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2026年6月5日金曜日

米海兵隊のAV-8BハリアーIIがついに退役し、長く続いた供用に幕。海兵隊はF-35B/Cの運用に注力する

 

A Marine AV-8B Harrier takes off from amphibious assault ship USS Tarawa (LHA 1) just before sunset. Tarawa, along with embarked 11th Marine Expeditionary Unit, is on a scheduled deployment to the Western Pacific in support of maritime security operations and the Global War on Terrorism.米海軍写真/二等兵曹 デビッド・ブランデンバーグ

米海兵隊のAV-8Bハリアーが夕陽に向け飛び去った

The USMC’s AV-8B Harrier Has Flown Off Into The Sunset


「ハリアー・サンダウン」式典は、50年以上にわたる海兵隊の垂直離着陸機運用に幕を下ろした

https://www.twz.com/air/marines-av-8-harrier-jump-jet-takes-its-final-bow

AV-8B ハリアーIIの紛れもない轟音は、40年以上にわたり米海兵隊航空部隊のサウンドトラックとなってきた。中東やアフガニスタンの砂漠から、海上の強襲揚陸艦の甲板に至るまで、短い滑走路からの離陸、過酷な前線基地での運用、そして垂直着陸が可能なこの機体は、米軍マークを掲げた戦闘機の中でも最も特徴的な機体の一つとなった。その前身である初代AV-8Aハリアーは、1971年に海兵隊に導入されて以来、米軍における「ジャンプジェット」の先駆けとなっていた。

その輝かしい時代は幕を閉じた。

A Marine plane captain, from Marine Attack Squadron 223, Cherry Point, North Carolina, observes pre-flight checks of an AV-8B Harrier at Gowen Field, Boise, Idaho, April 19, 2021. The checks are designed to operational check various flight controls of the aircraft.2021年4月、アイダホ州ボイシのゴーエン・フィールドにて、ノースカロライナ州チェリーポイントの第223海兵攻撃飛行隊所属の海兵隊機長が、AV-8Bの飛行前点検を見守る。米国空軍州兵、ジョシュア・C・オールマラス上級曹長撮影

本日の式典で、海兵隊はAV-8Bに公式に別れを告げた。最後の現役ハリアーII部隊「ブルドッグス」の海兵隊攻撃飛行隊第223飛行隊(VMA-223)が、ノースカロライナ州チェリーポイント海兵隊航空基地にて同機の退役を記念した。

行事で海兵隊航空史における輝かしい一章に幕を閉じた。ハリアーの退役は、単なる航空機の引退にとどまらない。それは、何世代にもわたり海兵隊の航空戦力を形作り、海兵隊の遠征部隊としての特性を確立するのに貢献した戦術概念の終焉を意味する。

2026年5月15日、第2海兵航空団第14海兵航空群第223海兵攻撃飛行隊所属の米海兵隊AV-8Bが、ノースカロライナ州の海岸上空を飛行している。米海兵隊写真:ランス・コーポラル・ペリー・ウッド

ハリアーは単なる攻撃機ではなかった。同機は飛行場が存在するか否かにかかわらず、海兵隊が戦う場所ならどこへでも航空戦力を投入するという、海兵隊の長年にわたる決意を具現化した。

ハリアーの物語は、AV-8が米軍に導入される前から始まっていた。英国のホーカー・シドレー・ハリアー垂直離着陸機を基に開発されたこの機体は、垂直・短距離離着陸(V/STOL)という画期的なコンセプトを中心に設計された。エンジンノズルの向きを変えることで、この機体は即席の場所や道路、損傷した飛行場、さらには小さな艦船の甲板からも離陸できた。冷戦時代、計画立案者たちが通常の滑走路が大規模な紛争にで真っ先に破壊される標的となることを懸念していた当時、このコンセプトには明らかな魅力があったが、V/STOL戦闘機として真の成功を収めたのはハリアーだけだった。

海兵隊は早い段階からこの構想を受け入れた。初代AV-8Aがコンセプトの実証を果たした一方、AV-8BハリアーIIはそれを真に有能な戦場攻撃機へと変貌させた。AV-8Bは、より大型の複合材製主翼、性能の向上、積載量の増加、そして大幅に強化されたエイビオニクスを特徴としていた。その後の改修で夜間攻撃能力やレーダー装備型AV-8Bプラスが導入され、21世紀に入っても現役としての価値を維持した。近年、海兵隊で現役の単座機はすべて、F/A-18A/Bホーネットから中古で流用されたAN/APG-65レーダーを装備した「レーダー機」となり強力な対空戦闘能力を獲得していた。

150719-N-NP779-003 INDIAN OCEAN (July 23, 2015) – Marine Sgt. Richard Szmygiel, from Oceanside, N.Y., and Marine Cpl. Erin Smith, from Spokane, Wash., VMA 311 ), work on a RADAR in the nose of an AV8B Harrier on the flight deck onboard forward-deployed amphibious assault ship USS Bonhomme Richard (LHD6). Bonhomme Richard is the lead ship of the Bonhomme Richard Expeditionary Strike Group and is on patrol in the U.S. 7th Fleet area of responsibility. (U.S Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Ty C. Connors/ Released)水陸両用強襲揚陸艦「ボノム・リチャード」(LHD-6)の飛行甲板上で、AV-8Bの機首にあるレーダーの整備を行う海兵隊員たち。米海軍写真:マス・コミュニケーション・スペシャリスト1等兵 タイ・C・コナーズ/公開済み

