ラベル B-1B の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル B-1B の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022年9月10日土曜日

B-1Bを南米違法漁業取締に投入と聞いて、ムダな運用と思う向きは対中戦略の大きな構図を理解していないことになる

 

テキサス州ダイエス空軍基地の第7爆撃隊所属のB-1Bランサー機が、フロリダ州マクディル空軍基地の第927空中給油隊所属のKC-135ストラトタンカー機から、カリブ海上で空中給油を受けた(2022年9月7日撮影)。第12空軍と航空機動司令部による航空作戦は、パナマとエクアドルとのパートナー相互運用性訓練の一環で行われ、能力向上、違法漁業行為への対応強化、地域の安全保障における共通利益の維持のために行われた。このような多国間協力により、資源効率を最大限に高め、米南方軍、構成司令部、パートナー国間で一貫した訓練を行える (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Joshua Hastings).

 

B-1Bの投入は、爆撃機の海上での役割増大を意味する一方、違法漁業は国家安全保障上の懸念事項だ

 

 

キサス州ダイエス空軍基地から飛来した米空軍B-1B爆撃機編隊は、エクアドル沖の太平洋東端とガラパゴス諸島周辺を飛行し違法漁業の兆候を監視した。長距離攻撃機B-1Bで、この任務は珍しく聞こえるかもしれないが、国際法執行活動の支援は、実際の環境でスキルを磨く方法として、以前から行われている。

 また、今回のB-1B投入は、特に太平洋地域における将来のハイエンド紛争時の対艦ミッションも視野に入れた、B-1Bの海上での役割拡大への空軍の関心度も浮き彫りにしている。さらに米軍は、インド太平洋地域含む地域でも、違法漁業など、中国の悪質な活動への対抗方法の支援に、興味をいっそう示している。

 

テキサス州のダイエス空軍基地から、違法漁業対策に出撃する米空軍のB-1B爆撃機。 USAF / Senior Airman Mercedes Porter

 

9月7日のミッションには、ダイエス基地の第7爆撃航空団から2機のB-1Bが参加した。空軍は、エクアドルおよびパナマ政府と協力して実施の米国本土(CONUS)爆撃機部隊(BTF)の広範な作戦として、「違法、無報告、無規制(IUU)漁業」に対処したと説明している。フロリダ州マクディル空軍基地のKC-135空中給油タンカーがB-1Bを支援した。爆撃機乗員から提供された情報から、違法漁船の疑いに関して何らかの行動が取られたかどうかは不明。

 米南部司令部の声明によると、「このような地域的な軍事的関与は、エクアドル・パナマ両国とのパートナーシップを強化し、相互運用性を高め、災害救援から人道支援、安全保障活動まで、将来起こりうる各種活動に備えた準備を向上させる」ものだという。「部隊が互いに訓練することで、危機場面での協力能力を向上させることができる」。

 第7爆撃航空団第7作戦群長のジョン・マクラング空軍大佐Col. John McClungも東太平洋への展開について、「空軍グローバルストライク司令部の飛行士にしかできないことの一つだ」と述べている。「この部屋にいる飛行士は、この任務を遂行し、数時間で反復できる。簡単に見えるが、実は大変な仕事だ」。

 B-1Bは、爆弾倉に最大75,000ポンドの各種弾薬を搭載し、何千マイル先の目標に向かう長距離攻撃機の機能が主任務だイラク、シリア、アフガニスタンでの戦闘作戦を支援しながら、近接航空支援プラットフォームとしての価値も証明してきた。2036年までに完全退役の計画が進んでいるが、新兵器搭載や外部パイロンへの武器搭載機能の復活など、現在も現役爆撃機として能力向上に取り組んでいる。

 しかし、AN/AAQ-33スナイパー高性能照準ポッド(ATP)で、B-1Bが即席の長距離監視プラットフォームとして機能するのを示したのは今回が初めてではない。

 

B-1Bランサーの機体右下に搭載されているスナイパーポッドにより、攻撃後の標的を確実に識別し、戦闘ダメージを迅速に評価できる。 (U.S. Air Force photo/Jet Fabara)

