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2014年7月29日火曜日

主張: JSFの信頼度を上げる手段はエンジン選定の見直しだ




Opinion: Missing Shows Points To Bigger JSF Problems

F-35 reliability is about more than Farnborough
Jul 28, 2014 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology

F-35共用打撃戦闘機は国際航空ショー二つに出展できなくて良かったのではないか。英米の耐空証明認証機関が改めて安全第一の姿勢を示したことが良かった。
  1. 出展できなかったことで問題が明らかになった。どれだけ言葉を弄しても6月23日に発生したファン破砕ほどの深刻な事件が単独事象であるはずがない。事故調査の目的は同様の事象が発生しないように教訓をさぐることにある。今回不良を発生させた部品は他の故障を発生したエンジン部品と同じ企業、同じ工具を使って作成している。

  1. 今回の不良は数か月前に開発室長クリス・ボグデン中将が口にした不満表明の一部だ。「壊れるはずがないと思っていた部品が予想より早く壊れている」とし、この問題を「途方もない規模の改修工事で成果はすぐに得られそうもない」としていた。またJSFの信頼性は「この時点で当然そうなっているべき水準より低く」運用支援費用はこの信頼性問題が解決されないと「うなぎ上り」になると言っていた。

  1. 同機ではエンジン関連の飛行禁止措置が4回あり(このうち2回が今年6月中に発生)、7月15日には制限付き解除となったものの、上院から2011年に下したジェネラルエレクトリックのF136 代替エンジン不採択の見直し勧告が出ている。

  1. おなじみのコンサルタント、ローレン・トンプソンはプラット&ホイットニーも顧客に抱え、フォーブス誌上で上記勧告を一蹴しているが、「このような問題はエンジン開発のリスク低減期によくみられる」とし、F135が競合案を退けて採用されたエンジンだと主張する。事実はX-35とX-32の両試作機が発注された際にペンタゴンはエンジン二形式を開発し、量産型を選考すると確認していた。ただ同案は開発費用の節約のため廃案にされたが、F135の方が安価であるという理由だけではなかった。

  1. P&Wおよびその応援団はエンジン不良の解決に集中すべきであり、第二次エンジン戦争を再発させるべきではない。なぜなら同社及びその支援者が言ってきたことが正しくないとわかってしまうからだ。

  1. P&W関連のブログは2010年に「代替エンジン開発支持派は全機飛行停止の危険性を緩和するため第二エンジン型式が必要だと言っている。これは恐怖をあおる戦術以外の何物でもない。点検技術が向上し、予後状態管理で問題の早期発見につながり飛行運航に影響を与える要素を緩和することが可能だ」としていた。

  1. 予測的手法に4年と数十億ドルの予算を使っても今回の事件を予防できていない。F-35B編隊を大西洋横断飛行させるのは無謀だっただろう。ボグデン中将も必要な道具やソフトウェアは実はまだできていないことを認めている。

  1. F136を葬った一派は競作による節約よりも二形式エンジン採用で総開発費用が高くなり、生産量が減ることで費用が下がる効果が期待できないと指摘していた。ロッキード・マーティンは今後期待される単価の削減(2014年度のフライアウェイ価格145百万ドルが2019年度には97百万ドルになる)の理由は生産量の増加だと主張している。

  1. F136が消えたことでP&Wは生産量が二倍になると期待した。しかしF136消滅後の調達報告書を毎年見ると価格は5ないし15%増えていることがわかる。またどの報告書を見ても生産量が増えることで節約を想定した案件はないことがわかる。
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  1. P&Wに独占供給契約を与えることに何のメリットもない。ボグデン中将も同社との交渉がいつも困難であると不満で、同社のコスト削減の実施には消極的だ。

  1. それでもF136 復活は妥当ではないかもしれない。ジェネラルエレクトリックの技術陣はマジシャンではないし、難易度の高い要求内容への解決策、たとえばF-35Bでは20メガワットの軸出力は挑戦になる。だが、エンジン技術が停滞したままであったことはない。JSFが長い期間就役する前提で、途中でエンジンを更新し、最新の商用機エンジンのコアを利用したF-35A用F-35C用の新型エンジンに変えれば、F135より経済性、性能面で有利になるかもしれない。■



2014年3月14日金曜日

心配なF-35用のF135エンジンの耐久性:ファンが吹き飛ぶ事件発生


F135 Fan ‘Blows’ During F-35 Engine Trial

By Amy Butler
Source: Aerospace Daily & Defense Report
aviationweek.com March 06, 2014


