ペンタゴンはウクライナが2週間前より運用機数が増えたと発言したのは機材提供によるものではないことが判明した。
米国防総省のジョン・カービー報道官が前日の発言を掘り下げ、米国政府はウクライナの戦闘機の予備部品を提供しただけで、機体全体を提供したわけではないと強調した。ウクライナ空軍は、外国から戦闘機などの追加を受け取ったとの報道を否定していた。
火曜日の記者会見でカービー報道官は、ウクライナ空軍が米国政府の直接支援で「追加機材を受け取った」とする一方で、「航空機そのものを輸送したことはない」とも発言し、混乱を招いていた。その後、複数の報道機関が、追加の固定翼機、特に戦闘機がウクライナに移送されたと報じた。
ウクライナ空軍の公式アカウントの英語ツイートで、「ウクライナはパートナーから新しい航空機を受け取っていない!」との投稿が本日未明に出た。「米国政府の援助により、(ウクライナ空軍は)軍用機の修理用部品を受領しており、より多くの機体が活用できる」。
カービー国防総省報道官は昨日、記者団に「同国は多数の航空機を飛行させるため、追加の航空機と航空機部品を受け取った」と述べていた。
しかし、この発言は、ウクライナ空軍がスペアパーツの出荷のおかげで、以前は飛べなかった機材を現役に戻したことを意味していると明らかになった。
「ウクライナ空軍は、2週間前より多くの固定翼戦闘機を使えるようになった」とも同報道官は述べていた。「これは偶然ではなく、同じ機材運用の経験がある他国が、航空機の稼働増加を助けることができたからだ」とも述べている。
これに対し、同報道官は「我々は確かに、彼らの航空機の必要性を助けるために、追加スペアパーツの送付を支援した」「しかし、航空機を丸ごと輸送したことはない」と付け加えた。
これは、ウクライナと国際的パートナー、特に米国でここ数週間にわたり話題となっている、戦闘機など機材をウクライナに追加送付する方法を模索する議論を活性化させるだけの可能性が高い。焦点は、ウクライナ空軍で運用中のソ連設計の戦闘機(MiG-29フルクラムやSu-27フランカー)をさらに入手し、運用・保守の経験を積む可能性に置かれている。また、米国製F-16やルーマニアのMiG-21ランスロットなど、別の戦闘機を導入する議論も行われている。
ウクライナパイロット「ジュース」が自機MiG-29の横に立っている Juice/Ukrainian Air Force
ソ連時代に生産されたMiG-29フルクラムをウクライナに譲渡する案があったが、3月に米国政府がドイツのラムシュタイン空軍基地経由での譲渡を断念し、決裂したことは記憶に新しい。当時、アメリカ政府は、ロシアとの緊張を高める危険性が特に高いこと、また、ウクライナ軍が本当に必要としている軍事支援なのか不明ということを理由に、航空機の譲渡を断念した。なお、米軍は紛争発生以来、ウクライナ軍にMi-8/Mi-17 Hip型ヘリコプターを多数供与しており、近々さらに供与する予定という。
スロバキアのMiG-29をウクライナ空軍に引き渡す話も活発になっている。また、ウクライナ空軍の戦闘機増備を目的としたクラウドファンディングも行われているようだが、これが真面目に行われているか不明だ。
ウクライナ軍は外国から戦闘機を入手していないが、カービー報道官の今回の発言で、スペアパーツ納入が供用中の機体を維持する重要な一部になっていることが明らかになった。米国防総省高官は本日、スペアパーツ提供により、ウクライナ空軍が戦闘機約20機を再稼働させたと語った。ロシアが2月に全面侵攻を開始した段階で、ウクライナにはMiG-29が約50機、Su-27が32機しか稼働していなかったことを考えれば、これは相当の規模である。
紛争が始まる前、ウクライナは防衛産業が盛んで、MiG-21、MiG-29、Su-27など、ソ連時代の航空機を現地サポートできた。しかし、紛争が長期化するにつれ、ロシア軍はウクライナの防衛関連企業、特に航空関連企業を標的にし、ウクライナ軍航空部隊の作戦維持に支障をきたす意図を明確に示している。3月には、ウクライナで唯一MiG-29のデポレベル整備が可能な施設をロシアの巡航ミサイルが攻撃し、大きな被害をもたらした。
ウクライナ空軍のMiG-29が訓練飛行に離陸した Rich Cooper
The War Zoneではこうした攻撃がウクライナの戦闘機隊にどこまで影響を与えるか、また米国や米国が促進する予備部品の納入がより貴重になる可能性について疑問を呈してきた。また、ウクライナ空軍は2カ月近く、非常に厳しい条件の中で作戦をハイテンポに展開しており、航空機の消耗が激しくなっていることも要因の1つにある。
戦闘機は、ウクライナの防空体制の一部に過ぎないが、8週間近い戦闘の後でも、ロシア軍の制空権を阻む重要な役割を担っている。米国防総省高官は本日、ウクライナの空は依然として雌雄が決まっておらず、地対空ミサイルなどの脅威のため、ロシアの固定翼機は同国空域にあまり長く留まることはないようだと述べている。
「ウクライナの空域にはまだ有効かつ精力的な航空防衛が残っていると信じている」と、米国の高官が昨日、追加情報を提供した。「南方での固定翼機による空爆でも、北方で見られたロシアのパイロットの疲弊が見られており、ウクライナ空域に侵入してもすぐに引き返すパイロットが現れているのはウクライナ防空体制を意識したものだろう」。
ウクライナ機も空爆を行っているが、範囲は限定的だ。ロシア軍が東部ドンバス地方の制圧に向けて攻勢を強める今、ウクライナの空戦能力が新たな重要性を帯びる可能性がある。
ウクライナ空軍は海外から戦闘機を受け取っていないが、米国がすすめる予備部品の納入が、ロシア軍との戦いを続けるために重要な役割を担っている。■
No, Additional Fighter Jets Haven't Been Delivered To Ukraine
BY
HOWARD ALTMAN,JOSEPH TREVITHICK
APR 20, 2022 2:15 PM
Contact the authors: Howard.altman@recurrent.io and joe@thedrive.com
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