 

この役割は、非伝統的な情報・監視・偵察NTISRと呼ばれる。スナイパーセンサーは、電気光学赤外線双方のフルモーションビデオカメラとデータリンク機能があり、下方の対象物の特定、移動目標の追跡、地表の特定地点のGPS座標生成など、NTISRミッションに適した機能を備える。

 B-1BやB-52は、これまでもNTISRミッションで飛行しており、カリブ海上空では、麻薬対策のために密輸船を探ったことがある。

 NTISR支援に加え、麻薬対策や違法漁業対策のためB-1Bの飛行は、予測不可能なターゲットの特定や追跡含む様々な機能を実践する貴重な機会だ。こうした出撃で得られた経験は、将来の戦闘出撃、特に海洋環境での出撃に応用できる。

 空軍は近年、B-1Bの海上作戦能力を拡大中で、特に中国やロシアのような互角戦力を有する敵との将来のハイエンド紛争を視野に入れている。また米軍は、米国本土への脅威の増大、特に大規模紛争時に太平洋や大西洋沿岸の船舶や潜水艦から巡航ミサイル攻撃を受ける可能性が高まっていると警鐘を鳴らしている。

 第7爆撃航空団の司令官ジョセフ・クレイマー空軍大佐Col. Joseph Kramer,は、今回の東太平洋出撃についての声明で、「西半球で競合に直面している」と述べた。「爆撃機の任務は、今日の複雑ダイナミックかつ不安定な世界的安全保障環境において、いつでもどこでも脅威に対応できる能力を示している」。

 同時に、違法漁業は特に太平洋地域において、ますます深刻な国際安全保障問題となっている。中国漁船団は、定期的に違法漁業活動をしていると非難されている。問題の一部が、南シナ海を含む広範な領有権主張を固め、さまざまな国に政治的・経済的圧力をかける北京の姿勢と密接に絡み合っているのは間違いない。

 ガラパゴス諸島は、今回のB-1Bの出撃の焦点の一つで、問題の発火点だ。ガラパゴス諸島はユネスコ世界遺産と生物圏保存地域に指定され、エクアドル政府は周囲に2万7000平方マイルの海洋保護区を宣言し、グレートバリアリーフに次ぐ規模の保護海域となっている。

 しかし、海洋保護団体オセアナによる2020年報告書によると、2019年7月から2020年8月にガラパゴス付近で観測された密漁のほぼすべてが中国漁船団によるもので、わずか1カ月で合計7万3000時間の漁を行ったという。その後も周辺で同様の活動が観測されている。

 6月、ジョー・バイデン米大統領は、違法漁業に特化した初の国家安全保障メモに署名し、国防総省やその他連邦政府機関に対し、こうした活動の対策強化に向けた協力連携の強化を指示した。また、同月には、米国、オーストラリア、インド、日本の4極安全保障対話で宇宙からの監視を利用した違法漁業監視の計画を発表していた。

 つまり、違法漁業への対策は、米軍や米国政府の他の部門と同様に、中国へ対抗する大戦略の一環として、直接的間接的に実施されそうだ。2020年発表の米海軍、海兵隊、沿岸警備隊の合同海軍戦略では、中国やロシアからの日常的な海上での挑戦に対応するため、非戦闘の悪質行為への監視を強化を強調している。

 「国際ならびに、政府全体の努力とともに、海軍は、国際法に違反し、資源を盗み、他国の主権を侵害するライバル国の行為を検知し、記録する」と戦略に関する公式の白書では、「悪質活動の証拠を米国や国際機関に提供し、こうした行為を暴露し、侵略者の風評被害を拡大する」と説明している。「前方展開中の海軍部隊は、法執行当局と軍事能力を補完的に活用し、攻撃的な作戦を通じ悪質な活動を阻止する態勢を整える。我々の拡大努力は、ライバル国の誤ったシナリオを否定し、ルールに基づく秩序を堅持する米国の姿勢を示すものだ」。