ハリアーを傑出したものにしていたのは、ホバリング能力だけではなかった。その真価は柔軟性だった。海兵隊指揮官は、ハリアーを最前線の部隊の近くに配置することができ、それによって対応時間を短縮し、近接航空支援任務の有効性を高めた。この航空機は、強襲揚陸艦から作戦を展開する海兵隊遠征部隊にとって、うってつけの存在となった。その独自の能力により、固定翼戦術航空部隊が、従来の飛行場や空母から遠く離れた場所でも海兵隊に同行することが可能になったのである。

An AV-8B Harrier assigned to Marine Attack Squadron (VMA) 311 lands aboard the Tarawa-class amphibious assault ship USS Peleliu (LHA 5) as it steams through the South China Sea. Peleliu is the flaghsip of the Peleliu Expeditionary Strike Group and is on a scheduled deployment. (U.S. Navy photo/Petty Officer 2nd Class Scott Webb)2008年6月、南シナ海を航行中の強襲揚陸艦「ペリリュー」(LHA-5)に、海兵隊攻撃飛行隊第311飛行隊所属のAV-8Bが着艦する様子。米海軍写真/二等兵曹スコット・ウェッブ

ハリアーは瞬く間に実戦能力を証明した。

1991年の「砂漠の嵐作戦」において、海兵隊のハリアーは連合軍地上部隊を支援するため出撃を数千回行った。同機は過酷な条件下での飛行においても、高い作戦ペースを維持できる能力を実証した。その後の数十年間、ハリアーはバルカン半島、アフガニスタン、イラク、リビアでの任務やISISに対する作戦を含め、海兵隊のほぼすべての主要な戦闘作戦に参加した。

「デザート・シールド作戦」中、海兵隊のAV-8B 2機に対し、水陸両用強襲揚陸艦「ナッソー」(LHA-4)からの離陸準備として、最終離陸前点検が行われている。米国防総省

9.11以降の絶え間ない作戦展開の期間は、間違いなくハリアーにとって決定的な時期となった。AV-8Bは対反乱戦に極めて適していた。高度なターゲットポッドと精密誘導弾を装備した海兵隊のハリアーは、イラクやアフガニスタン上空で頻繁に見られる存在となり、地上部隊のすぐ近くで行動できる能力が特に高く評価された。

しかし、ハリアーが実戦で価値を証明し続けていた一方で、その将来はますます不透明になっていった。

Lt. Col. Thomas D. Gore, former commanding officer of Marine Attack Squadron 223, and a native of Tampa, Fla., pilots an AV-8B Harrier over the Kajaki Dam in Helmand province, Afghanistan, Nov. 20. From November 2011 to May 2012, VMA-223 provided close-air support for Marines and their Afghan and coalition partners conducting counterinsurgency operations in southwestern Afghanistan.

海兵隊第223攻撃飛行隊の元司令官、トーマス・D・ゴア中佐が、アフガニスタン・ヘルマンド州のカジャキダム上空でAV-8Bを操縦している。2011年11月から2012年5月にかけて、VMA-223はアフガニスタン南西部で対反乱作戦を展開する海兵隊およびアフガニスタン・連合軍パートナーに対し、近接航空支援を提供した。米国防総省

機体の老朽化、整備の負担、そして限られた発展の可能性が、命取りとなった。また、この機はパイロットへの負担も著しく大きく、安全かつ効率的に運用するためには独自の訓練カリキュラムが必要とされた。

高度な能力を持つ敵との将来の紛争における要求を見据え、海兵隊航空計画担当者は、次世代の垂直離着陸機には、第4世代攻撃機が提供できるものを超えるステルス性、高度なセンサー、ネットワーク戦能力、そして全体的な生存性が求められるとの結論に達した。

その答えがF-35B ライトニングIIだった。

ハリアーと同様、F-35Bは短距離離陸・垂直着陸能力を備えている。しかしハリアーと異なり、ステルス技術、センサーフュージョン、強力な電子戦システム、そして戦域全体で情報収集拠点として機能する能力を兼ね備えている。海兵隊航空部隊の指導者にとって、F-35Bは、ハリアーが切り拓いた遠征戦力の優位性を維持しつつ、戦闘能力を劇的に拡大する道筋を示した。

しかし注目すべきは、海兵隊が大型空母からも運用可能なF-35C型も調達している点である。

海兵隊のハリアー飛行隊は、次々とF-35Bへ転換を開始した。機体は退役し、整備員は再訓練を受け、パイロットは新しいプラットフォームへ移行した。このプロセスは、海兵隊が将来の紛争、特にインド太平洋地域での紛争に備えることに焦点を当てた、より広範な近代化の取り組みを進めるにつれて加速した。

ハリアーからの完全移行は、2022年の海兵隊航空計画に盛り込まれていた。『U.S. Marine Corps』

ハリアーの退役が近づく兆候は、ますます顕著になっていった。2024年、最後の2名の海兵隊パイロットがAV-8Bの資格訓練を修了し、海兵隊にハリアーパイロットとして認定された最後の飛行士となった。彼らの卒業は、「フライング・レザーネック」ことハリアー・コミュニティの終焉の始まりを告げるものだった。

