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宇宙空間での原子力推進技術の実用化で宇宙無人機、宇宙での戦闘の様相が一変する....ミサイル防衛に新しい可能性が生まれるのか

 

福島事故を受け、さらに穢れ思想の強い日本は原子力工学を忌避する姿勢のままですが、核融合技術が使えるまで核分裂エナジーの可能性は今でも魅力的です。米国では安全性を確保した小型原子炉の技術開発が進んでおり、戦場での利用が提唱されていましたが、次は宇宙空間というわけですね。ここでも日本がガラパゴス化する危険性があり、なんとも悔しい気になります。

 


子力推進技術は潜水艦、航空母艦で実用化ずみだが、NASAと国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)は宇宙を想定した原子力熱推進システム(NTP)の開発にあたっている。

DRACO Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operationsとは


NTPの実現をめざしDARPAはジェネラルアトミックス・エレクトロマグネティックシステムズ(GA-EMS)に地球月間の宇宙空間に移動可能なロケットの製造を進めている。

DARPAはアジャイル地球月中間運用ロケット実証事業Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations,と呼んでおり、大気圏外の地球月間さらにその先での活動を目指すとジェネラルアトミックスは説明している。

米国が宇宙空間に打ち上げた原子炉としてはSNAP-10Aが唯一の存在で、ジェネラルアトミックスが直接関与しており、燃料試験等を担当した。

あと一年半でGA-EMSはNTPの初期設計を完成させ、まず低地球軌道上で稼働させ性能を確かめる予定だ。DARPAとGA-EMSは早ければ2025年にパラダイムチェンジ技術を実用化したいとする。

米国が宇宙空間に打ち上げた原子炉としてはSNAP-10Aが唯一の存在で、ジェネラルアトミックスが直接関与しており、燃料試験等を担当した。

あと一年半でGA-EMSはNTPの初期設計を完成させ、まず低地球軌道上で稼働させ性能を確かめる予定だ。

「原子力推進は化学燃料ロケットより推進効率が優れる。今後の火星への人員貨物輸送のみならず太陽系外への科学探査ミッションで有望な技術となる。高速かつ多様なミッションが実現する」とNASAは同技術の開発初期段階で声明を発表していた。

たしかに推進技術に突破口となるが、軍事面でも意味のある技術となり、有人無人装備を大気圏外に効率よく送り、偵察、ミサイル防衛のほか軌道上の衛星の活用が可能となる。

Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations (DRACO)

Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations (DRACO)

 

GA-EMSが有する原子燃料、高度素材の技術がNTP実現のカギとなり、高効率かつ極めて安全な推進手段になる。NTP用の原子炉を予定通り軌道に乗せる、と同社原子力技術担当副社長クリスティーナ・バック博士が述べている。

では次世代推進手段は運用面にどんな影響を与えるのだろうか。

1. ICBMや極超音速兵器の撃破

興味深い可能性として迎撃手段を宇宙に配備し敵のICBMや極超音速兵器を撃破することがある。

高性能推進手段が実現すれば迎撃兵器の軌道調整の精度が上がり、ICBMへの照準が正確になるだろうか。監視効果が高まりセンサー判別能力が向上することで敵飛翔体の接近を宇宙空間から追尾し、宇宙での滞留時間が伸びることで敵の探知効果も上がる。

2.宇宙無人機や有人飛行への応用

次に宇宙無人機や有人宇宙飛行の可能性が高まる。推進系が今より強力かつ効率よくなれば新世代の宇宙機が生まれるのではないか。


3.宇宙空間での戦闘

宇宙空間での戦闘にパラダイムシフトが開ける可能性がある。標的捕捉、熱追尾さらに宇宙空間への武装装備の展開も可能となる。ミサイル防衛さらに攻撃作戦に際して宇宙空間で攻撃型無人機を活用することで軍事作戦に大きな意味が生まれそうだ。

IAEAが予言していた

 

興味を引くのは2005年に国際原子力エナジー機関がこの種の技術応用を予期していたことである。その構想はGA-EMSによる作業で現実になろうとしている。IAEAの発表は「原子力、原子力推進による平和的宇宙探索」の標題で宇宙空間での原子力推進の応用で移動距離、運用時間、発電容量が大幅に増えることに加え「無人宇宙機」の価値が大きく伸びるとしていた。

無人宇宙機に応用すれば電源出力が一気に増えることを同文書は説明していた。

さらに原子力推進の利点として軍事価値にも触れ、「将来は宇宙配備のNPSsに原子力発電/推進を組み合わせたシステム (NPPSs) は数百キロワット級になれば長期間宇宙ミッションとして地球環境の監視、宇宙施設での生産活動、月・火星ミッションへの電力共有などが実現する」とある。

この文書が述べているように有人・無人宇宙機によるミッション期間が延びることで現在の想定を大きく上回る事業が原子量推進により実現するはずだ。■

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How Nuclear Powered Attack Spacecraft will impact manned spaceflight and space warfare

This modernized technology could greatly aid in destroying enemy ICBMs

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

Kris Osborn is the President and Editor-in-Chief of Warrior Maven and the Defense Editor of the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 


 

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