 同文書では、中国政府を特に「自国の排他的経済水域を守れない国から重要資源を奪う、国家補助による遠洋漁業船団」などと批判している。

 

 B-1B が違法漁業対策を定期的に支援するかはまだ不明だが、同爆撃機の運用コストと、より伝統的な軍事任務の支援への要求を考えると、可能性が低いように思われる。空軍はまた、イラク、シリア、アフガニスタンで長年にわたり酷使された後、作戦テンポを縮小することで、B-1B部隊の全体的な即応性を向上させようと努力している。

 

2022年9月7日、テキサス州ダイエス空軍基地で離陸に備える米空軍の航空機乗員。同機は米国南方軍の爆撃機タスクフォース任務を支援するため離陸した。このような地域的な軍事的関与は、同盟国エクアドルやパナマとの米国のパートナーシップを強化し、将来起こりうる各種作戦への集団的な準備態勢を向上させている。 (U.S. Air Force photo by Senior Airman Mercedes Porter)

 

 米軍資産では、海軍のP-8Aポセイドン海上哨戒機がこの任務にはるかに適している。海軍のMQ-4CトライトンやMQ-9リーパーシリーズのような、情報・監視・偵察(ISR)を長時間行う無人航空機も選択肢の1つだろう。持続的な海上監視は、Airbus Zephyr Sのような非常に高い耐久性を持つ将来の超高空飛行ドローンで想定するミッションの1つだ。

 小型の商用機材、特に情報・監視・偵察(ISR)ミッション用に転用できるビジネスジェット機やターボプロップ機は、はるかに経済的なプラットフォームとなる。これは、The War Zoneで過去に対麻薬作戦支援のNTISRで爆撃機を使用する是非を議論した際に指摘していた。米軍は麻薬対策任務に請負業者が運用するISR航空機を採用している。

 B-1Bは、将来の海上戦闘、特に太平洋地域での戦闘に役立つ技術を磨く手段として、散発的に違法漁業監視を行う可能性があり、同盟国やパートナーに現実的に役立つ支援を提供する可能性もある。■

 

B-1B Bombers Are Hunting Illegal Fishing Boats Off South America

BYJOSEPH TREVITHICKSEP 9, 2022 4:26 PM

THE WAR ZONE

 


2019年5月23日木曜日

B-1Bに新しい任務を想定する米空軍

Aviation Week & Space Technology

USAF Upgrade, Service Life Programs Point To New Roles For B-1Bs

May 14, 2019Steve Trimble | Aviation Week & Space Technology
As Retirement Nears, USAF B-1Bs Gain New Roles
退役近づくB-1BにUSAFが新使命を与えた

来の想定とかけ離れ18年もわたり近接航空支援に投入されてきた米空軍のB-1B爆撃機がつけを払う時期が来た。
飛行中エンジン火災が1件、全機飛行停止措置が一年で二回発生し、運用部隊や機材に黄色信号が出た。
そこに国家防衛戦略が登場しB-1Bの方向性が変わる。核攻撃用に構想された大型爆撃機は今や通常兵器しか搭載できない。
ペンタゴンの長期戦略が強力な軍事力を有する敵勢力相手に切り替わった今、空軍は二十年酷使してきたB-1Bの機体やエンジンの疲労摩耗に手をうつ必要に迫られている。専門家には2036年退役予定の同機がハイエンド戦の場合に真価を発揮できるか再評価すべきとの声もある。.
とはいえ今の関心事は修理だ。2018会計年度から空軍は同機のGEエイビエーション製F101エンジン289基の耐用年数延長に乗り出しており、作業は2040年までかかる。
また構造強度の調査も開始した。一機で耐久性調査したところ今後20年にわたり滞空性を維持するには相当の修理作業が必要と判明した。「主胴体、主力付け根部分、可変翼機構、昇降舵」とジョン・エドワーズ大佐(28爆撃団司令、サウスダコタ州エルスワースAFB)が述べている。耐用年数延長プログラム(SLEP)は今年末までに開始されるという。

