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核兵器使用の可能性について日米が拡大抑止を協議(Military.com/The Japan News)―安全保障には冷徹なリアルポリティクスが必要であり、感情やイデオロギーは排除すべきという好例ですが、国内には無駄な反発をする勢力が残っています。

  2014年11月7日、岩国海兵隊航空基地内の訓練で陸上自衛隊第102中央核生物化学兵器防衛隊が参加した。 (アントニオ・ルビオ上等兵/米海兵隊撮影) 日 米両政府は有事の際の核兵器使用の可能性について意思疎通を図ることをいわゆる拡大抑止 extended deterrence に関する初のガイドラインに明記したと読売新聞が伝えている。  拡大抑止とは、自国が武力攻撃された場合だけでなく、同盟国が攻撃された場合にも報復するコミットメントを示すことにより、第三国による同盟国への攻撃を防ぐことを目的とした安全保障政策である。  日本政府筋によると、日本は自衛隊と米軍が連絡を取り合う同盟調整メカニズム(ACM)を通じ、米国に要望を伝えるという。   このような運用体制の確立は、日本を守る米国の「核の傘」を強化し、北朝鮮や中国に対する抑止力を高めるのが目的だ。  外務省はガイドラインの策定を発表したが、軍事機密情報を含むため詳細は明らかにしていない。  米軍の最高司令官でもある米大統領は、核攻撃を許可する唯一の権限を持っている。ガイドラインが完成するまでは、ワシントンが核兵器を使用する可能性に関して、日本が米国に意見を伝えることが許されるとする文書は存在しなかった。  北朝鮮の核開発や中国の軍拡に対応するため、日米両政府は2010年から、外務・防衛当局者が核抑止などについて定期的に話し合う実務者協議を始めた。日本はこの協議で核兵器使用への姿勢を表明している。  ワシントンの核兵器使用についても、2015年に改定された日米防衛協力の指針に基づき平時に設置されたACMの枠組みで両国は意見交換を行っている。  ACMでは、外交・防衛当局の局長級幹部で構成される同盟調整グループと、自衛隊・米軍幹部で構成される二国間作戦調整センターの双方で協議が行われることになっている。必要に応じ、閣僚を交えたハイレベル協議も行われる見通しだ。  この体制により、平時から有事問わず、ワシントンによる核兵器使用の可能性について、日本の見解を米国に伝えることが可能になる。  核兵器を取り巻く環境は悪化している。ロシアはウクライナへの侵略を続ける中で、核兵器使用の可能性を示唆している。  東アジアでは、北朝鮮が2017年に6回目の核実験を実施し、弾道ミサイル能力を大幅に向上させている。 中国は2...

主張 日本の核兵器保有は避けられない運命であり、地政学からオプションをタブーなく検討すべき時期に入った(しかも迅速に)

  The National Interest記事のご紹介です。とにかく変化を避けたい気持ちが多い日本で、核兵器による安全保障というテーマは最も忌避されていますが、これまで安泰と思っていた状況が実はもう存在しないことに日本がやっと気づき始めた今、核兵器というオプションもタブーにしていてはいけないのではないでしょうか。反対なら反対でもいいのですが、対案を見せてほしいものです。よく出てくる近隣諸国を念頭に遠慮すべきという議論ですが、その近隣諸国が日本を変えてしまったという事実を何故封印するのでしょう。みなさんもご意見をお寄せください。 "(日本人は)自分たちの行く末をかなり明確に見通している。5年以内に核保有国になる方向に向かっている" - ヘンリー・キッシンジャー 2023年4月 日 本は歴史的な岐路に立たされている: 核兵器を開発しなければならない。 現在のアジアの地政学的状況を現実的に考えるならば、重要な問題はひとつしかない:第二次世界大戦の敗戦後、日本がうまく機能していた状況はもはや存在しないということだ。核保有国である中国は、国境を越えて軍事力を誇示し、脅威を拡大し続けている。北朝鮮は核兵器を保有し、近隣諸国への敵意を和らげる気配はない。そして何よりも、ワシントンの軍事的保護のもとで長年にわたって平和と繁栄を実現してきたアメリカの「核の傘」は、修復不可能なほどに、ほころびを深めている。政府高官や学識経験者が、アメリカの敵国からの保護保証を安全保障の基礎と見なしてきた。現在のワシントンの混乱ぶりを見て、日本の政策立案者がそのような保証をまだ有効と考えることができるだろうか? 第二次世界大戦後、冷戦の真っ只中、日本はアジアにおけるアメリカのプレゼンス(存在感)の防波堤だった。日米両国は、中国の台頭を相殺し、共産主義の蔓延に対抗することに相互にコミットしていた。中曽根康弘元首相は、日本とアメリカは "切り離せない運命 "を共有していると宣言した。 今にして思えば、その「運命」には政治家が覆い隠していたとしても、潜在的な亀裂があったことがわかる。戦後、日本は当然のことながら、平和のための国際的な発言者となった。憲法には、戦争と紛争解決のための武力行使の放棄が明記されている。ある世論調査によれば、国民の3分の1以上が、このような...

