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2015年2月5日木曜日

16年度米海軍予算のハイライト



Navy FY 2016 Budget Request Funds Washington Carrier Refueling, 12th San Antonio

By: Sam LaGrone
February 2, 2015 1:17 PM • Updated: February 2, 2015 7:49 PM

An E/A-18G Growler from the Scorpions of Electronic Attack Squadron (VAQ) 132 flies by the Nimitz-class aircraft carrier USS George Washington (CVN-73). 電子攻撃飛行隊VAQ-132スコーピオンズ所属のE/A-18GグラウラーがUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)を通過飛行している。

PENTAGON – 2016年度予算で海軍省I(DoN)は1,680億ドル、前年度5%超の増額で要求した。直近5年間の国防予算削減を覆すペンタゴン予算増の一貫だ。

DoNは大部分の予算項目で増額要求をし、人件費、艦建造、航空機調達、作戦、保守保全いずれも前年実績を上回っている。

艦艇建造

USS Arlington (LPD-24) under construction at Ingalls Shipbuilding. Huntington Ingalls Industries PhotoUSS アーリントン (LPD-24)がインガルス造船で建造中。Huntington Ingalls Industries Photo


先送りになっていた課題へ明確な回答をしているのが特徴で、空母ジョージ・ワシントンの燃料交換に予算を計上した他、サンアントニオ級揚陸艦の12号艦の予算全額計上をしている。166億ドルで9隻を建造する他、USSジョージ・ワシントン(CVN-73)の燃料交換と大修理を実施する。

ヴァージニア級潜水艦は各年2隻のペースを維持し、31億ドルでアーレー・バーク級 (DDG-51) 駆逐艦2隻を、14億ドルで沿海戦闘艦3隻、サンアントニオ級揚陸艦第12号艦、次世代艦隊給油艦 T-AO(X)の初号艦を建造する。また、2.56億ドルでLCACに代わる新型揚陸艇Ship-to-Shore connectors5隻も調達する。25億ドルはジェラルド・R・フォード級空母の二号艦ジョン・F・ケネディ(CVN-79)の設計建造およびその三号艦エンタープライズの予算として確保。

航空関係

An E-2D lands on the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN-69). US Navy PhotoUSSドワイト・D・アイゼンハワー (CVN-69)に着艦するE-2D. US Navy Photo


海軍・海兵隊はロッキード・マーティンF-35ライトニングII共用打撃戦闘機(JSF)を計13機調達する。うち、海兵隊のB型短距離陸垂直着陸型は9機、空母運用型のC型が4機だ。

ボーイングP-8Aポセイドン海上監視機は16機導入し、ノースロップ・グラマンE-2Dアドバンスト・ホークアイは5機、ロッキード・マーティンKC-130J輸送機2機(海兵隊用)を購入する。

ボーイングEA-18Gグラウラー電子攻撃機の追加調達は見送られた。

ヘリコプターではMH-60Rは29機調達の要求だ。海兵隊はAH-1ヴァイパー、UH-1Yヴェノムを計28機、MV-22Bオスプレイを19機導入する。

2018年度から海軍がV-22を8機調達し、C-2Aグレイハウンドと交代させる。

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無人機(UAV)では海軍はMQ-4トライトンを3機、MQ-8Cファイヤースカウト2機とともに海兵隊にはブラック・ジャックを調達する。

研究開発

Afloat Forward Staging Base (Interim) USS Ponce (ASB(I) 15) conducts an operational demonstration of the Office of Naval Research (ONR)-sponsored Laser Weapon System (LaWS). US Navy Photo前方海上拠点基地(暫定名称)(ASB(i) 15  USS ポンセが運表実証中しているのは海軍研究所(ONR)が進めるレーザー兵器システム (LaWS) だ。US Navy Photo


179億ドルを研究開発費に計上する。これは前年からほぼ20億ドル増。このうち13.9億ドルをオハイオ級ミサイル原潜の後継艦向けR&Dに、2.83億ドルをヴァージニア・ペイロード・モジュール(VPM)(ヴァージニア級潜水艦のミサイル運用能力拡大)に投じ、ブロックV艦からの実用化を目指す。

2.42億ドルで対空・ミサイル防衛レーダー Air and Missile Defense Radar (AMDR) のフライトIIIアーレー・バーク級誘導ミサイル駆逐艦への搭載を研究する。
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UCLASS(無人艦載偵察攻撃機)には1.35億ドルと控えめな金額が計上されており、昨年中は議会となにかと議論のたねになっていたことを反映か。昨年度は4.03億ドルが計上されていた。

