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2022年11月12日土曜日

ウクライナがケルソン市街地を奪回。ロシア軍は混乱しながら撤退か。クレムリンは相変わらず偽情報をまき散らしている模様。ウクライナ戦の最新状況 現地時間11月11日時点。

 

via Twitter

 

ロシア占領下に置かれていた大都市ケルソンが、ウクライナ軍に奪還されたようだ

 

 

1918年に西部戦線で銃声が静まり返った「退役軍人の日」(休戦記念日)を記念した日、ウクライナ軍はケルソン市民に歓迎されており、同軍は今朝、市中心部に到達した。一方、ロシア軍は南部の戦略的地域から、夜になっても混乱したまま退却を続けている。クレムリンによると、ロシア軍は現在、同市から完全撤退した。ロシア軍は撤退の際、極めて重要なアントニフスキー橋も破壊し、複数橋脚を水中に落としたようだ。

 

ウクライナ国旗をパルチザンが一晩中ケルソン中心部に掲げ、ソーシャルメディアには、今朝、コラベルニ地区住民に迎えられたウクライナ軍の写真が投稿されている。ウクライナ軍による奪還作戦は、特殊部隊が先導したとの証言もある。

 

地元議会のメンバーがロイターに語ったところによると、正午までにウクライナ軍は市内の大半を制圧した。ウクライナ軍本隊は3方向に前進し、ケルソン市に向かいながら次々と村を解放した。

 

米国防総省のパトリック・S・ライダー報道官は、ケルソンについて次のような声明を発表した。

「報道を目にし、監視を続けている。しかし、ロシアがケルソン市近辺から撤退を続けていることは、ロシアの違法かついわれのない侵略の後、国を守り、主権領土を取り戻すため戦うウクライナ軍の粘り強さ、勇気、イニシアチブを証明している。金曜日の安全保障支援の発表で示したように、当方は同盟国協力国と密接に協力し、ウクライナに国民を守り、戦場での継続的な利益を可能にするため必要な安全保障支援を提供し続けている」。

 

ロシアの公式見解では、モスクワ時間午前5時までにケルソンからの撤退は「完了」し、部隊と装備はドニプロ川東岸に移されたとしている。ウクライナが圧力をかけ続ける中、ドニプロ川にかかる重要な橋や交差点が砲撃の標的になったとの証言もあるが、これは明らかに極めて疑わしい。

 

以前、ドニプロ川の西側とケルソン市周辺には、推定2万人のロシア軍が駐留していた。ウクライナ側の説明によると、木曜日の夕方までに、兵士の約半数が川を渡り避難した。その過程で溺死したロシア兵の報告もある。クレムリン側は、避難中に兵士は一人も死亡しておらず、装備の損失もないと主張している。目撃者の証言や現地の映像から、その可能性は極めて低いと思われる。

 

ウクライナのオレクシイ・レズニコフ国防相はロイターに対し、ケルソン地方のロシア軍の総数は4万人と述べた。さらに、ロシアが完全撤退を主張しているにもかかわらず、一部がまだ市内や周辺に残っていると付け加えた。一方、同市住民は、市内に残るロシア軍の捜索を続ける間は自宅待機を指示されている。

 

レズニコフは、部隊をすべて撤退させるには少なくとも1週間かかると見ており、ロシアが一部を近隣のザポリジャー地方に再配備する可能性を示唆した。

 

破損または破壊された交差点の中には、市とロシア支配の東岸を結ぶ唯一の道路交差点である重要なアントニフスキー橋とその下の橋脚、上流の鉄道橋がある。この橋は、今後ウクライナ軍が南岸に行く際に使用できないように、ロシア工兵が爆破した可能性が高い。

 

数ヶ月にわたるHIMARSの攻撃で、アントニフスキー橋は使用不能になっていたが、ウクライナは奪還後に修理し再び使用できるように、一部分だけ狙っていた。しかし、今回の被害は、そのような修理が不可能であることを意味する。

 

ドニプロ川に架かる鉄道の爆破を示す未確認映像は、ロシアの行為によるものとされるが、確認できていない。

 

同時に、負傷ロシア兵が捕虜になった、あるいは撤退する部隊に取り残されたという報告も多数ある。

 

