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2022年1月2日日曜日

PLAN空母遼寧が20日にわたる演習を終え寄港。まだまだ低戦力とはいえ侮ってはいけない。もちろん日本は同部隊の動静を海空から監視しています。

 

統合幕僚監部

 

  • 日本の防衛省発表の写真で遼寧艦上で戦闘機、ヘリコプターの活動が認められる。同艦には5隻が随行している

  • 航続距離を伸ばした艦載機の導入で同艦の戦闘能力が増えたとコメンテーターが評している


国初の空母遼寧をはじめとする部隊が沖縄東方で戦闘機、ヘリコプターの運用演習を展開しており、同艦の戦闘能力向上を専門家が指摘している。



部隊は海軍艦艇6隻で遼寧、055型駆逐艦、052D型駆逐艦各1、054A型フリゲート艦2、901型補給艦1が沖縄県北大東島東方300km地点を12月26日航行したと防衛省が発表した。


同省公表の写真ではJ-15戦闘機、Z-9、Z-18の各へリコプターが遼寧艦上で確認され、J-15が発艦する写真もある。


統合幕僚監部



日本は駆逐艦いずもおよび戦闘機数機を送り、中国部隊の動向を監視した。


遼寧は先週から太平洋で外洋訓練を展開している。


遼寧に随行する055型駆逐艦南昌Nanchang、054A型フリゲート艦 日照Rizhao、補給艦呼倫湖Hulun Lakeが先週水曜日に男女群島西方350㎞地点で見つかり、宮古海峡を通過し翌日太平洋に入っていた。


海上自衛隊では052D誘導ミサイル駆逐艦廈門Xiamenも宮古海峡を通過したのを確認している。


中国軍で教官を務めたコメンテーターSong Zhonpingは演習を見ると遼寧は多用な機材を運用し戦闘能力を獲得したようだと述べる。


「航続距離が異なる機材の戦闘機、早期警戒機Z-18を運用することで戦闘力をフル編成した。比較的強力な防衛能力が外洋部分の海空で実現した」


S・ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)のコリン・コーCollin Kohによれば遼寧はJ-15戦闘機を最大24機のほかヘリコプターを搭載する。「すべて訓練用で今後の基礎を築く意味がある」


二年前就役した国産建造初の空母山東Shandongは海南省を出港し「戦闘を意識した演習」を南シナ海で展開すると共産党を代弁する人民日報が12月26日に報じていた。


演習では戦闘機着艦、ダメージコントロール、海上捜索救助を行うと同記事にあるが、演習地点や時期は触れていない。


両空母は近日中に合流し、台湾や米国を意識した運用に入ると軍事観測筋は見ている。


空母三号艦も建造が進んでおり、これあmでの二艦より大型かつ高性能になるとの予想がある。商業衛星写真では同艦建造は上海で相当の進展を示しており、進水は三ないし六カ月以内と思われる。


コーによれば003型空母となる新型艦の航空戦力規模は米超大型空母に近いものになる。■


Chinese aircraft carrier's Pacific drills 'show boosted combat capability' | South China Morning Post

Pacific drills show China's first aircraft carrier has boosted its combat capability, experts say


Teddy Ng , South China Morning Post Dec 27, 2021, 10:59 PM

Additional reporting by Amber Wang.



続けて、中国空母部隊の帰港についてUSNI Newsが以下伝えています。


中国空母遼寧(16)が洋上給油を受けた。 December 2021 deployment. PLAN Photo

民解放軍海軍の遼寧空母群が2021年12月30日に母港青島に戻ってきた。PLANは同部隊は訓練を成功裏に終えたと公式発表した。

訓練は20日にわたり、同空母群は黄海、東シナ海を通過し宮古海峡から西太平洋に入った。各種想定で総合訓練を行ったと発表にある。12月9日に黄海で捜索救難訓練、戦術航空作戦としてJ-15戦闘機、Z-9Z-18の各ヘリコプターを運用した。発着艦訓練は昼夜通して行われた。

J-15 艦載機が遼寧(16)から発艦した。December 2021 deployment in the Western Pacific. PLAN Photo 海上自衛隊のいずもが写っている。

