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2025年1月5日日曜日

ニューオリンズのテロでトランプ大統領が対ISIS戦略に焦点を当てるか―ISISが戦闘員を送り込む以外に、西側国民をたぶらかす作戦に出ているため、今後はプロパガンダへの対抗が注目されます

 


Chris Granger, The New Orleans Advocate via Associated Press

2025年1月1日、ニューオーリンズのバーボンストリートで爆発物が発見された場所を捜査するニューオーリンズ警察と連邦捜査官


旦にニューオーリンズで起きた致命的なテロは、ISISによって過激化された男によって実行されたと当局が発表しており、さらなるテロへの恐怖に拍車をかけるとともに、トランプ次期大統領の孤立主義的傾向がテロとの戦いに与える影響について疑問を投げかけている。

 テキサス州出身の米陸軍退役軍人で会計事務所デロイトに勤務していたシャムスッド=ディン・ジャバル(42)は、混みあうバーボンストリートにピックアップを突っ込ませ14人を殺害し、2017年以来初めて米国内でISISに影響された攻撃を行った。ジャバーは警察に射殺された。

 ISISは、イラクとシリアにおける米国主導の作戦で著しく衰退したものの、近年復活しており、2024年には世界中での致命的な攻撃を実行したと主張している。

 米政府高官は、ISISの脅威を抑えるためにはイラクとシリアでのプレゼンスを維持することが不可欠だと主張しているが、トランプ大統領は中東での部隊規模を縮小する可能性を示唆している。 

 次期大統領は先月、ダマスカスにおけるバッシャール・アル=アサド政権の崩壊を受け、1期目に撤退を試みたシリアに対して、手を引かないアプローチを求めた。

 ワシントン近東政策研究所のアーロン・ゼリン上級研究員によると、ISISは最近、世界的に「より高いテンポ」で攻撃を仕掛けており、トランプ大統領が中東における米国のプレゼンスを劇的に低下させれば、より大きな復活を遂げるだろうと警告している。

 「それは、アメリカがイラクから撤退し、ISISが再び戻ってくる場所を提供したのと同レベルの、とてつもない過ちであり、それは彼の目の前で起こるだろう」と彼は言い、2011年にアメリカがイラクから撤退し、ISISと戦うために2014年に再び戻ってきたことに言及した。

 トランプ政権移行チームのスポークスマンは、次期大統領がISISの脅威をどのように扱い、中東をどのように管理するのかについてのコメントを求めたが、返答はなかった。

 バイデン大統領の下、アメリカはISISを衰退させることに重点を置いてきた。国防総省のサブリナ・シン副報道局長は金曜日、記者団に対し、ISISは10年前のレベルではないにせよ、「脅威であり続けている」と語った。「ISISはイラクとシリアで見られたように能力を保持しており、だからこそ我々は、ISISが決して再結成したり、復活したり、以前の状態に戻ったりできないようにするために、これらの国の両方に我々の軍を配置している」と彼女は言った。

 ISISは2014年に台頭したが、5年以内に米国とその同盟国によってほぼ敗北し、イラクとシリア北東部の領土の多くを失った。

 米国はイラクにおよそ2,500人、シリアにおよそ900人の部隊を常駐させているが、国防総省は最近、一時的な派遣部隊によってその数はおよそ2,000人になったと発表した。

 1月20日に大統領に就任するトランプは、シリアからの撤兵を明確に決定していないが、反体制派が同国を掌握した後の12月には、シリア問題から手を引くよう呼びかけた。トランプは1期目に撤兵を試みたが、その数を減らしただけだった。

 Soufan Groupの調査部長コリン・クラークは「トランプ大統領の外交政策に孤立主義を志向する傾向があるとすれば、ISISの復活がそれを躊躇させる可能性が高い。「中東に地上軍を(さらに)派遣するという話ではないが、海外でのイスラム国への攻撃という点では、最低限、積極的であり続けることが必要だと思う。「つまり、指揮統制部隊を狙うこと、価値の高いターゲットや重要な指導者を狙うこと、そして彼らのバランスを崩すことである」。

 イラクは、トランプ大統領にとって困難な舞台となるかもしれない。 昨年、ワシントンとバグダッドは、2026年までにアメリカのプレゼンスを縮小することで合意したと発表した。

ワシントン・インスティテュートのゼリンは、トランプ大統領に対し、少なくとも米軍が国内に駐留するようバグダッドと交渉するよう促している。「イラクとシリアは国境を接している。 イラクでISISが弱体化しても、シリアでISISが復活すれば、イラクに資源が戻る。 「イラクの安全保障の未来は、シリアの安全保障の未来と同じように結びついている。 だから、一方を他方から切り離すことはできない」。

 アメリカ軍はISISに対して定期的に空爆や作戦を実施しており、12月の作戦ではISISのリーダー、アブ・ユセフ別名マフムドを殺害した。

 それでも、アフガニスタンにおけるテログループの支部であるISIS-Kは、2021年のアメリカのアフガニスタン撤退後に復活しており、昨年、イラン、トルコ、ロシアで数百人を殺害したテロを起こした。

