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ロッキードのスカンクワークスが手掛けるプロジェクトが判明。DXで航空装備の開発サイクルは劇的に短くなる!

    スカンクワークス新規施設が2019年12月の起工式を迎えた。スカンクワークス施設内での新規着工は1980年代以降初めてである。Credit: City of Palmdale   ロ ッキード・マーティン のスカンクワークス施設で撮影された写真からプロジェクト四点の存在があきらかになった。その一つは最近出た求人広告とつながり、情報集監視偵察(ISR)と無人航空機システム(UAS)と関連がある。   同写真と求人広告からスカンクワークスの極秘構想が垣間見え、「デジタル革命」が設計、製造で根付き、従来は十年単位だった新型軍用機開発が数カ月から数年になる時代が来ていることがわかる。   偶然流出したと思われるが、ロッキードの高度開発事業部門が複数の新型機あるいはミサイルのプロジェクトを同時に立ち上げているのがうかがわれる。ロッキードは18カ月前に高度製造施設を起工しており、1980年代以降久しぶりの新施設建設となった。   ロッキードから新施設の狙いについて言及はないが、その答えとしてNASA航空部門の予算による新型機開発の前後に始まった一連のプロジェクトがあるのだろう。   公表された写真に計画表が映っており、NASA向けX-59静かな超音速飛行技術実証機と並行し、これまで知られていなったプロジェクト数点の記載がある。   計画表では「デジタルトランスフォメーションへの移行」とあり、スカンクワークスのデジタルエンジニアリング設計をプロジェクト5点で進めるとある。y軸は「成熟度」で、x軸は「時間」とある。   開始時期が最も早いプロジェクトには「P-2251」の表記があり、Pとはスカンクワークスの新型機あるいはミサイルのプロジェクトを指す。反対に最新のプロジェクトがy軸で成熟度がもっとも高くなっており、「P-731」とある。   NASAのX-59プロジェクトは5年が経過しており、プロジェクト5点のうち成熟度と開始時期が中央部分になっており、「P-727」と「P-95X」にはさまれている。   スカンクワークスの写真はジム・グッドールに手渡された。「スカンクワークス75年の歩み」の著者で、SR-71他ロッキードのステルス機についての著作もある。   グッドールは7月3日に自身のフェイスブックに同写真を掲載した。カリフォーニア州パームデイルのスカンクワークス施設のV

B-21はデジタル・トランスフォーメーションの効果をフルに活用した初の大型機になった。従来の機体開発とどこが違うのか。

  Photo: Courtesy of Northrop Grumman B -21はデジタル開発から生まれた機体だ。開発ではリスク削減を最大目標とした。 ノースロップ・グラマン はデジタル技術を全面応用した設計、試作、製造、テストの各段階を展開した。 B-21が冷戦時のB-1/B-2/B-52と共通するといえば、F-35ライトニングIIが第二次大戦時のPライトニングと同じだというのと同じことになる。 B-2スピリットの登場から30年が経過し、B-21はその間の技術進展を取り入れいれた。ノースロップ・グラマンは最新防空装備であるS-400地対空ミサイルや中国のJ-20ステルス戦闘機に遭遇してもB-21が十分生き残れるようにしている。 B-21は最新デジタル技術から生まれた驚異の機体だ。デジタルで設計、製造、支援の水準が向上した。デジタル開発は空軍にとっても新しい形の調達となった。 「デジタルの三位一体はデジタル技術、アジャイル・ソフトウェア開発、オープンアーキテクチャでステルスの正当後継者だ。軍事技術で次のパラダイムになる」と最近まで空軍で調達業務を仕切ってきたウィル・ローパーが “There is No Spoon: The New Digital Acquisition Reality” (このタイトルは映画マトリックスからとったものだ)と題した2020年の報告書で述べていた。 優れた装備品の実現ではなく、より良いシステムをデジタル技術、管理で構築する、とローパーは述べ、より迅速に設計し、そのまま生産に移し、性能改修が簡単になるとした。これまで次の機体製造まで数十年も間隔が開き、防衛産業はどんどん少なくなる契約案件をめぐり競合してきたが、ローパーは「このままだと中国やロシアに負ける」と警句を鳴らしていた。 デジタルで何が変わったのか しかし、デジタルの導入で空軍は5年前からこの状況を脱していた。その背景にローパーがいた。デジタルが機体ライフサイクルを可視化し、開発から製造、維持まで各段階の姿が明らかになった。 空軍がデジタルを活用する案件はB-21以外に、NGAD次世代航空優勢機材(トップシークレットの第六世代戦闘機)、A-10の主翼交換、B-52で民生エンジン換装事業、地上配備戦略抑止装備事業(GBSD)があり、後者はノースロップ・グラマンが進めるLGM-3

