日本のドローン開発の一端を公表:スバルのドローンをMUM-Tおよび自律飛行試験でテスト(The Aviationist)
公開日: 2025年11月24日 13:51パース・サタム
2025年10月の試験中に滑走路に並んだスバルの実験用ドローン5機。(画像提供: 防衛装備庁/防衛省)
防衛装備庁はヘリコプターからドローンの遠隔操作と自律飛行航法の実証試験を実施したと発表した
コメント:これまで遅れを取っていた日本のドローン開発ですが、連携運用を想定した技術開発を進めていることが明らかになり、これからどこまで加速できるかが注目されます。一方で、原発はじめ重要施設に「謎のドローン」が侵入する事件が発生しており、多数のドローン飛行への防衛対策の確立も急務です。変化への対応スピードが問われる事態です。
防衛装備庁(ATLA)は2025年11月21日、小型ジェット推進無人航空機5機により協調機動を行う「有人・無人チーミング(MUM-T)」実証試験の動画を公開した。試験は10月に実施され、同庁航空システム研究センターが管理した。
同庁は7月9日に技術提携先スバルから提供を受けた5機の無人固定翼機を用いて試験を実施したと、11月20日述べている。無人航空機は「有人戦闘機との連携が可能な無人航空機の研究」の一環として、ヘリコプター内からタブレット端末で制御された。
具体的には「遠隔操作支援機技術」と「無人機自動航路生成技術」に焦点を当てたと。これはタブレット上で人間が設定した地図ルートに沿った自律的なウェイポイント航法、およびパイロットが自機を操縦しながら協力型ドローンを制御するための兵站・戦術・手順の確立を指す。
タブレットによる操作体系は、現行航空機から連携無人システムを運用する最初の仕組みとして進化している。F-22ラプターパイロットによるMQ-20アベンジャーの遠隔操作試験でも、タブレットベースのパイロット・ビークル・インターフェース(PVI)が使用された。
ドローンと試験内容
クランクドカイト翼と傾斜V字尾翼を備えた無人機は航空装備研究所施設内で検査を受けた後、複数機ずつ試験に投入される。機体上部には吸気口が配置され、長い傾斜面が吸気口へと続いている。
まず2機のドローンが離陸し、海上を協調編隊飛行した後、全5機による飛行が続いた。この映像はATLAが10月に実施した全試験の合成映像と思われる。
実験用ドローンの吸気部(画像提供:ATLA/防衛省)
また、無人機の腹部に未確認のペイロードを装着する作業員の姿も確認できる。ペイロードの性質は不明だ。
日本の自動車・技術大手スバルのマークが入ったベル205ヘリコプター内部の短い映像では、パイロットが太ももに固定したタブレットを装着している様子が映っている。タブレットには、ドローンのウェイポイント経路に関連すると思われる航法マップが表示されている。
スバルUAVの離陸。(画像提供:航空技術研究所/防衛省)
航空技術研究所の動画説明文にはこう記されている:「航空装備研究所は有人機と連携可能な無人機の研究を進めている。遠隔操作支援機技術の研究の一環として、無人実験機と有人ヘリコプターを用いた飛行試験を実施し、任務機動及び5機編隊飛行を模擬した」ドローンは小型で、小型ホビー用RC(遠隔操作)飛行機と同程度の大きさだ。
航空装備研究所の声明はさらに次のように述べている:「2025年10月まで無人実験機と有人ヘリコプターを用いた任務機動及び5機編隊飛行の模擬飛行試験を実施し、生成された飛行経路や無人実験機を操作するパイロットの作業負荷など、研究に必要なデータを取得した。今後は取得したデータを分析し、技術の有効性を検証するとともに、将来の無人航空機実現に向けた研究開発を着実に進めていく」。
ヘリコプター内部の様子。無人機を制御するタブレットが確認できる。(画像提供:航空技術試験所/防衛省)
試験の目的
こうした試験は通常、試験範囲を拡大する前に制御ソフトウェアやアルゴリズムを検証し、データを精査する。本プロジェクトが航空技術試験所(ATLA)の監督下で行われたことを踏まえると、軍事用ドローン向けの標準的な状態検証済み半自律/自律制御ソフトウェア及びインターフェースの試験・検証が目的の一つであった可能性がある。
Scaled CompositesのModel 437やGA-ASIのMQ-20 Avengerといったプロジェクトでは、「政府参照アーキテクチャ」と独立した「自律スタック」が重視されている。これらのプロジェクトも、将来のCCA向け自律飛行・戦闘技術の完成を目指している。
今年初頭のATLA文書には、政府が実施する防衛分野の研究開発計画が列挙されており、現行プロジェクトの一つとして「無人航空機向けAI技術の研究」が言及されている。
概要説明にはこうある:「次世代戦闘機(2035年度配備予定)など他航空機との共同任務遂行を実現するため、意思決定・状況認識に関する人工知能(AI)関連技術及び有人・無人機効果的連携に必要な技術の研究を実施中である。無人航空機の意思決定へのAI技術応用に関する米国との共同研究は、2023年12月から継続中である」。
この文書には、電磁レールガン、高出力マイクロ波や高エナジーレーザーなどの指向性エナジー兵器(DEW)、GCAP(英国・イタリアとの共同グローバル戦闘航空計画)など、他の装備品の概念図も掲載されている。
ATLA のパンフレットに掲載された、同機関が監督する防衛研究開発プロジェクトに関する一節。(画像提供:ATLA/防衛省)
米国と防衛省との合意計画
前述の米国との共同研究は、ATLA が 2025 年 9 月 9 日に発表した、米国国防総省防衛革新ユニットとの覚書に関連するものである。「防衛イノベーション協力」を目的としたこの取り組みでは、競争を促進し、スタートアップ企業を支援することで、「最先端の商業技術を防衛システムに迅速かつ効率的に統合し、防衛生産および技術基盤を強化する」ことを目指している。
興味深いことに、8月21日に発行された『Asian Military Review』誌には、NSBT Japan によるレポートが掲載されており、その中には、ATLAが監督する将来の防衛研究開発プロジェクトについて詳述した 2018 年度の防衛省文書からの画像が含まれていた。
2018年度の防衛省文書からの図。ヘリコプターからタブレットで操作するドローンを示している。(画像提供:NSBT Japan via 防衛省)
同報告書には、「高機動飛行制御技術」の試験、「遠隔操作実験機」による「MUM 航空機連携の遠隔操作」およびヒューマンマシンインターフェースの試験に関する図が掲載されていた。また、ヘリコプターとタブレットの写真も掲載されていた。■
パース・サタムのキャリアは、二つの日刊紙と二つの防衛専門誌で15年に及ぶ。彼は戦争という人間の活動には、どのミサイルやジェット機が最速かをはるかに超えた原因と結果があると信じている。そのため、外交政策、経済、技術、社会、歴史との交差点における軍事問題を分析することを好む。彼の著作は防衛航空宇宙、戦術、軍事教義と理論、人事問題、西アジア、ユーラシア情勢、エナジー分野、宇宙に至るまで幅広い。
Japan Tests Subaru’s Drones in MUM-T and Autonomous Flight Trials
Published on: November 24, 2025 at 1:51 PM Parth Satam
https://theaviationist.com/2025/11/24/japan-mum-t-and-autonomous-flight-trials/