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7月, 2021の投稿を表示しています

歴史に残らなかった機体24 ノースアメリカンF-108はマッハ3でソ連爆撃機迎撃を想定したのだが....

  歴史に残らなかった機体24  ノースアメリカンF-108レイピアは長距離ミサイル三発を回転式弾倉から発射しソ連爆撃機を狩る想定だった U.S. AIR FORCE     1 950年代に陽の目を見ることがなく終わった航空機事業は数多くあるが、中でも最も異彩を放ったのが ノースアメリカン XF-108レイピアであったことに異論はないだろう。全天候迎撃機としてマッハ3をジェネラルエレクトリックJ93アフターバーナー付きターボジェット二基で実現するはずだった。同エンジンはXB-70ヴァルキリー戦略爆撃機も搭載し、これもマッハ3飛行を想定する同社の製品だった。XF-108は外観以外に主要部品でもXB-70と共通性があったが、同機だけの特徴としては機内搭載の回転式ミサイルランチャーが一番の機構だった。   今日でこそ回転式兵装発射機構は戦略爆撃機で通常の装備となっているが、それまでこれを実用化した戦闘機は皆無だった。機内に兵器を搭載する工夫は確かにあったし、今日でも技術はさらに開発が進んでいるが、主眼は対地攻撃への応用であり、空対空戦は想定されていない。   U.S. AIR FORCE XF-108の決定設計仕様に基づく想像図   . 航空防衛軍団が一般運用要求(GOR)114として公示した1955年末からXF-108の作業は始まり、実寸大モックアップが空軍へ納入されたのは1959年1月だった。XF-108の回転式ランチャー取り付けを示す写真は明らかに個のモックアップのもので、ツイッターユーザー @clemente3000 がこの洗練された解決策を示している。レイピアは同年末に開発中止となった。 NATIONAL ARCHIVES XF-108モックアップにGAR-9を搭載した回転式ミサイル兵装庫が見られた     同機は長距離GAR-9ミサイル三本をT字形に搭載する想定で大型エンジンと空気取り入れ口の中間に装備するとしていた。兵装庫扉を開くとミサイルを回転させ順次発射させる。抗力を発生させるような扉の突出はない想定だった。   類似した発想ではマクダネルF-101Bヴードゥーがファルコン空対空ミサイル三本ずつを機体内外に搭載したがミサイルは露出したままだった。これに対し、XF-108では機外に露出するのは一本のみだ。 U.S. AIR FORCE     ソ連の原爆

宇宙空間での原子力推進技術の実用化で宇宙無人機、宇宙での戦闘の様相が一変する....ミサイル防衛に新しい可能性が生まれるのか

  福島事故を受け、さらに穢れ思想の強い日本は原子力工学を忌避する姿勢のままですが、核融合技術が使えるまで核分裂エナジーの可能性は今でも魅力的です。米国では安全性を確保した小型原子炉の技術開発が進んでおり、戦場での利用が提唱されていましたが、次は宇宙空間というわけですね。ここでも日本がガラパゴス化する危険性があり、なんとも悔しい気になります。   原 子力推進技術は潜水艦、航空母艦で実用化ずみだが、NASAと国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)は宇宙を想定した原子力熱推進システム(NTP)の開発にあたっている。 DRACO Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operationsとは NTPの実現をめざしDARPAは ジェネラルアトミックス・エレクトロマグネティックシステムズ (GA-EMS)に地球月間の宇宙空間に移動可能なロケットの製造を進めている。 DARPAはアジャイル地球月中間運用ロケット実証事業 Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations ,と呼んでおり、大気圏外の地球月間さらにその先での活動を目指すとジェネラルアトミックスは説明している。 米国が宇宙空間に打ち上げた原子炉としてはSNAP-10Aが唯一の存在で、ジェネラルアトミックスが直接関与しており、燃料試験等を担当した。 あと一年半でGA-EMSはNTPの初期設計を完成させ、まず低地球軌道上で稼働させ性能を確かめる予定だ。DARPAとGA-EMSは早ければ2025年にパラダイムチェンジ技術を実用化したいとする。 米国が宇宙空間に打ち上げた原子炉としてはSNAP-10Aが唯一の存在で、ジェネラルアトミックスが直接関与しており、燃料試験等を担当した。 あと一年半でGA-EMSはNTPの初期設計を完成させ、まず低地球軌道上で稼働させ性能を確かめる予定だ。 「原子力推進は化学燃料ロケットより推進効率が優れる。今後の火星への人員貨物輸送のみならず太陽系外への科学探査ミッションで有望な技術となる。高速かつ多様なミッションが実現する」とNASAは同技術の開発初期段階で声明を発表していた。 たしかに推進技術に突破口となるが、軍事面でも意味のある技術となり、有人無人装備を大気圏外に効率よく送り、偵察、ミサイル防衛の