第6世代戦闘機はもう飛んでいる。早期実現させたデジタルエンジニアリングは装備品開発のパラダイムシフトを引き起こす....デジタル化を進めたローパー博士の強い信念。

  アメリカはデジタル設計で新型装備品をかつてないスピードで完成させている。   次 世代第6世代戦闘機が飛行開始している。一体どうやってこんなに早く機体が完成したのだろうか。   また新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)が予想より早く供用開始できるのはなぜか。更にペンタゴンは新型の次世代迎撃ミサイル(NGI)を2020年代末に運用開始する計画だ。驚くべき早さの進展はすべてデジタルエンジニアリングの成果だ。   加速するデジタルエンジニアリング技術ではコンピュータシミュレーションと高性能アルゴリズムを駆使し実物と性能仕様を複製する。   政権交代で空軍を去る直前に調達トップのウィリアム・ローパーはデジタルエンジニアリングの「三位一体」に触れ、大規模装備開発でどんな違いが現れているか説明してくれた。例として第6世代ステルス戦闘機や新型陸上配備戦略抑止手段をあげた。デジタルエンジニアリング技術は正確かつ効果が高く、技術陣兵装開発部門は現物を使わず、あるいはテスト用試作モデルの政策に何年も費やさずに選択肢を逐一検討できる。     ローパーは「デジタル三位一体」について「新しいデジタル調達の実際』と題した文章でソフトウェア開発、コンピュータモデリング、共通技術標準の3つで構成すると解説している。   「『デジタル三位一体』のデジタルエンジニアリングおよび管理、アジャイルソフトウェア、オープンアーキテクチャがこれからやってくる次の大きなパラダイムシフトだ。単に優秀な装備を実現するのではなく、より良いシステムを構築する。これまでより早い設計、一気通貫の製造、アップグレードを簡単に行う。早くして悪いことはなにもない」   コンピュータモデリングで細部に至る評価を行い、実戦の各種状況を想定し、各種条件を変えつつ装備品の設計を検討できるというのは驚くべきことだ。   「デジタルエンジニアリングにより、利用者はデータの出どころを一つに絞ってアクセスできます。究極の透明性が開発中システムに生まれるわけです。NGIの例では開発工程が早まり、問題点やリスクをすばやく早くできました」とレイセオン・ミサイル&ディフェンスのメリッサ・モリソン−エリス部長がNational Interestに語っていた。   GBSDの開発元ノースロップ・グラマンはレイセオンと共同でNGIをミサイル防衛庁(MDA)

F-35のライフサイクルコストは負担不可能なのでNGADに期待せざるを得ない、と退任(?)間際のローパー空軍次官が見解を示した。その他、デジタルエンジニアリング、ABMS、空軍の価値観を語る。

  F-35 F -35のライフサイクルコストが法外な水準なままのため、空軍は必要とする機数の調達ができない、このため次世代制空機(NGAD)が重要になると空軍で調達を仕切ってきたウィル・ローパー次官が退任を前に報道陣に語った。 「F-35事業は持続不可能だ。大量調達可能な価格水準からも遠い」 「このため次世代制空機が重要となる。戦闘に必要な装備を揃えた次世代戦闘機になるだけではない。調達の仕組みを根本から変えるだけではない。F-35より維持が容易な機体を実現する機会となり、現実にF-35の飛行時間あたりコストが下がっていない」 ローパーは1,763機のF-35調達構想を縮小すべきかの議論には与しない。「だがそれだけの規模の機材を維持できる価格水準でないことは確かだ。今後数年間がF-35事業の運命を決めるだろう」 NGADの実現を早め、実戦に耐える戦闘機部隊を整備すべきと言おうとしているようだ。 「(NGADの)今後には大きな期待があるが、最悪の事態想定で仕事したくない。空軍にTacAirポートフォリオを提供し選択肢を与えており、ボールは空軍にある」 ローパーの説明では空軍戦闘機は開戦当日から制空権確保の役目があり、「初日に勝利できないとその他の軍部隊が戦闘に入れなくなる」からだという。このためF-35では投入可能機材の規模が問題になり、同時に性能水準も重要要素だと指摘する。 「水準についてはF-35は問題ないと評価は一致しているが、次のステップとなるブロック4機体に注目している。機体数は飛行時間あたりコストが本当に下がるかで変わるが、このコストが機体取得価格より重要で空軍の調達数そのものが問われかねない」 主契約企業 ロッキード・マーティン はブロック4改修でコンピュータ処理速度を引き上げ、ミサイル搭載数を増やし、コックピットディスプレイを拡張し、航続距離を伸ばし、無人機との連携機能を実現するとしている。だが政府会計監査局はブロック4改修費用は15億ドル増加し今や121億ドルになると把握している。改修が何度も遅延していることがあり、監査局は質面に注目している。「F-35は現場で信頼性、整備性の目標を満たしておらず、事業が期待する品質の機体を納入できていないことが露呈している」と報告書にある。 「ブロック4改修は今も続いており、ソフトウェアのアップグレードを参考にア

第六世代ステルス戦闘機は米国で完成している。予想より10年も早く飛行できた理由とは....

