スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナで米製無人艇の運用が始まると.... モスクワ喪失で黒海艦隊にも影響が出てきた。

 United States Sends Drone Boats to Ukraine

Photo by Lance Cpl. Nicholas Guevara

 

 

シア攻撃からウクライナの港湾都市や重要な沿岸地域を守るため、米国から無人艇USV装備がウクライナに向かっている。ロシアが、揚陸攻撃を開始していることを考えると、大きな意味を持ちそうな進展で注目すべきだ。

 安全保障上の理由のため詳細は不明だが、米国防総省は、米国製の無人艇がウクライナに派遣されていることを認めた。

 

 

ウクライナに派遣される無人艇

 国防総省のジョン・カービー報道官は4月14日、「具体的な能力には触れませんが、ウクライナの沿岸防衛の必要性を支援する装備」と記者団に対し、述べた。

 この種の小型無人艇の性能が知られているだけに、これは多くの重要な点で、極めて重要な進展といえる。自律性という点でどの程度高度なものかは不明だが、少なくとも、海岸で指揮統制を行うウクライナ軍が容易に遠隔操作できるはずだ。

 それ以外にも、様々なレベルの自律性で運用され、戦術的優位性をもたらす可能性がある。USVは、武装、非武装にかかわらず、攻撃的、防御的な役割を果たすことができる。

 防衛面では、海岸線に展開するウクライナ軍に、接近するロシア艦船を「感知、確認、探知」する監視ノードとなり、揚陸攻撃の早期警告にもなる。ウクライナの防衛力強化となり、海岸に大量の火力を投入して、接近するロシア艦船を攻撃する機会を提供し、極めて重要である。

 USVは、データを共有し、場合によってはリアルタイムのセンサー映像をストリーミングでウクライナ軍に配信することも可能だ。ウクライナ側がロシア艦船の位置を把握すれば、陸上からロシア艦船を狙ったり、航空機で攻撃が可能となる。

 同時に、対艦ミサイルなど沿岸兵器の前方「ノード」照準任務を遂行できるUSVは攻撃作戦能力も提供できるかもしれない。ロシアの巡洋艦がウクライナの対艦ミサイルによって攻撃を受ける際に、数マイル前方にUSVがあれば、水平線の向こう側からロシア船を「ピンポイント」攻撃できる。

 

モスクワ喪失の影響、オデーサ封鎖作戦

 黒海で起きたロシアの巡洋艦の火災と沈没は、ウクライナのミサイルによるものだする報道と関係があるのかは不明だが、このタイミングは重要に思われる。国防総省のカービー報道官は、ロシア艦がウクライナのミサイルに攻撃されたと独自に確認することはできない、と述べた。

 「黒海の他の船は、同艦の近くや黒海北部で活動していたが、すべて南へ移動したと判明している。モスクワの攻撃を受け、北部の黒海艦隊はすべて、北部地域から離れた」とカービーは述べた。

 ロシアが運用中の各種艦砲射撃兵器や、ウクライナ海軍の「不在」を考えると、黒海とアゾフ海沿いのウクライナ海岸線が大きな危険にさらされていると考えてよい。さらに、カービー報道官は「ロシアはオデーサを封鎖した」と明言した。ロシアはオデーサの経済、貿易、海上交通を妨げている。しかし、ロシアがその他黒海諸国の経済を脅かしたり、問題を起こしている事例はない」。

 NATO加盟国ルーマニアとブルガリアがオデーサのすぐ南で黒海に接しておりプーチンは、NATOや西側諸国と「戦闘中」であるという扇情的なレトリックの一方で、NATOを直接刺激しないよう明確に努めているように見える。■

 

United States Sends Drone Boats to Ukraine - Warrior Maven: Center for Military Modernization



Kris Osborn is the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...