スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナ向け8億ドル援助パッケージの中身を米国防総省が公開。スイッチブレード追加、元アフガニスタン向けヒップヘリコプターなど

Ukraine Is Getting M113 APC

 

 

国政府が安全保障支援パッケージ8億ドルの中身を本日発表した。軍用車両、有人・無人の航空機、軍需品、兵士の保護具多数がウクライナに送られる。

 国防総省は、この支援策の詳細を以下のように発表した。ウクライナ軍が東部と南部でのロシアの新たな攻勢に備え、間もなく提供を開始する。


  • 155mm牽引榴弾砲18門、砲弾数40,000発

  • AN/TPQ-36対砲台レーダー10基 

  • AN/MPQ-64 Sentinel航空監視レーダー2基

  • スイッチブレード自爆無人機300機

  • ジャベリンミサイル500発、その他対装甲システム数千発

  • M113 装甲兵員輸送車200両

  • 高機動多用途車輪車(通称ハンビー)100台

  • ロシア製Mi-17ヒップヘリコプター11機

  • 無人沿岸防衛船

  • 化学、生物、放射性物質、核(CBRN)防護具

  • ボディアーマー、ヘルメット 3万セット 

  • 光学機器、レーザー距離計2,000台以上

  • C-4プラスチック爆薬および地雷除去用解体機 

  • M18A1 Claymore対人地雷

 

 

 ウクライナ軍には、野砲運用など訓練を必要とすると思われるが、カービー報道官は、ウクライナ国内から部隊を選抜し、教育し、再び戦場に送り込むことで達成されると述べた。

 国防総省高官は、ウクライナ軍の訓練の現状と将来について、今日、記者団に次のように語った。

「ウクライナに提供するシステムで追加訓練が必要となる場合、訓練をどのように行うか、さまざまな選択肢を検討する。今ここで推測したくないし、現状を先取りするつもりもない。ご存知のように、以前から訓練計画にもとづき米国内でウクライナ軍にスイッチブレード運用の訓練を行っている。スイッチブレードの追加訓練を検討している。NATOの東側に展開する部隊の活用も選択肢となるがオープンな選択肢のままだ」

 カービー報道官は、ウクライナ軍で使用中、あるいは比較的早く操作を習得できる装備が多いと述べているが、必ずしもそうではない。装備の運用と、戦争中に装備品を維持するのは別の話だ。

 しかし、米国はM113もハンビーも欧州内の基地に配備済みであり、ウクライナは比較的早く入手できるはずだ。AN/TPQ-36は、2015年からウクライナに納入されており、使用中だ。

 ウクライナ軍は、ロシア軍と同様に、Mi-8/Mi-17を運用している。今回のMi-17ヘリコプターはすべて(うち5機はすでにウクライナに送られている)、当初は今は亡きアフガン空軍に用意されていたもので、米国から配送される。

 沿岸防衛用無人装備については、ウクライナ海軍が1月に無人水上艦(USV)による海上機雷探知能力の強化案を発表しており、米国防総省が寄贈することになった。このUSVは、USV Inspector 90選択的有人運用自律型巡視船である可能性が高い。ウクライナ海軍のオレクシー・ネジパパ司令官Rear Admiral Oleksiy Neizhpapが紛争開始前のインタビューで強調していた装備だ。

 

Inspector 90 USV. Credit: ECA

 

カービー報道官からは、今回の国防総省による軍事援助リストは、ウクライナ東部と南部で再び侵攻しているロシアに対抗するウクライナ軍の強化を狙うものだと説明があった。

 カービー報道官は、ウクライナにスイッチブレード数百機を供与すると、ペンタゴンの装備品にどのような影響が生まれるかについてはコメントしなかった。以前の援助パッケージにあった最初の100機のスイッチブレードは大部分がウクライナにあり、残りはまもなく到着する。

 

スイッチブレード無人機 (U.S. Marine Corps Photo by Lance Cpl. Tyler Forti)

 

 「状況を毎日見ている」とし、「長官は、ウクライナに提供中のシステム全点において、米国自身の準備に支障はないと確信しています。該当装備は大量に購入されたシステムではない」と述べた。米国内の特定の兵器や同盟国の兵器在庫が流出する可能性が懸念されるようになってきた。

 スイッチブレードは-300型と、強力で対装甲能力を向上した-600型の両モデルが混在しているという。殺傷力の高い同無人機は、敵軍に対する運動兵器として投入する以外に、偵察任務に利用できる。

 政治面では、米国のジョー・バイデン大統領が水曜日にウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、ゼレンスキー大統領は戦闘継続と反撃のため攻撃型兵器の必要を声高に訴えた。

 

 

ウクライナは AN/TPQ-36を2015年から使用し取扱を熟知している

 

バイデン大統領は声明で、「ウクライナ軍は、我々が提供した兵器により壊滅的な効果を上げている」と述べた。「ロシアがドンバス地域での攻撃の準備を続けているので、米国はウクライナに自衛能力を提供し続ける」と述べた。

 バイデンは8億ドルのパッケージを承認したと確認し、「新しい支援パッケージは、提供ずみの非常に効果的な兵器システムの多くと、ロシアがウクライナ東部に仕掛ける予想の広範囲の攻撃に合わせた新しい能力を含む」と述べた。

 「米国と同盟国協力国がウクライナに提供してきた武器供給は、ロシア侵攻への戦いを維持する上で極めて重要である」とバイデンは続けた。「プーチンがウクライナを制圧し支配する当初の目的を確実に失敗させた。ここで休むわけにはいかない。私がゼレンスキー大統領に保証したように、米国民は自由のために戦う勇敢なウクライナ国民と立ち上がり続けるだろう」。

 

 

M113 装甲兵員輸送車Armored Personnel Carrier (APC)

 (U.S. Army National Guard photo by Edwin L. Wriston)

 

 ロイド・オースティン国防長官は両国国防トップ間の対話の一環として、水曜日朝にウクライナ側と電話会談した。

 双方は「ウクライナの自衛のために米国が行っているすべて」について話したと、カービー報道官は水曜日午後の記者会見で述べた。同報道官によれば、ウクライナ側は援助に感謝し、現地状況の評価を伝えたという。ロシアがドンバスとルハンスク地域の東部と南部前線に沿って機甲攻撃を開始する予想で野砲と対野砲能力が具体的な要請であったという。

 しかし、ウクライナ軍がどう米国製武器を配備するかは、すべて現地指揮官次第であるとカービー報道官は述べた。

「こちらはウクライナに武器を届けるが、その時点で彼らのものとなる。どこで、どのように、どの部隊で使用するかは、ウクライナが決定する」■

 

Here's Exactly What's In The $800 Million US Military Aid Package To Ukraine

U.S. will provide Ukraine artillery, munitions, vehicles, helicopters and more.

BY

DAN PARSONS

APR 13, 2022 8:14 PM

THE WAR ZONE

 


 

コメント

  1. こういう状況で、即効性のある支援を行うのは難しいのですね。
    訓練無しで使えるのは、ヘルメットと小銃弾くらいでしょうか。
    ハンビーやM113等の軽車両なら、使い捨て覚悟で動かせるかも。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