 西側諸国では、ISISが昨年、ドイツで3人を殺害し、スイスで男性を負傷させたナイフ襲撃事件を起こした。 8月にオーストリアで開催されたテイラー・スウィフトのコンサートでは、ISISに触発された大規模テロ計画が阻止されていた。

 ミドルベリー国際問題研究所で暴力的な過激主義を研究しているジェイソン・ブラザキス教授は、領土を失ったにもかかわらず、ISISはオンラインで存在感を維持し、人々を過激化させ、致命的な攻撃を実行させるプロパガンダ・マシンに燃料を供給していると述べた。「ISISはシリアのような現実空間では衰退しても、プロパガンダを発信するためにコンピューターやソーシャルメディアにアクセスできる多くの場所で存在感を示している」。

 攻撃はまた、存在を宣伝し、模倣犯を触発する効果もある。ニューオリンズ襲撃事件は、2017年にニューヨークで8人が死亡したトラック暴走事件と類似している。

 ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障報道官は金曜日のブリーフィングで、連邦当局はさらなる脅威を「非常に注意深く」監視しており、今後もそうしていくと述べた。

 しかしブレイザキスは、米国はテロ対策にもっと資源を投入すべきだと指摘している。「われわれは単に、5年前と同じ脅威に対する情報収集をしていないだけだ」と彼は言い、トランプ大統領に対テロリズム分野にもっと資源を投入するよう求めている。「孤立主義は、ISISやアルカイダの台頭に対抗する成功策にはならない。「米国がシリアのような場所に何千名もの部隊を駐留させなければならないという意味ではなく、自国の庭でISISと戦えるようにする投資は可能だ」。

 ISISは一般的に、タジキスタンのような移民が多い国を含み、紛争が多く不安定な地域から戦闘員をリクルートしている。

 しかし、テロリスト集団は西側でより多くを直接過激化させようとしており、2022年には『ホラサンの声』と呼ばれる英語雑誌を創刊し、オンラインで拡散している。

 ISISがドローンやその他の新技術の使用を呼びかけるなど、より高度な攻撃を鼓舞しようとしているとの懸念も高まっている。

 一方でISISのプロパガンダが効果を失いつつある兆候もある。

 国際テロ対策センターのビジネス・マネージャー兼副所長であるアントワーヌ・ボードンは、最近のISISによる攻撃は熱狂的な賞賛を受けることが少なくなっていると述べており、イデオロギーや自己犠牲に対する関心が低下し、テロリスト集団が支持者に報いる力が縮小しているためだという。「こうした攻撃が以前ほど反響を呼んでいないことは、ISISの孤立ぶりを示している。しかし、人々がまだそれを信じていないとわけではない」。■


New Orleans attack puts focus on Trump’s counter-ISIS strategy 

by Brad Dress - 01/04/25 6:00 AM ET


https://thehill.com/policy/defense/5066574-isis-attack-new-orleans-trump-terrorism/




2025年、ISISの復活が始まっている―戦闘員、その家族含め4万名がその一部でもシリアの収容キャンプを脱出し、海外でテロ活動等に従事するのは悪夢でしょう。相変わらず日本では関心が薄いようですが。

 ISIS Flag. Image Credit: Creative Commons.

ISIS Flag. Image Credit: Creative Commons.


イスラム国(ISIS)は再結成するのか? そしてどこで? ISISと呼ばれる「イスラム国」の復活に備えよう


国主導のイスラム国打倒連合は、脅威を排除したのではなく、封じ込めただけだ。4万人以上におよぶ「イスラム国」帰還兵とその家族がキャンプで宙ぶらりんの状態にある。その多くは、イスラム国への参加を志願した時点で市民権を失っている。イスラム国の過激派の子どもたちは、明確な市民権を持つことはなかった。欧米の多くの人々にとって、アル・ホルは、ニュースのサイクルが進むにつれて、目もくれず、心もくれずという状態になっている。人権団体は、たとえばイラク政府がエジディ教徒を奴隷にし、シーア派やキリスト教徒を殺害した者たちに死刑を科すことを恐れ、キャンプの解散を妨げてきた。


イスラム国の脅威

イスラム国の退役軍人とその家族がクルド人の監視下に置かれている収容所アル・ホルの将来は、3つの連動した理由で危うい状況にある。

 第一に、トルコによるクルド人居住区への攻撃により、シリア民主評議会の警備隊はトルコの侵攻からクルド人の町や都市を守るため、別の場所に配備せざるを得なくなる。 

 第二に、トルコはクルド人刑務官を再び標的にし、彼ら自身がテロリストであると非難する可能性がある。 

 最後に、その目的が刑務所の体制を変えることであることを確認するため、トルコは、かつてのアルカイダ関連組織である自国のHay'at Tahrir al-Sham(HTS)が看守業務を引き継ぐことができると述べている。