人件費、作戦運用予算、保守管理予算

海軍の人件費予算はほぼ10億ドル増で283億ドルと最上位項目となり、これで33万名を維持する。海兵隊は131億ドルを要求し、18万2千名体制を維持する。


海軍は作戦および保守管理費用といsて422億ドルを計上し、海兵隊 
62億ドルとした。ともに2015年度水準から増額している。■


2015年1月25日日曜日

☆NIFC-CA導入で実効性をます海軍防空体制のあらまし



Navy to Integrate F-35 With Beyond-the-Horizon Technology

by KRIS OSBORN on JANUARY 22, 2015
米海軍はロッキード・マーティンとともに水平線超え対艦ミサイル探知防衛技術の実証をF-35を使って行う。
海軍統合防空火器管制システムNIFC-CAの呼称でイージスレーダー、航空機搭載センサー、SM-6ミサイルを組み合わせ、レーダー有効範囲の外で発射されて接近する巡航ミサイルのような脅威を探知追跡し破壊するものと海軍が説明。
NIFC-CAはE-2Dホークアイを空中センサーとして利用し脅威の情報を艦船に配信し、レーダー有効範囲外でも対応させる。
ロッキードは海軍水上システムズ本部(NAVSEA)と共同でNIFC-CA実証をホワイトサンズミサイル実験場(ニューメキシコ州)で今年中あるいは来年に実施刷る予定と同社幹部が発言。
今回の実証では F-35をE-2Dの代わりにセンサー機としてあるいは中継機として使うという。NIFC-CAを複雑になっていく現実の脅威としてステルス機にも対応させるものとロッキードは説明している。
F-35が搭載するセンサーにはアクティブ電子スキャン方式アレイ(AESA)によるレーダーに加え分散開口部システム Distributed Aperture System (DAS)がある。これは機体に搭載する最大6個の電子光学カメラからのインプットを合成する装置だ。また電子光学式目標捕捉システムElectro-optical Targeting System (EOTS)もあり、これは目標を正確に識別し特定刷る機能がある。EOTSは空中、地上双方の目標捕捉に利用でき、前方監視赤外線技術と赤外探知追跡技術を組み合わせたもの。
NIFC-CA技術で攻撃、防衛両面でシナリオが大幅に変わる可能性がある。接近阻止領域拒否とペンタゴンが命名した敵側の作戦では長距離対艦誘導ミサイルなどで米軍が重要な地区で作戦遂行できなくするのがねらい。長距離陸上発射巡航ミサイルが発射されると海軍艦艇は沿岸部分に接近が困難となる。
しかし、NIFC-CAがあれば接近してくる脅威対象を識別・破壊でき、しかも水平線以遠でも可能となるため、米海軍の空母打撃群などが安全に作戦を実施できる。
これは防衛面での可能性だが、同時に攻撃力としてもNIFC-CAが利用できる。海軍艦艇による攻撃をこれまでより遠くの目標に与えることができる。例としてSM-6ミサイルにはアクティブ、セミアクティブ両方の誘導技術が用いられており、水平線以遠の地点でも目標を捕捉破壊できる。NIFC-CAは長距離攻撃の際に用いれば、航空機・無人機、艦船、建造物のいずれも破壊可能となる。.
NIFC-CA導入は2015年にテディ・ローズヴェルト空母打撃群から開始され、巡航ミサイル防衛体制が強化される。
NIFC-CAは改良型イージス弾道ミサイル防衛システムとなるベイスライン9にも取り入れられ、建造中の新型駆逐艦DDG113からDDG118にまず搭載される。ベイスライン9自体はすでに実用化されており、駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズ、巡洋艦USSチャンセラーズビルとUSSノーマンディに導入済みだ。■



2015年1月23日金曜日

☆すべての艦船に攻撃力を持たせる分散武装の構想(米海軍)



米海軍が隻数では中国にかなわないため、発想を転換し各艦船に攻撃力をもたせる新思考を開発中とわかりました。その要は新型対艦(対地?)ミサイルのようです。この積極姿勢には今後も注目していきましょう。それにしても米空軍の元気の無さとは対照的ですね。

‘If It Floats, It Fights': Navy Seeks ‘Distributed Lethality’

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on January 14, 2015 at 3:33 PM