核兵器を戦場に投入すれば、ならず者国家が得をするだけだ。核兵器を使えない兵器にしておくために何が必要か。

  Image: Creative Commons/YouTube Screenshot.       ロシアがウクライナで核兵器を使えば、ならず者国家の勝利だ ウクライナ戦争におけるロシアのプーチン大統領の斜め上の核の脅しで、大きな不安が生じている。西側諸国との核衝突にエスカレートするとの見方が強い。ゼレンスキー大統領でさえ、この可能性は相当なものと考えている節がある。このような攻撃は、核兵器を保有する、あるいは保有を検討している弱小国に大きな影響を与えるだろう。ロシアが戦場での核兵器使用を常態化させれば、通常兵器で大きなハンディキャップを負う弱小国は、競合相手との競争条件を平等にするため、自国の核兵器を使用する機会を見いだすだろう。   プーチンが核兵器を使用する可能性は低い 核攻撃の「翌日」についてのシナリオは、将来の紛争にどのような影響を及ぼすかは、主要核保有国が使用にふみきるかにかかっている。ロシアはウクライナでこれに直面することはない。ウクライナで敗北し、プーチンが国家的・個人的屈辱を味わうことは、ロシア国家の完全性に対するウクライナの脅威と同じではない。プーチンが核を投入した場合、地政学的な反動は甚大なものになるだろう。  また、ウクライナのどの対象が、それだけのリスクを冒すほど大規模で重要なのは不明だ。実際の紛争に影響を与えるには、前線近くの標的を攻撃する必要がある。その場合、ロシア軍自身が危険にさらされる。ウクライナ都市を大規模かつ戦略的に核攻撃することだけが、ウクライナを恐怖に陥れ、降伏させることにつながる。低収量核兵器使用であれば、ゼレンスキーはおそらく戦い続けるだろう。  核兵器による大量殺戮(さつりく)作戦だけが、ウクライナ人を実際に降伏に追い込むことになるのではないか。   大国は核のタブーを好む しかし、もしロシアがこのステップを踏めば、プーチンの「核のタブー」破りで他国が利益を得ることになる。  ロシア自身は厳しいペナルティーを受ける。中国、インド、さらに第三世界の中立国は、ロシアから離れていくだろう。  NATOはほぼ間違いなく参戦し、ロシアが都市を核攻撃して何十万人もの市民を殺せば、ロシアと直接地上戦を行う可能性さえある。ロシアは世界経済の大部分から排除され、国民は世界中で...

核兵器の意義を考える。冷戦時に日本が核武装していたら世界は大きく変わっていた。米国の核の傘の下にとどまり、核兵器保有を断念した(させられた)日本の決断は妥当だったと言える。