米軍オスプレイの整備を太平洋地区で請け負う日本企業二社に大型契約交付。米軍活動を長年支援してきた日本企業の技術力が評価されている。

  V-22オスプレイが 艦隊即応体制維持センター西太平洋(厚木海軍航空基地近く)で修理を受けている。 (U.S. Navy)     米 軍は日本企業二社にV-22オスプレイティルトローター機整備の契約を交付し、広く太平洋を対象に契約規模は各社225百万ドルとなっている。   契約を獲得したのは 日本飛行機株式会社 と 株式会社SUBARU で、両社が整備業務で競合することで「米国政府に最高の価値を実現する」と艦隊ロジスティクスセンター・ヨコスカが報道資料を発表している。整備作業には大修理、分解修理あるいは機内システムの再作成が含まれる。   横須賀のロジスティクスセンターは艦隊即応体制維持センター西太平洋と連携し、第七艦隊作戦地域内の西太平洋全域さらに場合により中東の米艦艇や地上基地が運用する機材を対象とする。   契約は5か年有効で条件がそろえば一年延長が可能で、六カ月延長も一回に限り可能だ。想定する延長がすべて実現すると契約は最長で2030年12月31日までとなる。   両社ともオスプレイ整備含む米軍相手の実績があると艦隊ロジスティクスセンターヨコスカの指揮官エドワード・ピジョン大佐は報道発表で述べている。   日本飛行機は米政府向けに1950年代初期から業務を提供しており、2019年6月に艦隊即応センター西太平洋(厚木海軍航空基地内)とF/A-18スーパーホーネット戦闘機、H-1ヴェノム/ヴァイパー、MH-60Rシーホークヘリコプターの整備追加契約を締結した。同社はこの契約で今後7年間で52百万ドル相当の業務を提供する。   報道資料によれば日本飛行機は14千機超の米海軍海兵隊機材の整備をしている。日本飛行機の大和工場は厚木航空基地に隣接する。   SUBARUは木更津施設で米軍機の修理を行うとセンター報道官アンドリュー・グレイジがStars and Stripesに伝えている。   「実績ある日本飛行機、SUBARU両社はV-22の整備支援の継続で重要な存在だ」とピジョン大佐が報道資料で述べている。■   この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方は aviationbusiness2021@gmail までご連絡ください。 Japanese firms sign $225 million deals t

