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ロシアの軍事力は過大評価されてきた。頼みの綱の地上兵力も今回のウクライナ侵攻で限界を露呈。プロパガンダの常とは言え、ロシアはなぜ嘘を平気でつけるのか。


 

Russian Tanks

 

今回のウクライナ侵攻でロシアの地上戦闘能力がこれまで大幅に過大評価されていたことが明らかになった

 

防総省の評価と戦場報道から、ロシア軍に深刻かつ広範な「士気」の問題が生じている可能性が見えてきた。ロシア軍は祖国のために戦うのではなく、重要と思えない理由で、死に直面する状況の中で命令を受けている。

 

ロシアの軍事力

士気の低下と、その影響を認識した上で、公平かつ適切と思われる質問を投げかける向きもあろう。世界はロシアの軍事力を過大評価していないか

 キーウに向かうロシアの大規模な輸送隊は「停滞」し、軍は兵站に苦しんでいると伝えられている。また、ウクライナの待ち伏せにより、重要な「チョークポイント」でロシア戦闘車両が壊滅状態になったことから、防御に問題があるようだ。

 確かにウクライナ軍の粘り強さ、決断力、戦闘力、圧倒的な強さは過小評価されていたようだが、それより驚くべきは、ロシアの軍事力が大幅に過大評価されていた可能性だ。

 元米国陸軍欧州司令官ベン・ホッジス退役大将Gen. Ben Hodges (Ret)は、The National Interestのインタビューで、「ウクライナ軍は過剰なパフォーマンス、ロシア軍は過小なパフォーマンス」と述べている。

 国防総省によると、ロシアの輸送隊は、複数の理由が絡み合って停滞しているようだ。国防総省高官によれば、ロシアの問題は、燃料や食料不足など物流上の課題、士気の低下、ウクライナの待ち伏せ戦術の成功によるもののようだ ホッジスは、ロシア軍に調整と戦闘の準備がともに明らかに欠けているのは、やや意外と述べた。

 「ロシア軍の兵站が本当に脆弱だと判明しています。燃料や弾薬がしっかり準備されていると思うでしょう。ロシア軍は、移動速度を過大評価しており、輸送隊は、道路が非常に軟弱で、ウクライナ軍の妨害で通行止めになっています」と、ホッジスは別のインタビューで語った。

 具体的には、ロシアはウクライナを上回る航空機を保有しているのに、なぜ航空優勢を確立できないのか。この質問に対して、国防総省のジョン・カービー報道官は、ロシアの空と地の連携が有効でなかったと率直に述べている。案の定、ウクライナの空はまだ「争奪戦」であり、カービーはウクライナの防空システムが効果を上げており、機能していると明らかにした。

 

ロシアは張子の虎なのか?

実際の軍事力に関して言えば、ロシアはペーパー・タイガーなのだろうか?

 確かにプーチンは、極超音速兵器と呼ぶ装備品の存在を公表した。ロシア国営メディアは、無人機、爆撃機、船舶、潜水艦など新しい軍事技術、試験、進歩を常に報じている。ロシアの第5世代ステルス戦闘機Su-57はニュースに取り上げられ、新型戦車T-14アルマータは何年も前から宣伝されてきた。.

 こうした装備品の洗練度や潜在的な優位性に関係なく、考慮すべきは単純な「数」の方程式だ。ロシアメディアは、約12機のSu-57と少数のT-14が運用中と明確に報じている。

 したがって、ロシアの報道が主張するような能力が本当にあると仮定すれば、実際の交戦において、アップグレードされたNATO軍戦車に単純に数で圧倒されることになる。

 さらに、T-14が最新のM1A2 SEP v3エイブラムス戦車との交戦に勝てる根拠はない。さらに言えば、Su-57がF-35に匹敵すると断定する理由はないに等しい。そればかりか、アメリカだけでも数百機のF-35を運用しており、ヨーロッパに広がるF-35のパートナー国の国際コミュニティは、日に日に拡大し、強力になっている。

 ロシア海軍がアメリカ海軍に比べて規模が小さく、能力も低く、圧倒的に劣ることは広く知られている。また、ロシアはNATOのような第5世代航空戦力を持っていないので、その主要な軍事力は地上戦能力と長い間考えられてきた。しかし、今回のウクライナ侵攻は、模範的とまでいわれてきたロシアの総合的な地上戦能力が、大幅に過大評価されていたことを明らかにした。

 Global Firepowerによると、ロシアは戦車1万2000両を運用している。しかし、その大半が冷戦時代の装備で、アメリカやNATOの戦車を捕捉、交戦、破壊する赤外線装備や武器、指揮統制システムを備えていないのなら、それほど重要ではないだろう。長距離で高精度の標的センサーが、スタンドオフ距離でロシアの車両を捕捉、破壊できる。

 フランク・ケンドール空軍長官は、ロシア軍事力が過大評価されてきたと考えているようだ。

「プーチン大統領は非常に、非常に、非常に、重大な誤算を犯した。彼はウクライナ侵攻が引き起こす世界の反応を著しく過小評価し、ウクライナ国民の意志と勇気も著しく過小評価し、自軍の能力を過大評価した」とケンドール長官はフロリダ州オーランドでの空軍協会シンポジウムで述べた。■

 

Is the Russian Military a Paper Tiger? - Warrior Maven

Is the Russian Military a Paper Tiger?


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コメント

  1. ぼたんのちから2022年4月15日 9:58

    韓国並みのGDPで、GDP比4%を越える軍事費を捻出したとしても、米国の10分の1以下、日本の1.2倍程度の軍事費でできることはかなり制限される。強大な核戦力、及びその運搬手段、相当な数の航空兵力、膨大な装甲兵力等を全て維持するのは不可能だ。
    当然、手抜きが横行し、核兵器の相当数は使い物にならず、その運搬手段で使えるのは半分以下、航空機の稼働率は絶望的、戦車で使えそうなのは2,500両もないだろう。
    こんなロシア軍が強大であるとの認識は、米国軍部の予算獲得のために作られたプロパガンダのように思える。しかし、今やロシア軍の代わりにPLAが使え、PLAは脅威だとの声がより大きくなるだろう。
    ロシアが大国であり、ロシア軍が強大であると思いたい人物がロシアの方にもいて、それがロシアの指導者であるプーチンだ。もちろん、ロシアを大国と見せかけたくても、現実が伴わず、尊大な態度に国際的には失笑を受けるだけなのだが、そのような大国妄想と、核兵器と「強大な」軍事力を持つ結果がウクライナ戦争になってしまったとも言える。
    そしてプーチンに似た人物が中国にもいて、こちらはプーチンほど経験も度胸もないが、野心だけは大きく、また、国家の規模もロシアの10倍位もあり、近い将来、プーチンより危険な存在になると推測する。やれやれ。

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