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2025年10月14日火曜日

極超音速兵器を搭載した駆逐艦と潜水艦がハワイへ再配置される(USNI News)―

 

真珠湾基地の改装が完成すればズムワルト級駆逐艦3隻がそろいます。同級は形こそ変われ当初の構想通り画期的な対地攻撃力を提供し、中国をにらむことになりますね。

USS Zumwalt in Pearl Harbor

2019年真珠湾の埠頭に接岸するミサイル駆逐艦USSズムウォルト(DDG 1000)。(米海軍写真:マスコミュニケーション専門士官2等ジョナサン・ジャン)

真珠湾施設の改修・近代化工事により、ホノルル海軍基地は極超音速兵器を装備したズムウォルト級駆逐艦3隻と最大3隻の極超音速兵器装備ヴァージニア級原子力攻撃潜水艦の受け入れに向け準備している。この動きは、中国との潜在的な戦争を見据えた米海軍の極超音速装備戦闘部隊の大規模な再配置だ。

2028年半ばからハワイを母港とする新型艦艇・潜水艦に対応するため、合同基地パールハーバー・ヒッカム全域で近代化作業が進行中である。

海軍施設建設司令部(NAFVAC)によるパールハーバー・ヒッカム統合基地での建設作業は、ズムウォルト級駆逐艦とヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦の配備・修理に必要な係留スペースと乾ドック能力を整備する。

M1、M2、B26、B24各埠頭の近代化により、2028年半ばに配備されるズムウォルト級水上戦闘艦全艦の収容スペースと電力需要が満たされる。共同基地における乾ドック作業と整備を支援する追加建設も、今後数ヶ月以内に開始される見込みだ。

汎用岸壁1/2は既に、ズムウォルト級に必要な4160ボルト電力供給要件に対応するため電気設備のアップグレードを実施中である。5月には海軍施設工兵・遠征戦術センター(NAVFAC EXWC)の移動式ユーティリティ支援装置(MUSE)変電所が同岸壁に設置された。各岸壁は最終的に恒久設置型の4160ボルト電力供給能力を備える予定である。

2025年4月21日、ハワイ州パールハーバー・ヒッカム統合基地での現地視察において、ハワイ海軍施設工兵司令部(NAVFAC)が、P-8014U埠頭M1/M2陸上電力配電プロジェクトの進捗状況をNAVFAC太平洋司令官ジェフ・キリアン少将に説明している。本プロジェクトの目的は、JBPHHのジェネラルバース・マイク1において、移動式ユーティリティ支援装備(MUSE)への電力供給およびDDG 1000ズムウォルト級駆逐艦などの将来プラットフォームへの陸上電源供給を実現する電気インフラを整備することである。(米海軍写真:アンナ・マリー・G・ゴンザレス)

艦艇支援のための追加工事は2026年3月に開始され、艦艇がハワイに到着する2028年6月の完成を予定している。

「戦時における艦隊即応能力を維持するため、DDG-1000級に十分な信頼性のある電力を供給するには、既存の陸上電源のアップグレードが必須である。DDG-1000級艦は2028年半ばまでに当施設に到着する。したがって、本プロジェクトはそれまでに完了し、使用可能でなければならない。」

米国海軍

NAVSEA(海軍海上システム司令部)は、真珠湾海軍造船所(PHNSY)における3隻のズムウォルト級艦艇の維持管理・近代化・乾ドック入渠を支援可能な請負業者向け情報提供要請書で建設要件を明示した。関連作業は契約締結時期である2026年末に開始予定。請負業者は、同艦級向け予備部品及び調達期間の長い資材を保管する施設の開設・改修を含む。

NAVSEAは、2028年半ばまでに3隻全ての母港変更を支援できる施設と請負業者の整備を求めている。

現在、2隻のズムウォルト級駆逐艦が米海軍の通常弾頭即時打撃(CPS)極超音速ミサイル配備に向け近代化中である。3隻目は2026年にミシシッピ州パスカグーラのハンティントン・インガルズ・インダストリーズ社で近代化作業に入る予定。

先頭艦であるUSSズムウォルト(DDG 1000)の作業は2026年5月までに完了する見込みであり、USSリンドン・B・ジョンソン(DDG 1002)の作業は今年初めにハンティントン・インガルズ・パスカグーラで乾ドック入りした際に開始された。