改修を受けたB-1Bは戦闘機部隊とリアルタイムで協同作戦の実施が可能となった。 Credit: U.S. Air Force


B-1B生産は1988年に終了しており、機体構造とエンジンの改修はこれまでで最大規模の作業となる。
統合戦闘システム(IBS)搭載のB-1B部隊が昨年戦闘に投入され米中央軍によるシリア国内のイスラム国勢力攻撃を支援した。
1980年代に空軍はB-1BにNASAのスペースシャトルと同様のロックウェル・インターナショナル(現ボーイング)製ミッションコンピュータを搭載し時代の変化に追随しようとした。
1993年に空軍はB-1Bの核兵器運用能力の撤去を决定。2006年までかかった改修で各種誘導兵器運用に必要なエイビオニクスを搭載した。オリジナルのミッションコンピュータ6基は1960年代のソフトウェア言語Jovialを使っていたが新型プロセッサー4基に交替しソフトウェアもADAコードに代わった。



IBS改修は900百万ドル近くになったがB-1Bのエイビオニクスは一新されLink 16が完全利用できるようになり機内ディスプレイもカラー表示となった。これによりB-1Bが攻撃部隊ではじめて主力の座につき、センサーや標的のデータを空軍の僚機に提供できるようになった。ここ20年ほどで空軍パイロットが当たり前に使っている機能だが空軍保有の最大の規模の機材にも導入されたわけだ。
B-1Bの投入用途が変わる中で空軍は同機の将来性の検討をせまられた。B-1B部隊は2015年以来核兵器運用を任務とするグローバル打撃軍団に配属されているが、空軍で攻撃用機材の不足が痛感される中、空軍協会のミッチェル研究所はB-1Bは通常型爆撃機ではなく戦術兵器多数を搭載した「トラック」として長距離任務に投入すべきと主張している。

「B-1は大型F-15Eにできる」とミッチェル研究所専務理事ダグ・バーキーが言う。「小規模SLEPだけ実施してB-1を引退させるのは理に合わない。まだまだ長く供用できるはずだ」■

2018年5月23日水曜日

B-1に火器搭載しCAS機に転用する構想をボーイングが準備中

Proposed Cannon Would Turn the B-1 Bomber into a Gunship B-1爆撃機をガンシップに転用する火砲搭載構想について



Diagram from Boeing’s patent (U.S. 9,963,231 B2 ) for a retractable cannon for the B-1B Lancer.
ボーイングが交付を受けた特許 (U.S. 9,963,231 B2 ) に添付されたB-1Bランサーへの機内格納式の火砲の搭載構想図。

