今回のFONOPは中国の主張を否定した国際仲裁判定5周年を意識して実行されたのでしょう。実は中国も米国も原則論が大好きな点で共通性があり、こうした事例の後ではお互いに主張は平行線となりやすいのです。そもそも米国はじめ各国は中国の領有主張を認めていないので領海侵入にはあたらないという理屈でしょう。しかし、SCS問題の解決のためには中国の既成事実をことごとく崩していくしか解決はないと思います。読者の皆さんはどう思いますか。
USS Benfold (DDG-65) in the South China Sea US Navy Photo
米海軍は南シナ海で米艦艇が中国軍により排除された事実はないと中国の主張を否定している。
南シナ海で誘導ミサイル駆逐艦隊が航行の自由作戦(FONOP)を7月12日実行した直後に海軍が声明発表した。人民解放軍はUSSベンフォールド(DDG-65)を「追い払った」と主張したとのロイター記事が出ていた。
「(PLANの)声明にある内容は事実に反する。USSベンフォールドは国際法に則りFONOPを実行し、公海上で通常の行動を続けた」と米第七艦隊は報道発表している。「今回の運用はわが国が掲げる航行の自由と海洋面の合法的な利用原則の固持の一環だ。米国は今後も国際法の許す範囲で飛行、航海、運用を続ける。USSベンフォールドはその一例にすぎない。PRCがなんと言おうがわが方の動きを止めることはできない」
中国の主張ではベンフォールドはパラセル諸島近くを航行したとある。中国、ベトナム、台湾が同諸島の領有を主張している。中国はパラセル諸島周辺に領海基本線があるとし、同諸島周囲の海域を中国領海とする。米国はこの主張に対抗し、基本線への航行を実行してきた。
「米国による合法的な海洋活動を再度曲解しながら、中国は過剰かつ正当性のない海洋権益主張を南シナ海周辺の東南アジア諸国の犠牲の上に展開している」「PRCによる行動は国際法遵守を続ける米国と対照的であり、米国は自由で開かれたインド太平洋の実現に努力している。大小を問わず各国の主権を尊重するべきであり、力の脅かしに屈することなく、経済繁栄を国際法規範に基づき追求すべきだ」
中国外務省は7月12日の報道会見でFONOPを非難した。
「中国は主権、権益、安全保障を法に従い今後も堅持し、域内各国との友好協調の関係を固く守り、南シナ海の平和と安定をしっかりと守っていく」(張立堅報道官)
米海軍は5月にも同様の中国発表を否定した。中国軍がパラセル諸島でFONOPを実行中のUSSカーティス・ウィルバー(DDG-54)を南シナ海から追いだしたと中国は公表していた。
「今回のPLA発表は事実に反している。USSカーティス・ウィルバーがいかなる国の領海から『退去』された事実はない。同艦はFONOPを国際法に則り実施しており、公海上で通常の行動をおこなっていただけだ」と第七艦隊は当時反論していた。■
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Navy Denies Chinese Forces Chased Away Destroyer During FONOP - USNI News
July 12, 2021 1:43 PM
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