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9月, 2020の投稿を表示しています

将来の戦闘で給油機をどうするかが課題。KC-46の武装化それとも大型戦闘機、あるいは小型無人給油機?

    KC-46A Credit: Boeing/Paul Weatherman   大 型の長距離戦闘機、ボーイングKC-46給油機の武装型、さらに無人小型ステルス給油機...これが米空軍上層部が検討中の内容と空軍次官補ウィル・ローパーが9月23日に明らかにした。 ローパーは調達、技術、兵站を担当し、新任の航空機動軍団司令ジャクリン・ヴァン・オヴォスト大将とKC-46の動向に注視していると述べた。トラブル続きの同機では空軍とボーイングが遠隔視覚システム2.0のアップグレードの完成に努力している。  KC-46で問題解決すれば次の給油機に注力できるとローパーは述べ、実際の給油能力と現場が求める給油能力の差を解消したいとする。航空優勢が確保できない環境ではKC-46のような機体は大型すぎ、防御力も低いため脆弱性が隠しきれない。  そこで生存性の高い機体で厳しい空域でも給油を提供できる機体がヴァン・オヴォスト大将との協議の焦点だったとローパーは紹介している。 「空軍の次の戦略課題は給油機を敵戦闘機から守る方法で、敵は給油機を撃墜すれば戦闘機、爆撃機多数を撃墜するのと同じ効果があるとわかっている」 ローパーは敵攻撃にさらされる給油機を一つのアーキテクチャアと考え、各種の選択肢を検討する。 そのひとつに給油機への依存を減らすことがあり、新型戦闘機の搭載燃料を増加させればよい。 「現行の戦闘機のサイズで今後の対応は難しい。さらにすべてがデジタルエンジニアリングになる中で将来の戦闘機の姿を想像すれば大型化が自然に出てくる」 もう一つの選択肢がKC-46の生存性を高めることで、これが可能なら前方進出が可能となる。  「KC-46が大型機なので各種センサーや兵装を主翼下に搭載する余裕がある」「高価値機材の防御に戦闘機の哨戒飛行をあてられるのならこんなことはしない」(ローパー) 今後に向け別の形の給油機も必要だという。二つ選択が可能だ。ひとつはKC-46を上回るサイズの機体で搭載燃料をふやすことだが、実際は敵の手が届かない地点に留まることになる。もうひとつは小型無人ステルス「マイクロ給油機」で敵防空空域の内部に進出することだという。 「敵戦力が強い空域で航空戦力を展開するためには燃料を戦略的に理解する必要がある」とローパーは述べている。■   この記事は以下を再構成しました。 US

J-20まで台湾海峡に展開する中国の意図は「実戦」と日米両国へのけん制だ

    中 国の戦闘機、対潜哨戒機、早期警戒機が台湾に接近するパトロール飛行を続けており、中国は「実戦」に向けた準備として台湾進攻をはじめようとしている。中国指導部は真剣なのだろうか。 中国はステルス戦闘機、対潜哨戒機、早期警戒機などを台湾に接近飛行させており、台湾進攻の「実戦」準備に入ったようだ。   共産党寄りの環球時報によればY-8対潜哨戒機、KJ-500早期警戒機、Y-9偵察機さらに第五世代ステルス戦闘機のJ-20が台湾付近を飛行しており、軍事行動の準備中という。「台湾軍情報を収集するのが目的で、あわせて米国、日本の動向とりわけ潜水艦や兵員移動、軍事基地の状況を把握し、PLAによる戦闘の準備をしている」とある。   同記事によればJ-20は台湾沖合500キロ地点を飛行し、台湾、米国双方の軍用機を数分で撃破できる状態だったという。さらにJ-20は台湾を15-20分で攻撃できる状態だったとある。     J-20は台湾の現役軍用機よりヒト世代先を行く気体であり、PLA侵攻時には一方的な勝利となると同紙にある。   他紙記事でも米軍日本軍が台湾防衛に出動しても中国軍の攻勢の前に敗退し、Y-8が米日両国の潜水艦を追尾するとある。   Y-9偵察機も敵軍の情報をつかみ、敵基地の情勢を探り、港湾、飛行場の様子が手に取るようにわかるからという。   では記事にある「実戦」とはどういう意味なのか。戦闘にむけたエスカレーションなのだろうか。   台湾と米国は中国侵攻の脅威を現実のものと感じてきた。今回の中国の動きにはエスカレーションの意図が明らかだ。偵察情報収集ミッションとJ-20の脅威が組み合わさり、挑発の意図に深刻なものだある。   ではどんな対抗策がとれるだろうか。   一つ思い浮かぶのはF-35Bを搭載した米強襲揚陸艦を付近に配備し、J-20に対抗しながら、中国偵察機の安全を脅かすことだ。   同地域でもう一つ忘れていけないのが米側が爆撃機タスクフォースを定期的に配備し、訓練や偵察パトロールを展開しておくことであり、米国が台湾と共同で接近してくる中国機を探知し迅速な迎撃態勢を維持することだ。■     この記事は以下を再構成したものです。中国はこのまま何もしないと張子の虎と笑われますので、何らかの手を打ってくるでしょう。タイミングはズバリ、11月の大統領選挙後です。こ

