米海軍写真/二等兵曹 デビッド・ブランデンバーグ
米海兵隊のAV-8Bハリアーが夕陽に向け飛び去った
The USMC’s AV-8B Harrier Has Flown Off Into The Sunset
「ハリアー・サンダウン」式典は、50年以上にわたる海兵隊の垂直離着陸機運用に幕を下ろした
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トーマス・ニューディック
2026年6月3日 午前9時42分(米国東部夏時間)公開
軍事航空、ISR、 無人機、サイバー、宇宙、安全保障、最新技術....防衛産業、軍事航空、軍用機、防衛関連宇宙開発等の最新技術動向を海外メディアからご紹介します。民間航空のニュースは「ターミナル1」をご覧ください。航空事故関連はT4へどうぞ。無断転載を禁じます。YouTubeでご利用の際はあらかじめご連絡ください。
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“If they don’t have enough F-35Bs to do the job, then, well, it’s up to the last of the Harriers," an expert said.
Published Nov 21, 2025 2:54 PM EST
https://taskandpurpose.com/news/marines-harriers-caribbean-buildup-venezuela/
歴史に残る機体(37)もともとは英国がこつこつ開発を進めた機体を米国がライセンス権を取得し、海兵隊仕様に手を入れたのがAV-8です。そのハリアーもいよいよ供用期間に幕をおろそうとしており、あらためて同機の活躍ぶりをまとめたSandboxx記事をお伝えしましょう。
ペプシを訴えた戦闘機が引退を迎える
An AV-8B Harrier from Marine Attack Squadron (VMA) 214 performs a vertical takeoff from the flight deck of the amphibious assault ship USS Boxer (LHD 4). Boxer is underway conducting training off the coast of Southern California. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Oscar N. Espinoza/Released)
AV-8Bハリアージェットは、約40年にわたる活躍の中で、クウェートでサダム・フセイン軍に対する近接航空支援、紅海上空でのフーシ派の無人機迎撃、さらに飲料大手企業ペプシコに対する象徴的な訴訟で主役を演じた。
そして今、海兵隊所属の同機はドローン戦への新たな役割に適応しつつ最後の戦いに備えている。
4月、海兵隊の最後の2人のハリアーパイロットが飛行資格を獲得し、7509軍特殊任務の終わりを告げた。かつては2025年に退役すると予想されていたハリアーは、現在では2026年9月まで飛行する予想で、残るの2個ハリアー飛行隊は、F-35B短距離離陸・垂直上昇(STOVL)統合打撃戦闘機の配備に移行する。
ジョシュア・コルベット少佐は、スヴェン・ヨルゲンセン少佐とともに、ハリアーの最後のパイロットとなった。「ハリアーは、私が出会った多くの航空機以上に、感情的な反応を引き起こします。一般市民、航空関係者、海兵隊員、そして特にハリアーのパイロット・コミュニティーのメンバーにとっては、ほろ苦いものです。すべての良いものには終わりがあり、もうすぐ私たちの番が来るが、まだその時ではない」。
新しいタイプの航空機
水陸両用部隊として陸上でも艦船外でも活動する海兵隊には、従来の戦闘機では対応できなかった独自の航空ニーズが長い間あった。2002年にLAタイムズが報じたように、このようなニーズを満たす航空機の構想は、ガダルカナルやツラギといった第二次世界大戦の戦いから生まれたものだ。
「空中の海兵隊員は地上の海兵隊員を守るべきだという教訓は、それ以来、海兵隊の理念の中心となっている」と同紙は書いている。