ISISのメンバーやシンパが脱出したら、大まかに2つの方向に向かうだろう。


多くはシリアに留まるか、中東全域に広がるだろう。クルド人に対する報復を求める者もいるだろうし、HTSは、傘下の武装勢力を和らげるため、あるいは自らの行動に対する説明責任を負うリスクを冒すことなくカリフのアジェンダを推進することで、良い警官と悪い警官を演じるために、他の者を容認するだろう。 


また、ヨルダン、サウジアラビア、エジプトに向かい、アメリカのアラブの主要同盟国を不安定化させる組織に加わる者もいる。さらに他の者は、ソマリア、リビア、スーダンでイスラム主義者の傭兵として腕を売るだろう。


さらに多くが、トルコの意図的な国境封鎖で国外に逃亡する。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、難民を西に逃がすという脅しでヨーロッパを脅迫することを芸術の域に変えた。彼はイスラム国を災いではなく、好機として扱うだろう。刺殺、車での突っ込み、爆弾テロといったテロが西ヨーロッパ全域で横行するだけでなく、イスラム国の退役軍人の一部はアメリカの南国境にたどり着くだろう。クルド人を地対空ミサイルで武装させ、トルコ経済を制裁する意志がなければ、西側諸国がISISの勃発を回避できる可能性はほとんどない。


皮肉なことに、ISISの反撃を免れうる唯一の国はイラクである。 開発の有用性を皮肉るのは簡単だ。アメリカの国際開発庁は、より広範なアメリカの国家安全保障の目標とは無関係に何十億ドルもの資金を費やしている。さまざまな政権が、自らの決定に対する説明責任から逃れるためのセーフティネットとして国際開発の仕事を扱っているため、国際開発はしばしば安全保障と安定を損なう効果を生む。


しかし、開発は重要である。 イスラム国の敗北から8年、モスルはかつての面影を失ったままだ。歴代のイラク政府とニネワ州知事は、復興をお役所仕事に埋没させ、日和見主義の役人がイラクと国際的な復興資金を吸い上げている。イラクで忍耐強さ、寛大さとは無縁として知られるモスラウィの住民は、当然ながら怒っている。イスラム国はモスルを犠牲にしたが、モスルに再び肥沃な土地を見つけるかもしれない。モスルの開発不足が結果をもたらすだろう。


アルアンバーではちがう。20年前のイラクのアル・アンバール州は反乱の震源地だった。ファルージャとラマディは基本的に立ち入り禁止で、殺戮が行われる地域だった。過去5年間、これらの地域はイラクで最も安全で活気のある都市のひとつで、開発と商業の面ではイラクのクルディスタンに匹敵し、それを上回ることさえあった。端的に言えば、この地域は、部族や企業のリーダーたちに余録を機体っせず、自分たちの都市と地域に責任を持つという決断をしたことで恩恵を受けている。


シリア北東部のクルド人と同じように、アル・アンバーのアラブ人はプロジェクトに自らの資金を投入し、ゲームに身を投じた。投資のために奔走することを厭わない有能な知事が、前進をさらに強固なものにした。イスラム国がアル・アンバー州に根を下ろせば、地元コミュニティは真っ先に敵対し、彼らを根絶やしにしようとするだろう。


ISISと中東の悲劇

中東は危機に向かっている。 イラク国内では、アル・アンバルのように安全な地域もあれば、モスルのようにそうでない地域もある。 数十年にわたる王室の腐敗と非効率な行政の結果、外交的な粋を尽くしても、イスラム国の脅威からヨルダンを救うことはできないだろう。 エジプトやクウェートも同様だ。何十年にもわたり、政策立案者たちがトルコをその振る舞いにかかわらず同盟国として扱ってきたこと、そして開発コミュニティーの中に、現地での説明責任を果たさず、問題に資金を投入する文化があることが、イスラム国の大量脱獄の火種を作り出しているのだ。■


About the Author: Dr. Michael Rubin

Michael Rubin is a senior fellow at the American Enterprise Institute and director of policy analysis at the Middle East Forum. A former Pentagon official, Dr. Rubin has lived in post-revolution Iran, Yemen, and both pre- and postwar Iraq. He also spent time with the Taliban before 9/11. For more than a decade, he taught classes at sea about the Horn of Africa and Middle East conflicts, culture, and terrorism, to deployed US Navy and Marine units. Dr. Rubin is the author, coauthor, and coeditor of several books exploring diplomacy, Iranian history, Arab culture, Kurdish studies, and Shi’ite politics. The author’s views are his own. 