2026年5月19日、ノースカロライナ州チェリーポイント海兵隊航空基地にて、第223海兵攻撃飛行隊所属のAV-8Bハリアー操縦士兼副官であるエリック・シーベ少佐と、同飛行隊の固定翼機整備士であるタチアナ・リオス軍曹が、記念飛行に参加した。写真:ブライアン・ジラルド一等兵(米国海兵隊)

作戦活動の最終章を飾ったのは、最後までハリアーの旗を掲げ続けたVMA-223だった。揚陸艦「イオージマ」(LHD-7)への展開は、海兵隊ハリアーにとって最後の作戦展開となった。

「イオージマ」水陸両用即応群(ARG)の一員として、第22海兵遠征部隊とそのハリアー機は、カリブ海で違法薬物を積載している疑いのある船舶に対する米国の攻撃作戦である「サザン・スピア作戦」に参加した。「イオージマ」ARGは、今年初めのヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の捕獲作戦でも同地域に展開していた。

飛行隊が任務を完了し、最後の機体が帰還すると、退役へのカウントダウンは最終段階に入った。

この機体を操縦し、整備してきた海兵隊員たちにとって、退役は複雑な心境を伴う。ハリアーは敬意を払うに値する機体だった。独特な飛行特性と垂直着陸運用には、パイロットに並外れた技能が求められた。整備員は、老朽化した機体を任務遂行可能な状態に保つため、休む間もなく働いた。しかし、そうした困難こそが、米軍において他に類を見ないこのプラットフォームを中心に、結束の固いコミュニティを築いたのだ。■


2025年11月25日火曜日

退役間近の海兵隊ハリアーがカリブ海に展開中でヴェネズエラを睨んでいる(Task & Purpose)

 

退役間近の海兵隊ハリアーがカリブ海に展開中(Task & Purpose)

「任務遂行に必要なF-35Bが不足しているなら、最後のハリアーまで投入するしかない」と専門家は語った。

ジェフ・ショゴール

2025年11月21日 午後2時54分 EST 公開

A Marine Corps AV-8B Harrier II with Marine Medium Tiltrotor Squadron (VMM) 263 (Reinforced) on the flight deck of the Wasp-class amphibious assault ship USS Iwo Jima in the Caribbean Sean, Sept. 7, 2025.2025年9月7日、カリブ海でワスプ級強襲揚陸艦「イオージマ」の飛行甲板に展開する海兵隊中型ティルトローター飛行隊(VMM)263(増強)所属のAV-8B ハリアーII。撮影:海兵隊軍曹タナー・バーナット

兵隊の伝説の機体AV-8BハリアーIIの終焉説は誇張だ。今週公開された米南方軍司令部発表の映像が証明している。映像では、強襲揚陸艦イオージマから発進したハリアーがカリブ海で実弾射撃訓練を実施している。

イオージマ含む海軍艦艇は、同地域における米軍の大規模な軍事増強の一環で、ヴェネズエラ国内の標的に対する作戦の前兆となる可能性がある。この増強には、近代的な航空部隊を擁する空母ジェラルド・R・フォードも含まれる。しかし映像からは、ハリアーも待機状態にあることが明らかだ。

2025年を通じ多数のハリアーが退役・除籍された後、今回の増強にハリアーが参加している事実は一部を驚かせたかもしれない。最後のハリアー飛行隊がチェリーポイント海兵隊航空基地で5月に最終任務を終えた際、ノースカロライナ州の海岸線に最後の轟音を響かせていた。

9月には、海軍航空兵器基地チャイナレイクでハリアーの飛行試験プログラムが終了した。そして今週、チェリーポイント最後のハリアー機の一機が博物館展示のためコロラド州デンバーに到着した。

ハリアーの時代は終わりを迎えつつある。しかし今週公開された動画が示す通り、AV-8Bが『リーサル・ウェポン』シリーズのダニー・グローバー並みに引退間近とはいえ、この手の任務には十分通用する。

パイロットの大半より年長

ハリアーが初めて実戦投入されたのは1982年のフォークランド諸島侵攻作戦で、英国軍が運用した。この時アルゼンチン軍パイロットは本機を「ラ・ムエルタ・ネグラ(黒死病)」と揶揄した。海兵隊が米国版AV-8Bの運用を開始したのは1985年1月である。

海兵隊広報官によれば、海兵隊のハリアーは1991年の湾岸戦争、イラク・アフガニスタン戦争、そして米国主導のイスラム国(ISIS)掃討作戦でも実戦投入された。

この機体は短距離離陸と垂直着陸を可能とする設計で、水陸両用強襲揚陸艦に最適だ。海兵隊が先進的なF-35 ジョイント・ライトニングII(短距離離陸・垂直着陸機であるF-35Bを含む)へ移行した現在でも、ハリアーは海兵隊航空地上任務部隊の重要な一翼を担い続けている。

「ハリアーはシンプルな航空機だ。その役割を非常に良く果たし、水陸両用艦からの運用も容易である」と、ハリアー運用に豊富な経験を持つ元国防当局者は述べた。「F-35に比べ、後方支援も簡素だ。F-35ほどの能力はないが、概ね十分にこなす」。

退役した同当局者は、ハリアーは攻撃任務に最も適しており、目標に極めて近い位置にある水陸両用艦から離陸できると述べた。

AV-8Bは依然として有用な航空機だが、カリブ海のような脅威の低い環境での使用が望ましいと同当局者は付け加えた。

「ヴェネズエラには防空システムはあるものの、ロシア製やイラン製の防空システムではない」と同当局者は語った。「能力は劣るため、実際にはハリアーのようなプラットフォームが活動するには理想的な環境だ。世界で効果的に運用できる数少ない場所の一つだろう」と述べた。