膨大な情報を扱うべく米政府の各情報機関が毎日活動している。日本がファイブアイズ並みの待遇を受けても同様に情報を提供しなくてはいけないが可能なのか。

  国家安全保障作戦センター(NSOC)はNSAにあり、リアルタイムで機 微情報のSIGINTを統括する。 (NSA). 年 間予算が600億ドルという米国の情報機関社会 Intelligence Community は巨大組織で能力も高い。情報機関社会は国防の最前線で、政策決定層に米国の国益に有害な脅威を正しく伝える役目がある。だが、どの機関が最も優秀なのだろうか。 情報機関の中でも突出した2機関 米国の情報機関というとまず二つの名前が出てくる。中央情報局(CIA)と国家安全保障庁(NSA)だ。ともに長く活動しており、米国の情報活動の先鋒を担っている。ただし、情報活動の方法は異なる。ときに両機関の活動方法が同じ方向に向かうこともあるが、別の方向を模索するのが通例だ。 CIAは米国の人的情報集活動(HUMINT)で筆頭の機関だ。四つの任務を実行する。海外情報の収集、客観的分析、秘密工作の実行、米国の機密情報の防御(対諜報活動)だ。CIAは分析部、作戦部、科学技術部、支援部、デジタルイノベーション部の5部構成だが、各ミッションセンターが活動を展開し、各部人員をまとめ課題に取り組む。  例としてロシアミッションセンターでは作戦部要員がHUMINTを行うためスパイや協力者を募る。こうした情報源による情報は分析部人員が吟味して「顧客」へ提供する。大統領もその一部で大統領向け日刊情報まとめ(PDB)を提供しており、国防長官やFBI長官も名を連ねる。 CIA本部にある職務中犠牲となった職員の星を見れば情報活動に犠牲が伴うのがわかる。 (CIA). NSAは暗号運用に特化した組織で海外の通信情報収集(SIGINT)にあたるが、同時に米国の各種情報システムの防衛にもあたる。NSAによれば米国で数学者の雇用規模が最大でおそらく世界規模でも同様だろうという。外国語分析の専門家も多数雇用している。 1952年に生まれたNSAは国防総省の一部分であり同時に情報機関社会の一員でもある。NSAの顧客は政府全般に及び、軍事部門、政策決定部門のほか他の情報機関さらに海外同盟国の中で中核的な存在のファイブアイズ(オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国)も含む。   謎に包まれたNSAの本部はメリーランド州フォートミードに置かれている。 (Wikimedia.org) . NSAとCIAが

ロングショット構想でスタンドオフ空対空戦闘を行わせる....中国に防空装備への投資をさらに強要し負担不能となる事態を招こうとするもの....攻撃に主力を置く米国流の考え方

GA-ASI ロングショットとは無人機を 戦闘機材から 空中発進させ、はるか前方地点で敵機と交戦させる構想である。 ジ ェネラルアトミックス・エアロノーティカルシステムズ GA-ASIからミサイルを搭載した空対空戦闘無人機の想像図が初公表された。同社は国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)がめざすロングショット事業 LongShot program で ロッキード・マーティン 、 ノースロップグラマン と採用をめざしている。同事業は空中発射式の無人機に危険空域の敵脅威を搭載ミサイルで排除する性能をめざしている。 記事トップに掲載した想像図のほか、GA-ASIの公式ウェブで紹介されている小型無人機システム(SUAS)ではステルス性能を有すると思われる機体形状が特徴で機体中央線付近に見られるチャインが特徴で、主翼を高い位置につけ後退角は大きくない。尾翼はV字形で機体後部に兵装庫の扉が二つ見えるが、左右対称についているのか不明だ。 DARPA DARPAが先に公開したロングショット構想の想像図 GA-ASI版ロングショット機の寸法は把握が困難だが、レーダー誘導方式空対空ミサイルの格納に十分な大きさがあるのは確実だ。この種のミサイルとしてAIM-120高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)がある。これを念頭にするとDARPA及びノースロップグラマンがそれぞれ発表したロングショット想像図に新型AAMと思われる装備が描かれていることに注意が必要だ。 エンジンも不明だが、後部に搭載されているようだ。DARPAによるロングショット想像図ではステルス巡航ミサイルのような外観となっており、格納式フィンがつくようだ。GA-ASI、ノースロップグラマン両社のロングショット構想図の機体はDARPA公表の機体よりも「航空機らしい」特徴が出ており、巡航ミサイルを思わせるものがある。 GA-ASIの発表図ではロングショットの詳細部分がよく描かれている。「小型システム」で「空に突破口を開く」機能で「敵も空対空ミサイルで待ち構える空域でいったん指令を受ければ躊躇なく敵標的に攻撃を加える」というのが同社の期待する機能だ。「有人機の攻撃部隊の前に戦闘機部隊が一掃作戦を開始し、搭乗員を危険にさらさず、有人機と同時運用し攻撃部隊にも加わる」 以上の説明はこれまでのロングショット構想で判明していることと合