  第六世代ステルス戦闘機は米国が各国に先駆け飛行を開始させたようです。F-35で20年以上たっても完成しない間に技術は一気に次の段階に進んだのでしょうか。また数年で完成したのはなぜでしょうか。今回の記事はその片鱗に触れていますが、はいそうですか、と簡単に納得できない点もあります。ただし、航空機製造の技術体系が大きく変わるパラダイムシフトが米国で実現したのは事実のようですね。   USAF   米 国の謎に包まれた第六世代ステルス戦闘機は想定より5ないし10年も早く飛行を開始した。空軍の次世代制空戦闘機(NGAD)構想が始まり数年経過しているが、実機登場は2030年以降と見られていた。 この背景になにがあったのだろうか。考えられるのがデジタルエンジニアリングで試作機、設計図面、技術詳細を仮想再現し、テストや解析を「金属切り出し」より先に完了してしまうことだ。この作業で第六世代ステルス戦闘機は完成したのだろう。 空軍調達トップのウィリアム・ローパー博士がデジタルエンジニアリングを大々的に提唱している。ローパーがデジタルエンジニアリングの論文 “There is No Spoon: The New Digital Acquisition Reality”を発表している。  「『デジタル三本柱』とはデジタルエンジニアリング・マネジメント、アジャイルソフトウェア、オープンアーキテクチャアであり、これがステルスに貢献する。次のパラダイムシフトは軍用分野でこの三技術で優位を確保することだ。より良いシステムを構築するのではなく、システムをよりよく構築することで、設計が短縮され、機体組立がスムーズになり、アップグレードが容易になる」 仮想シミュレーションや高度コンピュータ技術で設計が迅速化された以外に試作機多数の製造が不要となりコストが下がった効果が大きい。歴史を眺めるとペンタゴンで新型機というと、短くても10年かけ設計審査、各種調達段階を経たのちに試験開発にさらに数年をかけてきた。 ではどうやって第六世代機特有の技術詳細を試作機の飛行前に実現できたのだろうか。ここに高度デジタルエンジニアリングやコンピュータモデリングの妙義があり魔法がある。仕様が多数あってもシミュレートし仮想評価できる。ローパー論文ではデジタルエンジニアリングでは想像、直観といった人間特集の認知力を使い新装備品シ

NGAD試作機のメーカーはどこなのか?

  米 空軍向け次期戦闘機で実証機の存在が公表されたが、製造企業は謎だ。 空軍調達を仕切るウィル・ローパーは新型機について多くを語らず、すでに飛行しており、一部システムは飛行テスト中で、デジタルエンジニアリングで作成したとだけ述べている。 では謎解きの手がかりを見てみよう。まず試作機は次世代制空戦闘機(NGAD)事業の一部のようだ。 2015年1月、下院軍事委員会で当時の調達、技術、補給活動担当国防次官補フランク・ケンドールは新型機各種をエンジン技術とあわせ空軍、海軍向けにDARPA主導のプロジェクトで開発中と述べていた。 「ねらいは次世代の制空能力を有する機材の試作機を開発することで、Xプレーンと呼んでよい」とケンドールは述べていた。航空宇宙技術革新構想Aerospace Innovation Initiativeと呼ばれ、「技術開発とともに関連リスクを解消し、F-35に続く機体さらに高性能航空機材を実現するのがねらいだ」 「NGAD試作機メーカーの候補に ボーイング 、 ロッキード・マーティン 、 ノースロップ・グラマン があり、そのほか ジェネラルアトミックス も設計した可能性があるが可能性は低い」とキャピタルアルファパートナーズのアナリスト、バイロン・キャランが記している。「 テクストロン がスコーピオンで新設計案も一年で飛行させることが可能と証明したが、戦闘用機材にこの技術が応用できるようになったとは思えない」 エンジンは GE あるいは レイセオンテクノロジーズ 傘下の プラット&ホイットニー 製とキャランはみている。 ではNGAD戦闘機の製造元として可能性のある各社を見ていこう。 ボーイング シカゴに本社を置く航空宇宙大手の同社はデジタルエンジニアリングに詳しく、スウェーデンの Saab と共同でT-7A訓練機の設計製造を一年未満で完了した実績がある。T-7Aのミッションコンピュータはサードパーティ製ソフトウェア、アプリが実行でき、アップグレードは容易だ。また設計は組立工程の簡易化もねらい、胴体前後部の組立ては15分で完了する。F/A-18スーパーホーネットの胴体組立は24時間かかるとボーイングディフェンスCEOリーアン・カレットが述べている。   ノースロップ・グラマン ノースロップが スケイルド・コンポジッツ Scaled Compositesを