海兵隊がカリブ海にハリアーを派遣した別の理由は単純だ。航空宇宙産業向けコンサルティング会社AeroDynamic Advisoryのリチャード・アブラフィア常務取締役は「利用可能だからだ」と説明した。

「任務を遂行するのに十分なF-35Bがなければ、結局は最後のハリアーに頼るしかない」とアブラフィアは本誌に語った。

同氏はさらに、短距離滑走路からの離陸と垂直着陸能力により高い展開性を有する点で、ハリアーとF-35Bの双方が「現代航空技術の奇跡」だと付け加えた。

結局のところ、カリブ海におけるハリアーの任務は、その長いキャリアの集大成となる見込みだ。海兵隊広報官のジェイコブ・サッグ大尉によれば、海兵隊最後のハリアー飛行隊は2026年9月30日に終了する本会計年度中に解散する。

「第22海兵遠征部隊への最終配備を含むAV-8Bの継続的な作戦有効性は、同機が戦闘指揮官に抑止力と戦闘作戦で柔軟な選択肢を提供できる能力を体現している」とサッグは本誌に語った。「海兵隊の象徴としてAV-8Bハリアーは、40年以上にわたり遠征作戦において比類なき機動性と殺傷力を提供し、過酷環境や水陸両用強襲揚陸艦からの迅速展開を可能にしてきた」。■

ジェフ・ショゴール

上級国防総省記者

ジェフ・ショゴールは『Task & Purpose』の上級国防総省記者である。20年近く軍事分野を取材している。連絡先はschogol@taskandpurpose.com、Twitterでは@JSchogol73030へダイレクトメッセージを送ること


Marine Harriers are in the Caribbean just ahead of retirement

“If they don’t have enough F-35Bs to do the job, then, well, it’s up to the last of the Harriers," an expert said.

Jeff Schogol

Published Nov 21, 2025 2:54 PM EST

https://taskandpurpose.com/news/marines-harriers-caribbean-buildup-venezuela/


2024年4月30日火曜日

歴史に残る機体(37) 米海兵隊で活躍したAV-8ハリアーにもいよいよ退役の時が迫る。F-35Bがレガシーを引き継ぐ

 歴史に残る機体(37)もともとは英国がこつこつ開発を進めた機体を米国がライセンス権を取得し、海兵隊仕様に手を入れたのがAV-8です。そのハリアーもいよいよ供用期間に幕をおろそうとしており、あらためて同機の活躍ぶりをまとめたSandboxx記事をお伝えしましょう。


ペプシを訴えた戦闘機が引退を迎える


 

Harrier jet takes off vertically

An AV-8B Harrier from Marine Attack Squadron (VMA) 214 performs a vertical takeoff from the flight deck of the amphibious assault ship USS Boxer (LHD 4). Boxer is underway conducting training off the coast of Southern California. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Oscar N. Espinoza/Released)


AV-8Bハリアージェットは、約40年にわたる活躍の中で、クウェートでサダム・フセイン軍に対する近接航空支援、紅海上空でのフーシ派の無人機迎撃、さらに飲料大手企業ペプシコに対する象徴的な訴訟で主役を演じた。

 そして今、海兵隊所属の同機はドローン戦への新たな役割に適応しつつ最後の戦いに備えている。

 4月、海兵隊の最後の2人のハリアーパイロットが飛行資格を獲得し、7509軍特殊任務の終わりを告げた。かつては2025年に退役すると予想されていたハリアーは、現在では2026年9月まで飛行する予想で、残るの2個ハリアー飛行隊は、F-35B短距離離陸・垂直上昇(STOVL)統合打撃戦闘機の配備に移行する。

 ジョシュア・コルベット少佐は、スヴェン・ヨルゲンセン少佐とともに、ハリアーの最後のパイロットとなった。「ハリアーは、私が出会った多くの航空機以上に、感情的な反応を引き起こします。一般市民、航空関係者、海兵隊員、そして特にハリアーのパイロット・コミュニティーのメンバーにとっては、ほろ苦いものです。すべての良いものには終わりがあり、もうすぐ私たちの番が来るが、まだその時ではない」。


新しいタイプの航空機

水陸両用部隊として陸上でも艦船外でも活動する海兵隊には、従来の戦闘機では対応できなかった独自の航空ニーズが長い間あった。2002年にLAタイムズが報じたように、このようなニーズを満たす航空機の構想は、ガダルカナルやツラギといった第二次世界大戦の戦いから生まれたものだ。

 「空中の海兵隊員は地上の海兵隊員を守るべきだという教訓は、それ以来、海兵隊の理念の中心となっている」と同紙は書いている。

 ハリアー・ジャンプ・ジェットの登場だ。ホーカー・シドレー社がイギリス海軍向けに初めて開発したこの単発戦闘機は、4つの回転ノズルを持つターボファンで短距離離陸と垂直着陸を可能にした。これにより、航空機は効果的にホバリングし、空母やさらに小さな水陸両用艦船の小さな甲板でも正確に離着陸できる。ホバリングは2秒で1ガロンという大量の燃料を消費するが、航空機乗務員を長い滑走路の制約から解放し、新たな運用環境を切り開くことができる。

