USS ヴィッカースバーグ (CG-69) がBAEシステムズのノーフォーク艦艇施設で修理を受けている April 8、 2022. Christopher P. Cavas Photo used with permission
誘導ミサイル巡洋艦USSヴィッカースバーグ(CG-69)は、2030年代まで維持すべく、総額2億ドルの修理の真っ最中だ。BAEシステムズ艦艇修理施設が2020年からヴィックスバーグの改修作業にあたっている。
修理作業は、22隻残るタイコンデロガ級巡洋艦のうち11隻を2030年代まで維持し、空母打撃群で運用し、防空指揮官を乗せるとの10年前に出た論議を呼んだ海軍近代化計画の一部だ。
しかし現在、海軍は、修理と維持にコストがかかりすぎるとして、旧式装備の大規模削減の一環として、近代化を中止しようとしている。今週発表された長期建艦計画によれば、海軍は近代化計画の対象艦を含む、巡洋艦の全艦を今後5年間で廃止する。
議会が海軍の計画を認めた場合、海軍は2年間で巡洋艦10隻を退役させ、2023会計年度末には巡洋艦を22隻から12隻に減らす。
海軍の戦力要求・能力担当副作戦部長(OPNAV N9)スコット・コン中将Vice Adm. Scott Connは、水曜日に記者団へ、「供用開始後30年以上経過した艦船に近代化のため資源を投入し続けていいのかに尽きる」と述べた。
「議会は不満に思うかもしれないし、反発するかもしれない。第一線部隊には懸念がある。先週、ヴィックスバーグを訪れ、艦内を歩いたが、作業が進んでいた。しかし、まだまだ先は長い。これは海軍の『現実を見る』一部であり、現状を評価している。各艦へ投資を続けても、戦闘能力に見返りがあるだろうか」
ヴィッカースバーグとあわせ、USSバンカーヒル (CG-52)、 USSモービルベイ (CG-53)、 USS サンジャシント (CG-56)、 USSレイクチャンプレイン(CG-57) を海軍は2023年度に退役させたいとしており、USSモンテレー (CG-61)、 USS フエシティ (CG-66)、 USSアンツィオ(CG-68)、USSヴェラガルフ (CG-72) とUSSポートロイヤル(CG-73) は今年退役が既に決まっている。
残る22隻の巡洋艦は、2027年までにすべて退役する。
今回の海軍の提案では、海軍と議会間で長年にわたる議論がさらに続くという予想がある。議員側は、後継艦なしで巡洋艦を退役させる海軍を繰り返し批判してきたからだ。
巡洋艦の退役は、海軍と議員にとって10年以上の間、悩みの種であった。海軍は、巡洋艦運用を一時休止し、近代化するか、永久に退役させるなど、様々な案を出している。海軍の提案はすべて、議会が否決してきた。
海軍と議員のやりとりは複雑で、年ごとに詳細や理由は変わるが、海軍は巡洋艦の削減を求め、議会は代替艦ができるまで維持を求めるという全体的な論調は一貫している。
「現行巡洋艦の近代化は、見積もりコストを175〜200%上回り、数百日分の遅れが生じている。各艦は耐用年数30年の想定だったが、35年になっている」と、海軍作戦部長マイク・ギルデー大将Adm. Mike Gildayは昨年の下院軍事委員会で語っている。
アンツィオ艦長をつとめたエレイン・ルリア下院議員(民、ヴァージニア)Rep. Elaine Luria (D-Va.)は、中国の海軍増強に直面し、海軍の巡洋艦退役案を声高に批判している。ルリア議員らは「デビッドソンの窓」(元米国インド太平洋軍司令官フィル・デビッドソン提督の警告)を持ち出し、中国が10年以内に台湾に動き出す可能性があると指摘している。
同議員は昨年、「今ある艦であり、耐用年数を10年ほど延長する近代化とアップグレードのコストは、新造艦建造よりかなり低い」とUSNIニュースに述べている。
「今ある艦をどう使うべきか、どうすれば最も効率的に使えるかを検討の必要がある。将来をにらんだ技術開発に投資するため、供用期間が残る現有艦を処分する考えは、新型プラットフォームの開発での低い実績を見れば、意味をなす物に見えない」。
海軍の現在の計画では、巡洋艦は次期フライトIIIアーレイ・バーク級駆逐艦に置き換えるとある。最初のFlight IIIジャック・ルーカス(DDG-125)は、来年就役の予定だが、駆逐艦の就役は、現行巡洋艦の退役より遅いペースになる。
USSアンツィオ (CG-68)がノーフォーク海軍基地に係留されている April 7、 2022. USNI News Photo
海軍は次世代巡洋艦「CG(X)」を計画していたが、コスト問題から2010年に中止していた。
2010年代半ばには、各巡洋艦が耐用年数を迎えるため、近代化して再び艦隊に加えるとして、7隻を先に退役させることになった。対象艦は正式には退役せず、乗組員数が管理サイズに縮小した空白の状態に入った。備品や燃料、艦船の装備は撤去され、別の巡洋艦の近代化プログラムに「参加」させた。造船所での作業も段階的にしか行っていない。
近代化プログラムの対象艦は、いずれも現役復帰していない。フエシティとアンツィオの2隻は今年中に退役する予定で、状態が悪いため、海軍は修理の価値がないと判断した。
今月初め、ノーフォーク海軍基地で、救命ボートがなく、塗装がピンク色に変わり、喫水線から船体にかけ腐食が進むアンツィオを見ることができた。
新計画は、「うまくいくかどうか懸念があるのを認識している」とコン中将は言う。「ゲティスバーグでは成功した。同艦が動き出すのを見たい。ヴィックスバーグでは日程が決まった。その日を迎えられるかどうか。すべて紙の上での決定だが、それを変えようとする人たちがいる」。■
After a Decade of Debate、 Cruisers Set to Exit Fleet in 5 Years - USNI News
By: Sam LaGrone、 Mallory Shelbourne and Christopher P. Cavas
April 21、 2022 6:23 PM • Updated: April 22、 2022 9:40 AM
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Categories: Aviation、 News & Analysis、 Surface Forces、 U.S. Navy
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