同部隊はその後西太平洋で戦闘能力を試し、対空対潜戦の訓練意外に指揮統制機能、補給活動、戦隊調整を試した。PLAN公表の写真では遼寧(艦番号16)が901型補給艦と補給活動演習を行う様子がわかる。

PLAN発表にはその他艦の言及がなかったが、日本の統合幕僚監部から遼寧に加え、駆逐艦南昌(101)、フリゲート艦日照(598)、901型補給艦を12月15日男女群島西方で視認され、南東に移動し、12月16日に宮古島と沖縄の間から太平洋に進出したと発表が出ていた。

日本側報道資料によれば12月19日、20日に上記四艦に駆逐艦厦門(154)、名称不詳の054A型フリゲート艦が合流し空母航空運用など演習が展開された。統合幕僚監部の12月27日発表では、遼寧空母群が12月25日に沖縄と宮古島間を通過し東シナ海に入ったとある。

この間は一貫して他国艦船航空機が同空母群の動静を監視していたとPLANが発表している。発表では国名を上げていないが、PLAN公表の写真には海上自衛隊のヘリコプター空母JSいずも(DDH-183)が付近に写りこんでいる。

J-15 が遼寧 (16) から離陸した December 2021 deployment. PLAN Photo

日本側発表ではいずもが遼寧空母群を東シナ海から西太平洋への移動中一貫して監視したとあり、その他駆逐艦あきづき(DD-115)、P-1海洋監視機が厚木航空基地、P-3オライオンが那覇航空基地からそれぞれ対応したとある。さらに日本側発表では航空自衛隊戦闘機もスクランブル出動し、遼寧からの航空機ヘリコプター運用に対応したとある。

遼寧空母群の航海と活動は国際慣行に沿ったものであったが、日本付近での行動は10月の軍事行動に続き懸念を生んだ。10月にはロシア中国の連合部隊が本州東方公海上を移動し、両国は今後も合同海上演習を続けると述べていた。

Chinese Carrier Strike Group Liaoning Returns From Deployment

By: Dzirhan Mahadzir

December 31, 2021 1:57 PMUpdated: January 1, 2022 1:56 PM

ついでに中国側の見方もお伝えしましょう。環球時報の記事です。

 

寧空母群が12月30日公海での演習を終えた。同群は黄海、東シナ海、西太平洋で21日にわたる演習を展開し、全体としての実戦対応力を引き上げた。

 

近距離で外国艦艇航空機が監視を展開したが中国部隊は難なく対応し、自信を深めた。

 

訓練を成功裏に終えた遼寧空母群は山東省青島に12月30日午前入港したとPLA海軍が報道発表した。

 

同群は黄海、東シナ海から宮古海峡を通過し西太平洋各地に展開し、総合的かつ実戦を意識した訓練を展開したと同上発表にある。

 

訓練では実戦シナリオを使い各種装備を組み合わせた訓練を展開したとあり、公海上での運用を意識し同群全体の戦闘能力向上につながった。

 

演習は12月9日に捜索救難訓練で幕を開け、黄海でJ-15戦闘機を全天候下で離着艦させた。

 

その後遼寧空母群は西太平洋へ移動し、高度警戒態勢のまま戦闘の各段階に応じ複雑かつ流動的な海上空中の状況への適合を試した。

 

西太平洋で同群は海上状況が悪かったが各種戦闘シナリオで対空対潜戦の腕を磨いた。J-15戦闘機は昼間夜間問わず第一列島線外に展開し、戦闘哨戒飛行のほか指揮統制機能、システム構築、戦力調整や総合支援も行った。

 

演習を通じ外国艦船航空機が繰り返し近距離での偵察を試み、中国空母部隊の動静を探り、追尾してきた。中国側は冷静に対応し、艦載機を発進させたとPLA海軍は公表している。

 

J-15が発艦する写真に日本の事実上の空母いずもが近距離を航行する姿が映り込んでいる。いずもには054A型フリゲート艦が追尾していた。

 

中国中央テレビが12月30日放映した映像はJ-15コックピットからのもので、外国のF-15戦闘機を追尾していた。

 

各演習で公海上での戦闘支援能力が向上し、中国空母群の戦力が本国から遠く離れた地点でも有効なことを示せたと海軍問題に詳しいテレビ評論家Song Zhongpingが環球時報に伝えている。