 海兵隊は、英国人エンジニアとの一連の初期共同研究を経て、1976年に後のマクドネル・ダグラスAV-8Bハリアーとなった機体の開発に着手し、予算問題や官僚主義と戦いながら1985年に就役させた。1990年代に、ハリアーは最初の大きな紛争に遭遇することになる。


実証された戦闘能力

Harrier jet hovers

An AV-8B Harrier hovers during the Marine Corps Community Services sponsored 2015 Air Show aboard Marine Corps Air Station Miramar, San Diego, Calif., October 4, 2015. The air show showcases civilian performances and the aerial prowess of the armed forces but also, their appreciation of the civilian community’s support and dedication to the troops. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Trever Statz/Released)


 湾岸戦争におけるハリアーは、さまざまな評価を受けた。Air and Space Forces Magazine誌によれば、84機のハリアーは、近接航空支援と航空阻止の任務で合計3,400回という素晴らしい出撃を行った。ハリアーは紛争で5機が失われ、2人のパイロットが死亡した。

 しかし、1996年に『Proceedings』誌に寄稿したセオドア・ハーマン退役中佐(海兵隊飛行士のキャリアを持つマクドネル・ダグラスのプログラム・マネージャー)は、この批判に異議を唱えた。

 「一般にはほとんど知られていないが、海兵隊のハリアーは最初から最後まで戦場にいた。「陸上でも海上でも、常に宣伝していたように戦闘のすぐそばを拠点とし、大量の兵器を運搬した。その任務は、戦場での航空阻止、ヘリコプター護衛、戦場での準備、近接航空支援など多岐にわたった」。

 いずれにせよ、ハリアーはその後の戦争でその実力を証明する機会が増えることになる。ハリアーは、9.11同時多発テロ後の2001年11月、アフガニスタンに対する最初の空爆に参加した。そして2001年12月、ハリアー飛行隊は新設された前線基地カンダハルに配備され、20年にわたる近接航空支援と攻撃任務を開始した。

 イラクの自由作戦では、AV-8Bが揚陸艦を「ハリアー空母」に変え、海兵遠征部隊の兵力投射を拡大した。海軍と海兵隊の将校たちは、2004年に『Proceedings』誌に強襲揚陸艦USSバターンとUSSボノム・リシャールから出撃した飛行隊が、戦争初期に250トン以上の弾薬を使用し、約1,200箇所の目標に損害を与えたか、あるいは撃退したと寄稿している。


ハリアーのためにペプシと戦う

ハリアーは通学の手段としては適当ではないが....

ハリアーはまた、ポップカルチャーのスポットライトを浴びる瞬間もあった。ペプシの新しい特典交換プログラムでの1995年のコマーシャルが有名で、ジャンプジェットがホバリングして校舎の外に垂直着陸し、高校生がコックピットから飛び降りると教室内の書類が飛ぶというものだった。「確かにバスよりはましだ」とのセリフつきだった。

 この広告を象徴的なものにしたのは、そしてペプシにとって頭痛の種となったのは、画面上のジェット機の下に流れたテロップだった: "7,000,000ペプシポイント"。

 視聴者のジョン・レナードはこれをオファーと受け取り、実際にかなりお得だと計算した。ペプシポイントを1ポイント10セントで購入できることを知った彼は、ペプシコ社に15ポイントのラベルと、残りの費用を賄うための70万8,008ドル50セントの小切手を送った。ソーダ会社がハリアーを届けなかったので、彼は契約違反と詐欺で訴えた。レナードは敗訴したが、ニューヨーク連邦地裁のキンバ・ウッド判事による判決は、記憶に残るものとなった。

 ハリアージェットが、地表や空中の標的の攻撃や破壊、武装偵察や航空阻止、そして攻撃的・防御的対空戦において十分に文書化されている機能に照らせば、「このようなジェット機を朝の通学手段として描写することは、原告が主張するように、このジェット機が(軍事利用の可能性を)排除する形で入手可能であったとしても、明らかに重大なことではない」とウッドは書いている。

 また、「生徒の乗る戦闘機に着陸スペースを提供したり、戦闘機の使用が引き起こす混乱を容認する学校はないだろう」と付け加えた。

 2022年のネットフリックスのシリーズがこの話を詳しく検証している。ペプシは懲りずに後日このCMを再リリースするが、ハリアーのために7億ペプシポイントが必要とする最新のサイロンに差し替えた。


ドローン・ディフェンダーとして

ノースカロライナ州チェリーポイントのVMA-223ブルドッグ隊が2026年にF-35に完全移行するのを最後に、ハリアーは黄昏のツアーを続けている。紅海上のUSSバターンに配備されたハリアーは、イエメン沖を拠点とするイランからの支持を受けた反政府勢力フーシが展開する自爆攻撃ドローンに対抗する役割を担っている。

 ハリアーパイロットのアール・エアハート少佐へのBBCのインタビューによると、少なくとも1機のハリアーが防空用に「改造」され、ミサイルを搭載しているという。ハリアーには7つのハードポイントがあり、9,200ポンド相当の兵器を搭載できるが、燃料消費が激しいため、兵装とのトレードオフが必要になる。GAU-12イコライザー25ミリ5連装キャノン砲も搭載可能だ。