Hypersonic CPS

2024年1月から10月にかけてUSSズムウォルト(DDG-1000)で行われた極超音速ミサイル統合作業の詳細を示すNAVSEA写真。撮影:筆者

ズムウォルト級駆逐艦は3隻で合計36発のCPSミサイルを搭載し、沿岸陸上攻撃能力を提供する。これは現行の他の兵器システムでは実現できない能力である。対艦能力のための終末誘導装置統合に向けた開発作業は進行中である。

3隻全てに新たな信号情報収集システム、新型海軍データリンクプラットフォーム、領域防空能力のためのSM-6統合が施される。米海軍は同級駆逐艦を「現行能力と比較して、より長射程、より短飛行時間、敵防空網に対する高い生存性を備えた独立した前方展開攻撃プラットフォーム」と位置付けている。

真珠湾はまた、造船所インフラ近代化計画の一環として、2030年までにヴァージニア級攻撃型潜水艦を追加配備する。艦隊によると、パールハーバーに移管される潜水艦のうち2~3隻はヴァージニア・ペイロード・モジュール(VPM)を装備し、各艦に追加で28発のトマホーク巡航ミサイルまたは12発のCPSミサイルを搭載可能となる。

VPMを装備したブロックVヴァージニア級SSNは、合計28発のトマホーク巡航ミサイルまたは12発の通常弾頭即時発射型極超音速ミサイル(CPS)を配備可能となる。

「2030年までに、真珠湾を母港とする潜水艦の大半はヴァージニア級となる見込みだ。母港配備にはブロックVヴァージニア・ペイロード・モジュール(VPM)搭載型潜水艦2~3隻が含まれる予定である」

米海軍原子力潜水艦アリゾナ(SSN 803)は、VPM搭載型ヴァージニア級攻撃型潜水艦の1番艦として2027年の就役を予定している。続いて「バーブ」級(SSN 804)が配備される。「アリゾナ」は1941年の真珠湾攻撃で沈没した戦艦「アリゾナ」(BB-39)に因む。「バーブ」は第二次大戦で大西洋・太平洋戦域で敵艦17隻(太平洋では空母1隻を含む)を撃沈した伝説的潜水艦「バーブ」(SS-220)に因む。

前述の米海軍計画に基づけば、両艦ともハワイを母港とする可能性が高い。

追加のヴァージニア級潜水艦需要に対応するため、米海軍はドック3の近代化とドック5の建設を進めており、これによりヴァージニア級の全ブロック型および次世代攻撃型潜水艦(SSN(X))の整備が可能となる。改修が行われなければ、PHNSYはヴァージニア級攻撃型潜水艦の整備に対応できない。近代化により、真珠湾に配備されるヴァージニア級攻撃型潜水艦の全ブロック型に対し、中間整備およびデポレベル整備の要件を満たすことが可能となる。

2030 年までに、 CPS を装備した艦艇および潜水艦少なくとも 5 隻がハワイに配備されることで、米海軍の主要な時間的制約のある攻撃部隊の大半は、戦時シナリオで中国に対して行動を起こす態勢が整い、サンディエゴを母港とする艦艇や潜水艦に比べ、インド太平洋への移動時間を数日間短縮できる。■


Hypersonic-Armed Destroyers and Submarines are Relocating to Hawaii

  • Published on 11/10/2025

  • By Carter Johnston

  • https://www.navalnews.com/naval-news/2025/10/hypersonic-armed-destroyers-and-submarines-are-relocating-to-hawaii/

  • カーター・ジョンストン

  • カーター・ジョンストンは、ジョージ・ワシントン大学エリオット国際問題大学院の 2028 年卒業予定の 2 年生です。ワシントン D.C. を拠点としています。彼の関心分野は、米国の造船所インフラ、米海軍および海兵隊の継続的な近代化の取り組み、そして国内外でそれらの成功につながる政治です。

2025年1月5日日曜日

ステルス駆逐艦ズムウォルトが究極の姿で戻って来る(The National Interest)―折角の海上ステルス機能をもつ大型艦も3隻しかありません。冷戦後の米海軍の建造計画の混乱ぶりを象徴したような艦級ですね