ハリアー・ジャンプ・ジェットの登場だ。ホーカー・シドレー社がイギリス海軍向けに初めて開発したこの単発戦闘機は、4つの回転ノズルを持つターボファンで短距離離陸と垂直着陸を可能にした。これにより、航空機は効果的にホバリングし、空母やさらに小さな水陸両用艦船の小さな甲板でも正確に離着陸できる。ホバリングは2秒で1ガロンという大量の燃料を消費するが、航空機乗務員を長い滑走路の制約から解放し、新たな運用環境を切り開くことができる。
海兵隊は、英国人エンジニアとの一連の初期共同研究を経て、1976年に後のマクドネル・ダグラスAV-8Bハリアーとなった機体の開発に着手し、予算問題や官僚主義と戦いながら1985年に就役させた。1990年代に、ハリアーは最初の大きな紛争に遭遇することになる。
実証された戦闘能力
An AV-8B Harrier hovers during the Marine Corps Community Services sponsored 2015 Air Show aboard Marine Corps Air Station Miramar, San Diego, Calif., October 4, 2015. The air show showcases civilian performances and the aerial prowess of the armed forces but also, their appreciation of the civilian community’s support and dedication to the troops. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Trever Statz/Released)
湾岸戦争におけるハリアーは、さまざまな評価を受けた。Air and Space Forces Magazine誌によれば、84機のハリアーは、近接航空支援と航空阻止の任務で合計3,400回という素晴らしい出撃を行った。ハリアーは紛争で5機が失われ、2人のパイロットが死亡した。
しかし、1996年に『Proceedings』誌に寄稿したセオドア・ハーマン退役中佐(海兵隊飛行士のキャリアを持つマクドネル・ダグラスのプログラム・マネージャー)は、この批判に異議を唱えた。
「一般にはほとんど知られていないが、海兵隊のハリアーは最初から最後まで戦場にいた。「陸上でも海上でも、常に宣伝していたように戦闘のすぐそばを拠点とし、大量の兵器を運搬した。その任務は、戦場での航空阻止、ヘリコプター護衛、戦場での準備、近接航空支援など多岐にわたった」。
いずれにせよ、ハリアーはその後の戦争でその実力を証明する機会が増えることになる。ハリアーは、9.11同時多発テロ後の2001年11月、アフガニスタンに対する最初の空爆に参加した。そして2001年12月、ハリアー飛行隊は新設された前線基地カンダハルに配備され、20年にわたる近接航空支援と攻撃任務を開始した。
イラクの自由作戦では、AV-8Bが揚陸艦を「ハリアー空母」に変え、海兵遠征部隊の兵力投射を拡大した。海軍と海兵隊の将校たちは、2004年に『Proceedings』誌に強襲揚陸艦USSバターンとUSSボノム・リシャールから出撃した飛行隊が、戦争初期に250トン以上の弾薬を使用し、約1,200箇所の目標に損害を与えたか、あるいは撃退したと寄稿している。
ハリアーのためにペプシと戦う
ハリアーは通学の手段としては適当ではないが....
ハリアーはまた、ポップカルチャーのスポットライトを浴びる瞬間もあった。ペプシの新しい特典交換プログラムでの1995年のコマーシャルが有名で、ジャンプジェットがホバリングして校舎の外に垂直着陸し、高校生がコックピットから飛び降りると教室内の書類が飛ぶというものだった。「確かにバスよりはましだ」とのセリフつきだった。
この広告を象徴的なものにしたのは、そしてペプシにとって頭痛の種となったのは、画面上のジェット機の下に流れたテロップだった: "7,000,000ペプシポイント"。
視聴者のジョン・レナードはこれをオファーと受け取り、実際にかなりお得だと計算した。ペプシポイントを1ポイント10セントで購入できることを知った彼は、ペプシコ社に15ポイントのラベルと、残りの費用を賄うための70万8,008ドル50セントの小切手を送った。ソーダ会社がハリアーを届けなかったので、彼は契約違反と詐欺で訴えた。レナードは敗訴したが、ニューヨーク連邦地裁のキンバ・ウッド判事による判決は、記憶に残るものとなった。
