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SIXTH COLUMN 第5章 宗教作戦が始まる。科学、宗教を巡る対話はハインラインの考え方の反映か。

  第5章 デンバーから南へ、パトロール・ヘリコプターがゆっくりと巡回していた。指揮をとるパンアジアの中尉は、最近できた航空モザイク地図を見ながらパイロットにホバリングを指示した。山の肩にそびえる巨大な立方体のビルが見えた。それは天帝治下の新西域での地図測量で発見され、ヘリは調査のために派遣されていた。  中尉は、単純な日常業務と考えていた。建物は該当行政区の記録に出ていないが、そのことは何も不思議なことではない。征服されたばかりのこの領土は広大で、原住民は、劣等民族の特徴として緩く非規律的な生活様式をとっていた。何一つまともな記録を残していない。この荒涼とした新天地のすべてが適切にインデックス化され、クロスファイルされるまでに、何年もかかるかもしれない。貧弱なこの民族は、文明の利器にほとんど子供じみた抵抗感を持っていた。  そう、これは長い仕事になりそうだ。インド併合より長くなるかもしれない。彼はため息をついた。その日の朝、彼は本妻から手紙を受け取っていた。二番目の妻が男の子供を生んだとあった。家族のために恒久植民地勤務に再志願し家族をこちらに呼ぶべきか、それとも、長い間取っていない休暇を申請すべきだろうか?  天帝陛下に仕える者が考えるようなことではない。彼は自分に言い聞かせるように戦士階級の七原則を暗唱してからパイロットに着陸地点の雪山を指示した。  建物は、地上から見るともっと印象的で、四角く特徴のない大きな塊で、あらゆる方向が200ヤードの大きな正方形だった。午後の太陽の下でエメラルドグリーンに輝いている。右側の壁が少し見える。金色に輝いている。  ヘリから降りてきた任務班と、続く山岳ガイドが感激していた。彼は英語で白人に話しかけた。  「この建物は見たことがあるか?」  「いいえ、マスター」  「本当か?」  「山のこちら側には、初めて来ました」  嘘にちがいない。しかし、罰するのは無駄だった。彼はその問題を取り下げた .  「案内してくれ」  一行は巨大な立方体に向かいゆっくり坂道を登り、広い階段を登った。中尉は一瞬ためらった。不安な気持ちと、不穏な空気を感じた。危険を警告する声が聞こえてくるかのようだった。  最初の一歩を踏み出した。深い澄んだ音が、渓谷を横切っていく。不安な気持ちは、理不尽な恐怖へ膨れ上がった。部下も同じように恐怖を感じていた。毅然