少なくとも以前は、アントニフスキー橋より下流の橋が撤退ロシア軍によって使用され、歩兵の隊列が橋を渡り移動する映像が残っている。目撃者によると、夜間に大量の車両がドニプロ川を渡り避難したが、重機の撤退を阻止するために橋は使用されなかったようだ。

 

ロシア軍の混乱ぶりは、ある兵士がSNSに投稿した次のような言葉にも表れている。「やあ、みんな、僕は生きているよ」とその兵士は語り始めた。「なんて言ったらいいんだろう。私が言ってきたことはすべて起こってしまった。このことをボロジノ(1812年にナポレオンがロシアに侵攻した際の戦闘)と比較したり、何か正当化しようとする人には、くたばれとでも言っておけばいい。次はうまくいくと考えている人たちには、自分たちがくたばるように言ってください」。

 

「クリミアで要塞を掘っているが、ある部隊では、名前は伏せるが、最後の命令は、民間人の服に着替えて、好きなように失せろというものだった」。

 

テレグラムの親ロシア派のブログ「War Gonzo」は次のような見解を示している。「今更書くのもなんだが、この街を離れることになりそうだ。簡単に言えば、ケルソンは素手では持てないということだ」。「そう、これはロシア軍の歴史に残る黒ページだ。ロシア国家の。悲劇的なページだ」。

 

ロシア軍の他の証言によると、モスクワが水曜日に発表した撤退命令は、パニック状態を生んだようだ。ドニプロ川の東側でも部隊がウクライナの砲火にさらされる可能性がある懸念から、一部で煽られたようだ。

 

にもかかわらず、モスクワはケルソンでの敗北の重要性を軽視する動きを見せている。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、モスクワは引き続きケルソン地域全体をロシアの一部とみなしていると記者団に語った。ケルソン地域は9月にロシアに併合され、国際的な非難を浴びたが、その後の運勢にほとんど影響を与えなかったようである。クレムリン当局は、ウクライナ反攻を考慮し撤退を正当化し、自軍への補給と地盤固めのさらなる努力は「無益」と表現している。

 

クレムリンによる最新のレトリックはともかく、今回の撤退はプーチン大統領と約9カ月に及ぶウクライナでのいわゆる「特別軍事作戦」にとって大きな困惑以外の何物でもない。ケルソンはロシア軍が最初に占領した主要都市であり、ロシア軍の支配下にある唯一の地方都市だ。

 

明らかに、ウクライナはケルソン奪還を重要かつ象徴的な勝利とみなしている。ウクライナ国防大臣は、この進展により、次に来る攻撃のため自軍の再編成が可能になるとも述べている。

 

「冬は戦場であらゆる活動が鈍くなる...それはすべての側にとって有益である。休息を取ることができる」とロイター通信に語った。「我々は、再編成、リフレッシュ、ローテーションのたに、この時間を最大限に活用し、十分に準備するつもりだ」。

 

Update, 10:00 AM PST:  Maxar Technologiesの新しい衛星画像により、ドニプロ川に架かる道路橋と鉄道橋の被害状況をより深く理解できる。

 

2022年11月11日、ケルソン近郊にある破損したアントニフスキー橋の概観。. Imagery by Maxar Technologies

損傷したアントニフスキー橋の北側スパンと、その横にある仮設ポンツーン橋の近影。 Imagery by Maxar Technologies

 

アントニフスキー橋の南側スパンの近影。 Imagery by Maxar Technologies

 

ドニプロ川に架かる破壊された鉄道橋の全体像(本日撮影)。Imagery by Maxar Technologies

 

Ukraine Liberates Kherson, Antonivskyi Bridge Knocked Down In Russian Retreat (Updated)

 

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED NOV 11, 2022 

THE WAR ZONE

 


2022年10月16日日曜日

ウクライナの次の勝利はケルソンか。ウクライナ戦の最新状況(10月15日現在)

 

Photo by Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images.