著者について マイケル・ルービン博士

Michael Rubin アメリカン・エンタープライズ研究所シニアフェロー、中東フォーラム政策分析ディレクター。ルービン博士は国防総省の元職員である、革命後のイラン、イエメン、戦前と戦後のイラクに住んでいた。また、9.11以前にはタリバンと過ごしたこともある。10年以上にわたり、アフリカの角や中東の紛争、文化、テロについて、米海軍や海兵隊の派遣部隊を対象に海上で授業を行った。外交、イラン史、アラブ文化、クルド研究、シーア派政治に関する著書、共著、共同編集者。 筆者の見解は筆者自身のものである。


The Tragic ISIS Comeback of 2025 Has Begun

By

Michael Rubin

https://www.19fortyfive.com/2025/01/the-tragic-isis-comeback-of-2025-has-begun/


2024年12月25日水曜日

ISIS指導者、米軍の空爆で死亡(The Hill)―あわせてシリア国内に残るIS勢力への対抗として米軍部隊が一時的に増派されている事が判明しました。ただしシリアにはISの囚人が8千名残っています

 




軍は12月19日木曜日、シリアでの空爆でISISの指導者ともう一人のメンバーを殺害したと、ペンタゴンが金曜日に明らかにした。

 米中央軍(セントコム)部隊は、かつてバッシャール・アサド政権とロシアの戦闘員が支配していたダイル・アズ・ザウル県で、アブ・ユセフ(別名マフムード)を標的にしたと声明で発表した。

 セントコムによれば、空爆でISISの正体不明のもう一人も死亡したという。

「 前にも述べたように、米国は同盟国や地域のパートナーと協力して、ISISがシリアの現状を利用して再編成することを許さない」と、セントコム司令官マイケル・エリック・クリラ大将Centcom Commander Gen. Michael Erik Kurilla は報道発表で述べた。

 「ISISは、現在シリアの施設に拘束されている8000人以上のISIS工作員を脱獄させる意図を持っている。我々は、シリア国外での活動を行おうとしている者を含め指導者や工作員を積極的に標的にする」。"

 この空爆は、シリアに2,000人の米軍が駐留していることが明らかになったのと同じ日に行われた。

 国防総省のパット・ライダー報道官は、増派は「しばらくの間続いている」と述べ、部隊は「最低でも数カ月は」駐留していると述べた。  しかし、増派は対ISミッションの支援のためであり、12月8日のアサド政権崩壊とは無関係だと強調した。

 ライダー報道官によれば、「中核的な米軍兵士900名が9ヶ月から12ヶ月の公式展開の一環としてシリアにおり、さらに1100人の兵士が "任務要件の変化に対応するため "30日から90日の臨時ベースでシリアにいるという。

 この更新された数字は、権力の空白が懸念される中、米国がISISの復活を防ぐため、シリアにおけるISISの標的への空爆を強化していることによる。■


ISIS leader killed in US airstrike

by Ellen Mitchell - 12/20/24 4:31 PM ET


https://thehill.com/policy/defense/5051558-pentagon-strike-isis-leader/


2017年8月18日金曜日

スペインが13年ぶりにテロ襲撃の標的になったのはなぜか


こんな無茶苦茶な理屈はないですね。これでは未来永劫に子孫に罪があることになり、某半島部の国民の言い分と同じです。イスラム世界ではISISはじめテロリストとは無縁と主張しながら自浄努力が見られないのはどうしたことでしょう。犠牲者のご冥福を祈りましょう。

Why Spain has become a target for terrorists スペインがテロ襲撃に狙われた理由

バルセロナを襲った木曜日のテロ攻撃でスペインは13年不在だったイスラム過激派の襲撃の洗礼を受けた。
13名死亡100名超が負傷したヴァン暴走は旅行者にも人気の高い歩行者が多数集まるラスランブラス地区で発生。身柄を拘束された二名とは別に逃走中の運転者を警察が捜索中。
昨年からスペイン公安当局は市民を巻き込むところだった襲撃事件少なくとも三件を未然に防いでいる。
  • 2016年11月、モロッコ人一名をマドリード近くで逮捕。「一匹狼」」型の襲撃を企んでいた。「切れ目なくインターネットでテロ行為をすると伝えていた」
  • 2016年12月、テロリストの疑いで一名をスペイン北部で逮捕したが、タンクローリーを使いニース事件6名458名負傷((86名458名負傷)の模倣を企んでいた。
  • 2017年5月、モロッコ人二名をマドリードで逮捕、タンクローリー襲撃を計画し、オンラインのテロリストネットワークの一部と判明。
スペインではイスラム原理主義者による襲撃は2004年3月が最後だった。同事件ではアルカイダ工作員がマドリードで通勤列車を爆破し191名を死亡させた。
その後スペインは公安警察や情報収集能力を増強しテロ活動やISIS関連ありとみられる千名を監視追跡している。
だがロンドン・タイムズが伝える情報分析専門家によればイスラム系住民の「統合が進んでいる」スペインはフランス事例と同様の規模の襲撃から免れていると見られていた。「フランスにあるような隔離地区がなく、イスラム系住民と統合が進んでおり、急進思想はさほど見られない」(同専門家)。
タイムズ記事ではスペインが聖戦主義の標的になったのは711年から1492年までイスラム圏であったことが大きいという。
ISISの宣伝機関はイスラム戦闘員にスペインが1212年のアルユカブの戦いでイスラム教徒60千名を虐殺した史実を思い出させ、スペイン人への復讐としてバルセロナのラスランブラスはじめ観光スポットを襲撃し爆発物やトラックで「スペインがイスラムに対して行った犯罪行為」のツケを払わせろと主張していた。
Read the original article on Business Insider Australia. Copyright 2017. Follow Business Insider Australia on Twitter.

