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2025年9月12日金曜日

シンガポールが次期海上哨戒機にP-8ポセイドンを選定(TWZ)―明確な国家戦略と安全保障の価値観からシンガポールは着実に装備を充実させています

 

F-35とP-8を導入するシンガポールは、地域で最も近代的な空軍力を急速に構築中だ

オーストラリア国防省

ンガポールは次期海上哨戒機(MPA)としてボーイングP-8Aポセイドンを正式に選定した。同機は、シンガポール空軍(RSAF)の老朽化したフォッカー 50 ターボプロップ機群に交代し、能力を大幅に向上させ、この地域でも有数の装備を誇る空軍の近代化が推進される。

シンガポール国防省は、同国の海上保安能力強化に向けた広範な取り組みの第 1 段階として、P-8A を 4 機購入すると発表した。チャン・チュンシン国防相は本日、ピート・ヘグセス米国国防長官と会談し、この決定を伝えた。

P-8 は、エアバス C295 MPA(双発ターボプロップ機)に優先して選定された。その前に、シンガポールは、米国海軍の退役 P-3を購入する選択肢も検討していた。

シンガポール国防省は声明で、P-8 取得により「シンガポール軍の海上状況認識能力と、水中脅威に対抗する能力が強化される」と述べた。現時点では、プログラムの費用や新型MPAの納入時期について言及はない。

シンガポール空軍(RSAF)が現在運用中の5機のフォッカー50エンフォーサーII MPAは1993年から運用されており、早急な更新が求められている。運用国が減少する中、同機の維持はますます困難になっており、スペアパーツを含む支援体制の確保に大きな疑問符が付いている。同機の特筆すべき特徴はAGM-84 ハープーン対艦ミサイルの発射能力だが、P-8とは異なり、対潜戦能力はない。

3月、当時のシンガポール国防相Ng Eng Henが計画を発表した。フォッカー機の代替調達に加え、新型潜水艦2隻と対ドローン能力を備えた新型歩兵戦闘車の購入を盛り込んだ。

2025年3月の公式資料。当時のシンガポール国防相Ng Eng Henの調達計画を示す。シンガポール国防省

一方、2023年にはボーイングとシンガポール政府系企業STエンジニアリング(STE)がP-8の維持管理に関する覚書(MoU)を締結した。これは他運用者の航空機整備にも拡大される可能性がある。

シンガポールにとってP-8は、現行のフォッカー50に比べ明らかな優位性をもたらす。

双発ターボプロップのフォッカー50、C295 MPA、P-3と比較して、P-8は機体が大きく、より多くの乗員、そして将来の能力追加のための余地を備えている。その性能上の優位性は、より長い航続距離、より高い運用高度(センサーの「視界」を拡大)、作戦地域へのより速い移動、そして到達後のより長い滞空時間を意味する。米海軍では、P-8による10時間を超える情報収集・監視・偵察任務は珍しくない。

C295 MPA. エアバス

性能上の優位性に加え、P-8は真の多目的プラットフォームでもある。兵器に加え、対潜戦、対水上戦、ISR、捜索救助(SAR)任務で使用する各種センサーを搭載する。これは、少なくとも一部のフォッカー50がISR用に構成されているとの報告を考慮すると重要かもしれない。これはP-8が標準装備の電子支援措置(ESM)スイートでカバーできる領域である。これによりポセイドンは、特に敵の防空システムや電子戦戦力構成に関する電子情報収集任務を遂行できる。さらにP-8は、極秘レーダーシステムであるAN/APS-154 先進空中センサー(AAS)の搭載機としての改造にも適している。P-8は高い相互運用性も備える。特に注目すべきは、マレーシアを除く五カ国防衛協定(FPDA)加盟国——オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、英国——が全て本機を発注している点だ。その他の運用国としてはノルウェー、インド、韓国が挙げられ、カナダとドイツも本機を採用している。

シンガポールにとって、P-8が最も重要な役割を果たすのは、中国が同地域における主張を強化するため強硬な動きを見せている南シナ海における緊張の高まりという文脈である。

中国は南シナ海のほぼ全域を自国領土と主張し、その立場を強化するため、同海域に人工島に軍事拠点群を建設するなど、活動を活発化させている

一方、シンガポール自身は南シナ海のいかなる部分にも領有権を主張しておらず、北京との良好な関係を維持しつつ、現在の紛争解決を地域的及び国際的機関を通じて繰り返し呼びかけている。