初期型ホーネットを2030年代まで使いまわせ、米海兵隊の各種性能改修案

  2 030年代以降の米海兵隊の戦術航空機材 (TACAIR) は ロッキード・マーティン F-35B、C型ライトニングIIに統一される。現在はマ クダネルダグラス AV-8BハリヤーIIおよび ボーイング F/A-18AからD型ホーネットも海兵隊の近接航空支援(CAS)に投入されている。現行案ではハリヤーIIは2028年度、ホーネットは2030年度に廃止される。   海兵隊のホーネットはA型からD型まで1980年代の製造で旧式化が目立つものの全機が性能改修を受ける。各機退役まで10年近く残る中で、選抜した84機は最終年度まで供用対象となる。   ホーネットは空対空、空対地両面で海兵隊で最優秀機材となっているがさらに一部機材は10千時間までの稼働を可能とすべく保守管理が施される。並行して新装備も導入され、ライトニング部隊がフル稼働する2030年までのつなぎ機材として十分に機能させる。   非公式に「クラシック」ホーネットと呼ばれる第一世代F/A-18はすでに米海軍では大型化したF/A-18E/Fに交代している。海軍から一部機材が海兵隊に提供され、2030年までの供用を期待されている。   JAMIE HUNTER 米海兵隊のホーネットは最大7個飛行隊に最新性能改修の実施を目指す。     F/A-18A-D事業管理部門(PMA)が今後の計画を積極的に検討しており、稼働率向上や機材保存に加え耐用年数末期予定点検(PMI)の再検討も行っている。年二回にわたり検討会を開き、海兵隊の現有ホーネットで今後も供用可能な機体の特定に努めている。   海兵隊上層部からホーネット攻撃機部隊に関し、大胆な案が出ている。その中心が数次にわたる改修で、最終的に飛行隊7個分の最良状態のホーネットを確保する。全機に レイセオン AN/APG-79(v)4アクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)を搭載する。   このレーダーは Block 2/3のF/A-18E/FスーパーホーネットならびにEA-18Gグラウラーに搭載されているAN/APG-79(v)1が原型だ。クラシックホーネットにAESAを搭載する構想は長年にわたりあったが、新型機体防御装備ならびに精密誘導兵器を搭載すれば、ホーネットはハイエンドミッションに耐える機体になる。   ホーネットの兵装システム士官(WSO)だったマイケ

北朝鮮の国家ぐるみサイバー攻撃に金融はじめ産業界は対策を講じるべきだ。究極の対策は北朝鮮体制の転覆しかないのか。

    北 朝鮮偵察総局の一派が金融機関に侵入し金銭を盗む動きが世界各国で再開しており、能力をさらに引き上げていると米サイバーセキュリティおよびインフラストラクチャセキュリティ局(CISA)が注意報を出しており、財務省、米サイバー司令部、FBIも注意喚起している。   ビーグルボイズBeagleBoyzと呼ばれる集団が2015年からの事件に関連しており、2016年にはバングラデシュ銀行が81百万ドルを窃盗された。合計被害額は20億ドルを超えると見られる。    注意報では「ビーグルボイズによる銀行襲撃で各金融機関に深刻な営業リスクが発生しており、盗難被害や回復費用以外に信用喪失が怖い」「同様に懸念されるのがハッカー集団の手口が巧妙になっており、銀行はじめ金融機関の基幹コンピュータシステムが運転できなくなる事態が発生していることだ」と指摘。   ビーグルボイズの犯行は2018年に「FASTCash」として発覚した。これはATMから現金を盗む手口で、最新の注意報は「FASTCash 2.0、北朝鮮ビーグルボイズによる銀行襲撃」として大きく二つの進展があるとする。ハッカー集団はWindowsサーバー上のスイッチ操作用アプリケーションに侵入し、銀行間取引用の接続を狙うとある。   「北朝鮮ハッカー集団は戦術を巧みに変更して金融以外の業界にもサイバー犯罪をはたらいている」とCISAのサイバーセキュリティ部門次長のブライアン・ウェアが解説する。「CISAはその他関連機関と連絡を取りながらサイバー脅威の関連情報を具体的かつアクションが取れる形で適宜配信しています。目標は悪意あるサイバー作戦を妨害し、敗退させることで敵の先を行く形で最大のリスクに政府、民間で対応していくことにあります」   注意報の推奨内容にはオペレーティングシステムに最新のパッチを当てるといった一般的なものから金融機関に焦点をあてたATMや電子決済装置での注意点までを含む。   「財務省のサイバーセキュリティ・重要インフラ防護部門は政府、民間部門との連携でグローバル金融部門への北朝鮮等サイバー犯による脅威の低減に努めています。 チームとして動く必要があり連携と情報共有により金融業界のセキュリティと回復力を維持しています」と財務省のデイヴ・ラックメント次官補代理は語る。   手口としてはマルウェアを使うことが多く、