2016年12月12日月曜日

12月12日(月)のヘッドラインニュース


12月12日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

[進展中のニュース]東地中海でNATOがロシア潜水艦を追跡中
米P-8A含む哨戒機まで動員した大掛かりな対潜作戦が行われており、オスカー級一隻の所在を突き止めようとしている。もう一隻いる可能性もある。該当海域には仏海軍空母シャルル・ド・ゴールがあり、アイゼンハワーも付近を航行中。オスカー級は長距離ミサイルで空母を狙うことを目的にロシアは8隻を稼働中と言われる。


北朝鮮の核戦力はどこまで整備されているか
北朝鮮の核弾頭小型化技術は進展しており、ミサイル搭載が可能な段階に入っているが、大気圏再投入技術がまだ実用化されていないとの評価

トランプの国防産業への考え方①
トランプ次期大統領は国防総省で契約関係に従事した人物を国防産業が雇用することを禁じる構想を発表。

トランプの国防産業への考え方②
選挙運動中はレーガン時代を彷彿とさせる軍拡を主張していたトランプが40億ドルの次期エアフォースワン事業を批判したことに当のボーイングはじめ防衛産業が一様に驚いているが、トランプの狙いは防衛産業そのものにメスを入れることにあるようだ。

フランステロ襲撃の指導者を空爆で殺害
仏の風刺紙シャルリ・エブドが2015年に襲撃された事件を指揮したISIS幹部が米空爆で死亡したことが判明した。空爆はラッカ(ISIS首都)で、11月26日のことだったという。エル・ハキム(33)はチュニジア出身で襲撃実行犯を指導していた。襲撃は同時多発型で計12名が命を落とした。

ズムワルトがサンディエゴに到着
USSズムワルト(DDG-1000)が12月8日配備先サンディエゴに入港し、東海岸出港から三ヶ月の廻航を終えた。途中で発覚した潤滑油ボックスへの海水混入の原因調査を続行する。サンディエゴで戦闘システムの搭載が始まり、艦隊編入は2018年の予定。同級の残る2隻も建造中。


2016年12月6日火曜日

ヘッドラインニュース12月6日


12月6日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

Su-33が着艦失敗し機体海没、地中海、ロシア空母
12月5日、地中海で作戦中のロシア空母アドミラル・クズネツォフでSu-33が着艦に失敗し、機体は海に没した。パイロットは射出脱出し無事回収された。原因は拘束ワイヤーが切断したことによる。以前にMiG-29KRでも同様に着艦失敗で機体喪失している。

USSズムワルトがカリフォーニアへの回航を再開
主駆動軸の潤滑油の冷却装置が同艦を航行不能にした原因だった。海水が装置内に入ったことで故障したが、この現象は以前から報告があった。今回のパナマでの修理のため姉妹艦マイケル・マンソーから同型部品を慌てて空輸した。ズムワルトはサンディエゴに12月上旬に到着する。

自殺車両攻撃に苦しむイラク陸軍のモスル奪回作戦
ISISが用いる車両搭載即席爆発物による自殺攻撃が深刻なためモスル奪回を狙うイラク地上部隊が苦境に陥る中、連合軍は同市につながる橋梁5箇所のうち4箇所を空爆で壊滅させ、ISISガチグリス川東岸への移動を困難にする策に出た。

中国がDF-21ミサイル10発を同時に試射
トランプ次期大統領への力の示威なのか、中国が11月末に一斉発射下のは中距離弾道ミサイルDF-21でアジア太平洋地区の米軍基地を標的にすると新華社が説明する装備だった。専門家によれば今回発射されたのはDF-21Cで海上艦船を狙うDF-21Dはこの派生型。中国がミサイル発射を発表したタイミングはトランプがマティス退役海兵大将を次期国防長官に内定したと明らかにした直後のこと。中国は海軍演習も同時期に展開している。

2017年度国防予算で潜水艦へ破格の扱い
2017年度国防予算認可法案が下院を通過したが、米海軍の潜水艦建造関連予算を承認し、オハイオ級戦略ミサイル原潜後継艦予算は満額予算となり、ヴァージニア級攻撃潜水艦は年2隻建造のペースを維持するのは潜水艦の意義を正しく認めた結果だ。


2016年10月25日火曜日

ISIS無人機を電子手段で飛行不能にした米空軍


なるほど現在の無人機が遠隔操縦方式なので途中の接続を遮断すれば無人機が使用不能となるわけですか。これは野戦装備ですが将来自律飛行可能な新世代無人機が登場したらどうなるのでしょうね。(本ブログではドローンという言葉は極力避けています。もともとヒラリー・クリントンが多用して広まった言葉なので。意味はわかりますね)
Defensetech

Air Force Zaps ISIS Drone with Electronic Weapon


Battelle’s DroneDefender is a shoulder-fired weapon that uses radio waves to cut the link between the drone and its controller. (Photo courtesy Battelle)バテル研究所のDroneDefenderは電波で無人機と操縦者の接続を中断させる (Photo courtesy Battelle)