      ここがポイント: 米国が日本の核武装を認めなかったことが長期的に良好な結果を生んだといえるが、日本が核武装していれば北京政府はパニック状態になっていたはずだ。   冷 戦時の米国は選択的核兵器拡散を認め、ソ連によるヨーロッパ侵攻への抑止効果を狙った。ロシア側も英仏両国の脅威を現実に感じていた。   米国は同じ戦略をアジアでは採用しなかった。米国には日本の核武装を支持する理由がなかった。逆に日本が核兵器に野心を見せると毎回米国が抑え込んでいた。   この方針は熟考の結果で、日本が核武装すれば世界規模の核拡散につながるためだった。しかし東アジアの力のバランスが望ましくない方向に動いていたら、日本の核武装が理にかなっていたはずで、これが世界の核兵器拡散に大きな意味を持ちかねなかった。   第二次大戦の遺産   第二次大戦中に日本も核兵器開発を模索していた。ただしドイツに匹敵する進展はなく、米国には及びもつかなかった。占領初期に研究基盤は米国が破棄し、日本に核兵器開発を許す意思がないことは明白だった。真珠湾の前例が米国に重くのしかかり、日本が強力な兵器を保有し再び奇襲攻撃を実施するのは受容できないというのが一般の受け止め方だった。米国が英仏両国に核開発を容認したのは両国が第二次大戦で同じ戦勝国だったからであり、なんといっても日本は侵略国家であり、敗戦国だった。   一方で唯一の核攻撃被害国として日本の国内政治は核武装に否定的だった。とはいえ、1960年代の日本政府が核兵器開発を積極的に検討していた事実があり、佐藤栄作首相は日本に核兵器がないと中国に対抗できないとまで発言した。米側はこれを問題視した。ジョンソン政権は日本に不拡散条約加入を求め、当時はこれで日本の核武装構想は封印された恰好になっていた。   日米両国での核兵器に関する意思決定   ではどうしたらワシントンの方針が変わり、日本にどんな影響が生まれていただろうか。中ソ対立が米国の懸念材料だった。日本の核武装で中国がソ連に再接近すれば、東アジアで共産勢力が強固になっていたかもしれない。だが二大社会主義国が仲たがいしていなければ、日本の核抑止力構想の魅力が高まっていただろう。   日本国憲法...

主張 核兵器誕生75周年にペリー元国防長官が核兵器使用権限について懸念を示す

1 945年7月16日午前5時30分。史上初の核のきのこ雲が閃光とともにニューメキシコの砂漠に出現した。ハリー・トルーマン大統領は広島、長崎へ初の原子爆弾投下を命じ、200千名の生命が瞬時に消えた。 だが、それで最後だった。米国、ロシアは核兵器数万発の整備に数兆ドルを使ったが、核兵器は一回も戦闘投入されていない。その理由は幸運がすべてで政策決定はわずかな役目しか果たしていない。 我々が共著した新刊 The Button であきらかにしたようにトルーマンは軍将官から核爆弾使用を取り上げ、文官に使用をまかせる構想だった。トルーマンは100千人もの生命を奪うのは「考えるだけで恐ろしい」と思った。このため三発目以降の投入は中止されたのだろう。ただトルーマン構想では原爆使用の権限を与える文官は大統領一人だった。その後の米大統領は全員が核戦争を開始する権限を有していることになる。 話は一気に2020年に飛ぶ。米国民の大多数はこの権限について知らない、または意識していない。これまでは。ドナルド・トランプ大統領の不安定な気性と権利濫用傾向のためこの大統領権限が懸念されている。ただし、核のボタンに指を置きそうな精神状態の大統領はトランプが初めてではない。リチャード・ニクソンも退陣前数か月は大量飲酒していた。また今後の大統領に無謀な動きに出るものがいないと断定できない。 トランプが大統領の座にあるかぎり普段なら話題にならない疑問が出てくる。大統領にここまでの権限を与えてよいのか。そもそも必要なのか。冷戦時の残滓なのか。 この形でよいはずがなかった。ジョン・ケネディ大統領は1962年に「論理的に言って合衆国大統領が核兵器投入の決定に動く理由がない。歴史の必然でこの権限が与えられているのである」と書いた。ま神話の正当性はずっと前から誇張されたままだ。 神話その1:米国は数分で核兵器を発射する体制にある。 トルーマン以降、大統領に権限を認める理由は核戦争の予防から逆に核兵器使用の促進に代わってきた。ロシアの核ミサイル攻撃は米国本土に30分未満で到達する。実現すれば核の真珠湾攻撃となり、瞬時に大破壊となる脅威のもとで生活しているのが現実だ。これは1960年代から変わらない。こうした攻撃の可能性がごく少ない、あるいは米国は即座に反応すべき...