 ハリアーの対ドローン活動の実態は完全には明らかになっていないが、エアハート少佐自身は7機のドローンを迎撃したと語った。

 ハリアーは海兵隊にSTOVLのコンセプトを導入した。

 そして海兵隊にとって、ある将軍が言ったとされる、同機は "祈りへの答え "となったという表現がぴったりだろう。■


The fighter jet that got Pepsi sued is approaching retirement | Sandboxx

MILITARY AFFAIRS

BY HOPE SECK

APRIL 25, 2024


2022年10月8日土曜日

台湾へ海兵隊の剰余AV-8の売却を。台湾防衛で想定してきた前提が崩れつつある。海兵隊は数年でAV-8を全廃する。

 

The Time For Taiwan To Adopt Surplus AV-8B Harriers Is Now

U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Jason T. Poplin

脅威に直面する台湾にはAV-8Bハリアーが今すぐ必要だ

 

湾がAV-8ハリアーを取得する構想は前からある。象徴的な「ジャンプ・ジェット」を台湾軍が取得する噂が絶えなかったし、それを反映した記事もたくさんあった。しかし、状況が変わり、台湾のハリアー装備に反対する根拠が大きく崩れてきた。ハリアーの性能とアップグレードの可能性が変化した。取得をとりまく状況も変わった。さらに重要なこととして、台湾の安全保障状況は変化し、著しく悪い方向に向かっている。

中国は急速に軍事大国に成長し、威嚇や武力によって台湾の支配権を取り戻そうとしている。人民解放軍の戦力がいかに急速に進化しているかについては、何千もの言葉を費やすことができる。このサイトを毎日ご覧になっている方なら、具体的にどのようなものか、よくお分かりだろう。中国が台湾を包囲し、船舶や航空機が台湾に到着する前に、弾道ミサイルと巡航ミサイル、そして神風ドローンを大量に投下する可能性は、厳然たる事実として存在する。

 

人民解放軍空軍の長距離戦力投射能力は、この10年で大きく変化した。 PLAAF

大陸による大規模な攻撃に対し安全な避難場所と考えられていた台湾島の東側は、中国の海軍、長距離航空、ミサイルの能力の進歩で、大きな危機に瀕している。台湾の防空網がこの猛攻撃の一部を鈍らせる期待があるが、それも危険になっている。計算は台湾に不利であり、しかも日を追うごとに悪化している。中国の最重要ターゲットは、防空施設、早期警戒レーダーサイト、指揮統制ノード、港湾施設、そしてもちろん滑走路だろう。

 

中国軍でも海軍が最も急成長している部門であり、台湾を西と東から持続的な攻撃で危険にさらするのを狙っている。 (PLAN)

台湾空軍には地上滑走路の制約がついてまわる。分散作戦に対応するため建設された高速道路があるが、位置は既知で、簡単に標的となる。

台湾には、固定翼戦術機が猛攻に耐えられる施設があるが、最も必要とされるときに実際に出撃させることはできない。幸運にも地上に降り立った航空機に、帰る場所があるのかという疑問は、ますます現実のものとなってきた。中国軍の介入作戦の開始直後の重要時期に、既存の滑走路や誘導路、長く伸びた特別設計の高速道路が枯渇しないはずはない。

 

台湾東海岸の空軍基地にある「ジェットケイブ」内で、ハープンを搭載する台湾のF-16V。 (ROCAF)

その結果、台湾の貴重な航空戦力は、準備の整った作戦区域に依存し、無力化されなくても、著しく縮小される。台湾が戦略とする東側の堅固な防護施設と道路運用への投資は、10年前なら適切だったかもしれないが、今日では非常に疑問だ。

 

中国は弾道ミサイルを大々的に整備しており、台湾の飛行場にとって大きな問題だ。DF-15が発射されている。 (PLA)

短距離離陸・垂直着陸機といえば、台湾はF-35B戦闘機を望んでいると指摘する向きがある。理解できるが、台湾がF-35Bを、あるいはF-35を手に入れることは、多くの理由で現時点では不可能だ。中華民国空軍の旧式F-16A/Bを更新し、最終的に新造F-16を販売するだけでも、大規模かつ拷問に等しい試練だった。また、台湾にF-35を配備させると、技術的に大きなリスクが生まれる。したがって、台湾が共用打撃戦闘機をすぐ手に入れることはないだろう。しかし、それが最終的な目標であったとしても、ハリアーが長い滑走路に依存しない戦術ジェット機能力を10年ほど提供できれば、そのころまでにはF-35Bが現実的な選択肢となり、無人装備も成熟している可能性がある。

 

巡航ミサイルと通信用のデータリンクポッドを搭載した中国のH-6爆撃機に迎撃する台湾のF-16。 (ROCAF)

F-35Bは高価格かつ複雑な支援インフラに依存する。台湾が攻撃を受ける間に出撃できる能力は、平時でさえ準備とサプライチェーンの問題に悩まされている同機では理想的とは言えないかもしれない。ハリアーは、はるかにシンプルな機体で、ロジスティック・フットプリントも小さく、技術リスクもほとんどない。しかも、無料だ。米海兵隊は同型機を完全退役させ、部隊を約58機にまで絞り込む(2022年晩冬時点)。約半年で、完全になくなってしまう。しかも各機はアップグレードが施されており、最終的に現役を退くまで、さらにアップグレードが続けられる。現在、最前線のAV-8Bはすべてレーダー搭載のAV-8B+で、このレーダーは台湾にとって絶対的に重要な要素だ。