Aegis cruisers and destroyers. イージス巡洋艦と駆逐艦戦隊
CRYSTAL CITY: 「海に浮かぶ艦すべてに戦闘能力を搭載するべき」とピーター・ファンタ少将 Rear Admiral Peter Fanta は考える。「分散武装‘distributed lethality'で巡洋艦、駆逐艦、揚陸艦、LCS(沿海戦闘艦)等、全艦がとげを有するべきだ」
Rear Adm. Peter Fanta ピーター・ファンタ少将
  1. 「可能な装備はすべて導入する」とファンタ少将(水上戦部長)は言う。「威力」とは武装の強化であり、「分散」で各艦に武装を装備し、それぞれ単艦で戦いが可能になれば敵は広い大洋の中で同時対応を迫られ一度に処理しきれなくなる。
  2. この海軍の構想は予算の制約を受けつつも革新的発想になる可能性がある。これまで20年近くも防御任務についてきた海軍艦艇が単艦で威力を発揮できるようになる。この積極姿勢にリスクもあるのは事実で、中国のように武装を整備している敵対国がLCSのように中途半端な装備をした小型艦に立ち向かってきたらどうなるか、という疑問もある。
  3. 図上演習では「強力な武装を有する敵海軍によりLCS数隻の喪失可能性があると判明した。敵はあらゆる方向から出現し、対艦兵器を完備している」
  4. いいかえれば数の威力で単艦の戦闘能力は無効になるということか。
  5. なぜ米海軍は積極姿勢をとるのか。その答えはペンタゴン文民トップおよび議会筋が中国とロシアの脅威をこれまでになく感じているためだ。そこで米海軍もこれを意識し、クリスマス直前に海軍作戦部長が論議となっていた沿海戦闘艦の武装強化案を発表した。その手段は未選定の長距離対艦ミサイルによる武装だ。今週は水上艦協会の年次総会でファンタ少将他の提督からこの発想を艦隊全体に広げたい旨の発言が出ている。大統領が2016年度予算要求を来月に発表するまで詳細は見えないが、海軍は低コストで武装・センサー強化を図り、現行の各艦艇の攻撃能力強化を目指す。イージス駆逐艦、揚力強襲艦はもちろん、理論上は補給艦もその対象だ。
Vice Adm. Thomas Rowden トーマス・ロウデン中将

  1. トム・ロウデン中将Vice Adm. Tom Rowden(水上艦部隊司令官)は「補給艦に攻撃能力を付与していけない理由はない。攻撃能力にあふれた水上艦部隊の創設の構想だ」とする。米海軍が投入可能なのは空母一隻ないし二隻が関の山なので、ここにセンサーをあわせ、高性能兵器を投入するのが敵の想定だったが、駆逐艦、LCSその他すべてに対艦兵器を搭載するので敵も分散せざるを得なくなる。
  2. また新構想では現状の予算で最良の結果を得ようとする。海軍は新型長距離対艦ミサイルを開発しハープーン全廃をめざすが、その前に頼りになるのは現有のハードウェアの改良や既存ハードウェアの調達だ。その例としてLCSコロナドがノルウェーのコングスバーグ Kongsberg  ミサイルの試射に成功している。
The LCS Coronado test-fires a Norwegian Kongsberg missile. LCSコロナドがコングスバーグミサイルの試射に成功した。
  1. 「予算は減る一方だ。分散武装なら予算内で海に浮かぶ艦全部に威力を与えられる」(ファンタ少将)
  2. 「建造艦数が減る中で、逆に各艦を完璧にすべきとの機運が高まっている」とファンタ少将は付け加え、行き着くとスター・ウォーズのデス・スターのような高性能艦をごく少数保有することになるとする。
  3. 海軍がそこそこの性能の艦を大量に調達すれば、調達ペースが加速して同時に新しい状況にも対応出来る武装の改装も早まるはずだ。「使い物になりそうな装備が今手に入れば、買ってとりつければいい」と少将は言う。
  4. 「すべての艦に最高性能のセンサーや長距離高性能ミサイルが搭載されているわけではない」とフィリップ・デイビッドソン大将 Adm. Philip Davidson(艦隊総司令部)は言う。兵力分散とともに「コストも分散しなければ。そうなるとハイエンド、ローエンド双方の艦艇を組み合わせることになる」とし、華やかなDDG-1000新型駆逐艦から見栄えの悪いLCSの双方を指している。
The two Littoral Combat Ship variants, LCS-1 Freedom (far) and LCS-2 Independence (near).沿海戦闘艦 LCS-1フリーダム(上)とLCS-2インデペンデンス
  1. 沿海戦闘艦に長距離攻撃手段を搭載する海軍の案は軽量艦に重量級の威力を与えるもので、攻撃が最良の防御との古くからの考えを実現するもの、あるいはファンタ少将がいうように「悪者をまず撃つというのが水上戦士官ならだれでも賛同できる選択肢」だという。
  2. ただしこの新構想は海軍の組織内にカルチャーショックや恐れを招くだろう。「ずっと海のどこにでも好きな場所に移動して兵力投射できたので防御のことは心配しなくてもよあかった」とデイビッドソンは語り、「接近阻止領域拒否」は黒海のような場所では成立することはないと見ていたという。「威力とは有効射程や火薬重量のことではない。部隊内文化や考え方にも言及しないといけない」
  3. 「たしかにミサイルやセンサーだけ論じてはいけない」とロウデンも発言。「遠隔地に送り込まれても怯まない新世代の乗組員をどう確保すべきか論じている。」とロウデンも同じ意見だ。
  4. 米海軍にとって小型艦による単独行動は創設期からの伝統だ。ジョン・ポール・ジョーンズのボノム・リシャールによる独立革命時の戦功や第二次英米戦争(1812年)でのフリゲート艦コンスティテューションの活躍がある。ただし第二次大戦後は水上艦に空母の護衛をさせることを優先し、単独長距離行動は原子力潜水艦の独壇場となった。ソ連崩壊と予算縮小で海軍はコストを意識して艦隊戦能力を段階的に縮小している。駆逐艦に対地攻撃をトマホークで実施させる、弾道ミサイル防衛に当たらせるなど新しい任務を想定した。全面戦争時には水上艦艇は空母と一緒に行動し、艦載機が防御するという前提だった。
  5. これに対して新構想では「対潜作戦水上アクショングループ」を3隻、4隻で構成し、空母の行動範囲の先に投入する。小部隊は海軍の新型長距離戦闘通信ネットワークで結び、敵の情報を海軍統合火器管制対空システム Naval Integrated Fire Control – Counter-Air (NIFC-CA)で共有する。しかし敵が電子戦やサイバー攻撃のジャミング、不正侵入能力を向上させていることに鑑み、仮に接続が不通となっても部隊は作戦を継続できるように心理的にも戦術的にも備えておく必要があるとロウデンも認める。
  6. そこで技術が関心の的となるが、「二又対応をとる」とロウデンは記者に発表しており、トップガンに似た「海軍水上戦開発センター」“Naval Surface Warfighting Development Center” (NSWDC) を新設し新戦術を練るほか、教官を各艦に派遣し、考え方を叩き込む方針だ。中将は「一世代かけて実施する業務規模」と認めている。
  7. この動きに賛同する国会議員もいる。「防衛第一の姿勢から水上艦艇が攻撃中心思考へ切り替われば歓迎」と海軍関連の業務につくある議員のスタッフは語る。
  8. 上記スタッフは「誘導ミサイルが発達する中で水上艦艇に未来がないという向きが多いが、ロウデン、ファンタ両提督はそんなことはないと主張している。多分に賛成だ。水上艦で新しい戦闘構想を作れば、今後の海上紛争を当方に有利な方向へ誘導できる。中国やイランにつくらせるのではなく、我が国が独自にルールを作るべきだ。」■