ウクライナ軍は南方攻勢の一環で、ケルソンのロシア軍の遮断をめざしている

 

クライナ軍がケルソン州で再び動き出し、激しい戦闘と様々な段階のパニックがロシアのテレグラムチャンネルで報告されている。

報道によると、ロシア軍を捕捉するため、ドニプロ川西岸で攻勢が続いており、渡河に向け急速に作戦を展開している。

ケルソンのロシア軍陣地は弱体化しており、西側当局者にはケルソンが1週間以内に解放されると考える者さえいる。ウクライナの攻勢が川岸まで続けば、ケルソン市内に入る前に、よく標的になるノヴァ・カホフカ橋とアントニフスキー橋の両方を奪取するか、遮断できる。ロシア軍がケルソンに残る間に両橋を奪取すれば、大規模な包囲網を築くことができる。

ロシア軍は伸び切った前線を維持するか、市街地から川を渡り退却するかの選択を迫られる。包囲される見通しで、ロシア軍事ブロガーやロシア占領当局者をパニックに陥れているようだ。

また、ウクライナ軍が迫っているため、降伏という選択肢もある。ケルソン州でロシア兵が降伏している映像が入ってきた。ウクライナ軍が押し寄せ、急遽動員されたロシア兵が前線に投入される中、緊張したやりとりが一般的になっている。

10月8日のケルチ海峡橋の攻撃以降、ロシア部隊への供給状況は不安定なままだ。悪天候のためフェリー運航が停止し、橋の修理も数カ月かかるというから、事態はすぐに好転しない。

最新情報

戦争研究所による最新の支配地図と、英国国防省の最新情報を伝える。

ロシア軍がベラルーシへ ロシア軍はベラルーシに到着し、モスクワの地域グループの一員の同国に駐留している。MotolkoHelpからの報告によると、ロシア軍はウクライナとの国境付近ではなく、ベラルーシの北部と西部の3つの鉄道駅に到着したようだ。。

しかし、ロシア軍がモスクワのクライアント国家に向かう中、ベラルーシ戦車はロシアに向かっている。ベラルーシのオルシャでこれらの鉄道車両に見られるT-72は、ウクライナの前線で損失が続くロシアの代替に向かうと考えられている。ロシアは機能する装甲車両を求めるている。例えば、数十年前の冷戦時代のT-62戦車数百両を復元し、アップグレードする構想が現在進行中だが、完成するまで何年もかかるという。

こうした動きとは裏腹に、ウクライナのチェルニヒフ市と国境を接する南東部のゴメル市に、ロシア軍が集結しているとの情報もある。ウクライナは、2月にロシアがベラルーシから多方面への侵攻を演出して以来、ベラルーシの正式な参戦を懸念してきた。しかし、いかなる攻撃も、ケルソンで悪化するロシア軍の状況に圧力をかける陽動作戦である可能性がある。

イーロン・マスクが主張を撤回か イーロン・マスクの土曜日のツイートを信じるなら、ウクライナ向けのスターリンク衛星インターネットサービスに関する武勇伝は終わるかもしれない。スペースXが先月、国防総省に、戦争が始まって以来行ってきたウクライナ向けのスターリンク無料サービスは続けられないと書簡を送ったとの報道が出た数日後に、マスクは「もういいや...スターリンクがまだ赤字で他の会社が何十億ドルも税金で得ているのに、ウクライナ政府にただで資金提供を続けるよ」とつぶやいたのである。

衛星インターネットの大失敗は、今月初め、マスクが「平和計画」をツイートし、ウクライナと支援者からただちに批判を浴びたことから始まった。スターリンク故障の報告が加わり、ネットワークのサービスが疑われるようになった。

ドンバスでは塹壕戦? ロシアが得たとされる唯一の成果は、ドンバス地方の都市バフムート付近だ。前線の映像は、数カ月にわたりロシア軍に包囲された塹壕線の黙示録的な光景を映し出している。

数ヶ月(あるいは数年)にわたる攻撃で、人、機械、大地が受けたダメージの大きさは、第一次世界大戦の塹壕戦の恐怖を思い起こさせる。

ルハンスクのロシア軍は、塹壕やコンクリートの戦車トラップなど防御線を構築しており、先月行われたウクライナの機械化の成功が拍車をかけたとみられる。

ロシアの動員は裏目に ロシアの「部分的」な動員は、国内を混乱させたにもかかわらず、人事上の問題や戦場での収穫がほとんどないため、まだ梨の礫のような状態である。ロシアのテレグラムのアカウントによると、動員部隊は、専門に関係なく、手に入る人なら何でも取っている。動員された人々は、戦闘技術を学ぶために、YouTubeを利用していると伝えられている。

ロシア南部では、かなりの数の動員された兵士が、動員証に正しいスタンプが押されていないという理由で入隊を拒否されているようだ。その結果、基地の門前で立ち往生し、森の中で野宿を余儀なくされる徴募兵が大量に発生している。

