1979年以降の人民解放軍には実戦事例がなく、その実力に疑問が呈されている。これに対し、長期作戦のイラク、アフガニスタンはじめ各地で米軍は世界で最も高い実戦体験を有している。とはいえ、低強度戦での体験が主であり、中国相手のハイテク戦には応用できないとの意見もある。
「実戦を経験した古参兵も数年で退役するため、戦闘の実体験を有する者が皆無となる」
中国軍に実戦経験は皆無に近いとシンクタンクRANDのティモシー・ヒースが論述している。だが経験の欠如があるからと言って大勢に影響はさほど出ないとも述べている。
「今日の中国軍にハイテク兵器が次々に加わっているが、装備品を使いこなす能力があるか不明だ。疑わしく思える理由がある」
人民解放軍が実戦投入されたのは1979年が最後で、「歴戦を経たヴィエトナム軍が大規模な中国侵攻部隊を撃滅した」とヒースは述べている。
当時のヴィエトナム軍は米軍等の敗退直後の戦力を維持する状態だった。中国軍は中国共産党による粛清を受け骨抜きの状態だった。
「PLAは有効性がないと判明していた人海戦術など旧戦術に戻り、実戦部隊は地図が読めず、砲兵隊は距離測定に慣れておらず射撃が不正確だった」(ヒース)
「この際の敗退のイメージがPLAに今も残っている」とし、「中国上層部が面倒な形の武力衝突には目をつぶっていたため、PLA隊員は実態と反する形の戦いに動員された」
「軍に残るごくわずかな実戦経験者があと数年で退役すれば、軍内部に実戦を知るものが皆無となる」
だからと言って中国が大規模戦闘で勝利を収めるのが不可能なわけではない。「勝利」の意味が重要で、大量の人員喪失や経済、環境、政治面の混乱の発生が戦争の結果どうしても生まれる。
「勝利」とは単純に以下を意味する。一方が短時間で戦略上の目標を達成し、他方に同じ結果を獲得させないことだ。ヒースは歴史を俯瞰し戦闘結果を左右するのは演習で得る知見だとする。
第二次大戦初期の米軍はこの知見が欠如していたが、訓練教育さらに物資、戦意、仕組み整備を通じ、初期の敗退事例を克服していった。その例が北アフリカの1943年におけるカセリーヌ峠で米軍部隊が被った被害だ。
対照的に1991年のイラク軍は1980年以来8年にわたりイランと対戦し経験が豊かだった。しかし、装備、戦闘方針、仕組み整備は不十分なままだった。米主導の多国籍軍は実戦経験は劣っていたがイラク軍を圧倒できたのは、優れた装備品、訓練、戦闘対応能力を冷戦時から引き継いだことが大きい。冷戦時には両陣営で銃火をかわすことはまれだったが、十分な準備を行う時間があったからだ。
今日の米軍にはいかなる国より豊かな実戦経験がある。この背景に長期にわたるイラク、アフガニスタン他での米主導の作戦展開がある。だが、経験値は低強度戦で得たものであり、中国相手のハイテク戦に通用するのか疑問を呈する向きがある。
「中国軍が相手の戦闘では米軍部隊は高密度戦闘に巻き込まれる公算が高い。これは両陣営で未体験分野だ」「初回の衝突時の勝利はどちらに転んでもおかしくない。適正な準備と立案があり、理想的な環境なら、中国が初戦で有利になってもおかしくない」(ヒース)
「だが初回の衝突で戦闘は終結しないだろう」「米軍部隊は実戦から学び戦闘効率を引き上げる強みを活かすはずだ。カセリーヌ峠で敗退したもののドイツ軍を撃破した事例のように」
「中国が指揮統制、訓練、統合、その他での劣勢を克服しようと展開してきた努力が実を結ぶかは戦闘が長引けば判明するはずだ。長期戦になれば結果を決めるのは将官による指揮ぶりを超えた、経済力、政治力、国民の結束などの要素に移る」とヒースは述べている。■
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China's Military is Inexperienced. Could That Cost It in a War?
by David Axe
July 2, 2021 Topic: Military History
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad.
コンスタントにそこそこ近代化された敵と戦ってるロシア最強ですかね?
返信削除イスラエルやサウジアラビアとよく戦うイランも国力の割に強力で先進的な兵器を持ってます