ロシアと戦うウクライナに米空軍が特別に開発した、謎の新型装備「カミカゼ無人機」のフェニックス・ゴーストが、4月21日発表の最新の米国安全保障支援パッケージに入っている。
国防総省のジョン・カービー報道官によれば、この徘徊兵器は、ドンバス地方でロシアの攻勢を阻止しようとするウクライナ向けに、ウクライナの意見を取り入れ迅速に開発された全く新しい機材とのこと。
「これは、ウクライナの要求に応えて空軍が迅速に開発したものだ」と、カービー氏は4月21日に記者団に語った。フェニックス・ゴースト121機以上が、木曜日に発表された最新の8億ドルの支援パッケージでウクライナに向かう。
スイッチブレード無人航空装備の発射を準備する米海兵隊ジュリアン・アルバルド伍長。ノースカロライナ州レジューンで展開した。Littoral Exercise II (LEX II)演習で。 March 3, 2022. U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Ryan Ramsammy
ロシアのウクライナ侵攻が始まり57日目の4月21日、カービーはフェニックス・ゴーストについてAeroVironmentのスイッチブレードSwitchbladeチューブ発射型徘徊弾と「似ているが(正確ではない)」能力を提供すると記者団との電話会談で述べた。フェニックス・ゴーストの能力範囲に」違いがあるというが、どこが違うかは不明だ。各種標的に対して有効という。
スイッチブレードは、カメラと弾頭を搭載したチューブ発射型の徘徊弾だ。監視のため、あるいはターゲット攻撃に使用できる。操作は不要で、標的を狙うことができる。
米国はすでにウクライナに400発のスイッチブレード徘徊弾を寄贈している。300発の追加出荷が発表された先週、最初の100発が同国に到着した。スイッチブレードには、300型と、より強力で対装甲攻撃に優れた600型の2種類があり、別々のターゲットに使用できる。後者は米国備蓄用に導入されたばかりで、非常に品薄だ。敵軍への武器に使用されない場合は監視任務に利用できる。
フェニックス・ゴーストの名前の由来を聞かれたカービーは、「全く分からない。」と答えた。
「分類上、この時点でシステムについてこれ以上詳細に触れたくないのですが、一般的に機能すると考えていただいて結構です」「スイッチブレードと同様の戦術能力を提供します。スイッチブレードは、使い捨て無人機で、攻撃効果を発揮するよう設計された戦術的なUASで、Phoenix ghostはそれと同じカテゴリーになります」(カービー報道官)
その後、報道官は、AEVEX Aerospaceとの米軍契約で開発された同装備は、紛争開始前から開発が始まっていたと述べた。「ウクライナ軍がドンバスで今必要とするものと非常に密接に一致している」。
AEVEXは、自社について航空機やセンサーシステムの設計、提供、統合、運用、維持、データ分析などをエンドツーエンドで提供すると説明している。The War ZoneはAEVEXに、無人機開発への関与や機体設計について情報を求めたが、回答は得られていない。同社はBreaking Defenseの取材に対し、「この件に関してはノーコメント」と回答した。
AEVEXは無人機メーカーではないようだ。同社が主契約者として、制御技術や弾頭など既存のUASの搭載部品を開発・統合した可能性がある。また、輸入またはライセンス設計の国内請負業者のリーダーとして働いている可能性もある。
2021年11月、AEVEXは、有人、無人、または選択的に有人操作となるプラットフォームやロボティクスすべてを網羅するASTROプログラムで、米国一般調達庁との契約を獲得している。同10年契約の上限額は20億ドルで、ニューメキシコ州ロズウェルにある同社の試験・訓練場の使用し、迅速試作、「センサーと特殊任務機、有人・無人の設計・エンジニアリング・統合」のためのFAA Part 145認定修理ステーションが含まれると、AEVEXのCEOブライアン・ラドゥエンツBrian Raduenzは契約締結時に声明を出していた。フェニックス・ゴーストの開発がこの契約で行われたかは不明だが、業務範囲には無人システムの統合も含まれる。この契約により、「あらゆる領域で活動する戦闘員のために、航空全体で革新的な研究開発とデータ管理の取り組みを支援する能力が大幅に向上する」とラドゥエンツは述べた。