この背景には、同海域を縦横に往来する海上貿易へのシンガポールの強い依存がある。P-8の能力は、自国に近い沿岸海域、特に広域的な地域危機が発生した場合に容易に要衝となり得るマラッカ海峡でも発揮されるだろう。

こうした状況を踏まえ、シンガポールは海上戦力の刷新を進めており、P-8はその一環に過ぎない。

シンガポール海軍能力の継続的強化には、多目的戦闘艦(MRCV)6隻、フォーミダブル級フリゲート艦の改修、無人水上艦(USV)、既存4隻に加え追加配備される218SG型潜水艦2隻も含まれる。

中国が南シナ海でアクセス拒否・領域拒否(A2/AD)能力の拡大を続ける中、この課題はさらに深刻化している。人工島建設はその最も顕著な表れで、多くは既に、あるいは配備可能な状態にある長距離地対空ミサイル陸上配備型対艦防衛システム、さらにはH-6爆撃機を配備可能であり、危機発生時にはいかなる潜在的な敵対勢力に対しても重大な脅威となる。

このような状況下で、シンガポール空軍のP-8は、水上艦艇および潜水艦を監視する任務を担うことになる。中国人民解放軍海軍は現在、前例のない規模の拡大と近代化を進めている。

急速に拡大する中国の海洋能力を考慮すると、シンガポールはP-8のような高性能MPA(海上哨戒機)こそが、こうした動向に真正面から対抗できる唯一の合理的な選択肢と見なしている可能性が高い。

市場には他のMPAも存在する(ビジネスジェット機体を基にした、依然として能力はあるがよりコンパクトな機種など)。しかしP-8には実績があり、現在生産中であるという利点がある。同時に、これはシンガポールと米国の戦略的関係構築にも寄与する。

シンガポール空軍(RSAF)は、米国から供給されるF-35戦闘機による能力強化も期待している。昨年、シンガポールは従来の水平離着陸型(CTOL)F-35Aを8機追加発注し、これまでに発注済みの短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)F-35B12機に追加した。

シンガポール国防省は最近、空軍向けF-35 20機の生産が開始されたことを確認し、初号機は2026年末に納入予定である。

F-35とP-8が配備されれば、シンガポール空軍は極めて近代的で高性能な航空戦力を保有することになる。既に同国は、特に先進的なF-15およびF-16の各種機種、イスラエル製装備のガルフストリームG550空中早期警戒管制機(AEW&C)、A330多用途給油輸送機(MRTT)、AH-64D攻撃ヘリコプターなどを運用している。

フォッカー50を除けば、短期的に更新が必要なプラットフォームはシンガポール空軍のC-130輸送機群のみである。

オーストラリア在住の防衛・航空記者マイク・ヨー氏が本誌に語ったところによれば、「次の更新対象はC-130となる可能性が高い。最も古いC-130Bはほぼ70年を経ているが、これらは主に国内訓練用として使用されており、C-130の基準では比較的穏やかな運用歴であることに留意すべきだ。より新しいC-130Hモデルは、人道支援・災害救援(HADR)やシンガポールの海外訓練支援など、実際の作戦任務に使用されている」。

シンガポール空軍(RSAF)のC-130H。

C-130B/Hの後継機に関する決定はおそらく間もなく下され、C-130Jが有力候補となるだろう。

総面積が280平方マイル(約720平方キロメートル)未満、ロードアイランド州の4分の1以下の国がP-8を戦力に追加した事実は、シンガポールが国防をいかに真剣に捉えているかを改めて示すものだ。

本記事作成にあたりRoy Choo氏の協力を得た。■

P-8 Poseidon Officially Selected By Singapore As Its Next Maritime Patrol Aircraft

With F-35s and P-8s on order, Singapore is fast building one of the most modern air forces in the region.

https://www.twz.com/air/p-8-poseidon-officially-selected-by-singapore-as-its-next-maritime-patrol-aircraft

トーマス・ニューディック

スタッフライター

トーマスは防衛分野のライター兼編集者であり、軍事航空宇宙分野や紛争に関する取材歴は20年以上。多数の書籍を執筆・編集し、世界の主要航空専門誌にも寄稿。2020年にThe War Zoneに参加する前は、AirForces Monthlyの編集長を務めていた