ところで、ロシアの著名な軍事ブロガー、イゴール・ギルキンは、キーボードをライフル銃に持ち替えたようだ。ロシアのテレグラム・チャンネルは、2014年のロシアのクリミア併合とドンバス分離主義政権の中心人物であるギルキンが、志願兵部隊で戦闘に向かうと主張している。ギルキンの配備が報じられたことで、ウクライナには生きたままの本人捕獲に懸賞金5万ドルをかけるとの声があり、金額は拡大している。

徴兵から最前線に行き、その後ウクライナ軍に死亡または捕虜となるまでの時間は、ロシア軍に動員された者にとっては依然として短い。モスクワ・タイムズ紙は、動員されて2週間で戦死した者を報じている。

ロシア国内で混乱続く 極東のウラジオストク郊外の町で徴兵官が絞首刑に処されるなど、ロシアでは動員をめぐりかなりの動揺が続いている。また、北コーカサスのチェルケスク市では徴兵事務所が焼失した。

また、ベルゴロド州のロシア軍基地で銃撃戦があったという。ロシア国防省は、「CIS諸国から来た」2人の銃撃犯が死亡し、11人の軍人が死亡、さらに15人が負傷したと発表した。犯人や犠牲者が動員されたロシア軍に属していたかどうかは、すぐには判明していない。

ロシアのドローン攻撃に対応するウ空軍 ウクライナ空軍は依然活発で、ウクライナのSu-27フランカーが低空で機動する映像が2本あり、航空戦はまだ争われている。

しかし、ロシアのドローンと滞空弾は、依然としてウクライナを脅かしている。ランセット-2の滞空弾は、未知の携帯型防空システム(MANPADS)による迎撃の試みにもかかわらず、前線のはるか後方で貴重なウクライナ製S-300 SAM発射機のペアに命中した。

ウクライナにとって、無人機の脅威はさらに深刻になる可能性がある。イランが近々、攻撃型無人機「ARASH-2」をロシアに送り込むとの報道がある。無人機というより巡航ミサイルに近いこのタイプは、9月に公開された際、「テルアビブやハイファ」を攻撃するため設計されたとイランは主張していた。また、イランの無人機納入に関して、EUが直ちに制裁することはないだろう。

ロシアが9月にイラン製無人機を採用して以来、ウクライナの防空設備と戦闘機がイラン製無人機を追いかけている。ウクライナ国防省は、10月12日に5機のシャヘド-136ドローンと1組の巡航ミサイルを撃墜してから墜落したとされるVadymという名のMiG-29パイロットの写真をツイートした。

各国のウクライナ支援装備品の動向 ウクライナへの援助として、ドイツの対空砲ゲパルトがウクライナで使用されている映像も出てきた。映像ではゲパルトのレーダーが作動している様子や、35mm径のエリコン製オートキャノンを発射する様子は見られないが、ドローンや巡航ミサイルによる継続的な攻撃で、おそらく元は取っているのだろう。

また、ウクライナ軍がスウェーデンの90mm無反動砲Pansarvärnspjäs 1110 (Pvpj 1110)をロシア軍ターゲットに使用する様子も見ることができる。

サウジアラビアは、ウクライナに4億ドルの人道支援を約束したと伝えられている。リヤドは、先週のOPEC+の減産決定で米国を怒らせたが、捕虜交換を仲介し、援助を提供している。

最後に、冷戦時代の装甲車ファンのために、ウクライナ軍で使用されている元イギリス軍のフェレットMk1スカウトカーを紹介したい。このモデルはイタリア製のMG42/59バズソーのチャンバーが7.62x51mm NATO仕様である。フェレットは8月にウクライナで初めて発見されたが、運用されているのを見たのはこれが初めて。

ロシアのとんでも報道 ロシア国営放送のコメンテーターがまたやってくれた。今回は、ウクライナに関する交渉を強要するために、アメリカの敵に武器を拡散させるという銀河系的なアイデアで、世界各地の米軍基地を破壊し、米国に停戦交渉を求めるというものだ。■

 

Ukraine Situation Report: Noose Tightens Around Russian-Occupied Kherson

BYSTETSON PAYNE|PUBLISHED OCT 15, 2022 6:06 PM

THE WAR ZONE