新鋭英空母が米海兵隊F-35Bを搭載。英米両国は新しい安全保障協力の時代に入った。

  英 海軍空母HMSクイーン・エリザベスが英米両国のF-35Bを搭載した新しい運用段階に入った。英海軍、英空軍、米海兵隊が共同で新運用体制を準備してきた。 英空軍617飛行隊「ダムバスターズ」と米海兵隊戦闘攻撃飛行隊VMFA211「ウェイクアイランド・アヴェンジャーズ」の合計15機が同空母に搭載された。これと別に英海軍航空隊所属のマーリンヘリコプター8機もある。 各機は同艦に2020年9月22日から順次合流した。英国保有のF-35Bで作戦投入可能な機材は15機で、RAFマーハム基地に展開する。別に3機がエドワーズ空軍基地(カリフォーニア)でテスト評価作業に従事している。 F-35Bで最大の運用事例はUSSアメリカが太平洋を航行中の13機だった。海兵隊の「ライトニング空母」構想では強襲揚陸艦にF-35Bを16機から20機搭載する。 海兵隊は F-35Bの作戦能力獲得を2015年に宣言し、2018年から揚陸艦に搭載している。同年に海兵隊のF-35Bがアフガニスタンで初のF-35B実戦投入となった。 UK MINISTRY OF DEFENCE/CROWN COPYRIGHT UK MINISTRY OF DEFENCE/CROWN COPYRIGHT   実戦飛行隊二個から15機を集め空母に搭載するのは英国海軍航空部隊の戦力整備で大きな一歩だ。2010年に英戦略防衛安全保障検討で英海軍最後の固定翼機運用空母HMSアークロイヤルをハリヤージャンプジェット機と合わせ廃止したことからこの構想は生まれた。 UK MINISTRY OF DEFENCE/CROWN COPYRIGHT   2隻建造される新型空母の一号艦HMSクイーン・エリザベスは2017年6月に初の外洋航海を実施し、スコットランド沖合で公試に入った。ライトニングの初運用は2018年9月の米東海岸沖合で、パタクセントリバー海軍航空基地の統合試験部隊の米海兵隊F-35Bだった。英軍機材の運用開始は2019年10月で同じく米東海岸沖合でのことだった。 UK MINISTRY OF DEFENCE/CROWN COPYRIGHT   英国防省によればHMSクイーンエリザベス艦上の航空部隊は1983年のHMSハーミーズ以来で最大規模という。 排水量65千トンのHMSクイーンエリザベスはポーツマス軍港を2020年9月21日

NGAD試作機のメーカーはどこなのか?

  米 空軍向け次期戦闘機で実証機の存在が公表されたが、製造企業は謎だ。 空軍調達を仕切るウィル・ローパーは新型機について多くを語らず、すでに飛行しており、一部システムは飛行テスト中で、デジタルエンジニアリングで作成したとだけ述べている。 では謎解きの手がかりを見てみよう。まず試作機は次世代制空戦闘機(NGAD)事業の一部のようだ。 2015年1月、下院軍事委員会で当時の調達、技術、補給活動担当国防次官補フランク・ケンドールは新型機各種をエンジン技術とあわせ空軍、海軍向けにDARPA主導のプロジェクトで開発中と述べていた。 「ねらいは次世代の制空能力を有する機材の試作機を開発することで、Xプレーンと呼んでよい」とケンドールは述べていた。航空宇宙技術革新構想Aerospace Innovation Initiativeと呼ばれ、「技術開発とともに関連リスクを解消し、F-35に続く機体さらに高性能航空機材を実現するのがねらいだ」 「NGAD試作機メーカーの候補に ボーイング 、 ロッキード・マーティン 、 ノースロップ・グラマン があり、そのほか ジェネラルアトミックス も設計した可能性があるが可能性は低い」とキャピタルアルファパートナーズのアナリスト、バイロン・キャランが記している。「 テクストロン がスコーピオンで新設計案も一年で飛行させることが可能と証明したが、戦闘用機材にこの技術が応用できるようになったとは思えない」 エンジンは GE あるいは レイセオンテクノロジーズ 傘下の プラット&ホイットニー 製とキャランはみている。 ではNGAD戦闘機の製造元として可能性のある各社を見ていこう。 ボーイング シカゴに本社を置く航空宇宙大手の同社はデジタルエンジニアリングに詳しく、スウェーデンの Saab と共同でT-7A訓練機の設計製造を一年未満で完了した実績がある。T-7Aのミッションコンピュータはサードパーティ製ソフトウェア、アプリが実行でき、アップグレードは容易だ。また設計は組立工程の簡易化もねらい、胴体前後部の組立ては15分で完了する。F/A-18スーパーホーネットの胴体組立は24時間かかるとボーイングディフェンスCEOリーアン・カレットが述べている。   ノースロップ・グラマン ノースロップが スケイルド・コンポジッツ Scaled Compositesを