 

外国軍の近距離での監視偵察に適切に対応したことでPLA海軍は戦力の充実にあわせ自信を示せたと専門家は見ている。■

 

Aircraft carrier Liaoning wraps up open sea exercises and deals with foreign close-in reconnaissance

By Liu Xuanzun

Published: Dec 31, 2021 01:02 AM

https://www.globaltimes.cn/page/202112/1243847.shtml


 

 


2014年9月6日土曜日

中国 空母運用テスト中にパイロット二名を失う








Two PLA Pilots Have Died Testing Fighters for Chinese Carrier

By: Sam LaGrone
Published: September 5, 2014 5:44 PM
Updated: September 5, 2014 6:25 PM
中国の空母「遼寧」, PLAN Photo

人民解放軍空軍のパイロット少なくとも2名が空母遼寧で運用予定の機体テストで死亡したと中国国営メディアでひっそり報じている。

  1. 「パイロット二名がテスト中にその生命ををささげた」と8月27日報道で瀋陽J-15の空母運用テスト中の事故を伝えている。記事ではそれ以上の詳細は伝えておらず、機体がどうなったかも不明だ。

  1. 9月5日付のJane’s Defence Weekly では「少なくとも二機を喪失したようだ」と結論づけている。


  1. 海軍問題の専門家エリック・ワーゼイムEric Wertheim(米海軍協会発行「世界の戦闘艦艇」U.S. Naval Institute’s Combat Fleets of the World 著者)によれば今回の事故は異例ではないという。

  1. 「驚くにあたらない」とUSNI Newsに5日答えている。「空母航空隊には危険がつきもの、とくに初心者にはそうだ」

  1. 中国はソ連時代の技術に大きく依存して空母中心の打撃群の整備に乗り出した段階で、遼寧は技術実証の手段の色彩が強く、国産空母がこの後続くとみられる。

遼寧艦上で運用中のJ-15、日付不明写真 PLAN Photo

  1. J-15はライセンスを無視したスホイSu-33フランカのをコピーで中国はロシアが設計しウクライナが建造した遼寧から運用中。

  1. 中国は空母からの航空運用をブラジル海軍パイロットから学んでいると伝えられている。ブラジルは1960年代からフランス製中古空母を運用している。

  1. それでもPLAは空母での航空運用を素早く学びつつあり死傷者は米海軍実績を下回る。


  1. 2013年時点で当時の大西洋航空部隊司令官テッド・ブランチ中将 Vice Adm. Ted Branch (現海軍情報部長)は「中国は我々より早く学び、我々の得た教訓を活用するだろう」と述べていた。
.
  1. 米海軍は空母ジェット機運用を体得する過程でパイロット、機体を相当喪失している。

  1. 1949年から88年にかけて「海軍と海兵隊で1,200機を喪失し、死亡は8,500名にのぼる」と「米海軍航空戦力100年史」 “One Hundred Years of U.S. Navy Airpower” の著者ロバート・C・ルーベルRobert C. Rubel.は述べている。

  1. 中国については空母戦力整備の仮定で発生した損失を中央政府が認めることは異例だ。遼寧は中国国民の文化面で大きな人気を集めており、艦と乗員は各地で崇拝の対象になっている。