2025年8月18日月曜日

シンガポールF-15のグアム訓練派遣が中止へ(Breaking Defense) — 訓練空域が確保できないシンガポールがグアムで訓練できなくなれば、日本がかわりに便宜供与してはいかがでしょうか

 

シンガポール国防省の声明には米国と合意した決定とある

2021年5月24日、グアムのアンダーセン空軍基地でシンガポール空軍の F-15SGが離陸する。シンガポール空軍は 2017年よりローテーション訓練でグアムに戦闘機を配備している。(写真:米空軍/上級空曹マイケル・S・マーフィー)

ンガポール国防省はグアムにシンガポールのF-15 戦闘機を配備して訓練を行う計画は中止になったことを本日、声明で認めた。ただし、戦闘機を支援するために、アンダーセン空軍基地のインフラ整備の一部は引き続き実施される。

声明によると、決定はシンガポールと米国の合意によるものとある。

8 月 8 日、Guam Daily Post が報じた米国空軍の発表によると、この決定は、運用分析、現地調査の結果、環境への影響、および一般市民や政府機関からの意見、軍事的な判断要因に基づいて下された。

同省は「シンガポール空軍(RSAF)のF-15戦闘機最大12機の配備や関連する航空機基地運営(一時的な支援航空機を含む)およびRSAF要員やその家族、関連する支援要員の一時的な増加は実施しない」と文書で明記している。

さらに、RSAFはアンダーセン空軍基地滑走路の北西側に、新たな駐機エリア、燃料供給システム、関連施設およびユーティリティを含む約20エーカーの新たなインフラを建設する。

ただし、近隣の弾薬貯蔵区域に弾薬庫を建設する関連計画は中止される。

基地インフラ拡張に関する環境影響評価書は、シンガポールの戦闘機部隊を支援するほか、「国際日付変更線以西の米国のプレゼンスを強化する重要なインフラを提供するため」と説明がある。

グアムは、北マリアナ諸島に位置する米国の未編入領土で大規模な米軍基地が展開されており、インド太平洋地域での地政学的緊張の高まりを受けて、今後数年間で追加の海兵隊部隊、長距離ミサイル、ミサイル防衛システムが配備される予定だ。

シンガポールは、戦略的に重要な位置にある小さな東南アジアの島国で、軍事訓練空域がなく、海外で訓練を頻繁に実施している。シンガポールは2019年に米国と合意を締結し、アンダーセン空軍基地にシンガポール空軍(RSAF)の戦闘機訓練部隊を設立する計画で、同部隊は2029年ごろ発足の予定だった。

シンガポール国防省は、10月から11月にかけて予定の短期の戦闘機訓練部隊の派遣は予定通り実施されると表明した。

シンガポールは海外基地に長期訓練部隊を配置しており、米国ではルーク空軍基地にF-16戦闘機、アリゾナ州のシルバーベル陸軍ヘリポートにAH-64攻撃ヘリコプター、アイダホ州のマウンテンホーム空軍基地にF-15戦闘機を配備している。

シンガポールは、各国向けF-35訓練施設が設置されているエビング州軍航空隊基地に、F-35ライトニングII戦闘機の訓練部隊を設置する計画だ。シンガポールは、インド太平洋地域における米軍のプレゼンスを強く支持しており、米軍の航空機や艦船を定期的に受け入れており、米海軍の沿海域戦闘艦のローテーション展開の前方作戦基地となっている。

Plans for Singapore F-15 training detachment in Guam cancelled

The decision was mutually agreed upon by Singapore and the US, according to a statement from Singapore's defense ministry.