既存の52機のAV-8Bの平均機齢は23年。2022年海兵隊航空運行計画より

AV-8B+には、F/A-18A/Bホーネットから移植されたAN/APG-65レーダーが搭載されている。海兵隊のレーダー搭載機はイギリスのシーハリアーFA2に続いて、AIM-120 AMRAAMを搭載し飛行するようになった。現在のハリアーは、可視距離超えの空対空能力をしっかり備えた、真のマルチロール戦術機となっている。

 

2012年8月14日、フロリダの空で初めて運用されるAIM-120高性能中距離空対空ミサイルを撃つ海兵隊攻撃飛行隊214のAV-8Bハリアー(USMC)

しかし、AN/APG-65が就役して、レーダー技術は大きく進歩し、ハリアーに中古で購入した。現在は、AN/APG-65など一般的なレーダーを搭載する航空機向けに、プラグアンドプレイのAESA(Active Electronically Scanned Array)レーダー・ソリューションが提供されている。これには、レガシーホーネット用のAN/APG-79(V)4も含まれる。

 

 

USSマキンアイランドに搭載のAV-8Bハリアーで、AN/APG-65レーダーを前方に引き出し露出させているのが見える。 (USMC)

スーパーホーネットのAESAを少しスケールダウンしたものだが、AN/APG-79ファミリーの一員であり、常にアップグレードと強化が行われている。重要なことは、既存製品であるということだ。

ということで、何を言おうとしているのか、おわかりいただけると思う。

 

左:AMRAAMとサイドワインダーを搭載したAV-8B+。右:シー・ハリアーFA2。4連装のAMRAAMを搭載したシーハリアーFA2。 (Public Domain/RN)

航空機とサポートインフラの導入にかかる費用と、1機あたりレーダーのアップグレードにかかる数百万ドルで、台湾は、狭い土地で運用できる実績ある短距離離陸・垂直着陸機(STOVL)を手に入れ、最先端の空対空ミサイルを運用できるのだ。AESAレーダーは、より広い範囲、忠実度、高速スキャン、優れた信頼性、電子飽和の戦闘環境での優れた性能を提供し、電子攻撃や高速通信システムとしても機能できる。何よりも、AESAは巡航ミサイル、ドローン、ステルス機など、低空飛行でレーダー断面積の小さい標的の探知がはるかに優れている。そのため、防衛を任務とする米国の戦闘機部隊にはAESAレーダーが搭載され、その取り組みは現在、米空軍全体に広がっている。

巡航ミサイルによる台湾への脅威は、ドローンやステルス性の高い有人・無人航空機による脅威と同様、非常に大きい。AESA搭載のハリアーは、台湾の防空ニーズへ非常によく調整された能力を提供する。遠隔地への展開による生存能力があり、迅速に給油、再武装し、前方給油・給油ポイント(FARPs)から台湾の防衛に戻ることができる。

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海兵隊F/A-18Cに搭載されるAN/APG-79(V)4 AESA。 Raytheon

AESAレーダーは、ハリアー+のAN/APG-65レーダーセットの射程を超え、「ネットワーク化」されている新型AIM-120の利用もでき、第三者によるターゲティングなどあらゆる戦術を可能にする。小型の空対空ミサイルやレーザー誘導ロケットも開発中で、AESAレーダーならではの巡航ミサイルやドローンへの対抗能力を拡大できる。

レーダーの技術的なリスクはどうか?AESAレーダーは台湾のF-16Vにも搭載されおり、台湾向けの新造Block70にも搭載される予定なので、問題ないだろう。

AV-8Bは、対艦ミサイル、誘導爆弾、スタンドオフ兵器、各種近接航空支援兵器など、各種兵器を搭載でき、必要に応じ新型兵器を搭載することも可能だ。台湾の領空を守るのと同様に、水上軍艦、ひいては水陸両用攻撃からの防衛でも貴重な存在となり得る。台湾はAGM-84ハープーン対艦ミサイルで重武装しており、さらに多くのミサイルを搭載する予定だが、大型滑走路に依存する航空機は、戦闘が始まるとせいぜい1回以上配備できるかどうかだろう。

それは非常に疑問の残る提案だ。

 

レーザーおよびGPS誘導爆弾とLITENING照準ポッドを搭載した米海兵隊AV-8B+。 (U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Becky Calhoun/Released)

一方、ハリアーは、短い滑走路や損傷を受けた飛行場でも活動可能だ。これで台湾が支配する離島を含む分散基地を活用したり、台湾の主要な空軍基地が損傷しても、強化された「ジェット洞窟」から運用を継続する場合に特に有効だ。

つまり、同機は中国へのワイルドカードとなる。ハリアーによって、台湾の固定翼機の作戦区域が閉鎖されても、中国は台湾の高速ジェット戦術航空戦力を消滅させることはできない。

AV-8Bは信頼性に欠け、老朽化しているとの指摘もある。現在の米軍AV-8Bハリアーは新しくないが、米軍の戦術機の基準からすると比較的若く、平均機齢は23年だ。それだけに、比較的信頼性の低い機体ではないことは確かだ。同機の任務遂行能力は、多くの戦術ジェット機、特にF-35Bを完全に凌駕している

 

USSペリリュー(LHA-5)の格納庫でAV-8Bハリアーの整備を行う海兵隊員。 (USMC)

2022年4月現在、ミッション対応ハリアーの稼働率は83%という驚異的な数字になっている。メンテナンスが必要なメカニカルスキャンアンテナがない新型AESAレーダーや、その他の古い部品があれば、数字はさらに上昇する可能性がある。すべてが台湾に利益をもたらす。

