スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナ向け新レンドリース法が成立すれば武器等の供与が迅速に。ウクライナは武器提供を必死に請願。ロシアの人権委員会追放など急展開するウクライナ関係情報をお伝えします。

 

  •  

An explosives sign marks the cordon around an aircraft in support of a security assistance mission between the U.S. and Ukraine at Dover Air Force Base, Delaware, May 24, 2021.

USAF

 

新レンドリース法案が成立すれば、兵器含む軍事装備品のウクライナ搬送が加速しそうだ

シアのウクライナ戦が8週目に入ろうとしている中、米上院は、第二次世界大戦中のレンドリース法のようなウクライナ向け新しい軍事支援メカニズムを確立する法案を可決した。成立すれば、米国政府からウクライナへの武器・弾薬などの安定供給が、飛躍的に増大する可能性が生まれる。

水曜日の夜遅く、アメリカ上院は、第二次世界大戦中のレンドリースプログラムをモデルとして、ウクライナに対する新たな軍事支援活動を確立する法案を可決した。この法案がジョー・バイデン大統領の署名で成立するためには、下院での可決が必要だ。

同法案が成立すれば、ウクライナへの新たな軍事支援の提供が大幅に加速されそうだ。米国政府はウクライナ軍に武器やその他物資を事実上貸与することが認められ、軍事援助の正式な譲渡とその支払い方法を規定する既存プロセスが不要となる。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相はツイッターに「米国上院が『ウクライナ民主防衛レンドリース法』を可決したことに感謝する。ウクライナへの軍事装備の納入を促進するレンドリースプログラムに向けた重要な第一歩だ」と書き込んだ。「下院での迅速な可決および米国大統領による署名を期待している」。

ブリュッセルにあるNATO本部では、クレバ外相はこれと別に、ウクライナの国際的パートナー各国との今後の協議で3項目を議題としたと述べた。「武器、武器、武器 」だ。ウクライナ外相は、ウクライナは戦闘機、戦車などの装甲車両、防空システムの追加を続けて求めている、と付け加えた。

新たなレンドリースの可能性がなくても、米国やその他国は、対ロシア戦でウクライナに武器や資材を送り続けている。本日未明、統合参謀本部議長のマーク・ミリー米陸軍大将は、上院軍事委員会議員に対し、ウクライナ軍が2万5000台の対空兵器システムと6万台の対戦車兵器システムを受領したと述べた。多くは肩撃ちのシステムである。

ここにきて紛争の様相が変わってきたため、ウクライナ当局は、米国等に一層多くの援助を求めている。ロシア軍は現在、同国北部から部隊を撤退させ、東南部の目標に集中している。その結果、ウクライナ軍は国内の相当部分を解放でき、ロシア侵攻に抵抗しながら、複数前線で反撃を続けている。

これと別に、国連総会はこの紛争をめぐり、ロシアを人権理事会 Human Rights Councilから追放する決議をした。反対は24カ国、棄権は58カ国にとどまり、クレムリンの孤立ぶりを浮き彫りにした

(ロシア追放決議に反対した国)

 

米国はじめ92カ国の代表が本日未明、ロシアを国連人権理事会から除外する提案を動議にかけ、必要な3分の2の賛成を満たした。可決された決議は、「人権に対する重大かつ組織的な侵害を犯した理事国の人権理事会メンバーとしての権利を停止する」とある。

今日の投票に先立ち、ロシア当局は人権理事会からの追放に賛成する国との関係に悪影響が及ぶ可能性があると警告していた。

ウクライナ軍が北端のかなりの部分を奪還したため、ロシアの戦争犯罪の可能性を示す証拠が、ここ1週間ほどで、積み重なってきた。

民間人が処刑されたり、意図的に狙われたりしていることを示す強い証拠が含まれている。ロシア軍は、ウクライナ北部から撤退する際に、地雷やトリップワイヤーを含むその他のブービートラップをまいたと伝えられている。

ドイツ連邦情報局(BND)は、ロシア軍が民間人の処刑を議論する音声通信を傍受したと報じられている。また、ドイツ当局は、首都キーウ郊外のブチャでウクライナ人が虐殺された事件に、ロシア諜報機関と密接な関係にある民間軍事会社ワグナーWagnerの関与を疑っている。

戦争犯罪の疑惑のため、トルコにおけるウクライナとロシアの交渉は頓挫したと伝えられている。両国政府の関係者や仲介役のトルコは、紛争の外交的解決をめざす進展が遅々として進んでいないと述べている。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のドミトリー・ペスコフDmitry Peskov私的報道官は、ウクライナ戦でロシア側に「大きな損失」があったと認め、「大きな悲劇だ」と付け加えた。ロシア政府は公式には軍人1,351人を失ったと認めただけで、数字はウクライナ、アメリカ、その他の外国政府当局の推定よりはるかに低い。

ロシア政府はウクライナと国境を接する西ベルゴロドBelgorod州の兵器庫が3月29日に爆発したのは、ウクライナの短距離弾道ミサイル「トーチカ-U」による攻撃だと発表している。また、ベルゴロド州は、3月31日夜から4月1日にかけて、ウクライナのMi-24ハインド攻撃ヘリコプターが石油貯蔵施設を越境攻撃したとロシア当局が発表した場所である。

ウクライナ東部ドンバス地域の一部からウクライナ市民を避難させる取り組みは、ロシアの空爆で鉄道路線が切断されており、停滞している。

ウクライナのミコライフ州知事ウィタリ・キムVitaliy Kimは、準軍事警察がロシア軍に向けてウクライナ製のRK-3コルサー対戦車誘導弾を使用する様子を映したビデオを公開した。ロシアの侵攻へのウクライナの抵抗勢力で注目され、直接標的にされている同知事は、「交通違反者」を裁いたと説明している。

側面に英語で「WOLVERINES」とスプレーで描かれた破損し放棄されたBMP-2歩兵戦闘車がウクライナで目撃されている。1984年公開の映画『レッド・ドーン』(邦題 若き勇者たち)を意識したと思われる。映画では、「ウルヴァリン」と名乗る10代の若者たちが、米国を侵略してきたソ連軍とゲリラ戦を行っている。

フィンランドのペッカ・ハーヴィスト Pekka Haavisto外相は、同国のNATO加盟の計画を、今後数週間以内に公の場で明確にすると述べている。フィンランド政府は、ウクライナ紛争を踏まえ、伝統的に中立的としてきた外交政策を積極的に見直している。■

Ukraine Situation Report: Senate Passes Bill To Create Weapons Lend-Lease Program For Ukraine

If the lend-lease bill becomes law, it would help accelerate deliveries of weapons and other military material to Ukraine.

BY JOSEPH TREVITHICK APRIL 7, 2022

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