米陸軍のAH-6リトルバード。2016年4月5日の攻撃航空支援演習にて。
US Marine Corps/Staff Sgt. Artur Shvartsberg
40年近く供用中のAH-6、MH-6リトルバードは特殊作戦畑で伝説の機体となった小型ヘリコプターだ。
攻撃に、隊員輸送にとあらゆるミッションをこなす
だが、米陸軍と特殊作戦軍団はリトルバード全廃にむかいそうだ。
米特殊作戦司令部(SOCOM)がリトルバードの処遇を決断に向かう。同機は特殊作戦で最も長く供用されている伝説の機体だ。
第160特殊作戦航空連隊「ナイトストーカーズ」は二型式のリトルバードを運用する。攻撃強襲用のAH-6と強襲輸送用のMH-6はともに卵型の機体だ。
AH-6は精密な近接航空支援や強襲攻撃を行う。MH-6は非武装型で隊員の搬送にあたる。
主要なユーザーは共同特殊作戦司令部の特殊作戦部隊を構成する陸軍デルタフォース、海軍のSEALチーム6、さらに陸軍のレインジャー連隊だ。
侮れない卵
AH-6の兵装にはM134ミニガンがあり、毎分6千発の発射が可能だ。またGAU-19.50口径ガトリングガン、2.75インチのハイドラ70ロケット弾、ヘルファイヤ空対地ミサイル、スティンガーミサイルも運用可能だ。
リトルバードの価値を高めているのが機体寸法と機動性で、熟練パイロットの手にかかれば、リトルバードはほぼあらゆる場所に着陸でき、ほぼあらゆる標的を狙える。
強襲輸送型は正確な地点に部隊を送り込み、撤収でき狙撃手には重要な機材となり、二輪車輸送も可能だ。
ナイトストーカーズではリトルバード各型を50機ほど運用している。
MH-6M リトルバードが陸軍レインジャー部隊を運ぶ。迅速展開演習にて。November 14, 2018. US Army
「驚くべきヘリコプターで高度の操縦性でアクロバット飛行も可能だ。AH-6を操縦するのはフェラーリに乗るようなもので、他に比較対象がない」と退役一等准尉グレッグ・コーカーがInsiderに語ってくれた。
コーカーはナイトストーカーでパイロットを30年つとめ、11回の戦役参加を有する。
「両型とも小型で簡単に輸送でき、様々な仕事をこなす。こんなヘリコプターはほかにない。AH-6は、アパッチ、コブラ、ハインドでは得られない操縦性が特徴だ」
リトルバードにはデジタルクラスコックピットがつき、ナイトヴィジョンにも対応するので、パイロットは視線を落とさず、ディスプレイを見ていればよい。
今後がはっきりしない
米陸軍のAH-6 リトルバードが特殊作戦軍団のMC-130H輸送機から搬出された。迅速展開演習にて。 August 29, 2017. US Army
これだけ使い勝手の良いリトルバードだが廃止の話題は以前からあった。2019年にSOCOMの調達トップがリトルバードの性能改修あるいは退役を2020年代半ばに決めると発言していた。
2000年代初頭にリトルバード機材は近代化改修を受け、ローターを替え、ドア面積を拡大し、降着装置を強化した。
今年後半にナイトストーカーズはブロックIII仕様のリトルバード受領を開始する。機体構造を一新し、燃料効率を向上し、ローターを強力にしたものだ。改修でリトルバードの供用期間が延長可能となる。
だがSOCOMでは次のブロックIV改修に進むのか、陸軍が開発を急ぐ将来型垂直機FVLに変更すべきかの議論が続いている。
陸軍は次期ヘリコプター機を2024年末の契約交付で実現する予定だ。SOCOMはその後一年かかけてリトルバード改修案あるいは新型機への切り替えを検討する余裕がある。
「MD-530シリーズの後釜となる機材はないと思う」とコーカーはAH-6/MH-6の原型機に言及した。
「2003年改修でAH-6JはAH-6Mになり、グラスコックピット、テイルローターを4枚構成にし、メインローターは6枚と、猛獣の威力になった」(コーカー)
特殊作戦の古参兵
MH-6Mは高速ロープ降下回収装置で陸軍レインジャー部隊を送り込む。US Army/Pfc. Gabriel Segura
リトルバード各機は供用中の高性能機材と比べると設計の古さは否めないが、米特殊作戦の先鋒を40年近く果たしてきた。
AH-6が援護する中、MH-6がデルタフォースやレインジャー部隊を1983年のグレナダ侵攻で運んだ。
パナマ侵攻作戦(1989年)でナイトストーカーズがリトルバードでCIA工作員カート・ミューズおよびデルタフォース救難部隊をパナマシティのモデロ監獄から救出した。
モガデシュの戦いはブラックホークダウン事件として記憶に新しいが、リトルバードが活躍し、デルタフォース、レインジャーを支援した。
アフガニスタン戦の初期でナイトストーカーズはAH-6でアルカイダやタリバン戦闘員を狩り、各機の弾薬をうちつくし、携帯した銃器まで使い、あるいはコックピットから手りゅう弾を落として対応した。
イラクではリトルバードが柔軟性と機動性を生かし多用され、ナイトストーカーズは事実上あらゆる地点に投入した。ディタダムの戦い(2003年)でAH-6支援を受けたデルタフォース及びレインジャー部隊の任務部隊は数で優勢なイラク軍に立ち向かい、ローターブレイドに命中弾を受けてもそのまま飛び続ける機体もあった。
MH-6が米国内の演習でビル上空を飛ぶ姿がよくみられ民間人からは懸念の声もあがることがある。だが、訓練こそがパイロットの技量維持に不可欠であり、訓練では人質救出作戦に焦点を合わせる。
第五世代ステルス戦闘機や無人機が飛び回る中でリトルバードの旧式化が目立つ。実際にリトルバードからUAVとして飛ぶ機体も生まれている。だが有効性に何ら陰りが見られないし、パイロット、整備員、さらに特殊部隊員がおしなべて愛着を感じる機体である。■
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US Special-Operations AH-6 MH-6 Helicopters May Soon Go Out of Service
The 'Ferrari' of US special-operations helicopters may soon be headed out of service
Stavros Atlamazoglou Jul 7, 2021, 9:28 PM
Stavros Atlamazoglou is a defense journalist specializing in special operations, a Hellenic Army veteran (national service with the 575th Marine Battalion and Army HQ), and a Johns Hopkins University graduate.
コメント リトルバードの活躍する作品としてミニガンを打ちまくるブラックホークダウン以外に Birds of Prey という映画があり、YouTubeで全編鑑賞可能です。
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