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海上自衛隊はPLANの数の優勢にこうして対抗する----USNI Newsが最新の状況を伝えている


JSまや(DDG-179) Nov. 23, 2020. JMSDF Photo

 

 

DDのDestroyerを「護衛艦」と呼ぶのはいい加減やめたいものです。米海軍艦艇は駆逐艦、海上自衛隊艦艇は護衛艦ではおかしいのではないでしょうか。こうした日本国内向けのDouble Speakはもはや無用と思いますが....

 

上自衛隊は新型「もがみ」級多任務フリゲート艦「くまの」を先月就役させた。同艦は、三菱重工業が玉野市の三井E&Sで建造させ、あぶくま級とあさぎり級駆逐艦に代わる22隻の1番艦となった。

 

 

 新型フリゲート艦は約3,900トンで、低レーダー探知性で、無人潜水艇や無人水上艇運用の支援、中距離対空戦能力を持つ地対空ミサイルの垂直発射システムなど新機能を備える。 同フリゲート艦には、対潜戦用の可変深度ソナーと曳航アレイソナーを装備し、機雷戦の能力も備える。長崎の三菱重工で建造された2隻目の「もがみ」は今年末に就役し、3隻目の「のしろ」は12月に就役する。

 もがみ級は、世界最大級の海軍に列する海上自衛隊の能力向上プロジェクトで最新のものだ。海上自衛隊は世界最大の海軍のひとつで、数種類の駆逐艦、21隻のディーゼル電気潜水艦、ヘリ空母2隻、哨戒機、ヘリコプター、掃海戦隊を運用している。大部分は比較的近代的で、最新のセンサーや武器を装備している。

 日本は第二次世界大戦の敗戦後、戦後の憲法9条で攻撃的な能力の整備を歴史的に避けてきたため、海軍の能力についてあまり語らない。しかし、島国であり海洋大国であるため、それでも現代版の艦隊を編成できたが、防衛運用を想定している。しかし、この20年、大国となった中国の台頭と、長距離核ミサイルを開発する北朝鮮が、島国日本にとって二重の脅威となっている。

 

 

JSたいげい(SS-513) が2022年3月9日就役した

 

 元海上自衛艦隊司令の山下 万喜は、USNI Newsに対し、「もがみ級の基本コンセプトは、掃海艇の延長線上の多機能艦」と述べている。「従って、艦隊護衛の主力として機能するその他駆逐艦と異なり、もがみ級は各種戦闘を支援する補完機能を持ち、またISRや災害救助など様々な任務に対応することが期待される」

 だが、第一に日本は巨額資金を投入しない限り、中国の海軍建造能力を上回ることはできないし、そもそも日本ではこれは政治的に容認できない。したがって、北東アジア地域における海軍力としては、中国の人民解放軍海軍(PLAN)と比較し、艦艇数で後塵を拝する事態を受け入れざるをえない。しかし、日本は最新技術を活用し、既存のプラットフォームで海軍能力の向上が可能だ。

 第二に、北朝鮮の脅威として、長距離核ミサイルの開発に成功する可能性が年々高まっている。外交と制裁を通じ北朝鮮の進展を制限しようと試み、ミサイル実験が失敗した証拠もあるものの、危険は増大する一方だと、日本政府関係者は述べている。

 つまり、日本はこの脅威への対抗として弾道ミサイル防衛システム整備に特別な関心を持っており、海上自衛隊がこの能力を提供する。

 

JS くまの(FFM-2) は2018年11月19日に進水した JMSDF Photo

 

 山下元海将は、海上自衛隊の近代化は「常に進行中」と延べ、最新計画は、2018年にまとめられた「2019年度防衛計画の大綱」と「中期防衛計画(2019年度〜2023年度)」で、潜水艦22隻と駆逐艦54隻の艦隊を計画している。2022年度について、日本の防衛省は、最近の削減のあと防衛費をGDPの1%に戻すため、5兆4800億円(約500億ドル)を要求していた。

 日本の優先事項の1つは、艦隊の情報・監視・偵察能力を強化する無人システムの開発だ。また、海上自衛隊は、潜水艦VLSから発射する水中発射巡航ミサイルなど、攻撃力増強も視野に入れている。

 「潜水艦の攻撃力向上のため、どちらの技術も必要だと考えています。また、日本をとりまく安全保障環境を考えれば、潜水艦への搭載が予想されます」(山下)。

 海上自衛隊のディーゼル潜水艦は、敵の制海権を奪うための最も重要な戦力である。3月9日には、3,000トン級の新型潜水艦「たいげい」級(29SS)の1番艦、JSたいげい(SS-513)が就役した。三菱重工が建造した同艦は、戦闘管理システムやソナーが改良され、初期の「そうりゅう型」(16SS)SSK12隻に比べ、水中静粛性や操縦性が大幅に向上している。

 「特徴的な違いは、浮き甲板の採用で、騒音を低減し、耐衝撃性を向上させたこと」と山下は言う。さらに、たいげい級には魚雷対策システム、新戦闘管理システム、2022年5月に納入予定の新型魚雷「18式」が搭載される。

 同級は空気独立推進システムは搭載しないが、GSユアサの新型リチウムイオン電池で長時間の水中作戦で追加電力を供給する。そうりゅう」級の最終建造2隻、JS「おうりゅう」(SS-511)とJS「とりゅう」(SS-512)は、リチウムイオン電池をはじめて搭載し、2020年と2021年に就役し、日本はこの技術の実用化に世界ではじめて成功した。また、たいげい級2番艦「はくげい」(SS-514)は川崎重工業が2021年10月に進水しており、2023年3月に就役する。さらに2隻が建造中だ。

