ドイツのアインジードルホフ航空基地の合同ターミナ攻撃統制シミュレーション施設で無線交信の確立を図る米空軍大尉June 23, 2021. CAPT. DANIEL DE LA FE
台湾を想定した机上演習で米軍はネットワークアクセスをほぼ瞬時に失った。ハイテン大将は四点を指示し現状の変革を図る。
昨年10月の机上演習で米軍が無残な敗北を喫し、統合参謀本部副議長ジョン・ハイテン大将は長年にわたる米軍の合同運用方針を捨てるべき時が来たと確信した。
「誇張でなく、悲惨な負け方となった。強力なレッドチームは20年にわたる米軍の戦闘方法を勉強しており、こちらに一杯食わせた。こちらの出方をあらかじめ熟知していた」とハイテン大将は軍事装備の近代化を加速させようと全国国防産業協会が発足させた新技術研究所のでこう発言した。
ペンタゴンはこの机上演習の名称を明らかにしていないが、国防関係者によればシナリオには台湾をめぐ戦闘が入っていた。重要な教訓は艦艇、航空機、その他部隊を集結させると格好の標的になる。
「戦闘でも生存でも集合させることを旨としてきた。だが極超音速ミサイル、長距離火砲があらゆる方向から飛来する今日では、部隊を集合させて所在を示せば極めて脆弱になる」(ハイテン大将)
もっと厳しく言えば、ブルーチームはネットワーク接続を即座に失った。
「情報面での優位性を目指しつつ、各部隊でまんべんなく情報を利用できるようにしている。湾岸戦争の第一回目から20年にわたり、中国ロシアはこちらの動きを逐一観察してきた」「開戦直後に情報が利用できなくなったらどうなるか。これが今直面している大問題だ」とハイテン大将は述べた。
これに呼応して統合参謀本部は昨年10月に米軍の戦闘方法を一新し、これまでと異なる作戦構想を「拡大展開」“Expanded Maneuver” として2030年までに実現することとした。
今月上旬にハイテン大将は各軍に以下四点を指示した。今回ハイテンはそれぞれについて触れ、「機能戦」“functional battles”の概要を明らかにした
戦闘下の補給活動 前線に燃料補給品を送り届ける新方法を確立する。米輸送本部は空軍とロケットや宇宙軌道を利用して大型貨物宇宙船での戦場補給を実現をめざす。
前線補給ロケットの想像図
合同火力効果 「火力効果を大量に集合させるが、物理的にまとめなる必要はない」とハイテンは述べている。「複数ドメインでの仮想集合とする。単一の指揮命令系統で火力を集中させる。これで部隊集合を避け、生存性が高まる」とし、火力集中コンセプトは「野心的かつ信じられないほど実施が困難」という。だからこそ実現策を真剣に考える必要があると同大将は付け加えた。
Joint Fires構想の図
JADC2* ペンタゴンはすべてを接続しようとしており、ハッカーの妨害を受けないネットワーク多数が必要だとハイテンは説明。「目標は戦闘クラウドに情報すべてを置き、いつでもどこからでもアクセス可能とすることだ」とし、合同火力効果と同様にデータは一か所に格納し敵の手が及ばないようになる。
*Joint All-Domain Command and Control (JADC2)
情報面の優位性 以上三点を統合するとここにたどり着くとハイテンは説明した。「想定通りに進めば、米国や同盟国は情報面で優位性をどんな相手にも発揮できる」
米軍は中東での拠点を再整備しながら、中国との対戦への準備を進めており、今回の新作戦構想はこの中で姿をあらわしてきた。7月26日にジョー・バイデン大統領から米軍はイラクでの戦闘任務を今年末までに終了するとの発表が出た。その二カ月前にバイデン大統領はアフガニスタンからの完全撤退を公表していた。
「アフガニスタンの次はイラクだ」「中東の脅威に目をつぶることはできないが、これまでと違う形で中東の脅威に対応していく。拠点は縮小する。これで中国やロシアの脅威に対応するべく部隊を増強する余裕ができる」(ハイテン)■
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SENIOR PENTAGON REPORTER, DEFENSE ONE
JULY 26, 2021 04:48 PM ET
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