ハリアージェットが、地表や空中の標的の攻撃や破壊、武装偵察や航空阻止、そして攻撃的・防御的対空戦において十分に文書化されている機能に照らせば、「このようなジェット機を朝の通学手段として描写することは、原告が主張するように、このジェット機が(軍事利用の可能性を)排除する形で入手可能であったとしても、明らかに重大なことではない」とウッドは書いている。
また、「生徒の乗る戦闘機に着陸スペースを提供したり、戦闘機の使用が引き起こす混乱を容認する学校はないだろう」と付け加えた。
2022年のネットフリックスのシリーズがこの話を詳しく検証している。ペプシは懲りずに後日このCMを再リリースするが、ハリアーのために7億ペプシポイントが必要とする最新のサイロンに差し替えた。
ドローン・ディフェンダーとして
ノースカロライナ州チェリーポイントのVMA-223ブルドッグ隊が2026年にF-35に完全移行するのを最後に、ハリアーは黄昏のツアーを続けている。紅海上のUSSバターンに配備されたハリアーは、イエメン沖を拠点とするイランからの支持を受けた反政府勢力フーシが展開する自爆攻撃ドローンに対抗する役割を担っている。
ハリアーパイロットのアール・エアハート少佐へのBBCのインタビューによると、少なくとも1機のハリアーが防空用に「改造」され、ミサイルを搭載しているという。ハリアーには7つのハードポイントがあり、9,200ポンド相当の兵器を搭載できるが、燃料消費が激しいため、兵装とのトレードオフが必要になる。GAU-12イコライザー25ミリ5連装キャノン砲も搭載可能だ。
ハリアーの対ドローン活動の実態は完全には明らかになっていないが、エアハート少佐自身は7機のドローンを迎撃したと語った。
ハリアーは海兵隊にSTOVLのコンセプトを導入した。
そして海兵隊にとって、ある将軍が言ったとされる、同機は "祈りへの答え "となったという表現がぴったりだろう。■
The fighter jet that got Pepsi sued is approaching retirement | Sandboxx
BY HOPE SECK
APRIL 25, 2024
U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Jason T. Poplin
脅威に直面する台湾にはAV-8Bハリアーが今すぐ必要だ
台湾がAV-8ハリアーを取得する構想は前からある。象徴的な「ジャンプ・ジェット」を台湾軍が取得する噂が絶えなかったし、それを反映した記事もたくさんあった。しかし、状況が変わり、台湾のハリアー装備に反対する根拠が大きく崩れてきた。ハリアーの性能とアップグレードの可能性が変化した。取得をとりまく状況も変わった。さらに重要なこととして、台湾の安全保障状況は変化し、著しく悪い方向に向かっている。
中国は急速に軍事大国に成長し、威嚇や武力によって台湾の支配権を取り戻そうとしている。人民解放軍の戦力がいかに急速に進化しているかについては、何千もの言葉を費やすことができる。このサイトを毎日ご覧になっている方なら、具体的にどのようなものか、よくお分かりだろう。中国が台湾を包囲し、船舶や航空機が台湾に到着する前に、弾道ミサイルと巡航ミサイル、そして神風ドローンを大量に投下する可能性は、厳然たる事実として存在する。
人民解放軍空軍の長距離戦力投射能力は、この10年で大きく変化した。 PLAAF
大陸による大規模な攻撃に対し安全な避難場所と考えられていた台湾島の東側は、中国の海軍、長距離航空、ミサイルの能力の進歩で、大きな危機に瀕している。台湾の防空網がこの猛攻撃の一部を鈍らせる期待があるが、それも危険になっている。計算は台湾に不利であり、しかも日を追うごとに悪化している。中国の最重要ターゲットは、防空施設、早期警戒レーダーサイト、指揮統制ノード、港湾施設、そしてもちろん滑走路だろう。
中国軍でも海軍が最も急成長している部門であり、台湾を西と東から持続的な攻撃で危険にさらするのを狙っている。 (PLAN)
台湾空軍には地上滑走路の制約がついてまわる。分散作戦に対応するため建設された高速道路があるが、位置は既知で、簡単に標的となる。
台湾には、固定翼戦術機が猛攻に耐えられる施設があるが、最も必要とされるときに実際に出撃させることはできない。幸運にも地上に降り立った航空機に、帰る場所があるのかという疑問は、ますます現実のものとなってきた。中国軍の介入作戦の開始直後の重要時期に、既存の滑走路や誘導路、長く伸びた特別設計の高速道路が枯渇しないはずはない。
