スキップしてメイン コンテンツに移動

パシフィックアイアン2021演習で米空軍はラプターを25機投入する。ACEの実効性を試し、A2ADを取る中国ロシアへの対抗だ。

Pacific Iron 2021

 

西太平洋での演習に米空軍F-22ラプター部隊が加わり、厳しい空域で実力を発揮できるかを試す。

 

パシフィックアイアン2021

 

演習はパシフィックアイアン2021の名称で、空軍は7月中の実施で空軍の人員装備多数が参加する。米インド太平洋軍(INDOPACOM)は太平洋空軍、航空戦闘軍団から800名35機超が加わると発表。機材はF-15Eストライクイーグル10機がアイダホのマウンテンホーム空軍基地366戦闘航空団から、F-22ラプター25機が525戦闘飛行隊、アラスカのエルメンドーフ-リチャードソン共用基地の第3航空団およびハワイ州軍パールハーバー-ヒッカム共用基地の154航空団199戦闘飛行隊から、C-130J2機が横田航空基地の374空輸団から加わる。

 

F-22の機数に意味がある

 

太平洋空軍司令を務めたダン・「フィグ」・リーフ空軍中将(退役)によればパシフィックアイアン2021にラプター25機が参加すると一回の演習に加わる機数として最大になる。ラプターの運行経費の高さを考えると機数に大きな意味があるという。

 

機体単価とともに高額な機体を制空任務にしか投入できないことに懸念が生まれ、F-22調達は2009年に終了した。中国やロシアとの対抗が激しさを増している今日でも生産再開の可能性は低い。ということで現在保有中のラプターの増勢はなく、今後老朽化しても代替機材がない。そのためF-22を都度投入すると重要な決断となっている。

 

そこでF-22をパシフィックアイアン2021にこれだけの機数投入することに大きな意味があり、空軍が太平洋地区にへの関与の姿勢の大きさを示しているとリーフ中将は解説している。

 

ACEとは

 

パシフィックアイアン2021はグアム、テニアンから展開し、アジャイル戦闘展開(ACE)を行う。

 

ACEとはロシア、中国が接近阻止領域拒否 (A2/AD)戦略を展開する中で米国が直面する課題にこたえるものだ。中露両国の戦略はヨーロッパ、東アジアで米軍部隊の安全な運用を妨害することにある。

 

中国はA2/AD戦略に関しミサイル開発を進めている。地対空ミサイル(SAM)、巡航ミサイルのほか長距離弾道ミサイルもこの一環だ。ここに対艦弾道ミサイル(ASBM)や極超音速滑空体(HGV)も加わり、米国との対戦となれば米空母や域内の米軍基地を標的に収める。このため米海軍、米空軍の航空戦力展開に大きな障害が生まれかねない。

 

この解決策として長距離航続力を有する航空機の開発もあるが部分的解決に過ぎない。そこで空軍はACE構想を作り、既存の航空基地が攻撃を受けても作戦運用が十分できるようにする。ACEでは機材人員は整備済み航空基地以外に臨時基地空も運用し、事前配備装備や空輸能力を応用し、厳しい環境下の作戦に各種拠点を活用する。

 

パシフィックアイアン2021の前にF-22はハワイからロシア機の接近にスクランブル出撃を行っていた。太平洋で展開した海軍演習にロシア機が姿を現したためだった。■

 

この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。市況価格より2-3割安い翻訳をご入用の方はaviationbusiness2021@gmailまでご連絡ください。


A Fleet of 25 F-22 Raptor Stealth Fighters Will Soon Train for War in the Pacific

ByEli Fuhrman


 

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