 Zumwalt-Class



米海軍は2027年か2028年までに、USSズムウォルトで極超音速ミサイルシステム「コンベンショナル・プロンプト・ストライク(CPS)」をテストする。ロッキード・マーティンが開発したCPSは、マッハ5で移動可能な極超音速ブースト・グライド・ミサイルで、1時間以内に全世界に精密打撃を与える


  • - ズムウォルトへのCPS搭載には、155mm先進砲システムを取り外し、4基のミサイル発射管に換装する必要がある。CPSはヴァージニア級潜水艦にも搭載され、2028年度に試験が予定されている

  • - この取り組みは、米中間のミサイル能力ギャップを埋めるのが目的だ


海軍は、USSズムウォルト駆逐艦でCPS(Conventional Prompt Strike)ミサイルシステムの試験を開始する意向を発表した。 テストは2027年か2028年に開始される予定である。


CPSの陸上試験が未完了で、ズムウォルトへのCPS搭載と試験が遅れている。


「ズムウォルトの最終的な統合のために必要なテストは、ズムウォルトが海中にあるかどうかに関係なく行われる」と海軍の戦略プログラム・ディレクターであるジョニー・ウルフ中将は語った。


CPSシステムの導入

コンベンショナル・プロンプト・ストライク(CPS)システムとは、開発元のロッキード・マーチンの言葉を借りれば、「より長い射程、より短い飛行時間、敵の防衛に対する高い生存性を提供する極超音速ブースト・グライド・ミサイルの開発・試験プログラム」である。


言い換えれば、CPSは高速ミサイルである。秒速約1マイル、マッハ5で飛行可能な極超音速兵器は、使用者の能力を大幅に増強することを約束する通常兵器である。具体的には、海軍はCPSによって、1時間以内に世界中のどこにでも、識別可能な精度で正確な兵器を届けることができるようになるはずだ。 これは画期的な能力だ。


ズムウォルトにCPSを搭載するためには、既存の155mm先進砲システムを取り外す必要がある。 撤去作業が進むと同時に、CPSのテストも行われる。


「実際の艦に搭載されるものとは別に、ペイロード・モジュラー・アダプターの試験と製造を行っています。ミサイルは非常に大きいため、いわゆる空中発射でなければならない。他のタイプのミサイルとは違う。 内部で点火したりはしない」。


ズムウォルトにはミサイル発射管が4本設置され、それぞれの発射管に最大3発のミサイルを搭載できるため、一度に12発の極超音速ミサイルを搭載することができる。ロッキード・マーチンがミサイルを製造している。


しかし、CPSはズムウォルトだけに限定されるものではない。計画通りにいけば、CPSはヴァージニア級潜水艦にも搭載される見込みだ。 


ヴァージニア級への搭載スケジュールはまだ不明で、海軍がブロックVヴァージニア級をいつ受領するかによる。海軍は2028会計年度にバージニアにCPSを搭載してテストすることを望んでいる。


「問題は、ラッカー提督のチームがシステムを完成させるために取り組んでいることに基づいて、ヴァージニア・ペイロード・モジュールを搭載した最初のヴァージニア級がいつ準備が整うかということだ」とウルフ中将は語った。


ズムウォルトとヴァージニア級に搭載されるCPSは、米中間のミサイル・ギャップを緩和するのがねらいだ。現在、中国は中距離ミサイルと極超音速ミサイルに関して、米国より優位に立っている。ズムウォルトやヴァージニアに極超音速ミサイルを配備できれば、その差を縮めることができるはずだ。■



About the Author: Harrison Kass 

Harrison Kass is a defense and national security writer with over 1,000 total pieces on issues involving global affairs. An attorney, pilot, guitarist, and minor pro hockey player, Harrison joined the US Air Force as a Pilot Trainee but was medically discharged. Harrison holds a BA from Lake Forest College, a JD from the University of Oregon, and an MA from New York University. Harrison listens to Dokken. 


Image Credit: Creative Commons and/or Shutterstock.


The U.S. Navy's Zumwalt-Stealth Destroyer Is Making the Ultimate Comeback

The U.S. Navy plans to test the Conventional Prompt Strike (CPS) hypersonic missile system aboard the USS Zumwalt by 2027 or 2028. The CPS, developed by Lockheed Martin, is a hypersonic boost-glide missile capable of traveling at Mach 5 and delivering precision strikes globally within an hour.

by Harrison Kass 

November 18, 2024  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: Zumwalt-ClassNavyU.S. NavyMilitaryDefenseStealth


https://nationalinterest.org/blog/buzz/us-navys-zumwalt-stealth-destroyer-making-ultimate-comeback-213768


2022年7月12日火曜日

ズムワルト級駆逐艦はどこまでステルス性能があるのか

 


The Zumwalt-class destroyer Lyndon B. Johnson.

