、ユニークな外国情報にもアクセスでき、敵の能力と意図を明らかにすることで国防総省のグローバルネットワークを守っている。  NSA は、DHS のサイバーセキュリティおよびインフラセキュリティ局(CISA)、FBI、国防省サイバー犯罪センターなど、連邦政府全体のパートナーと一緒に、敵が米国のネットワークの悪用を試みる方法で深い洞察を得ている。相手の試みの証拠を見つけた場合は、サイバーセキュリティ・コミュニティと協力して、脆弱性を解消する。  サイバーセキュリティにおける官民パートナーシップは目新しいものではなく、こちら側の成功に不可欠なものであることに変わりはないが、近年、民間企業との連携方法は大幅に進化している。脅威が進