Military.com 17 May 2018 By Oriana Pawlyk

B-1Bランサー爆撃機は他機種より大量の兵装を運用しているが、同機に火砲搭載を追加する案を関係者が検討中だ。
ボーイングは同機に近接航空支援任務に役立つ火砲搭載ので特許を交付された。特許(U.S. 9,963,231 B)では火砲用各種マウントが見えるが、使用しないときは機内に格納される。
同社は各種兵装の搭載を検討している。「機関銃、チェーンガン、火砲、自動化法、レイルガン、発射体投射装置、レーザー兵器を想定する」と特許説明にある。
「兵装を兵装庫内に搭載することで機体は兵装を格納あるいは展開しても超音速飛行が可能となる」との説明があり、「兵装システムの搭載で性能が追加される。例えば爆撃機で近接航空支援や地上部隊支援の効率があがる」
専門家の間には今回提案の追加性能は地上部隊が心から望む、標的を狙った航空支援の実現につながるとの意見が出ている。
「地上部隊に精密誘導弾を信用しない傾向が戻っている」と指摘する国防専門家もいる。
「A-10が地上部隊に人気があるのは標的をちゃんと捕捉して攻撃してくれるから」と同上筋はMilitary.comに説明している。
「精密誘導兵器がリーパー、F-16、B-1やその他から投下されても命中しないと見られています。欲しいのは上空に銃手がいることなんです」
同上筋はアフガニスタンでB-1から500ポンド爆弾二発が米軍5名、アフガン兵1名の頭上に投下された2014年6月9日の事案に言及している。米軍にはグリーンベレー隊員二名が含まれていたが全員死亡している。
「空軍は将来は具体的な座標に兵装を投下する方法を検討しています。地上部隊がそれに信頼を置いていないのが問題です」と同上専門家は述べる。
B-1部隊はCASミッション支援に同機をどう活用できるかを訴えている。「地上の友軍と交信中でこちらのセンサーで確認しているとします....爆弾を7マイル先に投下するのかもっと低高度から投下するのか、もっと近くに投下するのか」と337試験評価飛行隊のドミニク・「ビーヴァー」・ロス中佐が話している。「A-10ほどの低空投下こそできませんが頭上500フィートで力の示威ができます」
Military.comはダイエス空軍基地(テキサス)を訪ね、ロス中佐他グローバル打撃軍団関係者から話を聞くことができた。またB-1Bに搭乗しニューメキシコの演習地で12月に体験飛行した。
そのような状況で各目標の調整にはB-1Bが搭載する統合戦闘ステーションIBSの改修版が役立っており、パイロットはじめ搭乗員は攻撃地点、防御地点をコックピットで確認でき、状況把握を助けてくれる。これにはコックピットのディスプレイの他データや座標の共有が役立つ。
Militry.com記者が体験飛行した12月19日には従来より高密度の通信やデータを共有する状況を見ることができ、軍用座標表示や技術表示からパイロットや搭乗員が即座に標的座標を送信するほか、搭載兵器の情報、高度、速力にくわえ機体コールサインまで送信するのを見た。
火砲の追加搭載で精密誘導爆弾(PGM)の投下を減らせば、空軍の運用経費で節約効果が長期的に生まれる。
「爆撃機機内の砲を使う前提は長時間滞空して必要地点に迅速移動することです」と前出国防専門家は指摘する。「だが同時に同じ機体でPGM投下も期待されます」
.同様のミッションなら新型AC-130Jゴーストライダーガンシップも投入できるが、B-1に砲を追加すれば同機の退役を遅らせる効果も生まれる。
「航続距離、速力で大きな効果が生れます」とTealグループ副社長でアナリストのリチャード・アブラフィアも指摘する。「B-1供用期間が延長できればこの構想のメリットが生まれます」
空軍はB-2スピリットと合わせランサー各機も2030年代に退役させ、B-21長距離打撃爆撃機を主力にする構想に向け作業中だ。ランサー各機は2036年ごろまで供用予定なので、まだ15年間の作戦運用が可能で新規パイロットを養成できる。
ただアブラフィアはB-1に火砲を導入する際は経費が壁と見ている。
実際の金額は不明だが、「B-1の供用期間中の関連経費として逆風効果がある」というのだ。「機体価格をみると実現可能性は低い」という。
ランサーの運用経費は一時間当たり82,777米ドルと2016年度の情報公開資料にある。
にもかかわらずボーイングはコンセプトを実現しようとしている。
「現時点では顧客要望内容を当システムに搭載する予定はありません。ただし、USAFからボーイングに何らかのイノベーションの要望があれば当社も対応いたします」とボーイング広報のロリ・ラスムッセンがMilitary.comに5月14日伝えてきた。「仮に顧客からイノベーションの要望がない場合でも当社は特許申請します」■
-- Oriana Pawlyk can be reached at oriana.pawlyk@military.com. Follow her on Twitter at @Oriana0214.

© Copyright 2018 Military.com. All rights reserved.

2018年2月15日木曜日

米空軍:B-21調達に伴い、B-1BとB-2は早期退役、B-52は当面供用継続

USAF's Controversial New Plan To Retire B-2 And B-1 Bombers Early Is A Good One 米空軍のB-2とB-1早期退役方針は物議をかもしても健全な案だ

The flying service is making the right sacrifices to ensure the B-21 Raider gets fielded in large numbers while making the B-52 all it can be.