POSTED BY: ORIANA PAWLYK OCTOBER 24, 2016


  1. 米空軍がイスラム国の無人機を電子兵器で撃退したと空軍トップが明らかにした。
  2. 空軍長官デボラ・リー・ジェイムズは10月24日、空軍が小型武装無人機が過激派により飛行するのを「一二週間前に」探知したと述べている。
  3. 「現地の空軍部隊は小型無人機一機が飛行しているのを知り、極めて迅速にこれを激着いてしている。電子措置を使った」とジェイムズ長官は新アメリカ安全保障センター主催の会合で発言している。
  4. 「迅速に攻撃を加える方法の一例」と長官は述べたが、具体的にどんな手段を投入したかは述べていない。
  5. 同長官の発言は陸軍長官エリック・ファニングや海軍長官レイ・メイバスと並んでの場で出たもので軍が小型だが威力を発揮しそうな無人機への対応を迫られていることを浮き彫りにした形だ。
  6. 「現時点で最高の優先順位は中東で無人航空システムの存在が高まっており、安価でインターネット操縦が可能な装備がシリアやイラクで飛び回るようになり損害が発生しかねないことだ」(ジェイムズ長官)
  7. 「そのため知恵を合わせこの課題に迅速に対応し、撃退方法を考えているが、必ずしも新規装備の開発にならない」
  8. ジェイムズ長官によればISISが既存無人機や模型飛行機に時限爆弾をつけた例外楽、シリアで見られるという。先週も米政府関係者が別の事案に触れ、これをニューヨーク・タイムズが先に報じたが、クルド人戦闘部隊で二名が北部イラクで撃墜した模型飛行機を分解しようとする中で死亡している。
  9. 空軍長官が言及したのは米国が電子兵器装備を改造してこの急増する脅威対象に簡単に対応できる点だ。
  10. 電子戦は東部ウクライナでごくあたりまえに実施されている。数ヶ月に渡りロシアが支援する分離独立勢力が電子手段でウクライナ軍の商用無人機による偵察を妨害している。このことは2014年にわかり、米軍がウクライナ軍を訓練する中で警戒している。
  11. 今月始めには米陸軍欧州部隊司令官から対無人機兵器でロシアに対処したいとの発言が出ている。ベン・ホッジス中将は非運動兵器技術から冷戦時の旧式技術までなんでも使いたいと述べている。
  12. 中将は新兵器の名称を述べなかったが、バテル研究所のDroneDefenderは肩載せ発射式で無人機を電波妨害で使用不能とし、イスラエル開発のレーダーと併用し数キロメートル先から探知可能できる装備で陸軍がテスト中だ。
  13. 「非運動手段は多数あり、その他の手段も登場するのは確実だ。だが今この時点で装備が欲しい」と同中将は報道陣に陸軍協会会合で語っている。「これまでは脅威と呼べず短距離防空は心配する必要がなかった」とし、「今やUAVがあり、UAV対抗手段が必要と痛感している」
  14. ペンタゴンは新型無人機対抗手段の研究開発を加速しヨーロッパやISIS戦に投入したいとしているが、上記バテル研究所の装備がすでにイラクで投入されているとの報道がある。■
— Brendan McGarry and Matthew Cox contributed to this report.


2016年6月21日火曜日

韓国へISISテロ攻撃の可能性浮上、警備体制を厳重にしています


不穏な情勢が韓国で何も発生しないことを祈るばかりです。

S. Korea beefs up security after Islamic State threatens US bases

Stars and Stripes
Published: June 20, 2016


SEOUL, South Korea — 韓国政府は在韓米軍基地及び韓国一般市民がテロ攻撃を受ける脅威があるとし警備体制の強化を6月20日発表した。イスラム国に近い筋が韓国内の基地等を襲撃リストに載せているためと言われる。
  1. 懸念の浮上は週末のことでイスラム国が世界各国で合計77か所の米空軍、NATO軍基地の攻撃を想定し、韓国ではオサン、クンサンの両空軍基地がリストに入っていると韓国情報機関から発言があったためだ。また福祉機関に働く韓国人一名もリストにあると情報筋は述べている。
  2. 韓国は仇敵北朝鮮に加え新しい脅威が加わることになった。韓国・北朝鮮は1953年の休戦協定で戦闘は終わったものの戦争は終結しておらず、米軍はおよそ28,500名を韓国に駐留させている。
  3. 韓国国家情報院NISの発表では「韓国一般市民や国内の外国人がテロ攻撃対象になるのが現実味を帯びてきた」とある。
  4. 同機関が参照したのは今月初めにISIS寄りのハッカー集団ユナイテッド・サイバー・カリフェイトが公表したいわゆる殺人リストのことで、氏名、住所、電子メールアドレスおよそ8千名分を掲載している。リストではどういう基準で選ばれたのかは不明だ。
  5. 同グループは世界各地の米空軍基地の衛星写真も公表したが、同じ写真がグーグルアースで入手可能と6月8日に同リストの存在を報じた報道技術企業Vocativは指摘している。
  6. NISによれば在韓米軍、韓国軍及び警察当局に警備を厳重にするよう伝え、言及のあった施設では警護を固めるよう要請した。
  7. 在韓米軍からは各施設の保安態勢を重視し朝鮮半島の安全に対し最大限の配慮をしているとの発表があった。
  8. 「警戒を怠らず通常の体制で韓国とともに対応していく。脅威事象発生の場合は直ちに対応する準備ができている」.
  9. 韓国首相黄教安 Hwang Kyo-ahn が20日、韓国政府はテロ攻撃を未然に防ぐ体制にあると述べたと聯合ニュースが伝えている。首相は国内の対テロセンターが捜査対象を広げ、国民一般に被害が及ばないようすべての対策をとっているとも述べている。
  10. 「イラク・シリアのイスラム国は次の攻撃目標に韓国を昨年9月以来加えています」と首相は発言したといわれる。■