 一方、水上側では、ひゅうが型DDHの2隻に続き、2015年と20117年に納入された海上自衛隊の新型ヘリ空母「いずも」級2隻が、F-35BライトニングII統合打撃戦闘機の運用に向け改造中だ。USN Newsは10月、JSいずも(DDH183)から米国海兵隊のF-35B2機が改造のテスト飛行を行い、2025年に改修が完成すると報じた。姉妹艦のJSかが(DDH184)は今年中に改造を開始する。2隻の空母の改造費用は67億ドルと見積もられている。自衛隊はF-35Bを42機購入し、2023年から配備開始する。

 しかし、山下は、いずも型はもともとヘリ空母・駆逐艦として計画され、そのため「DDH」の艦種だと説明し、今回の改装はF-35Bの艦上運用に「限定的な改善」しかもたらさないという。また、「大規模改装でも、緊急時の(飛行)甲板や海上での他の補給基地としての機能しか期待できない」とも述べている。

 海上自衛隊の護衛部隊は、BMDシステムを配備したイージス艦8隻を含む駆逐艦が中心だ。最新の就役艦は、横浜のJMUで建造され、2020年と2021年に就役した全長170メートル、8,200トンのまや型(27DD)駆逐艦、JSまや(DDG179)とJSはぐろ(DDG180)。最新のベースラインJ7イージスシステム、SPY-1D(V)レーダー、AN/SPQ-9B Xバンド火器管制レーダーを装備し、スタンダードミサイル3ブロックIIAミサイルを発射し、スタンダードミサイル6も装備する予定だ。

 山下は、「海上自衛隊の防空・ミサイル防衛能力を大幅に向上させ、米海軍とのさらなる協力関係が可能になる」と述べている。また、ソナーシステム「AN/SQQ-89A(V)15J」と曳航型ソナーシステム「AN/SQR-20 Multi-Function Towed Array」の組み合わせで、ASW能力向上も期待される。さらに、海上自衛隊艦艇で初めてとなる、ガスタービン電気推進システムとガスタービン推進システムを組み合わせた配置を採用した。

 

JSあき(AOS-5203)の命名進水式が2017年に行われた。JMSDF Photo

 

 まや級は、2007年から2008年にかけて就役したあたぎ級BMD対応駆逐艦2隻とサイズや能力が似ているため、当初は改良型あたご級と呼ばれていた。1990年代建造のこんごう級4隻とあわせ、海上自衛隊のBMD対応艦8隻体制が完成した。

 先月、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを発射したことで、BMDの必要性があらためて注目されている。北朝鮮が本格的な核ミサイル能力を獲得するため躊躇していないことを再び示した。さらなるミサイル発射実験が計画されている。

 陸上配備型イージスアショアを中止したことを受け、さらに2隻のJ7イージス艦搭載の次世代BMD駆逐艦が計画されている。新型艦には、米海軍のBMD艦が想定するSPY-6レーダーではなく、AN/SPY-7 (V)1 固体レーダーが搭載される。

 海上自衛隊の最新型駆逐艦には、三菱重工で建造され2018年から2019年に就役した6,800トンの小型駆逐艦「あさひ級(25DD)」2隻がある。2012年から2014年に就役したあきづき型(19DD)駆逐艦3隻に続くもので、DDHやBMD艦の護衛用に設計されている。

 その他、海上自衛隊の海洋調査艦JSわかさ、ひびき級海洋監視艦4隻の更新建造の資金が要求されている。ひびき級3番艦のJSあき(AOS 5203)は、先進的な監視曳航式センサーシステム(SURTASS)を搭載し、2021年3月に就役した。また、木造MCM艦にかえ、光検出・測距儀を搭載したFRP船体のあわじ級掃海艇5隻目の計画もある。防衛装備庁は、能力をさらに高めるために、低周波・高周波の合成開口ソナーを利用するOZZ-5自律型水中機も計画している。

 2021年7月、防衛装備庁は次世代オフショア哨戒艦12隻の整備計画を発表した。初期仕様は、最大2,000トン、少規模乗組員で運用し、大型センサーを搭載し監視に特化した艦となる。山下は、「人道支援や災害救助、ISRなど、各地区の本部が持つ機能を補完するもの」と考えている。

 その他の将来技術として、長時間滞空UAVによる電子偵察や小型艦載UAS、もがみ級フリゲート艦用の無人MCM装備の開発計画がある。また、日本は、船舶、潜水艦、航空機、陸上から発射する1000km超の長距離巡航ミサイルを新たに開発する。このミサイルは、2020年代半ばに完成する予定で、日本が域内のその他長距離ミサイル開発に遅れをとらないようにするべく、三菱重工が開発を進めている。

 山下は、将来の脅威に適切に対処するために、海上自衛隊は「情報優位を確立し、兵器の攻撃能力を向上させる」必要があると述べている。そのためには、「あらゆる空間で活動する各種の無人機や、ネットワークを利用した分散型資産から発射できる長距離ミサイルの整備が必要」と述べている。

 さらに、「安全保障環境を近視眼的にとらえ、目前の脅威に備えるだけでは不十分。むしろ、今後10年、20年の間に起こりうる変化を予測し、将来の脅威に備えるべきだ」と述べている。■

 

Japan Countering China's Naval Build-up with Modern Fleet - USNI News

By: Tim Fish

April 11, 2022 4:35 PMUpdated: April 12, 2022 6:36 PM




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