スキップしてメイン コンテンツに移動

公開待たれるB-21レイダーと並行し、無人機版の開発構想を空軍長官が明らかにした.....

 

USAF/MODIFIED

 

米空軍長官がB-21と同様の航続距離を有する完全無人機版の構想を明らかにした

 

空軍は、B-21レイダーを補完する将来の無人爆撃機開発の可能性を模索しており、数年内で作業開始の可能性がある。このプロジェクトは、現在構想中の米空軍のスカイボーグ構想、DARPA国防高等プロジェクト計画局のAir Combat Evolutionプログラム、オーストラリアのAirpower Teaming System 「忠実なるウィングマン」無人機プロジェクトがめざす最先端の自律型無人機および人工知能システムに関する研究を活用する。

 

 

フランク・ケンドール空軍長官は、先週開催された空軍協会(AFA)シンポジウムの基調講演で、無人爆撃機のコンセプトを明らかにした。また、次世代航空優勢機材(NGAD)プログラムに無人戦闘機(UCAV)が存在していると強調した。ケンドール長官は、NGADの無人機版の開発状況は、「空軍の戦術的航空計画の一部とするには...時期尚早」と述べた。長官が言及した無人システムが、2021年12月に存在を明らかにされた機密無人機プロジェクトに関連しているかは不明だ。

 

NGADは「有人型と、低価格自律型無人戦闘機を組み合わせ、センサー、武器、その他のミッション機器を分散使用する」とケンドール長官は説明し、さらに、「システム多数で構成するシステム」コンセプトであり、個々の機材に焦点を当てる取り組みではない、と発言した。

 

ケンドール長官は、無人爆撃機コンセプトについて「まだ未完成」とし、「熟考が必要」と説明し、基本コンセプトを固める段階にあると述べた。

 

しかし、長官は、B-21は当初から任意有人飛行が可能な設計で、無人機版を言及しているわけではないと明らかにした。長官は、少なくとも現時点の無人爆撃機の基本想定は、レイダー同等の航続距離を持つとしながら、「ペイロードは未定」とした。

 

これと別に、B-21プログラムを担当する空軍の迅速戦力整備室Rapid Capabilities Office(RCO)の責任者ランドール・ウォルデンRandall Waldenは、Air Force Magazineに対し、ケンドール長官の無人爆撃機コンセプトは、レイダー同様の「航続距離、耐久性、スピード」が必須とした。

 

特に重要なのは、無人爆撃機を「作戦上価値があり、費用対効果が高い」機体にすることだとケンドール長官は発言した。2016年、空軍はまず100機のB-21の購入予算として約800億ドル、2022年ドルで940億ドルと見積もったが、この数字には開発費や運用・保守費は含まれていない。昨年、ブルームバーグは、100機購入し、2050年まで運用すると約2030億ドルかかるとの試算を報じた。だが試算は、長官が進めたい45機購入計画は考慮していないようだ。

 

「B-21の機体単価を半分以下にしたい。4分の1か8分の1にしたい」と、ケンドール長官は記者団に語った。「現時点で目標の最低ラインは、現在の価格帯の半分だ」と付け加えた。

 

「兵器システムと費用について豊かな経験がある」 空軍長官は、現在のコストの2分の1を目標とした理由を尋ねられて、このように述べた。2019年、2011年から2017年にかけて国防次官(調達・技術・兵站担当)を務めた後で、ケンドールは、B-21のスケジュールとコストに疑問を呈していた。

 

あらゆる観点でB-21は、先進的航空機として、予想コストとスケジュールを可能な限り守る模範的な調達プログラムとなっている。現在、生産段階の6機のうち1機の初期試作機は、初飛行に向けた校正テストに入っている。

 

RCOのウォルデンはAir Force Magazine取材に応じ、レイダーの推定単価は、2010年に中止となった次世代爆撃機プログラムの想定の約半分である明らかにした。

 

とはいえ、B-21より能力が多少劣っても、補完効果があり、ステルスの低コスト無人爆撃機に空軍が興味を持たないはずはない。このような航空機は、有人B-21と同時運用し、追加攻撃能力を提供したり、純粋な無人部隊として重要な効果を実現できる。

 

RCOのウォルデンは、「有人システムほど高価でない無人システムがリスクを多く負うことになる」とAir Force Magazineに説明し、B-21の前方を飛び「攻撃能力を拡張」できると付け加えた。同時に、将来のハイエンド紛争シナリオでステルスのレイダーの生存性を空軍がどう考えているかがわかる。

 

無人爆撃機が通常兵器のみの武装なら、ステルス性の高い侵攻機材が必要となるミッション多数に活用される可能性がある。これにより、空軍は、核三本柱の爆撃機部分となるB-21の総数を削減しながら、非抑止的任務に利用可能な高性能機材数を確保できる。

 

無人爆撃機は多機能機になるかもしれない。空軍は過去に、B-21のような機材を、半自動の「忠実なるウイングマン」無人機と協調運用する大型空対空プラットフォームとして使用する可能性を提起していた。強力な統合防空網を突破し、敵陣深くにステルスで侵入できる爆撃機サイズの無人機は、情報収集、監視、偵察(ISR)機材、あるいは電子戦機や通信中継機などに利用できる可能性を十分に備えている。レイダー自体も、多用途に投入されるという予想がある。

 

無人爆撃機に、スカイボーグとAir Combat Evolution (ACE) の作業を活用できるという指摘から、ケンドール長官が本当に注目しているのは、爆撃機版の「システム多数で構成するシステム」としてのNGADかも知れない。Skyborgの一部として無人機が開発されている一方で、ACEやその他の取り組みもあり、すべて、各種の有人・無人機用の拡張性のあるシステムと基礎技術開発に重きを置くものだ。

 

また、「各プログラムが具体的にどう移行していくかは、未整理だ」「しかし、明らかに、この方向に進むことを決めた際の全体像の一部だ」(ケンドール長官)

 

オーストラリアのATSプログラムも一部であるとするケンドール長官は、無人爆撃機が同盟国に輸出できるかとの疑問を提起している、B-21では極めて難しい。昨年、今後の太平洋地域における安全保障環境で、中国の脅威が増大することから、オーストラリアがレイダーを取得するべきという、議論が一部に出たのを思い出すと、二重に興味深い。

 

無人爆撃機コンセプトは進化し続けているが、ケンドール長官は、2024年予算から開発が具体化されることを望むと述べた。このプロジェクトは高度にまで機密案件なので、新情報が出るかは不明だ。

 

いずれにせよ、空軍が新無人化コンセプトを模索していることをケンドール自らが明らかにしたのは、重要な進展であり、空軍の爆撃機部隊の今後の姿に大きな影響を与える可能性がある。■

 

 

Stealth Bomber Drone To Complement The B-21 Raider Could Be Pushed Into Development Soon

The Secretary of the Air Force outlined a vision for a strictly unmanned aircraft with the same range as the B-21 stealth bomber.

BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 8, 2022


よくわからないのですが、有人、無人機の組み合わせ用の「機能省略形」の機体になるのでしょうか。消耗覚悟の無人機ではないようですが、もともとLRS-Bとして構想されているのがB-21であり、有人爆撃機型以外のモデルを指しているのかもしれません。B-21は派生型含め相当数の調達事業になりそうですね。


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...