 

ズムワルト級駆逐艦リンドン・B・ジョンソン Photo courtesy of General Dynamics Bath Iron Works


 

外観にセンサーや武器、アンテナなどの構造物がほとんど見えず、ステルス航空機の製造技術に通じるものがある

 

 

ーダーから逃れ、敵地に静かに潜入し、発見されにくい位置から長距離精密攻撃を行う。「ステルス」攻撃型水上護衛艦が現代の海上戦をどのように変えることができるのか、全貌が明らかになりつつある。

 

トマホークミサイル、甲板搭載砲、センサー、アンテナ、発熱する船内電力で武装した巨大な駆逐艦が本当にステルスといえるだろうか。背の高い垂直マスト、船体に取り付けられたセンサー、突き出たアンテナが低視認性艦船となるはずがない。ここが世界初のステルス艦の建造の技術的出発点となった。

 

USSズムウォルト

ステルス性は、ズムウォルト級駆逐艦の特徴のひとつに過ぎず、同艦はレーザー兵器、人工知能、拡張ネットワーキング、先進ソナー、電気駆動など、新世代の戦闘に向けた変革の始まりを象徴する艦艇として認識されている。

 

レーザー兵器、人工知能、ネットワーク、先進的なソナー、電気駆動などだ。重武装を搭載した同艦の技術は、高度なコンピューター、電力、将来の兵器統合の可能性、そしておそらく最も重要なステルスとして見られる。そもそも敵のレーダーから見えにくい大型駆逐艦を開発することは可能なのか?

 

 

一般的にステルスというと、戦闘機や爆撃機などのイメージが強い。しかし、ズムウォルト型駆逐艦には、「ステルス性」技術の応用が見られる。

 

数年前、ズムウォルト開発の初期段階において、レーダーテストで同艦が小さな漁船に見えたという報道が、Naval Sea Systems Commandの引用を中心になされた。ステルスの仕組みから見ると、この結果はまさに意図されたとおりなのかもしれない。

 

ズムウォルトのような大型駆逐艦が、敵レーダーやソナーに対して「ノー」リターン信号を発することはまずないだろうが、レーダー上では実際の姿とまったく異なるレンダリングを生み出し、敵を混乱させる設計のようだ。これは、空軍の戦闘機やステルス爆撃機が、敵レーダーから空中で「鳥」や「虫」のように見えるよう設計されているのと、コンセプトで完全に一致する。

 

ズムウォルトの外形を見ると、ステルス特性の基本を考察できる。まず第一に、その他水上艦と比較すると、形状はまったく異なる。エッジが少なく、突出した構造物や多様な輪郭がなく、直線的でありながらわずかに角度のついた平らな線状面に、上甲板に継ぎ目なく取り付けられた平らな側面がある。正面外観は、外向きレーダー・システムを支えるシャープで絡み合う複数のスチール・パネルや構造物の代わりに、必要な形状を実現する丸みを帯びたエッジを見せている。消波用タンブルホーム艦体は、既存艦より幅が狭く、敵ソナーに探知されにくい。

 

鋭角でとがったエッジや垂直に伸びたデザインなど、異なる形状の外部構造物で、レーダーを跳ね返す領域が多くなる。つまり、レーダーが物体のレンダリングを行う電磁波の反射が少ないと、観測性が低くなる。電磁波は光速で伝わり、その時間は既知であるため、十分な数の電波が返れば、コンピュータのアルゴリズムで敵の形状、大きさ、距離を割り出せる。音響信号は、電気の代わりに音を使うだけで、同じ概念的な枠組みで動作する。そのため、ズムウォルトではレーダーやソナーによる探知を回避できる艦船の建造を目指した。

 

USS Zumwalt

USS Zumwalt

U.S. Navy

 