AIM-9MとAIM-120Bの捕獲訓練弾を搭載し、出撃準備をする米海兵隊のAV-8B+。 (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Cody Rowe)

多くのハリアーが急速に退役し、さらに米国は英国のGR7/GR9ハリアー全機を予備として少額で手に入れているため、台湾は今後何年も同機を運用できるはずだ。しかし、台湾には優れた航空産業があり、ボーイングの協力を得て、維持問題を解決できる。そうすれば、台湾にとって産業面で非常に有益になる。また、台湾は米国のハリアーを無料で、あるいはほぼ名目だけの金額で手に入れることになる。台湾が負担しなければならないのは、アップグレード費用と、AV-8Bプログラムを確立する費用だけとなる。

最大の障害は、訓練だろう。台湾のハリアー乗組員を訓練するのは誰だろうか。

一定期間後は台湾で訓練できるはずだ。しかし、それは簡単ではないだろう。ハリアーは操縦が難しいことで有名だが、あるハリアーの教官パイロットによると、その他機材のパイロットを採用することで、訓練が容易になるという。スペインはハリアー運用を継続しており、台湾が何機購入するかによって、米国の余剰機が他の顧客に渡る可能性は大いにある。また、イタリアの機体もどこかに渡る可能性があり、ハリアーに関する国際協力がさらに進む可能性がある。実際、米国のハリアーは退役後に注目の的となると予想されており、トルコなどが興味を示している。

AV-8Bの亜音速性能と驚異的とは言えないドッグファイト能力は、非常に重要な注意点があるとはいえ、中国に対し不利になる場合もある。トレードオフは常にあるが、ヘルメット装着型キューイングシステム/ヘルメット装着型ディスプレイ、高オフボアサイト短距離空対空ミサイル、真のビヨンドレンジミサイル能力があれば、これは問題でなくなる。また、最高の状況認識を可能にするLink 16も拡張され、本格的に優位に立てるだろう。AV-8Bは退役するまでに、AIM-9XブロックIIサイドワインダーミサイルの発射能力とLink 16接続のアップグレードを受ける予定だ。ヘルメット装着型ディスプレイは台湾が注文しなければならないアップグレードだが、既製ソリューションもあり、強化されたLink 16と組み合わせれば、状況認識が格段に向上する。

F-16Vは高性能でとくに空対空戦で威力を発揮する。しかし、ハリアーが同じAESAレーダーを搭載することで、その優位性は狭まる。また、洞窟に閉じ込められ、出撃後に着陸できず、脆弱な滑走路で破壊されるなら、その能力にどんな意味があるのだろうか。

台湾が中国共産党に対抗するために、より高度な戦闘機を手に入れることは素晴らしいが、台湾の航空基地に対する脅威は、防空設備の強化以外何ら改善されていない。これは数字のゲームであり、中国はその計算方法を熟知している。北京が台湾の防空網を多方面から圧倒することは間違いない。

台湾は、滑走路に依存しない戦術ジェット機の必要性を否定しているようだが、中国はその見落としを利用し、その周辺にプレイブックを構築している。この方程式にハリアーを導入すれば、北京の戦争計画を複雑にし、戦術的な前提を覆すことになる。■

 

 

 

 

 

最新の地図ではないが、中国が台湾の航空兵力を無力化するために直面する目標が限定的なことを一般的に示している。台湾には飛行場がある離島もあり、中国のミサイル部隊の主要なターゲットとなる (Globalsecurity.org)

多かれ少なかれ、戦闘機と付随するすべてを台湾に提供し、訓練と後方支援によって部隊を立ち上げることには、米国に質的な限界があるかもしれないが、中国軍にとって侵略ができるだけ高くつくように、できることはすべて行うという強いメッセージを北京に送ることになる。また、ハリアーのアップグレードがいかに強力であろうと、中国が大規模エスカレーションを主張するのは難しくなろう。台湾の既存のF-16A/Bをアップグレードし、最終的にブロック70のF-16を購入する際にも、同じような外交的な枠組みが使われた。

 

揚陸強襲揚陸艦 USS キアサージ(LHD 3)艦内で、メンテナンス作業でAV-8B ハリアーからエンジンを吊り上げる海兵攻撃飛行隊(VMA)542 の隊員。 (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Tom Gagnier/RELEASED)



台湾が戦術ジェット部隊を拡大する必要性は明らかであり、能力が不足し、サポートが非常に困難になった旧型ジェット機を処分する必要性も明らかだ。台湾に残る約25機の前線用F-5と45機のミラージュ2000-5が、最も顕著な例だ。こうした機体をハリアーに置き換えることで、台湾多様な能力を持つことになる。


少なくとも、ハリアーが米海兵隊運用で最終局面を迎えている今、台湾に最高の状態の機体を配備する考えを、慎重に検討すべきだろう。各機が入手可能であること、レーダーの大幅なアップグレードが容易であること、台湾の高速ジェット機の運用地域があらゆる方向からのPLAの猛攻に耐える可能性が極めて低いという厳しい現実と相まって、非常に魅力的なオプションとして真剣に検討されるべきだ。米海兵隊のハリアー完全廃止までまだ数年残っている。■


The Time For Taiwan To Adopt Surplus AV-8B Harriers Is Now

BYTYLER ROGOWAY| PUBLISHED OCT 6, 2022 3:19 PM

THE WAR ZONE