空軍はB-21レイダーを大量調達しながらB-52の供用を確実にするべく代償を覚悟している

BY TYLER ROGOWAYFEBRUARY 12, 2018
TYLER ROGOWAY/AUTHOR

者の皆さんが航空機マニアだったり軍事技術に関心のある方なら米空軍が打ち出したB-1B「ボーン」とB-2A「スピリット」を予定より早く退役させる新方針には心穏やかでなくなるはずだ。爆撃機はとかく関心を集めやすく、愛着を感じる機体が多い。だが現実は厳しく、B-21レイダーが2020年代に第一線配備となれば、爆撃機四型式を維持する余裕がないと空軍は説明し、三型式の運用も困難だ。
2017年2月11日のAviation Week記事はUSAFが爆撃機の将来ロードマップを作成し、B-1BとB-2Aを2030年代中頃までに全廃する予定と報じた。このことにB-2運用部隊が目くじらを立てた。そもそも今世紀中頃までの運用を前提に各種改修を受けていたためだ。

USAF
現行の爆撃機三機種、B-52,B-1、B-2体制は1997年から続いている

ただしこの方針の背後にUSAFで最重要機材のB-21レイダーがあるのはまちがいない。同機は爆撃機と分類されるが、実態はステルスで高高度飛行可能な多任務かつ高度に柔軟な運用が可能な機体で長距離を飛び、給油機の助けなく敵地に飛ぶ機体である。また危険地帯を飛んでも安全に帰還し翌日また飛び立てる機体だ。同機こそ将来の戦闘作戦に絶対不可欠な機体で米国と拮抗する力を持つ大国との武力衝突をトランプ政権が新国防戦略に盛り込んだ今は重要さを増す一方の機体だ。
USAFは最低100機を整備したいとするが、空軍内外にもっと多数を求める声が強まっている。

NORTHROP GRUMMAN
B-21 レイダーの想像図

USAF原案ではB-1Bは2040年まで、B-52もほぼ同じ頃まで運用するとしていたが、B-52のほうがB-1Bよりも明るい未来がある。B-1Bは核運用能力がなく運行経費が著しく高い機体で稼働率も低い。B-2は2058年まで稼働してB-21と数十年間共存するはずだった。
ところが新方針でB-2を先に退役させることになる。2032年以前になるのは確実で、ロードマップ原案より15年程度早まる。B-1Bも2036年以前に退役することになった。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR

B-2で稼働中な機体は20機弱で常時作戦投入可能なのは数機にすぎない。B-1Bは60機あるが、B-21生産が2020年代中頃に始まれば、一対一の形で旧型機と交代するはずで、まずB-21を80機運用体制にもっていき、B-1BとB-2Aは2036年に姿を消す。
新方針ではB-52Hの75機には手を触れず、2050年まで運用する。そうなると就役期間が100年を超える機体になる可能性が生まれる。新ロードマップでは2040年時点の爆撃機部隊を合計175機と想定し、B-52とB-21のみの編成とする。
B-2をここまで早く引退させるのは過酷な対策に見えるかもしれないが、20機弱という動機部隊は運行経費が著しく高価で保守管理も難題だ。確かに同機ならではの効果を提供してきたのは事実だが。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR

だが同時にB-2の存在が今や当たり前に感じられながら運行経費の高さは他機種でできない効果で正当化されている。だがB-21の登場ですべてが変わる。ノースロップ・グラマンが製造するのはいわばB-2の「2.0」版で、これまでB-2の製造、維持で得た知見を投入しB-21はB-2を一気に抜き去る性能の存在になる。いいかえればB-21でUSAFははるかに高い性能を実現しながら、B-2を支援して得た知見やインフラまでの活用を狙っている。
B-1Bは非常に高性能かつ柔軟運用可能な機体になったが、たえずUSAFの爆撃機編成で存在意義が難しい機体であった。1990年代に核運用能力が取り除かれると同機の存在そのものが問われた。対テロ戦で戦術爆撃機として成功し、スナイパー目標捕捉ポッドを機内エイビオニクスに接続して近接航空支援能力を新しく獲得した。だがこうした通常戦能力があっても空軍内でB-1Bが特別の存在になったわけではない。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR
B-1Bにスナイパー目標捕ポッドがついた
.
爆撃機を四型式250機配備すれば支援体制が大規模になり、各種機材の運用経費は負担範囲を超えるだろう。新プランでも爆撃機総数は157機から175機の範囲となり、B-21製造が100機を超えればさらに増える。それでも機種が三型式から二型式になれば十分対応可能だろう。
そうなるとB-2とB-1の生き残りは困難だ。この二機種廃止で以下の長所三つが生まれる。
まずB-21を最低でも100機配備するには長期間が必要でその間同機を守る必要がある。USAFにおける爆撃機運用実績を見るとB-52からB-2までペンタゴンの死のスパイラルに注意が必要だと分かる。
B-21開発は順調に進展中で予算以内に収まっているようだが、秘密のベールに隠されているため確かなことはわからない。とはいえ、USAFにこの機体が将来必要となるのは確実であり、他機種より優先されるべき機体だ。そこで同機実現に向け現実的な資金投入に努め機体が完成後戦力化まで支援を緩めるべきではない。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR

二番目に新プランでB-52H用の改修予算が生まれる。とくにエンジン換装で同機運航の信頼性と経済性の実現に繋がりながら、ペイロードや航続距離を増やす性能向上が手に入る。AESAレーダーと今後登場する長距離スタンドオフ(LRSO)ステルス巡航ミサイルを搭載すれば核・非核両用でBUFFは今後も武器運搬トラックとして数十年間供用に耐えるだろう。
その他の改修にレーザーやアクティブミサイル防御装置があり、生存性が高まる。またスタンドオフジャミング用ペイロードも搭載するだろう。こうしてB-21を補佐する能力が実現し、B-21が敵攻撃をかいくぐる攻撃・偵察ミッションを行う。
最後に新プランでB-21の核運用能力が遅延することなく実現し、B-2Aの敵地侵入核攻撃任務を引き継ぐ。核ミッションを早期に実施し、無人機になるB-21運用をUSAFは公式文書で思い描いている。
新ロードマップはペンタゴンが発表した新核戦争対応検討とも符合し、現時点より多くの核兵器運用手段を求めている。B61-12新型核爆弾を搭載すればB-21の大編隊は一回の出撃で多数地点を目標にし、かつ柔軟に途中で呼び戻すことも可能となる。

USAF


こうした三点以外に今回発表された「爆撃機方向性」では現状のUSAF各機材の運用の裏側が見えてくる。
Air Force Magazineによれば、飛行時間当たりの整備に要する時間は以下の通りだ。
  • B-1B:74 時間 
  • B-2A:45時間、ただしステルス機体表面の整備時間を含めず実際はもっと多い
  • B-52H:62時間 

だが重要なのは機体の稼働性(飛行可能な機体であること)とミッション実行率(戦闘システム全部が機能する状態で飛行できる機体)で差は大きい。
  • B-52Hは稼働率で平均80%をここ5年間維持
  • B-1B と B-2Aは稼働率平均50%
  • B-1Bのミッション実行率は平均40% 
  • B-2Aのミッション実行率は平均35% 
  • B-52Hのミッション実行率は平均60% 

飛行時間当たりの経費は以下の通り。
  • B-1Bと B-52H は平均 70千ドル
  • B-2の平均は110-150千ドルでUSAF機材中最も高価な運航コストの機体だ

B-52HとB-1Bの選択は単純に数字の面からあきらかで、B-52が新エンジン換装他改修を受ければさらに性能が上がる。B-2の場合はもともと生産数が少ないことで当時は最高水準の性能だったがそれ以前にステルス爆撃機そのものが存在していなかった。だがそれでも数字は数字であり、B-2の機材としての総合性能は低いと言わざるを得ない。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR

B-21は成熟技術を中心に半成熟技術による部品やサブシステムを採用しリスクを下げつつ同時に長期供用期間を実現する。B-21の将来の活躍を過去の事例から考えようとする向きが多いが、前身の機体の運命を回避すべく作られた機体は今まで存在していない。事業の進め方や従来の調達方法と異なるが、そもそも同機の要求性能は15年以上前に凍結されており、追加要求や変更で高価格化になる道を閉ざしているのだ。
B-2ではこのような形で設計が大きく変わり、機体価格は大幅に上昇したが、一回も使わない性能内容に大金を払ったのだ。B-21ではこれを教訓とし目標水準の実現に直結する性能に焦点を当て、コスト面でもB-2の恐ろしい経過を繰り返さないようにしている.まだ同機の成功が保証されたわけではないが今後の予想をするのには十分だ。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR

そうなるとほろ苦いが同時に重要なニュースとなりB-21の狙いが実現に向かうだろう。もしUSAFがハイエンドのB-21だけで爆撃機部隊を編成すれば、悲惨な結果になる。逆に今回の空軍の選択はハイローミックスの爆撃機編成で評価されるべきだ。
大事なことはB-2やB-1退役の前にB-21の優秀な性能を実現することだが、開発段階で困難な課題に直面しても大日程表の日付をいじる余裕はない。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR

結局、USAFはこれまで使ってきた機種の一部を犠牲にする必要があるのであり、欲しかったステルス爆撃機部隊が最後には実現するだろうが、30年前と違い成熟技術で信頼性を高く、より高い戦力を実現するはずだ。
同様にB-52Hも長年素晴らしい働きを示しており、史上最高の機種になりそうだ。過去何年も合理的な判断が出来てこなかった空軍としては実に合理的な判断だと言える。厳しい選択でも論理的に正しい選択をUSAF上層部が下せることを示している。
この新プラン発表後や2019年度予算でB-21の広報キャンペーンが始まりそうだ。予算手続きは始まっており、レイダーの姿を目にできそうだ。■

2016年11月24日木曜日

ヘッドライン 11月24日



11月24日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

日米合同演習Keen SwordにB-1B部隊が初めて参加
1986年以来、二年毎に実施中のKeen Sword 17演習にグアムからB-1Bが参加し、航空自衛隊と近接航空支援の演習をおこなった他、ミサイル防衛でも相互運用性を確認。

新型駆逐艦ズムワルトで機関故障、自力航行不能となる  パナマ運河通行中のUSSズムワルト(DDG-1000)艦内の事故は熱交換器で発生し、すべての系統を電動に頼る同艦は苦境に陥った。ズムワルトは10月15日に就役したばかりの最新鋭艦。搭載する発電容量は78メガワットと前例のない規模になっている。東海岸からサンディエゴに向かっていた。http://www.defensenews.com/articles/zumwalt-breaks-down-gets-tow-in-panama-canal
アレッポを空爆しているのは誰か
アレッポ市街地を空爆しているというのはロシアではない。アサド政権だ。

ホーネット改修で運用継続をスイスはめざす
新型機に飛びつくのは愚策と現国防相は考え、一方で新型機候補を絞り込みつつ、導入を2025年から2030年と想定すると、現有F/A-18(34機保有)が期待寿命の5,000時間にそれまでに到達する。そこで機体を補修しながら飛行時間をさらに1,000時間延長したいとする。また現有F-5(53機保有するが飛行可能は25機のみ)も稼働を延長する動き。

内閣情報室が尖閣諸島めぐる中国の動きを評価、ペンタゴン向けに説明
米国防総省は日本に情報評価機能の充実を求めてきたが、今回の内閣情報室による評価説明には概ね満足している模様。日本側は中国海警の実力はまだ海上保安庁に及ばないが、装備充実を狙い、海上石油掘削施設の軍事転用の可能性を指摘しており、また温州に新たな海警基地建設の動きがある。警察出身者が多数を占める内情の機能拡大には防衛省外務省が反対している。