By Mike Yeo on August 12, 2025 4:29 pm

https://breakingdefense.com/2025/08/plans-for-singapore-f-15-training-detachment-in-guam-cancelled/



2025年5月13日火曜日

シンガポールが218SG型潜水艦をTKMSに2隻追加発注(Naval News)

 Singapore orders two additional Type 218SG submarines to TKMSI

MDEXアジア2025のTKMSブースに展示された218SG型潜水艦のモックアップ



ィッセンクルップ・マリン・システムズは、シンガポール国防科学技術庁(DSTA)と218SG型潜水艦2隻の追加購入契約を締結し、シンガポール海軍のインヴィンシブル級潜水艦を6隻に増やすと発表した。


以下TKMSプレスリリースより


5月7日、ティッセンクルップ・マリン・システムズとシンガポール国防科学技術庁(DSTA)は、218SG型潜水艦2隻の追加建造契約を締結しました。この受注により、ティッセンクルップ・マリン・システムズの受注記録はさらに増加し、現在約160億ユーロに達します。海洋セクターの市場も引き続き好調です。

 ティッセンクルップ・マリン・システムズのオリバー・ブルクハルト最高経営責任者(CEO)はこう強調しております:「今回の受注拡大は、海軍造船における全般的に良好な市況のあらわれであり、当社の非常に充+実した受注残高をさらに拡大する機会を与えるものです。また、当社のパートナーシップは潜水艦の製造にとどまりまらず、シンガポールが再び当社に信頼を寄せてくれたことを誇りに思います。 私たちはこの国と深いつながりを感じており、当社製品で顧客の国の安全保障と防衛能力に貢献しています」。


Singapore orders two additional Type 218SG submarines to TKMS

IMDEXアジア2025でのTKMSブース


既存の生産能力内での生産

ティッセンクルップ・マリン・システムズによると、2040年代までの高い稼働率にもかかわらず、ドイツ国内の既存能力内で受注延長に対応できるという。2024年12月、同社はドイツ海軍向けの212CD型潜水艦4隻の追加、新型調査砕氷船「ポーラシュテルン」、新世代のフリゲート「F127」のプロジェクト立ち上げのための資金調達など、数十億ドル相当の大型受注を獲得した。


最高の技術要件

ティッセンクルップ・マリン・システムズは、シンガポールからの受注拡大に向けて、最高の技術要件にも注力している。 218SG型潜水艦の設計は、シグネチャーを最小限に抑えるように設計されている。 また、空気非依存推進システムにより、長時間の潜航ができる。「Invincible」、「Impeccable」、「Illustrious」、「Inimitable」に続き、合計6隻の潜水艦がシンガポール向けに建造されることになる。


本誌コメント

2025年3月、シンガポールのン・エンヘン国防相は、2028年までに運用開始予定の4隻に加え、さらに2隻のインヴィンシブル級潜水艦を調達する計画を、国会での供給委員会の討論で発表した。

 シンガポール海軍(RSN)は、4隻のインヴィンシブル級潜水艦のうち最初の2隻を2024年9月に就役させている。昨年4月に進水した最後の1隻は、今年後半に引き渡される予定だ。

 各潜水艦は2,200トン(潜水時)で、水中速力は15ノットを超える。 全長70メートル、直径6.3メートル。武装は8本の533mm魚雷発射管から展開される。218SG型は、TKMS214型をベースに、212A型の要素(Xルーダー部など)を取り入れたものだ。


Singapore orders two additional Type 218SG submarines to TKMS

  • Published on 08/05/2025

  • By Naval News Staff

  • In IMDEX Asia 2025, News


https://www.navalnews.com/event-news/imdex-asia-2025/2025/05/singapore-orders-two-additional-type-218sg-submarines-to-tkms/


2024年3月25日月曜日

最新鋭戦闘機のホットな市場として注目を集めるアジア:GCAP共同事業での日本の立ち位置、F-35・F-15EXの導入状況....

 次期戦闘機の輸出可能性をめぐり、人殺し兵器の輸出に反対などと方向違いの主張が出ていますが、国際共同開発として日本が他国と同じレベルに立つ必要があるわけで、これは感情やイデオロギーとは無縁のきわめて論理的な選択なわけです。それもあわせ、アジア・太平洋が新型機の大きな市場になりつつあるのを実感します。National Defesenがシンガポール航空ショーでの取材を元にうまくまとめてくれましたのでご紹介します。


BAE Systems image


最新鋭戦闘機のホットな市場として台頭するアジア


ンド太平洋地域は世界的なホットスポットとなりつつあり、航空宇宙産業や地域各国の軍用機、特に戦闘機でアップグレードに多額の投資が行われている。

 2月に開催されたシンガポール・エアショーを前に、シンガポール空軍の総司令官ケルビン・コン少将 Maj. Gen. Kelvin Khongは、同国空軍の最新状況についてインタビュー記事を発表した。