2016年5月23日月曜日

英空軍がリビアのISIS戦闘員の通信網に大規模電子攻撃を実施



The brand new RAF Rivet Joint aircraft “fried” Daesh communications with massive jamming attack in Libya

May 19 2016




RAF英空軍の「新品」のRC-135リベットジョイントでISISの通信がリビアで使用不能になった。

  1. 英特殊部隊が実施した「ブラック作戦」で地中海沿岸のダーイッシュ拠点スルトへ電子攻撃を加え、リビア国内のISIS通信網を停止させた。
  2. このジャミング攻撃を行ったのはRAFのRC-135W「エアシーカー」で2011年に元米空軍のKC-135給油機を950百万ドルでL-3ISが改装した三機の一機だ。
  3. 機内の操作員は戦闘員が好んで使う周波数で高出力妨害電波を送り、ISISの交信を無効にした。同機がリビア沿岸沖合を飛行する間にHMSエンタープライズ艦内のGCHQ(政府通信本部、英国のSIGINT情報機関)所属サイバー戦チームが前週に行ったジャミングで判明したISIS指揮官間の通信内容を監視した。リビアには6千名のIS戦闘員がいるとみられる。
  4. 国防省筋はデイリーメイル紙にIS戦闘員が「状況が理解できず大変混乱し、こちらは周波数を四十分にわたり妨害し、性能の有効性を証明したが、結局IS側は状況を理解できないままだった」と語っている。
  5. RC-135Wは情報収集機材として通常は通信傍受に当たり、各種アンテナやセンサーで敵の通信、送信を盗聴し、周波数を突き止め、軍事的価値のある拠点、移動拠点、対空ミサイル陣地を正確に把握することができる。同時にEW能力もあり、乗員は「ジャミング攻撃で敵に混乱を起こさせることはよくある」のだという。
ZZ664_RC-135W_RAF_Mildenhall_2016_1
リヴェットジョイントを運用するのは米国外では英国だけだ

  1. 改装対象の一号機ボーイングKC-135Rストラトタンカー (64-14833) は2010年12月にL-3コミュニケーションズのテキサス州グリーンヴィルの施設に到着している。
  2. 英軍パイロット、航法士、電子戦要員、情報収集要員、機内整備員は第五十一飛行隊からオファット空軍基地(ネブラスカ)へ派遣され、2011年1月から訓練を開始し、およそ2千回のソーティーで35千飛行時間を飛んだ。
  3. 2011年3月にはそれまで電子情報収集の任務についていたニムロッドR.1が第五十一飛行隊から引退し、三年間も英国のISR機能に穴があいたが、2013年に最初のRC-135W ZZ664が到着し、2015年4月に中東へ派遣されている。
  4. 二号機ZZ665(元米空軍 64-14838)は2015年9月にRAFミルデンホール基地に到着した。三号機ZZ666はKC-135RからRC-135W仕様に改装中で2018年までにRAFへ引き渡される。

写真はアシュレー・ウォレスが撮影した。ZZ664(第五十一飛行隊所属)がRAFミルデンホール基地をタキシーしている。2016年2月19日撮影。尾翼には第五十一飛行隊創設100執念の特別塗装が施されている。
ZZ664_RC-135W_RAF_Mildenhall_2016


2016年5月2日月曜日

米サイバー軍はISISの指揮命令機能、財務機能をどう攻撃しているのか




ISIS向けサイバー作戦は相当の効果を出してきたようです。当然相手方も防衛対抗措置を取りますので、当面はいたちごっこでしょうか。でも資金源の遮断が効果を挙げれば活動も低調になっていくはずです。イスラムの教義でまとまった組織というよりも金銭でつながった利益集団と見るほうが正しいのかもしれません。