例えば、現在の駆逐艦の多くは、甲板上に複数のセンサーや兵器システム、角張った階段が目に見えるように配置されているが、ズムウォルトにはそのようなものは見当たらない。また、ズムウォルトの搭載兵器には、丸みを帯びた円錐形構造になっているものもある。エッジや形状が少なければ、電磁波が正確に伝わる可能性は低くなる。

 また、アンテナの使用も重要だ。例えば、DDG51には複数のアンテナ、センサー、マストなど、輪郭がはっきりして細く垂直な構造物がある。ズムウォルトにはそれがない。さらに、ズムウォルトの電気駆動推進システムは、武器に必要な電力を生み出すのに役立つだけでなく、より静かで、頭上の敵センサーや潜水艦にも小さなサインを与える。興味深いことに、ズムウォルトとステルス戦闘機の間には、他にも「概念的」な類似点がある。

 

同艦の外観を見ると、センサーや武器、アンテナなどの構造物がほとんど見当たらない。これは、ステルス航空機に用いられる工学的手法と一致している。ステルス機のセンサーやアンテナの多くは、機体表面に埋め込まれたり、織り込まれたる設計となっている。また、機体各部をつなぐ「継ぎ目」や「ボルト」もない。このようなコンセプトから考えると、ズムウォルトのセンサー、レーダー、ソナー、その他の中核テクノロジーの多くが、意図的に船体や外装に織り込まれたり、埋め込まれていても、全く不思議ではない。

 

U.S. Air Force B-2 Spirit

U.S. Air Force B-2 Spirit

Northrop Grumman

 

 

空軍のステルス機であるB-2は、エンジンが内部に埋め込まれているため熱影響が少ないだけでなく、敵のレーダーに認識されやすい硬い末端や急角度、垂直構造がなく、丸みを帯びた形状で理にかなっている。さらにステルス機は特別に設計されたレーダー吸収材を使用していることが知られている。ズムウォルトの正確な材料に関する多くの詳細がないとはいえ、レーダー波を吸収する外装で作られているとすれば、説明がつく。

 

海軍関係者はまた、同艦の成長性、すなわちレーザーなど新兵器のための豊富な電力と「サージ」容量を収容する技術的能力についても、語っている。同艦の統合電力システム、電気推進、コンピューティングシステム、78メガワット発電機はすべて、レーザー兵器の迅速な導入に向けた条件を実現している。レーザーは、新しい攻撃の利点をもたらすだけでなく、完全に無音であるため、ステルス設計で非常に重要となる。レーザーは、ミサイルとまったく異なり、検知されにくい。

 

このように、表面的にはステルス駆逐艦の概念は矛盾しているように見えますが、ズムウォルトのエンジニアは、艦を見えなくすることは意図していないものの、敵のセンサーを混乱させ、敵に発見されにくい状態で戦争を行うために、数多くのステルス技術を使用したようだ。

 

How Stealthy are the Navy's Zumwalt-class Destroyers? - Warrior Maven: Center for Military Modernization



 

Kris Osborn is the President of Warrior Maven - Center for Military Modernization and the Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2021年12月12日日曜日

米海軍のスーパー駆逐艦ズムワルトが艦体に錆を走らせたまま、第一線配備が進んでいない状態についてSNSで関心が広まっている。

 

@CRJ1321 VIA @WARSHIPCAM

 


海軍に三隻しかないDDG-1000級駆逐艦の一号艦USSズムワルトは南カリフォーニア沖合で試験評価と訓練を続けているが、5年前に就役したものの、サンディエゴ湾を定期的に出入りする状況が続いている。二号艦USSマイケル・マンソー(DDG-1001)もサンディエゴに到着し、艤装工事と公試に入った。だがズムワルトの外観がここにきて輝きを失っている。レーダー波吸収タイルの一部が脱色しており、艦体に錆が見られる。

 

 

@CRJ1321撮影の写真がツイッター@Warshipcamに掲載されているが、同艦は通常のきれいな状態と異なる外観だ。


 

米海軍自慢のスーパー駆逐艦に錆が広がっていることにソーシャルメディアの関心が広がりを見せている。

 

長期間展開する艦艇を高ピッチで運用した場合は、整備の整った基地に停泊されたままの状態と異なり、艦の状態が悪くなることはよくある。「錆の広がり」は議論を呼ぶが、艦が動く限りは大きな問題ではないとの意見もある一方、海軍内に大きな問題がある証拠で憂慮のタネだとの意見もある。