  1. Jane’sによれば遼寧は四か月に及ぶ乾ドック内整備を終えて出航したばかりで、飛行テストをまもなく再開するという。■



2012年12月1日土曜日

中国初の空母運用をどう見るべきか-空母戦闘群を中国は編成できるのか

China's Carrier: The Basics
           
by Bernard D. Cole
US Naval Institute November 27, 2012
                                                  

中国空母の運用状況を示す初のビデオを 見ると、中国が米国その他の海軍と同様な安全配慮をしていることがわかる。飛行甲板の要員が色別の服装をし、手信号を送っているがこれも国際標準に近いも のだ。各配置点には二名の水兵が配属されているようで、一人は「訓練中」なのだろう。あきらかに人民解放軍海軍People’s Liberation Army Navy (PLAN)は航空母艦運用の知見を獲得しつつあるようだ。ただし天候に恵まれた条件で、基本運用の域を脱していないが。
  1. .空母「遼寧」は長い建造期間を経て完成しており、建造素材に問題を抱えて構造に欠陥がある可能性があり、また搭載するのは圧縮蒸気による推進機関で保守点検と運用に困難がつきまということが知られている。
  2. 中 国がはじめて入手した空母は1985年のオーストラリア海軍を退役したメルボルンであり、技術陣がすみからすみまで調べ上げた後でスクラップにされた。そ のあとロシア製空母二隻が加わる。ミンスクとキエフであり、ともに海上テーマパークとして購入された。この二隻は「航空重巡洋艦」と呼称されていたもので あり、中国に到着した初の空母はワリャーグだった。
  3. 同 艦の建造は1985年にウクライナで始まっていたが、ソ連邦崩壊で1989年に中止となっていた。そのまま乾ドックで放置状態だった同艦を中国は約20百 万ドルで1998年に購入したが、トルコの反対でボスポラス海峡を通過できず、結局通過できたのは2001年になってしまった。途中で嵐に遭遇し、タグ ボートの曳航が外れる事態もあったが、中国大連に到着したのは2002年で、そこから8年かけて改装工事ののち完成させている                   
  4. 同 艦は初の公試を2011年8月に実施し、これで26年かけて完成したことになり、軍艦建造期間としても最長の部類だ。PLANに公式に編入したのは 2012年9月で遼寧の艦名、艦番号16が付いた。中国海軍の初の正式空母となり、海軍の70年代からの夢が実現した。同艦は航空要員向けの訓練艦として もっぱら使用される。また運用要員の訓練用にも使い、今後建造される中国製空母の乗員を育てる。
  5. 遼寧は海上公試後半から航空機運用を開始し、初の航空機離着艦を2012年11月実施し、J-15戦闘機二機の運用記録が公開されている。
  6. 遼 寧はスキージャンプ式の構造を航空甲板前方にもつが、カタパルトはない。ただし、拘束ケーブルがあり航空機を回収する。J-15とはロシア製Su-33を 中国で国産化したもので、降着装置を強化し、テイルフック、折りたたみ式主翼と空母運用を想定している。さらにPLANは新型ステルス機J-31を空母に 搭載するかもしれない。
  7. その他搭載機にはロシアが設計したKa-25や国産のZ-9ヘリコプターがあり、さらに、米国のE-2ホークアイに似た空中早期警戒機が開発中だという。
  8. この五年間でPLANに空母護衛用の艦船が就役している。旅洋IILuyang II 級誘導ミサイル駆逐艦はイージスシステムと類似した装備を搭載していることがわかっており、中国では地域防空戦闘任務ができる初の艦となり、遼寧の防衛の要となる。旅洲Luzhou級および旅洋I級ミサイル駆逐艦および江凱Jiangka級も空母防御に投入できるミサイル運用能力がある。
  9. 中国が空母戦闘群に潜水艦も加えるのであれば、93型商Shang級原子力攻撃潜水艦 (SSN) が適しているが、同級の建造がわずか二隻で完了しているのは次形式の95型SSN建造に切り替えるためかもしれない。.
  10. さ らに中国は洋上補給replenishment-at-sea (“unrep”) 能力を有する艦の建造を開始したが、2005年以降でもわずか二隻しか就航しておらず、中国が2008年から派遣しているアデン湾海賊対策の派遣部隊支援 に投入されている。新型補給艦の建造が伝えられている。
  11. 中国の空母運用は第一歩をはじめたばかりだが、今後数年間を訓練と経験の蓄積に使って運用能力を獲得できる。遼寧は母国を離れた海域に海軍力を投入する決意が中国にあることを示す意義があり、さらにドック型揚陸艦や病院船の建造もこの決意のあらわれだろう。
  12. 戦略面では遼寧の就役および航空機運用状況をはじめて公表したことは大きな成果であり東アジア水域におけるPLANの重みが増したといえる。同地域内の各国は非友好勢力となる可能性のある海軍が航空戦力を洋上に展開する能力を獲得した状況に直面しているのである■


 Bernard D. Coleは国家国防大学で米中関係論の教鞭をとる、米海軍退役士官。