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ウクライナ戦の最新状況:精密誘導弾の在庫が不足するロシアと榴弾砲で精密誘導弾運用が可能となるウクライナ軍の対照的なちがい

 対照的な記事2つを並べました。ロシアは長期戦になれば不利になり、ウクライナは今を持ちこたえれば展望が出てくるということですか...それにしてもロシアの優位性は薄っぺらな存在になっているようですね。

 

まず、ロシアの精密兵器の在庫が僅かになっている点です。プーチンの言い分とロシア軍前線部隊の乖離がどんどん大きくなっていきそうです。

 

ロシア軍はウクライナで無差別無誘導のまま砲撃できても、ピンポイントでの精密攻撃ができない

 

クライナ戦が始まった当初、ロシアはウクライナ国民を恐怖に陥れようと民間地区に激しいミサイルや砲撃を意図的に行っているように見えた。

 ロシアは精密誘導兵器を保有しており、その気になれば軍事目標にピンポイントで爆撃やミサイル攻撃を加えることは容易である。ロシアが犠牲者を抑える技術的手段を持っていることを考えれば、民間人への攻撃は意図的であったように見えて当然だ。

 例えば、精密誘導砲やGPS誘導陸上ミサイルは、2007年に米陸軍がGPS誘導砲弾「エクスカリバー」を発射し、30キロメートル離れた標的を正確に特定できるようになった。もちろん、ロシアも同等の精密弾薬を保有しており、指揮官の選択肢が増え、正確な攻撃が可能になっただけでなく、民間人を殺したり、攻撃対象国のインフラを破壊する必要がない、極めて有効な攻撃を展開する可能性がある。

 しかし、国防総省はロシアが精密弾薬を使い果たしつつあると見ている。

 ペンタゴン高官は4月18日、記者団に対し「特にシステムの部品や精密誘導弾の領域で、補充補給に影響がでている。在庫の補充で問題に直面しており、プーチンに現実的な影響を及ぼしている」と述べた。

 精密兵器の供給が減少していることは、ロシア軍でよく知られる供給問題の一例に過ぎない。ロシア軍には、ウクライナのような紛争で管理能力がかなり不足しているようだ。

 精密兵器不足は、ロシアがウクライナ領土に進攻し、占領する能力を大きく阻害しかねない。ロシア軍は無差別に無誘導砲撃攻撃を行えるが、本部ビルや指揮統制センター、部隊の密集地など、価値の高い標的をピンポイントで攻撃することはできない。このため、防衛体制が高いウクライナ地点への進攻は非常に困難になっておかしくない。

 ロシアは、精密兵器で重要標的を攻撃できないと、ウクライナの指揮統制を混乱させる能力は皆無に近くなる。しかし、ウクライナは相当数の榴弾砲を獲得し、精密弾の発射が可能になるかもしれない。その場合、ウクライナの防衛隊は無人機を使ってロシア軍の位置を確認し、正確に攻撃できるようになる。このような精密攻撃能力のアンバランスは、ウクライナ側に大きく有利となり、ロシアは祖国防衛に備えるウクライナ兵に対しリスクの高い機械化攻撃を大量に強いられることになろう。■

 

Russia Runs Low on Precision Munitions as New Phase in the War Begins | The National Interest

by Kris Osborn

April 22, 2022  Topic: Russia-Ukraine War  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: Russia-Ukraine WarRussian MilitaryPrecision WeaponsMilitary LogisticsUkrainian Military

 

つぎにウクライナへ米榴弾砲が供与され生まれる効果です。

ウクライナ軍は米軍からM777移動榴弾砲の取り扱い訓練を受ける。

防総省は、ロシアの攻撃と戦うウクライナ軍を支援する大規模かつ統合的取組みの一環として、重砲、装甲車両、ヘリコプター、小型対兵器システムなど、重火器プラットフォーム多数をウクライナに送付している。

 国防総省によると、最新の内容には、155mm榴弾砲18門、M113装甲兵員輸送車200台の、Mi-17ヘリコプター11機、小火器数千丁、無人機、弾薬、肩撃ちの武器がある。米国はこれまでに、スティンガーミサイル1,400発以上、ジャベリン対戦車兵器5,500発、スイッチブレード無人機700機、弾薬5,000万発以上をウクライナに送っている。

小火器や肩撃ちの武器は、これまでにもロシア軍に対して大きな影響を及ぼしてきたが、重火器プラットフォームの追加到着により、新たな戦術的優位性がもたらされる可能性がある。例えば、ジャベリンが待ち伏せで接近する装甲車を破壊し、スティンガーがヘリコプターを破壊する一方で、移動式の榴弾砲は30キロメートル以上の距離でロシアの目標を破壊できる。

 榴弾砲は、ヘリコプターで運ぶこともできる移動式システムだ。また、より高い高度に到達することができ、技術構成によってはGPS誘導による精密弾の発射も可能。榴弾砲の最大の利点は、ウクライナ軍がスタンドオフ距離で攻撃を仕掛ける点にある。つまり、適切な監視装置があれば、地上発射の榴弾砲は、ロシアの発射地点、部隊の集中場所、輸送隊を遠距離破壊できるため、接近戦を回避できる。

 ロシアの長距離ロケットの発射地点を特定し、破壊すれば、ロシアのミサイルで壊滅状態にあるウクライナ市民にもわずかながら希望を与えることができる。上空の監視無人機で発射地点を特定し、榴弾砲部隊に目標座標をネットワークすれば、発射地点を破壊できる可能性がある。輸送船団、補給線、孤立部隊など、ロシア軍の集中は、より長距離のウクライナ砲撃に脆弱になる可能性があり、この戦術的シナリオは、ロシア軍に新たな複雑性をもたらしている。

 しかし、ウクライナの戦闘員は、米国製M777移動式榴弾砲の使い方を訓練する必要があり、国防総省はこれを迅速に開始する。

「訓練は数日中に開始できる。この訓練は、最初の......取り組みに過ぎないだろう。他の場所や時期にも追加されるかもしれないが、何が必要かをわかっており、迅速に着手する」と、国防高官は4月18日に記者団に述べた。

 国防総省は、ウクライナに提供する火砲は陸軍と海兵隊の榴弾砲と発表した。■

 

Heavy Fire: US-Supplied Howitzers Will Pack a Punch in Ukraine | The National Interest

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.

Image: Reuters.


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