台湾東海岸の空軍基地にある「ジェットケイブ」内で、ハープンを搭載する台湾のF-16V。 (ROCAF)
その結果、台湾の貴重な航空戦力は、準備の整った作戦区域に依存し、無力化されなくても、著しく縮小される。台湾が戦略とする東側の堅固な防護施設と道路運用への投資は、10年前なら適切だったかもしれないが、今日では非常に疑問だ。
中国は弾道ミサイルを大々的に整備しており、台湾の飛行場にとって大きな問題だ。DF-15が発射されている。 (PLA)
短距離離陸・垂直着陸機といえば、台湾はF-35B戦闘機を望んでいると指摘する向きがある。理解できるが、台湾がF-35Bを、あるいはF-35を手に入れることは、多くの理由で現時点では不可能だ。中華民国空軍の旧式F-16A/Bを更新し、最終的に新造F-16を販売するだけでも、大規模かつ拷問に等しい試練だった。また、台湾にF-35を配備させると、技術的に大きなリスクが生まれる。したがって、台湾が共用打撃戦闘機をすぐ手に入れることはないだろう。しかし、それが最終的な目標であったとしても、ハリアーが長い滑走路に依存しない戦術ジェット機能力を10年ほど提供できれば、そのころまでにはF-35Bが現実的な選択肢となり、無人装備も成熟している可能性がある。
巡航ミサイルと通信用のデータリンクポッドを搭載した中国のH-6爆撃機に迎撃する台湾のF-16。 (ROCAF)
F-35Bは高価格かつ複雑な支援インフラに依存する。台湾が攻撃を受ける間に出撃できる能力は、平時でさえ準備とサプライチェーンの問題に悩まされている同機では理想的とは言えないかもしれない。ハリアーは、はるかにシンプルな機体で、ロジスティック・フットプリントも小さく、技術リスクもほとんどない。しかも、無料だ。米海兵隊は同型機を完全退役させ、部隊を約58機にまで絞り込む(2022年晩冬時点)。約半年で、完全になくなってしまう。しかも各機はアップグレードが施されており、最終的に現役を退くまで、さらにアップグレードが続けられる。現在、最前線のAV-8Bはすべてレーダー搭載のAV-8B+で、このレーダーは台湾にとって絶対的に重要な要素だ。
既存の52機のAV-8Bの平均機齢は23年。2022年海兵隊航空運行計画より
AV-8B+には、F/A-18A/Bホーネットから移植されたAN/APG-65レーダーが搭載されている。海兵隊のレーダー搭載機はイギリスのシーハリアーFA2に続いて、AIM-120 AMRAAMを搭載し飛行するようになった。現在のハリアーは、可視距離超えの空対空能力をしっかり備えた、真のマルチロール戦術機となっている。
2012年8月14日、フロリダの空で初めて運用されるAIM-120高性能中距離空対空ミサイルを撃つ海兵隊攻撃飛行隊214のAV-8Bハリアー(USMC)
しかし、AN/APG-65が就役して、レーダー技術は大きく進歩し、ハリアーに中古で購入した。現在は、AN/APG-65など一般的なレーダーを搭載する航空機向けに、プラグアンドプレイのAESA(Active Electronically Scanned Array)レーダー・ソリューションが提供されている。これには、レガシーホーネット用のAN/APG-79(V)4も含まれる。
USSマキンアイランドに搭載のAV-8Bハリアーで、AN/APG-65レーダーを前方に引き出し露出させているのが見える。 (USMC)
スーパーホーネットのAESAを少しスケールダウンしたものだが、AN/APG-79ファミリーの一員であり、常にアップグレードと強化が行われている。重要なことは、既存製品であるということだ。
ということで、何を言おうとしているのか、おわかりいただけると思う。
左:AMRAAMとサイドワインダーを搭載したAV-8B+。右:シー・ハリアーFA2。4連装のAMRAAMを搭載したシーハリアーFA2。 (Public Domain/RN)
航空機とサポートインフラの導入にかかる費用と、1機あたりレーダーのアップグレードにかかる数百万ドルで、台湾は、狭い土地で運用できる実績ある短距離離陸・垂直着陸機(STOVL)を手に入れ、最先端の空対空ミサイルを運用できるのだ。AESAレーダーは、より広い範囲、忠実度、高速スキャン、優れた信頼性、電子飽和の戦闘環境での優れた性能を提供し、電子攻撃や高速通信システムとしても機能できる。何よりも、AESAは巡航ミサイル、ドローン、ステルス機など、低空飛行でレーダー断面積の小さい標的の探知がはるかに優れている。そのため、防衛を任務とする米国の戦闘機部隊にはAESAレーダーが搭載され、その取り組みは現在、米空軍全体に広がっている。