F135エンジンで発生したファン不良の原因をプラット&ホイットニーが調査中だ。事故は昨年12月にフロリダ州で発生し、三段構造の同エンジンの第一ステージのファンが問題を起こしていた。
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  1. ファンの亀裂が発生したのは12月23日で時間加速ミッション検査 accelerated mission tests (AMT) 中にプラット社施設内で試験用エンジンFX648が設計作動時間合計の77%に到達した段階で発生したとF-35推進室長クリストファー・ボグデン中将が発表。Aviation Week主催の国防技術セミナーで同中将はプラットはファンについて「低サイクル疲労のストレスを過小評価していた」と発言し、このテストでファンが「吹き飛んだ」という。
  2. 調査は続行しているが、今回のインシデントで飛行の安全性が脅かされるとは見ておらず、配備済み機体への短期的影響はない」とプラットは文書で説明している。同社は運用中機体に搭載の各エンジンの状況を把握し、今回は低サイクル疲労が不良の原因でただちに機体の安全には影響がないと確信しているという。
  3. 問題が発生したエンジンはテスト機材のF135エンジン中で一番稼働時間が長いもので、運転時間は2,200時間にのぼり、約9年間の稼働に匹敵する長さだ。プラットによればFX648は時間数でテスト機材の他のエンジンの4倍、実戦機材のエンジンの10倍だという。
  4. 事故が発生したのはF135で三段に分かれているファンのうち、前面のファンで、エンジンは通常モードで運転していたが、「大きな破損」がエンジンの常温部分に発生したものの、リフトファンの高温部分には影響がなかったとボグデン中将はいう。この部分はF-35各型のエンジンに共通で重心移動型インレットの誘導羽根 variable-geometry inlet guide vanes の後部で、通常型ファンと低圧コンプレッサーの役割を一緒に果たす。各ステージは一体型ブレイドローターintegrally bladed rotors (IBR)で構成してあり、そのうち第一段は中空チタン切り出しで作成。第二段、第三段はチタン固体で作成してある。プラットは調査段階で振動他の要因を検討しているかをあきらかにしていないが、「各種の要因を検討中でAMTによるストレスも含まれる」としている。
  5. ボグダン中将によれば中空IBRによるコストと工作の難易度が理由でプラットはファンの再設計にとりかかっているとのことで、12月の事件の教訓も取り入れ第一段のIBRも固体チタンで作成するという。この設計変更で重量 6 lb. ほどがエンジンに加わる見込みだが、工作性は著しく向上するという。なお、IBRの設計変更はこれで二回目となり、中空材料を使う変更も重量軽減が目的だった。
  6. F135エンジンではテスト開始(2003年)以降、数点の開発上の課題が見つかっているが、ファン関連の事例はほとんど発表されていない。2009年にはF135の耐久力テストで第一段、第二段に損傷が発生しているが、その後原因は空気取り入れ口内のブッシングが摩耗したため乱流が発生したためだと判明している。
  7. 今回のファン事故はF-35全機の一時飛行停止措置が解除になって一年以上経過して発生している。飛行停止の理由は第三段の低圧タービン(LPT)のブレイドに亀裂がエドワーズ基地(カリフォーニア州)の米空軍テスト機で発見されたためだった。■


2013年2月24日日曜日

F-35 エンジン亀裂発見で今度は全機飛行停止へ


Engine Crack Grounds Entire Lockheed F-35 Fleet

By Amy Butler abutler@aviationweek.com, Jen DiMascio jennifer_dimascio@aviationweek.com
 


aviationweek.com February 22, 2013

Credit: USAF


F-35全機が地上で飛行停止措置となっている。原因はエンジンで、今回発生した問題は米海軍航空システムズ軍団Naval Air Systems Command (Navair)によると「壊滅的な不良」“catastrophic failure.”につながる可能性があるとしている。
  1. 2月19日に第三段目低圧タービンのエアフォイルで亀裂がF-35A点検中にみつかったのはエドワーズ空軍基地でのことだったとプラットアンドホイットニーが明らかにした。同社は同機用F135エンジンのメーカーだ。

  1. 「予防措置としてF-35全機のフライトオペレーションを調査点検が完了するまでは全て停止している」とペンタゴンが声明文を発表しており、「今回の自体で同機部隊全体にどんな影響が出るかを断言するには時期尚早」としている。

  1. プラットアンドホイットニーは今回の飛行停止は「予防策」と表現しており、「破損したタービンモジュールおよび付属ハードウェアを当社ミドルタウン(コネチカット州)工場に搬送され調査をする。今回亀裂を生じたエンジンは合計700時間運転しており、そのうち400時間がフライトテストで計上したものだった」としている。同社としても事態の把握をしてすみやかにフライト再開ができることを期待しているという。

  1. 一方Navair司令官デイビッド・ダナウェイ中将Vice Adm. David Dunawayは議会向けの情報更新は3月1日以前には期待できないとの見解を示している。

  1. 飛行停止措置が長引くとフライトテストの進捗予定にも影響が出る可能性があり、重要システム系統のテストも遅れることになる。とくに2Bソフトウェアが最初に作戦能力獲得をめざす海兵隊にとって必要な要素だ。

  1. 今回の事件は短距離離陸垂直着陸型F-35B部隊の飛行停止措置が解除になった直後に発生している。B型の飛行停止の原因はプラットアンドホイットニーが統括する燃料圧力系統の不適切な加工取り付けであった。

  1. 今回の事態によりF-35に別のエンジンを提案したものの採択されなかったジェネラル・エレクトックにとってはわずかばかりとはいえ溜飲が下がる思いをしているはずだ。2つの政権にわたり厳しい論争とロビー活動をくりひろげたにもかかわらず、ペンタゴンはGE/ロールスロイス連合のF136エンジン開発に終止符を打つことで議会の同意を2011年に取り付けていた。■