フェアチャイルド空軍基地(ワシントン州)、マクディル空軍基地(フロリダ州)のKC-135ストラトタンカー各機がフライトラインで離陸準備に入った。レッドフラッグ18-2の支援で、ネリス空軍基地(ネヴァダ州)にて。March 12, 2018. U.S. Air Force photo/Senior Airman Janelle Patiño
空軍の空中給油活動のバロメーターが米国北西部ワシントン州のフェアチャイルド基地のフライトラインだ。
同基地は空軍唯一の「スーパー」給油航空団の本拠地であり、KC-135飛行隊四個が常駐する。そのうち97空中給油飛行隊は2019年編成され、2020年10月に初期作戦能力を獲得するや、即座に動員された。
第92給油航空団(ARW)は一個飛行隊を常時展開している。給油機は合計63機あり、空軍の給油需要に一義的に対応する部隊だ。
「どこよりも頼りにされることが多い部隊でなんといっても運用機材数が多い」と92ARW司令カシアス・T・ベントレイ大佐が語っている。「同時に隊員の粒がそろっているからでもある」
新型KC-46ペガサスの導入で空軍の給油機に大きな変化が始まる。KC-46が本格稼働するのは2024年以降だが、それまでに新型機に向け人員含め受け入れ態勢の整備が必要だ。機体構成で大きな変化となる。
マッコネル空軍基地(カンザス)が航空機動軍団のKC-46で主配備基地となり、その分人員とともにKC-135追加配備を受入れる基地が必要となった。そこでフェアチャイルドに目を向けたわけだ。
部隊追加でフェアチャイルドは給油機が最多の基地となった。フェアチャイルドが一国だとすれば、機数で中国、ロシアより多く世界第二位の規模の給油機部隊になる。
「要求は上がるばかりで、ミッション数増加に対応し機材人員を増強している」「フェアチャイルドは空軍の緊急対応部署になっている」(ベントレイ大佐)
フェアチャイルドの2020年飛行回数は前年を上回り、ソマリア撤退作戦では急な要請だったが対応した。クリスマス当日の朝にもミッションに対応した。「常時出動態勢にあり、まっさきに姿を現す部隊です」(ベントレイ大佐)
97ARSが2020年末に稼働開始し、フェアチャイルド基地の93ARSと交代した。同飛行隊はCOVID-19大量流行で動員され、KC-135部隊として最長期間にわたり運用された。同隊は再編成され、7月中旬にトルコのインチリック空軍基地に到着している。
各飛行隊は4カ月間隔で移動してきたが、6カ月間隔に変更される。これは航空機動隊の新モデルとして一個飛行隊を丸々投入する構想で、従来は各部隊から選抜した機材人員を小規模で送り込んでいた。
戦闘運用に向け常時一個飛行隊を展開するのに加え、フェアチャイルド基地の給油機は核非常時にも備え待機しており、本土防衛ミッションで戦闘機展開を支援し、爆撃機部隊に給油し、USAF他の部隊がレッドフラッグ等の演習に参加する際にも空中給油を提供する。
展開対象とならない搭乗員もアジャイル戦闘展開や全ドメイン指揮統制といったUSAFの進める対策に参画しているとベントレイ大佐は説明。
フェアチャイルド基地はエンジン稼働させたままのホットピット給油の充実をめざしている。今年3月から毎週木曜日に技能を磨いており、93ARSの搭乗員全員がホットピット給油を経験している。飛行団全体では隊員7割が訓練ずみだ。
フェアチャイルドのKC-135各機には別の貢献も期待されており、そのひとつが指揮統制機能だ。コックピットに42 Real-Time Information装置が搭載されつつあり、Link 16データリンクにより状況認識効果が向上する。改修は8月より開始となる。
同飛行団では空軍が目指すアジャイル戦闘展開に備えた訓練も展開している。本国以外に海外の過酷地も活用している。最近ではフェアチャイルド基地所属KC-135部隊が西太平洋ウェーキ島に展開した。インド太平洋での互角の戦力を有する敵勢力との戦闘で重要拠点になる場所だ。フェアチャイルド基地の各機は毎月一二回はこうしたミッションをこなしつつ、貨物搬送も行っている。
「135機は単純に離陸し給油後に帰投するだけと思われているのを変えたい。そこでアジャイル戦闘展開だ。給油以外にもっと多くの任務を実行する機材になっていく」(ベントレイ大佐)■
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Fairchild KC-135 'Super' Wing Deploys Nonstop
July 16, 2021 | By Brian W. Everstine
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