巡航ミサイルによる台湾への脅威は、ドローンやステルス性の高い有人・無人航空機による脅威と同様、非常に大きい。AESA搭載のハリアーは、台湾の防空ニーズへ非常によく調整された能力を提供する。遠隔地への展開による生存能力があり、迅速に給油、再武装し、前方給油・給油ポイント(FARPs)から台湾の防衛に戻ることができる。
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海兵隊F/A-18Cに搭載されるAN/APG-79(V)4 AESA。 Raytheon
AESAレーダーは、ハリアー+のAN/APG-65レーダーセットの射程を超え、「ネットワーク化」されている新型AIM-120の利用もでき、第三者によるターゲティングなどあらゆる戦術を可能にする。小型の空対空ミサイルやレーザー誘導ロケットも開発中で、AESAレーダーならではの巡航ミサイルやドローンへの対抗能力を拡大できる。
レーダーの技術的なリスクはどうか?AESAレーダーは台湾のF-16Vにも搭載されおり、台湾向けの新造Block70にも搭載される予定なので、問題ないだろう。
AV-8Bは、対艦ミサイル、誘導爆弾、スタンドオフ兵器、各種近接航空支援兵器など、各種兵器を搭載でき、必要に応じ新型兵器を搭載することも可能だ。台湾の領空を守るのと同様に、水上軍艦、ひいては水陸両用攻撃からの防衛でも貴重な存在となり得る。台湾はAGM-84ハープーン対艦ミサイルで重武装しており、さらに多くのミサイルを搭載する予定だが、大型滑走路に依存する航空機は、戦闘が始まるとせいぜい1回以上配備できるかどうかだろう。
それは非常に疑問の残る提案だ。
レーザーおよびGPS誘導爆弾とLITENING照準ポッドを搭載した米海兵隊AV-8B+。 (U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Becky Calhoun/Released)
一方、ハリアーは、短い滑走路や損傷を受けた飛行場でも活動可能だ。これで台湾が支配する離島を含む分散基地を活用したり、台湾の主要な空軍基地が損傷しても、強化された「ジェット洞窟」から運用を継続する場合に特に有効だ。
つまり、同機は中国へのワイルドカードとなる。ハリアーによって、台湾の固定翼機の作戦区域が閉鎖されても、中国は台湾の高速ジェット戦術航空戦力を消滅させることはできない。
AV-8Bは信頼性に欠け、老朽化しているとの指摘もある。現在の米軍AV-8Bハリアーは新しくないが、米軍の戦術機の基準からすると比較的若く、平均機齢は23年だ。それだけに、比較的信頼性の低い機体ではないことは確かだ。同機の任務遂行能力は、多くの戦術ジェット機、特にF-35Bを完全に凌駕している
USSペリリュー(LHA-5)の格納庫でAV-8Bハリアーの整備を行う海兵隊員。 (USMC)
2022年4月現在、ミッション対応ハリアーの稼働率は83%という驚異的な数字になっている。メンテナンスが必要なメカニカルスキャンアンテナがない新型AESAレーダーや、その他の古い部品があれば、数字はさらに上昇する可能性がある。すべてが台湾に利益をもたらす。
AIM-9MとAIM-120Bの捕獲訓練弾を搭載し、出撃準備をする米海兵隊のAV-8B+。 (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Cody Rowe)
多くのハリアーが急速に退役し、さらに米国は英国のGR7/GR9ハリアー全機を予備として少額で手に入れているため、台湾は今後何年も同機を運用できるはずだ。しかし、台湾には優れた航空産業があり、ボーイングの協力を得て、維持問題を解決できる。そうすれば、台湾にとって産業面で非常に有益になる。また、台湾は米国のハリアーを無料で、あるいはほぼ名目だけの金額で手に入れることになる。台湾が負担しなければならないのは、アップグレード費用と、AV-8Bプログラムを確立する費用だけとなる。
最大の障害は、訓練だろう。台湾のハリアー乗組員を訓練するのは誰だろうか。
