主張 AUKUSでオーストラリアはヴァージニア級潜水艦取得を断念し、プランBに移行べきだ(Breaking Defense)―現実の壁を見て、計画を途中で変更する決断に向かえば、中国にとって歓迎すべきニュースになりそうです
2023年8月4日、パース郊外ロッキンガムのHMASスターリング港に停泊する米海軍バージニア級潜水艦USSノースカロライナ。 米海軍バージニア級潜水艦が、インド太平洋地域での定期パトロールの一環として、HMASスターリングに入港した。 (写真:TONY MCDONOUGH/AFP via Getty Images) ヘンリー・ソコルスキーはこの論説で、オーストラリアはヴァージニア級潜水艦購入に重点を置くのではなく、その資金を第2柱の技術に振り向けるべきだと主張している 今 月初め、オーストラリア政府は2021年のAUKUS協定に基づき、米国の原子力潜水艦を入手するための最初の負担金として5億ドルを支払った。だが潜水艦取得契約は予算、組織、人員のハードルを乗り越えられそうにないため、今回の支払いがオーストラリアの最後の支払いとなるはずだ。 キャンベラは、原潜購入のために国防計画の多くを犠牲にするのではなく、AUKUSプランBを採用すべきだろう。AUKUSプランBでは、非乗員システムや極超音速兵器など新しい防衛技術を導入し、オーストラリアの安全保障をより早く、はるかに低コストで強化することができる。 専門家には、AUKUSの原子力潜水艦計画への資金提供は困難だと考えている向きが多い。オーストラリアの今年の国防予算は350億ドル近くであり、米国の原子力潜水艦を購入し始める2020年代末までに、年間630億ドル近くまで増加する予定である。一方、ヴァージニア原潜は1隻あたり30億ドル(約3000億円)以上するため、オーストラリアが5年以内に国防費を倍増すると仮定すれば、その年の国防予算の5~10%を食い尽くすことになる。すでに元幹部は、潜水艦協定は他の優先事項を「共食い」し、将来の水上艦艇の延期や地上部隊の一部廃止が必要になると警告している。 もうひとつの潜在的な障害は、核推進プログラムを管理するのに必要な要件だ。米海軍では核推進プログラムに8000人以上が働いている。 現在、オーストラリア潜水艦局で働くのは約680人だけである。もしオーストラリアが、ワシントンの監督に依存しない自国の潜水艦部隊を望むのであれば、さらに数千人規模の熟練した民間労働者が必要になるだろう。 軍人の確保も課題だ。オーストラリア海軍(RAN)には現在、約1万6000人の水兵がいる。ヴァージニア...