 

同艦の外観での言い訳として、そもそも同艦乗組員が最小規模で設計されており、DDG-1000級はアーレイ・バーク級よりはるかに大きいものの、乗組員数は半分程度の175名で、しかもこれは実戦投入時の定員だ。

 

自動化の採用で省人化を進めているとは言え、肉体労働は必要であり、DDG-1000の清掃対象が広い。ズムワルト級乗員は低視認性塗料の維持もこなす必要があり、艦体には従来艦より曲面が多く錆発生への対応が大変だ。このため、ズムワルト、マイケル・マンソーの艦橋は複合材とし錆の発生を少なくしている。ただし姉妹艦USSリンドン・B・ジョンソン(DDG-1002)の艦橋は鋼鉄製に変更されている。

 

ズムワルトがいつ第一線配備になるか不明だが、現時点で初期作戦能力は獲得済みのはずだ。米会計検査院(GAO)は主要米軍装備品事業について最新の報告書で同級について以下述べている。

2020年9月時点で海軍は169百万ドルの予算要求でDDG 1000級の少なくとも一隻に新装備4種類の搭載を想定している。さらに追加予算を要求し、残る各艦への装備搭載を進めるとしている。海軍は各装備品は艦艇搭載に向け成熟化済みと主張するものの、搭載の完了は2021年12月の初期作戦能力獲得から数年先となる。このためDDG 1000級各艦は少なくとも2025年までは想定した作戦能力を下回る状態のままとなる

 

ズムワルトの近況について海軍に照会している。同艦は巨額の予算を投じ物議を醸しだしたものの、このような状況に置かれているのは不幸とした言いようがない。外観のみじめさのため、同艦が初めて出動した際の成果予想に陰りを落としてる。

 

海軍省は以下返答してきた。

USSズムワルト(DDG 1000)は高度消磁テストを終え12月9日母港に入港した。水上艦部隊には常に錆との戦いがある。運用環境の厳しさのため乗員は懸命に錆対策を整備中に行い、艦艇の戦力維持のため乗員訓練が必要だ。

The Navy's $9B Stealthy Super Destroyer Is Covered In Rust


 

The controversial futuristic warship looked less than gleaming as it pulled into San Diego Bay recently.

BY TYLER ROGOWAY DECEMBER 10, 2021

2021年3月27日土曜日

極超音速ミサイルの導入で、やっとズムワルト級の活用方法が見つかった模様。西太平洋前方配備で同級駆逐艦の日本配備も今後大いにあり得るので今後の動向に注目だ。

 


 

18

 

駆逐艦ズムワルト、メイポートハーバー海軍基地へ帰投中。 (U.S. Navy photo by MC2 Timothy Schumaker)

 

海軍は三隻保有するステルス駆逐艦ズムワルト級を改修し、極超音速ミサイル運用能力を付与したいとする。追加予算投入が必要となるが、西太平洋での中国対応を想定し実施する。

 

3月18日付で海軍からズムワルト級のミサイル垂直発射装置に入らない極超音速の運用法で提案を業界に求める公告が出た。ミサイル及び関連ソフトウェアの情報提供も求める。

 

具体的に海軍が求めているのは「高性能ペイロードモジュール」で迅速打撃ミサイルを「三本まとめる構造」で搭載する企画案だ。

 

ズムワルト級の今後に詳しい筋二名の説明では、使用不能状態だった高性能主砲装備にかわり、ペイロードモジュールで極超音速ミサイルを運用するのだという。高性能主砲装備は水平線越え射撃で海兵隊の揚陸作戦を支援する構想で、同級の存在意義とされていた。改修により、DDG-1000級各艦の主任務はインド太平洋での強力な通常抑止力提供にやっと決まることになる。

 

水上艦艇による迅速打撃戦力が実現すれば、中国は犠牲なく戦域の掌握が困難になり状況は複雑になると元潜水艦勤務で現在はハドソン研究所主任研究員のブライアン・クラークは解説する。「これは通常型弾道ミサイル搭載の潜水艦で機能する構想だと思っていた」

 

ただし、実現の条件は艦艇が対象戦域内にあり、あらかじめ定めた目標にミサイル発射が可能であることだ。ミサイル発射が迅速に行え、かつ中国領土内の目標に命中する可能性が高いことも条件だ。潜水艦もこの任務を実施できるが、ズムワルトは水上艦なので追尾が容易となり、強力な通常抑止手段となるが、潜水艦は視認されずこの効果が認識されないとクラークは指摘する。