2015年1月14日水曜日

★米海軍は次期COD機材にオスプレイを採用



オスプレイの使用範囲がどんどん広がっていくという話題です。未だにオスプレイに反対の姿勢を示す人はどんな気持ちなのでしょうか。技術の進歩についていけないのか、特定の思い入れがあるのか、情報を操作されているのか。ともあれ、早晩厚木基地からもオスプレイが空母に向けて飛ぶ日がやってくるし、自衛隊も堂々と飛行させる日が近づいてくるわけですが、破綻した論理(感情?)で声を上げていくつもりなのでしょうか。まとこに非生産的ですね。それにしても海軍といえば、グラマンだったのがますます過去の話になっていきますね。

Navy Decides to Buy V-22 Ospreys for Carrier Delivery

By RICHARD WHITTLEon January 13, 2015 at 11:13 AM
http://breakingdefense.com/2015/01/navy-decides-to-buy-v-22-ospreys-for-carrier-delivery/feed/
米海軍はV-22オスプレイをC-2Aグレイハウンド(ターボプロップ輸送機)の後継機種に選定し、空母艦上空輸carrier on board delivery (COD) に投入する。Breaking Defenseが入手した1月5日付海軍長官レイ・メイバス、作戦部長ジョナサン・グリナート大将、海兵隊総司令官ジョセフ・ダンフォード大将間の覚書でV-22を2018年から2020年の間に毎年4機調達することになっている。
  1. この覚書通りなら海軍航空システム本部のV-22業務室、海兵隊その他オスプレイ支持派に大きな勝利となる。これまでC-2Aが老朽化する中でV-22への切り替えを主張してきたからだ。
  2. 海軍はV-22機材をHV-22仕様に改修し、COD任務に投入する、と覚書は記載。「以後の文書で作戦概念と今後の予定を詳説するものとする。海軍のHV-22導入にあたっては海兵隊の支援を前提とし、乗員訓練のほか、海兵隊のMV-22機材・乗員でCOD任務を支持させる」とある。
  3. 海軍・海兵隊間の合意事項は次年度の国防予算に組み込まれた上で議会が承認してはじめて成立する。また第三次の複数年度調達契約が2018年度から始まり、この動向にも左右される。
  4. 双発ターボプロップのC-2Aは貨物、郵便物、人員を運び、空母と陸上機地の間を往復する。これを海軍はCODと呼ぶ。グレイハウンドの原型機は1964年に初飛行。一方、オスプレイはベル・ヘリコプター・テキストロンボーイングが対等折半した共同事業で海兵隊には2007年から、空軍には2009年から就役している。翼端のローターを傾けて垂直離着陸が可能で、水平飛行にはローターを前方に向けてターボプロップ機並みの高速長距離飛行が可能な点でヘリコプターより優れている。C-2Aのメーカー、ノースロップ・グラマンからはE-2D高性能版ホークアイ戦術早期警戒機にならって近代化の提案が出ていた。.
  5. 今回の覚書でV-22の歴史にも1ページが加わる。開発は1980年台にさかのぼり、当時の海軍長官ジョン・レーマンの肝いりで始まっている。海軍は当初380機を調達し、捜索救難のほか対潜任務に投入する構想だったがレーマン退任で48機に削減した。海兵隊は360機、空軍は特殊作戦用に50機の調達を進めている。現行の複数年度調達契約は2017年まででオスプレイの「フライアウェイ」価格は68百万ドルだ。
  6. ごく最近まで海軍上層部は48機予定の調達にも関心を示してこなかったが、2011年に海兵隊がMV-22の艦上運用認証を得たことで六日間の「海軍用多用途評価」を昨年フロリダ沖で実施。V-22で人員貨物をUSSハリー・S・トルーマン(CVN-75)と陸上の間で往復輸送してみたところ、「V-22はCOD任務の実施に効果的かつ、柔軟対応が可能で安全だと判明。特に機体改修なしに、連続運用にも悪い効果は発生しないとわかった」
  7. 海軍と海兵隊揚陸即応部隊(海兵隊遠征部隊を輸送)ではオスプレイを投入すれば現行のCH-46シーキング運用よりはるかに長距離でも補給任務の実施が可能だと理解している。
  8. 上記1月5日付け覚書によればHV-22の最初の10機は海兵隊仕様のMV-22となるはずの機体を転用する。その後海軍と海兵隊で機材を相互交換する手順だという。■