チューブ発射型の消耗型無人機のほとんどは、地上、車両、海上船舶、航空機から展開でき、各部隊が制御する。大型無人機で発射する徘徊型UASもあり、高度な能力を有する。Switchblade-300は重量約5.5ポンドで、時速63マイルで巡航し15分滞空し、10キロメートル移動する。600シリーズは40分飛行可能で、33ポンド弾頭を含む重量は55ポンド、射程距離は約40キロメートルとなる。これがチューブ発射型なのか、あるいはマルチローター型を改造したのか、それとも別のものなのか、不明だ。
新システムはウクライナ軍で容易に運用されるはずだが、多少の訓練は必要だろうとカービー報道官は言う。
このシステムは、ウクライナ軍に容易に吸収されるはずですが、多少の訓練が必要です。「このシステムを使用するためには、知識のあるUASオペレーターに最低限の訓練を行う必要があり、我々はウクライナ軍と直接その訓練要件に取り組むつもりです」と、彼は言いました。
「フェニックス・ゴーストの正確な設計は不明ですが、現代の紛争では様々なタイプの特攻機が高い効果を発揮しており、複雑なシステムである必要はないでしょう。今回も、この新システムが武装したクアッドコプターである可能性もあることは誰も知らない。 The War Zoneの編集長Tyler Rogowayが3月に述べたように、市販の武装無人機は便利で、簡単に配備でき、比較的安価に大量提供できる。実際、米国の敵や世界中の悪質な行為者は5年以上にわたって、市販の趣味用や商業用の無人機を殺人マシンに改造して、これを実証している。ウクライナも即席の武装ドローンを戦場で使用している。国防総省の需要不足、輸出規制、そして超低価格の無人技術の兵器化に抵抗する社会の底流があるが、米国はこの分野で遅れをとっている。
フェニックス・ゴーストは、4月21日にホワイトハウスが発表した8億ドルの安全保障支援パッケージの一部で、72基の155mm榴弾砲とそれを牽引する同数の車両、14万4000発の砲弾、現場設備、予備部品も含まれる。先週の8億ドル支援と合わせて、米国はウクライナに野砲90門と、装甲車、戦術無人機、対戦車誘導弾、対砲台・防空レーダー、ヘリコプターなどの提供を約束したことになる。
紛争が長引く中、米軍は各防衛支援パッケージの機能を、ウクライナ軍が戦場で必要とする内容に調整していると、カービー報道官は述べた。
「PDAパッケージへの追加は、ウクライナ側と必要内容を常に話し合ってきた結果であり、リアルタイムでウクライナのニーズに合わせた素晴らしい例だ」(カービー報道官)。
ジョー・バイデン大統領は今朝、ウクライナのデニス・シュミハルDenys Shmyhal首相と会談し、ロシア戦における進展について話し合い、同日発表された8億ドルの追加安全保障支援と5億ドルの経済支援を点検した。またシュミハル首相は、国防総省でロイド・オースティン国防長官と会談した。
バイデン大統領は新支援策を発表する演説で、継続的支援は、ロシアの装甲車や大砲が優位に立つドンバスでの戦いに合わせて行われると述べた。
「米国および同盟国協力国は、ウクライナが必要とする武器と、ウクライナ国防に必要とする装備を提供し続けるため、可能な限り迅速に動いている」(バイデン大統領)。
先週の野砲と装甲車の提供を皮切りに、米軍の支援は「ウクライナのニーズに応え、ドンバス地方での戦闘を支援するべく調整されたもので、他の地域とは異なる戦闘に対応する。ドンバス地域は平坦で、効果をあげるためこれまでと異なる武器が必要となる」とバイデン大統領は述べた。
ウクライナの協力で米国が開発した特注兵器システム「フェニックス・ゴースト」ドローンが必要なようだ。■
Mysterious 'Phoenix Ghost' Suicide Drones Headed To Ukraine
We don’t know the configuration of the ‘Ghost Phoenix,’ only that a company not known for making drones is supplying them.
BY
APR 21, 2022 5:13 PM
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