一定期間後は台湾で訓練できるはずだ。しかし、それは簡単ではないだろう。ハリアーは操縦が難しいことで有名だが、あるハリアーの教官パイロットによると、その他機材のパイロットを採用することで、訓練が容易になるという。スペインはハリアー運用を継続しており、台湾が何機購入するかによって、米国の余剰機が他の顧客に渡る可能性は大いにある。また、イタリアの機体もどこかに渡る可能性があり、ハリアーに関する国際協力がさらに進む可能性がある。実際、米国のハリアーは退役後に注目の的となると予想されており、トルコなどが興味を示している。
AV-8Bの亜音速性能と驚異的とは言えないドッグファイト能力は、非常に重要な注意点があるとはいえ、中国に対し不利になる場合もある。トレードオフは常にあるが、ヘルメット装着型キューイングシステム/ヘルメット装着型ディスプレイ、高オフボアサイト短距離空対空ミサイル、真のビヨンドレンジミサイル能力があれば、これは問題でなくなる。また、最高の状況認識を可能にするLink 16も拡張され、本格的に優位に立てるだろう。AV-8Bは退役するまでに、AIM-9XブロックIIサイドワインダーミサイルの発射能力とLink 16接続のアップグレードを受ける予定だ。ヘルメット装着型ディスプレイは台湾が注文しなければならないアップグレードだが、既製ソリューションもあり、強化されたLink 16と組み合わせれば、状況認識が格段に向上する。
F-16Vは高性能でとくに空対空戦で威力を発揮する。しかし、ハリアーが同じAESAレーダーを搭載することで、その優位性は狭まる。また、洞窟に閉じ込められ、出撃後に着陸できず、脆弱な滑走路で破壊されるなら、その能力にどんな意味があるのだろうか。
台湾が中国共産党に対抗するために、より高度な戦闘機を手に入れることは素晴らしいが、台湾の航空基地に対する脅威は、防空設備の強化以外何ら改善されていない。これは数字のゲームであり、中国はその計算方法を熟知している。北京が台湾の防空網を多方面から圧倒することは間違いない。
台湾は、滑走路に依存しない戦術ジェット機の必要性を否定しているようだが、中国はその見落としを利用し、その周辺にプレイブックを構築している。この方程式にハリアーを導入すれば、北京の戦争計画を複雑にし、戦術的な前提を覆すことになる。■
最新の地図ではないが、中国が台湾の航空兵力を無力化するために直面する目標が限定的なことを一般的に示している。台湾には飛行場がある離島もあり、中国のミサイル部隊の主要なターゲットとなる (Globalsecurity.org)
多かれ少なかれ、戦闘機と付随するすべてを台湾に提供し、訓練と後方支援によって部隊を立ち上げることには、米国に質的な限界があるかもしれないが、中国軍にとって侵略ができるだけ高くつくように、できることはすべて行うという強いメッセージを北京に送ることになる。また、ハリアーのアップグレードがいかに強力であろうと、中国が大規模エスカレーションを主張するのは難しくなろう。台湾の既存のF-16A/Bをアップグレードし、最終的にブロック70のF-16を購入する際にも、同じような外交的な枠組みが使われた。
揚陸強襲揚陸艦 USS キアサージ(LHD 3)艦内で、メンテナンス作業でAV-8B ハリアーからエンジンを吊り上げる海兵攻撃飛行隊(VMA)542 の隊員。 (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Tom Gagnier/RELEASED)
台湾が戦術ジェット部隊を拡大する必要性は明らかであり、能力が不足し、サポートが非常に困難になった旧型ジェット機を処分する必要性も明らかだ。台湾に残る約25機の前線用F-5と45機のミラージュ2000-5が、最も顕著な例だ。こうした機体をハリアーに置き換えることで、台湾多様な能力を持つことになる。
少なくとも、ハリアーが米海兵隊運用で最終局面を迎えている今、台湾に最高の状態の機体を配備する考えを、慎重に検討すべきだろう。各機が入手可能であること、レーダーの大幅なアップグレードが容易であること、台湾の高速ジェット機の運用地域があらゆる方向からのPLAの猛攻に耐える可能性が極めて低いという厳しい現実と相まって、非常に魅力的なオプションとして真剣に検討されるべきだ。米海兵隊のハリアー完全廃止までまだ数年残っている。■
The Time For Taiwan To Adopt Surplus AV-8B Harriers Is Now
BYTYLER ROGOWAY| PUBLISHED OCT 6, 2022 3:19 PM