2015年1月7日水曜日

★米海軍が開発中のレールガンの最新状況




レーザー兵器でもそうですが、海軍が進めている高度技術が着々と実用化に向かっていきます。スペースに成約がない艦艇にまず搭載して、小型化に成功すれば航空機にもゆくゆくは搭載され、コストパフォーマンス比を大きく改善していくことになるのでしょうね。数セントかせいぜい数ドルで百万ドル単位のミサイルを撃破できれば納税者も大喜びでしょう。問題は電力の確保ですね。

Navy Wants Rail Guns to Fight Ballistic and Supersonic Missiles Says RFI

By: Sam LaGrone
Published: January 5, 2015 12:42 PM • Updated: January 5, 2015 12:44 PM


n artist rendering shows the Office of Naval Research-funded electromagnetic railgun installed aboard the joint high-speed vessel USNS Millinocket (JHSV- 3). US Navy Image
電磁レールガンを搭載したUSNSミリノキット(JHSV-3)の想像図 US Navy Image

ペンタゴンが進める電磁レールガンが想定する目標は弾道ミサイル迎撃、ステルス機、水上等であると明記したレールガン射撃制御システムの情報提供依頼書(RFI)を海軍海洋システム司令部 Naval Sea Systems Command (NAVSEA) が12月22日に公開したが、直後に公開を取りやめている。

撤回は事務上の誤りで想定日付より早く公開されたためだとNAVSEA関係者がUSNI Newsに1月5日に説明している。今月末にあらためて政府調達入札情報を掲載するFedBizOpps上で公開するという。

とはいえ、今回のRFIは指向性エネルギー電動兵器開発部 Directed Energy and Electric Weapons Program Office (PMS 405)、海軍研究所(ONR)、国防長官官房(OSD)を取りまとめてNAVSEAが出した形で、合衆国がレールガンに求める方向性が見えてくる内容だ。

RFIでは「多用途レールガンシステムで弾道ミサイルを発見、追跡、迎撃し、あわせて空中および水上目標にも対応できる」実証システムを2018年までに完成させ、2025年までに実用化するとしている。

NAVSEAは以下のうち最低一つを実現するよう産業界に求めている。

  • 低レーダー断面積(ステルス)目標を長距離で追尾すること
  • 電子スキャン範囲(視野)が方位角および仰角で90度を超えること
  • 大気圏内で弾道ミサイル目標を追尾し、迎撃すること
  • 環境条件の影響を受けないこと(天候、水面、生物)
  • 弾道ミサイル迎撃、対空戦、水上戦をそれぞれ支援すること
  • 飛来してくる目標と発射後の超音速飛翔体を同時に追尾すること

ただしNAVSEAは想定速度や有効射程は明記していない。飛行体に加え、RFIでは水上目標の追尾交戦能力も強調している。

実用化を2020年ないし2025年と想定していることから米海軍はEM(電磁)レールガンを次世代大型水上艦に搭載する意向であるとわかる。アーレイ・バーク級駆逐艦、タイコンデロガ級巡洋艦の後継艦は開発の初期段階にあり、建造は2028年開始と海軍はUSNI Newsへ昨年伝えてきた。

ステルス性を高め、高速化している誘導兵器から海軍艦艇を防御する対策としてEMレールガンは有効だと海軍は長年に渡り主張している。

 A high-speed camera captures the first full-energy shots from the Office of Naval Research-funded electromagnetic railgun prototype launcher in 2012. US Navy Photo
高速撮影カメラがとらえた試作レールガンによるはじめての全出力発射の様子。(2012年) US Navy Photo


海軍の現行システムは高価なミサイルで目標に対処するもので、イージス戦闘システムが駆逐艦、巡洋艦に搭載されている。スタンダードミサイル(SM)とレーダーシステムが弾道ミサイル対応に改修されたが、ミサイルは単価11百万ドルになっている。