 

「位置が判明するのでエスカレーションは低い範囲でおさまる。SSBN投入だとエスカレーションが高くなる。水上艦で透明性が高まり、相手にメッセージを示せるが、潜水艦ではこうはいかない」

 

「西太平洋に一隻配備し各種作戦に投入すれば、本気度が伝わり、わずかにエスカレーションしても、南シナ海にも一隻展開すればよい。中国本土内部の標的にも脅威となる」

 

ズムワルトの当初構想では敵沿岸に探知されずに接近し、射程80カイリの艦砲で海兵隊上陸作戦を支援するはずだった。

 

だが、同上ミッションの実行は非現実的と判明し、建造費高騰で28隻建造予定が7隻に、さらに3隻に削られた。

 

期待されていた長距離対地攻撃では高性能砲弾の調達は2016年に中止された。建造規模の縮小で一回の射撃費用が80万ドルになったためだ。

 

2018年には高コストとあわせ射程が想定より短くなると海軍は発表した。当時の調達トップ将官ビル・マーツ中将は議会で、「これだけの高コストでも想定した効果が得られない。そこで主砲装備開発を艦の整備から切り離すこととする」と述べた。

 

その後、ズムワルトを対水上艦攻撃手段に転じる構想が生まれ、今回の迅速打撃極超音速ミサイルを搭載する案に発展した。通常迅速打撃ミサイルの直径が最小でも30インチで、現行のVLS発射装置で対応可能な直径が28インチのため新たなペイロードモジュールが必要となる。

 

三隻保有しているので、一隻を海上哨戒に、一隻を出動準備、さらに一隻を保守管理に常時投入する運用が想定できる。つまり、ズムワルト級はほぼ常時展開できる。

 

元駆逐艦艦長のブライアン・マグラスは国防専門コンサルタント会社The FerryBridge Groupを経営し、海軍は南シナ海に通常抑止力を常時展開すべきと主張する。「予算を使い時間をかけても、特別な戦力を整備すべきだ」

 

The destroyer Michael Monsoor. (U.S. Navy photo courtesy of Bath Iron Works)

駆逐艦マイケル・マンソー (U.S. Navy photo courtesy of Bath Iron Works)

 

 

これをマグラスは「海洋優勢駆逐艦」構想と呼び、ズムワルトの当初の装備品を撤去し、水上艦艇の標準装備となったイージス戦闘システムに換装し、「南シナ海用指揮統制艦」にすべきと主張する。

 

マグラス構想ではズムワルト級は中国内陸部まで射程におさめるだけでなく、無人装備の指揮統制任務にも投入する。USNI Newsは今週月曜日にズムワルト級は今後の演習で無人装備制御機能を試すと伝えていた。

 

また同艦に中高度長時間滞空無人航空装備を搭載し、監視標的捕捉機能を実施すべきとマグラスは主張する。

 

「三隻を西太平洋で前方配備し、常時一隻を任務につけ、将官級の指揮官幕僚を乗せ、独自に中高度長時間滞空UAVを搭載し、通常型迅速打撃戦力とイージス戦闘システムを搭載する。

 

「これで西太平洋での米側の本気度が伝わり、抑止力が生まれる。またステルス艦体にも意味がある。これこそがDDG-1000の将来像だろう」

 

クラークは代償として現在多用されているアーレイ・バーク級駆逐艦と同じ運用は無理とする。「航行の自由作戦に投入できても、対潜戦は対応不能だ。海洋安全保障全般にも投入できない」

 

海軍が同艦の運用構想を説明できれば、議会は追加予算を認め、改修に道が開くとクラークは見る。

 

「議会が海軍に求めているのは任務内容を明確かつ内容が理屈にあっている説明だ。当初想定は接近阻止領域拒否の登場で非現実的になり、海軍は同級の活用方法で首尾一貫した説明してこなかった。このため議会からどう活用するのか説明を求められている格好だ」

 

通常迅速打撃ミサイルの登場で、海軍はついにこの説明が可能になったようだ。■

 

 

What should become of the Zumwalt class? The US Navy has some big ideas.

By: David B. Larter