The Cyber Threat: Cybercom’s War on ISIS

May 2, 2016 5:00 am

cyber
アシュトン・カーター国防長官と統合参謀本部議長ジョセフ・F・ダンフォードJr海兵隊大将 / AP
     
ペンタゴンが秘密のうちに実施中のイスラム国へのサイバー戦で追加情報が浮上した。
  1. アシュ・カーター国防長官とジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長が米サイバー軍の作戦内容について質問を上院公聴会で28日受けた。
  2. 「目的はISILの指揮統制機能を妨害し、資金移動を妨害し、地元住民を恐怖で統治するのを妨害し、外部から戦闘員を募集するのを邪魔すること」とカーター長官は述べ「このすべてでサイバーを利用して実施中です」
  3. ダンフォード議長からは「仮想隔離状態を作り出そうとしています」「地上作戦を補完し、特にISILが外部各地で展開を狙う作戦を対象にしています」と発言。
  4. カーター長官は米国と有志連合軍の空爆作戦の裏でシリアとイラク国内でサイバー攻撃を行っていると述べた。「感触ですが直接の効果が生まれています。空爆と並行してインターネットを遮断しています」「近代戦では敵打破のために利用できる手段すべてを投入する必要があります」
  5. 二人とも作戦の詳細には触れなかったが、サイバー攻撃は1月に開始され秘密のベールに覆われたままだ。
  6. バグダッドでは空軍少将ピーター・ガーステン(対ISIS軍事作戦および情報担当副司令官)が火曜日にサイバー作戦が「戦場に効果を」上げつつあると述べたが「詳細は最高度の機密情報だ」とした。「高度に調整された作戦であるとだけお伝えできます。デーシュへ照準を合わせており、損害を与える能力もこちらにはあります」
  7. 少将は調整業務の始まりは「特定の標的に対してどんな効果をあげたいのか」を考えて計画立案することだと説明。「各情報機関と作戦部隊など関係者はすべて調整し、図上で作戦を立てます。各方面から内容説明があり、その後で実施に移ります」
  8. ISISに対してサイバー軍は27個編成した戦闘ミッションチームの一つを選択し、タンパにある中央軍と組ませる。中央軍はイスラム国への軍事作戦を統括している。
  9. チーム構成は軍人、民間人、契約企業で海外のコンピュータシステムを標的にサイバー諜報活動を行う。アラビア語が達者なものが多数あり、ISISの作戦・通信の理解には不可欠だ。
  10. サイバー軍の目標はチーム数を133まで増やし、合計6,187名規模にすることで、各チームは45名から60名が配置される。
  11. サイバー攻撃立案の第一段階は作戦の必要条件を設定することで通常は軍がISISの「重心」と呼ぶ指導層、資金、兵器、そして指揮統制通信が行われるサイバー空間が標的となる。
  12. イスラム国は携帯装置で通信をしており、有線通信も多用されている。インターネットの利用は減っているが、アルカイダはまだウェブサイトを好んで使っている。
  13. ISISは人の手を介して重要内容を伝えることもあり、部隊指揮官やそうした文書配達係はサイバー攻撃でも高価値の標的になる。
  14. 最近入手したISIS内部文書によればフェイスブックやツィッターも多用され戦闘員の移動からシリア入りまでを助けていると判明した。
  15. サイバー攻撃の標的にはほかに公式、非公式のISIS情報があり、公式発表からビデオ映像まで同集団のテロ活動の支援に使われている。
  16. ISIS戦闘員の使う主なアプリににテレグラムがあり、データを暗号化している。サイバー作戦ではこのアプリを狙い暗号解読を目指している。テレグラム利用者のフォーラムにはプロパガンダや指示内容が含まれており、例としてオンラインで正体を隠す方法を説明するものがある。
  17. IS関係者は海外のハッカー集団に金銭で各国政府ウェブサイトから極秘情報を盗ませていることが判明しており、将来のテロ作戦の参考にしている可能性がある。今後は米サイバー部隊がここに着目するはずだ。
  18. 2014年だけでISISが資金10億ドルを調達している。原油販売、恐喝、身代金、現金押収、ISIS支配地域での徴税や美術品密売でこれだけの金額を作った。
  19. そこで資金調達を妨害すべく、サイバー攻撃がISISの財務システムに行われている可能性があり、機能停止や妨害、またはなりすましで偽情報を流しているのだろう。
  20. 軍事問題の専門家によればISIS独特の指揮命令形態はアナリストが「中央統制、分権を組み合わせた実施」と呼ぶ方式で自称カリフのアブ・バカ・アルバグダディを頂点に指導層には中央方式で命令を伝え、実際の実施詳細は現場指揮官に任せる方式だという。
  21. そこでサイバー攻撃の第一段階では広範囲の情報収集で対象活動の指揮統制の仕組みを解明する。
  22. サイバー軍司令官マイク・ロジャーズ提督は4月5日、米国からのサイバー攻撃で「ISILは攻撃の立案、実施でイラクあるいはシリア内の拠点から米国を狙うのが一層困難になっており、わが軍将兵による物理的な攻撃は安全に実施できるようになり、最終的にISILを撃滅する」と証言している。
  23. ISIS自体のサイバー戦実施能力についてロジャーズ大将は懸念はあるが相手方のサイバー攻撃実施能力は限定的であり、むしろサイバー空間を利用した宣伝プロパガンダや、戦闘員勧誘、過激思想の普及、資金集めが中心になっていると述べた。
  24. サイバー作戦自体が秘密の扉の向こうにあるため、少なくとも2010年代末まで作戦が効果を上げているかは明らかにされないだろう。■