これに対してレールガンは安価な砲弾を使い、大型弾倉で発射回数も多くなる。

作動原理は磁場を形成する通電レール二本の間に発生する巨大な力で砲弾を押し出すもので、燃焼は一切発生しない。マッハ5を超える速度により砲弾は目標を破壊する。原理はいいとしても信頼性の高いレールガンを兵器として作ることは難題だ。


まず莫大な電力が必要で、海軍艦艇では不足傾向がある。さらに兵器として連続使用も課題だが、海軍はレール間に素早く電気パルスを発生させることで超音速に達する初速を確保した。

ONRによる実証では32メガジュールで発射できることがわかった。これは100マイルまで到達する事が可能な規模で、現在は連続使用に耐える兵器として開発中だ。

海軍は試作品のレールガンを高速ボートUSNSミリノキットMillinocket (JHSV-3)に搭載してテストを来年に実施する。試作レールガンのメーカーはBAEシステムズあるいはジェネラルアトミックスの予定で、実施すれば初の海上テストとなる。



2014年2月14日金曜日

空母輸送機CODの次期機種選択に動く米海軍


Decision on New Carrier Supply Plane ‘About a Year Away’

By: USNI News Editor
Published: February 12, 2014 4:45 PM
Updated: February 12, 2014 4:45 PM
A C-2A Greyhound, takes off from the flight deck of the aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN-71). US Navy Photo


米海軍は空母部隊向けの補給貨物機の後継機種選定を「およそ一年後」に控えていることが海軍航空部門トップの発言でわかった。2月11日サンディエゴでのWest 2014のパネルディスカッション席上で。
  1. 現状ではC-2Aグレイハウンドが空母艦上輸送carrier onboard delivery (COD) に1960年代末から投入されており、現在運航中の機体は1980年代に調達されたもの。
  2. 「データの吟味中で、選択肢の検討を慎重に行っている」とデイビッド・バス中将(海軍航空部隊総監)Vice Adm. David Buss, commander Naval Air Forces,が発言した。
  3. 選択肢とはノースロップ・グラマンC-2の性能改修版の導入か、V-22ティルトローター機だという。
  4. C-2の長所は海軍が早期警戒機として使用中のE-2ホークアイとの共用性であり、V-22の場合では海兵隊のオスプレイとの共用性だ。オスプレイはすでに海軍艦艇向けに使用中。
  5. そこで海軍はV-22を空母補給用に投入した場合の妥当性を検討中だ。
  6. 「選択肢はまだあるが、決定まで一年ほどの段階です」.
  7. 次期CODで求められるのはF-135エンジン(F-35C用)を空母へ搬送できる能力だ。バス中将はこの点を真剣に検討しているという。「F-135の高出力部分は怪物といってよい大きさです。この部分をどうやって輸送するかを技術的にいろいろ検討しています」■

コメント:ここでもF-35が意外なストレスを与えていますね。

2013年9月23日月曜日

イージスBMDテストで初の連続発射で迎撃に成功

Aegis Intercepts In First-Ever Salvo Test

By Amy Butler abutler@aviationweek.com, Michael Fabey mike.fabey@aviationweek.com
Source: AWIN First
September 19, 2013
Credit: MDA

.米ミサイル防衛庁 (MDA) がSM-3 Block IBミサイルによる初の連続発射によるミサイル迎撃に成功した。迎撃はこれまでの最高高度で実施された。
  1. 一発目のSM-3 Block IBは目標を捕捉。この目標は短距離弾道ミサイルで「これまででもっとも複雑な迎撃目標」とレイセオンが説明している。
  2. 二発目は2分後に一発目が失敗した場合に備え確実な目標破壊のため発射された。一発目がすでに迎撃に成功したため、破片がとびちる中を飛翔した。
  3. 目標補足したのはイージス巡洋艦USSレイクエリーのSPY-1レーダーで同艦がミサイルを発射。同艦のイージスシステムはBMD4.0ウェポンシステムで、SM-3 Block IBにはミサイルには二元赤外線追尾装置および高性能方向変換高度完成機能がついておりIAから改善されている。
  4. 同艦には第二世代イージスBMDウェポンシステムが搭載されており、火器管制の解を出しSM-3ミサイル二発を発射している。この第二世代では交戦距離が拡大しており、高性能の弾道ミサイルにも対応できるようになった。
  5. 今回のテストデータはシステム評価に活用される。レイセオンによると二発目のSM-3 IBの飛翔データから連続発射方法を確立していくという。
  6. 「今回のテストは実戦を意識したもので、標的の発射時刻や方位は事前に知らせておりません。また標的はこれまでで一番難易度が高くなっていました」と海軍が発表。
  7. 今回のテストはFlight Test-Standard Missile-21 (FTM-21)と命名され、これでSM-3ブロックIBはイージスBMD4.0ウェポンシステムを使いテストに四回連続成功したことになる。.
  8. 「今回は初めてUSSレイクエリーの乗員がBMDウェポンシステムを使い解析、発射、管制を同時に複数のミサイルを対象に実施したもの」とイージスの主契約社ロッキード・マーティンは説明。
  9. イージスBMD計画は2002年より発射テストを開始しており、今回のFTM-21は33回中27回目の迎撃成功となった。
  10. SM-3は数週間内で再度テスト発射が予定され、次回も成功すれば、本格生産が開始の運びとなる。

2013年9月20日金曜日

米海軍の次期無人艦載機UCLASSはローエンド性能機になってしまうのか

Pentagon Altered UCLASS Requirements for Counterterrorism Mission

By: USNI News Editor                        
USNI website, Thursday, August 29, 2013
                                                 
Chief of Naval Operations (CNO) Adm. Jonathan Greenert, left, and Secretary of the Navy (SECNAV) Ray Mabus observe an X-47B Unmanned Combat Air System (UCAS) demonstrator make an arrested landing on July 10, 2013. US Navy Photo

ペンタゴンが米海軍の次期無人機の要求性能について当初の海上から数千マイル離れた地点を攻撃するというものから、テロリスト狩りに軸足を動かしていると判明した。

無人空母発進監視攻撃機 Unmanned Carrier-Launched Surveillance and Strike (UCLASS) の開発はペンタゴンの合同要求性能管理協議会 Joint Requirements Oversight Council (JROC) の担当で、コストダウンとともに無人機によるテロ対策ミッションを海外基地を利用せずに実現しようとしている。

UCLASSは当初空母艦載航空団に編入して有人戦闘攻撃機と共同で防護硬い目標の攻撃に投入する構想でF-35Cと同等のペイロードを想定していた。同時にステルス性を生かし長距離飛行による情報収集・偵察・監視(ISR)任務に投入し、空中給油で飛行時間を延長する構想あった。

ところがこのたび入手した資料によるとUCLASSの現時点での概念設計は当初想定した兵装を一部は搭載するものの、ステルス性は低くなり防衛体制の整った空域内の作戦はできないものになっていることが判明した。

UCLASSの誕生は共用無人戦闘航空機システム(J-UCAS)が取りやめになったことで実現したもの。J-UCASは米空軍、海軍が共同で開発するはずだった。
Distances in the Pacific Ocean. CSBA Illustration.



新構想で海軍は空母搭載型UAVを開発し、長距離誘導ミサイルの脅威にさらされる空母群に新たな作戦意義を与えることになっていた。一方、空軍は長距離爆撃機開発を継続する。

「UCASはISR能力に加え兵装投下機能を持つはずだったが、同時に長時間滞空し、敵防空網を突破するISR機となるはずだった」と元米海軍作戦部長、現ノースロップ・グラマン取締役のゲアリー・ラフヘッド提督 Adm. Gary Roughead は本誌取材に答えている。
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そこでノースロップ・グラマンはX-47Bを製作し、基本性能試験に投入した。

「無尾翼の無人機を空母に無事着艦させる技術実証が目的だった」とボブ・ワーク元海軍次官(現新アメリカ安全保障研究所CEO)Bob Work が本誌取材に答えている。
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ノースロップ・グラマンはテスト機を2008年にロールアウトし、2011年に初飛行させている。今年7月に同機は USS H.W.ブッシュ (CVN-77) への完全自動着艦に成功している。

このUCAS-D初飛行の年にUCLASS構想がペンタゴン内部で変質を開始している。

2011年に国防長官官房Office of the Secretary of Defense (OSD)がJROCと共同でUCLASS開発を牛耳るようになった。UCLASS予算はOSD経由で海軍予算に組み入れられた、とワークは証言。「OSDが予算を握り要求性能に口を出すことになった」

OSDの横槍で構想内容は対テロ作戦遂行に中心が移り、強固な防空体制への進入構想と離れていく。

対テロ作戦は現在は空軍のMQ-1プレデターやMQ-9リーパー無人機が実施しており、主眼は捜索追跡および「高価値」のテロリストの抹殺で、米国の対テロ作戦の重要な要素になっている。実際にテロリスト集団指導者数名が殺害されている。

 
MQ-9 Reaper UAV. US Air Force Photo

ただし合衆国がこういった作戦を実施するにあたっては緊急性とともに外国政府の承認が前提となっている。

「海外基地からの作戦実施には海外政府は好きなだけ制約を加えてきます。政策上の制約条件という意味です」とチャールズ・ダンラップ空軍少将Maj. Gen. Charles Dunlapが本誌取材で発言している。「制約は公海からの運用ならずっと少なくなります」

複数筋からホワイトハウスが対テロ作戦飛行の実施に空母を利用すれば海外基地を使う必要がなくなると関心を有していることがわかった。

空軍スポークスウーマンのケイティ・ホーグ中佐 Lt. Col. Catie Hauge は本誌取材に対してホワイトハウスからUCLASS性能要求水準になんらの指示はないとし、ホワイトハウス安全保障スタッフスポークスウーマンのケイトリン・ヘイデンCaitlin Hayden はコメントを拒否。

ワークによるとOSDが取り仕切るようになってから「きわめて健全な討議」がUCLASS要求性能内容をめぐりかわされたという。「一方は『すでに800機もの無人機があり、制空権が確保された空域で作戦実施できる』と発言していた。」

「ただ不足しているのはステルス機による敵地進入能力だ。そこで、もう一方は『対テロ作戦と非正規戦ミッションは当分続き、陸上基地発進だけでは頼りない』と発言していた」

「この私が退官する際も議論はまだ決着していなかった。」ワークが公務を退いたのは去る5月のこと。「統合参謀本部の関心はシステムの下部レベルであったが、これを強硬に推進していた。これに対し海軍は交渉に柔軟な態度で『少なくともその分野での実施能力を上げる必要はある』としていたと思う」

本誌問い合わせに海軍とOSDからそれぞれ文書の回答があり、そこにはUCLASSミッションに対テロ作戦が含まれる、と書いてある。

ワークは対テロ作戦に中心をおくことには同意しかねるという。「空母は100億ドルの浮かぶ資産で60億ドル相当の航空機を搭載しているんです。アフリカ沿岸に空母を移動させてテロリストを捜索させるなんてことはおかしいでしょう」

オバマ大統領が署名した予算統制法 Budget Control Act では国防総省の一律1割予算削減が決まり、2013年早々から実施されている。政権側、議会側からそれぞれ既存プログラムの見直しがかかっているが、一番の焦点は各プログラムの必要額だ。

8月初めにペンタゴンで無人機作戦およびISRを担当するダイク・ウェザリントンDyke Weatherington からUCLASSの要求性能見直しでは予算制約が大きな要因となっていると発言。国防総省は「終了しきれないプログラムを開始する余裕はないし、結果を示しきれないプログラムを開始する余裕もない」という。
ただしUCLASSの機数はごく少数にするというのが当初の23億ドル相当のプログラムの内容であった。
 
An illustration from the 2008 CSBA  paper: Range, Persistence, Stealth and Networking: The Case for a Carrier-Based Unmanned Combat Air System by Thomas P. Ehrhard and Robert O. Work


「当初は空母に分遣隊機能を付与することとしており、各空母が任務に順番について西太平洋であれ中東地区であれ、一定の能力を提供する予定だった」

これに対しウィネフェルド提督が提唱したのが最大限の利用可能機で空母周辺の周回飛行を実現することで、これでは当初のUCLASS費用積算の根拠が変わってしまう。

与えられた予算で何回の周回飛行が実現できるかがUCLASSの最大の優先事項だ、とウィネフェルド提督は書いているという。

改定指導内容に照らしあわせ、JROCは国防長官官房の費用分析計画評価室に3月31日までに代替手段の比較検討をすませるよう提言し、審議会がUCLASSの要求性能として提示したものを反映するよう求めたとの報道もある。

新しい基本性能の指標key performance parameters (KPPs),として機体単価(研究開発費、運用費、維持費を除く)は150百万ドルを超えな
いものとした。
 
Proposed operational ranges of UCLASS. US Naval Institute Illustration


周回飛行がまず想定されるが、その他のKPPには攻撃ミッションの飛行半径2,000海里が含まれる。

海軍は単価150百万ドルで最低2機の購入を期待する。

今回の方針変換で当初の目標だったUCLASSを有人機と同等の戦力として一体化させる内容が薄まる。現在の案はUCLASSを空母から発進させるが、有人機が飛行しない時間に限るというものだという。
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「UCLASSを通常の航空作戦が終了してから発進させ、次のサイクルが始まるまでのギャップを埋める存在にできる」と海軍作戦部長の下で無人機システムの要求性能を取りまとめるクリス・コーナティ大佐  Capt. Chris Corgnati は語る。

ワークは空母航空部隊関係者の中には有人機と無人機の統合には口を重くする傾向が強いという。

それではUCLASSを当初のUCAS構想のレベルまでどれだけ近づけることができるのかはいたってペンタゴンが海軍が9月以降に発表する提案依頼書(RFP)をどのように系統付けられるか次第だろう。

「RFPはそもそも性能内容を定義づけるもの。今のRFPがどうなっているか不明だが、予算強制削減の影響は避けられないだろう」とワークは言う。

UCLASS製作に関心を示す四社、ロッキード・マーティン、ボーイング、ジェネラルアトミックス、ノースロップ・グラマンはそれぞれ新構想を元に独自の新しい視点を模索する必要がある。

「RFPは性能を伸ばしていくことが最低限必要だ。すべてはコストの問題になる。ローエンドのシステムに当然向かうことになる。でもこれでは実戦部隊が求めるものでなくなりますね』(ワーク)

海軍はUCLASSを2020年までに配備する予定。.■