 ウクライナからイスラエル、紅海に至るまで、今日の「紛争は、将来の空軍が対処する必要のある新たな脅威を明確に示している」とコンは書いた。特にウクライナ紛争は、「航空優勢を達成することの重要性を補強した」。「もしどちらかが制空権を獲得していれば、紛争はまったく異なる軌道をたどっていただろう。紛争がここまで長期化しなかった可能性が高い」。

 シンガポールは、2030年代半ばから運用中のF-16戦闘機隊を退役させる準備として、次世代戦闘機隊を調達している。2020年、米国務省の国防安全保障協力局は、ロッキード・マーチンF-35B短距離離着陸戦闘機最大12機のシンガポール向け売却27億5000万ドル案件を承認した。

 エアショーの翌週、シンガポール国防省は12機のF-35Bに加え、8機のF-35A通常型離着陸機も取得すると発表した。

 シンガポール空軍は、次世代戦闘機の購入にあたり、現在および将来の作戦上の要件を満たすため、タイムリーかつ費用対効果の高い購入を確実にするため、段階的アプローチを採用した。「F-35は、先進的なセンサーや通信システムなど、先進的な能力を備え、マルチロールF-15SGと連携して、脅威の激しい環境でRSAFの戦闘力を強化する」。

 ロッキード・マーチンのF-35国際事業開発担当ディレクター、スティーブ・オーバーは、シンガポールのような顧客にとっての同機の主な利点は、米国をはじめとする世界中の同盟国やパートナーとの相互運用性であると述べた。

 「このような紛争では単独で紛争に直面する想定は考えにくい。F-35の素晴らしさは、アメリカだけでなく、日本、オーストラリア、韓国といったインド太平洋地域の国々や、ヨーロッパの数カ国が運用する機体であることだ」。

 F-35はまた、「全領域での統合環境において完璧な統合機」となる可能性を秘めている、とオーバーは言う。「F-35のパイロットが非常に正確な目標座標を提供し、陸上または海上を拠点とするエフェクターがそれを実際に目標にするような未来の世界が絶対に存在する。

 例えば、「30,000フィート上空を飛ぶF-35は、水平線まで400マイル近く離れている......そこにターゲットがあれば、F-35はそれを確認し、探知し、位置を特定し、搭載されたセンサーだけで、その正体を特定できる可能性が高い。「そして、その標的座標を地上ベースのシステムに引き渡すことができる」。

 そして、複数の国で構成される連合軍では、「どの国のF-35でもネットワークに接続することができる」とオーバーは言う。「アメリカの機体である必要はないし、シンガポールの機体である必要もない。そして、このレベルの相互運用性は、F-35を使用するすべての顧客にとって、F-35の特徴になりつつあることのひとつだ。F-35は本当に驚くべき戦力増強装置なのです」。

 F-35とともに、シンガポールが運用するボーイングF-15SGは2009年から就役しているが、「戦闘機隊の重要な一部であることに変わりはない」とコンは述べた。「にもかかわらず、われわれは引き続きプラットフォームの能力を見直し、必要であればリフレッシュする......われわれの作戦要件を満たすためだ」。

 ボーイングのF-15の最新型、F-15EXは2021年2月に初飛行を終え、その1カ月後には米空軍への納入を開始した。ボーイングのF-15事業開発担当ディレクター、ロバート・ノボトニーは、同社はシンガポールなどF-15の顧客と定期的に話をしていると述べた。

 ノボトニーは航空ショーで、F-15EXの先進的な能力の一部を、新たな航空機を購入することなく既存機に統合したい顧客もいると述べた。

 そのひとつが、F-15EXのフライ・バイ・ワイヤ技術だ。これまでのF-15は、滑車とワイヤーで構成されたアナログ飛行制御システムを採用しており、パイロットが「操縦桿を引けば」飛行制御が動くようになっていた。「もし私が下手なパイロットだったら......操縦桿を変な位置に置いてしまうかもしれない」その結果、機体に過大なストレスがかかったり、機体がスピンして制御不能になったりする。

 一方、オールデジタルのフライ・バイ・ワイヤ・システムは、「パイロットに必要なものを与えると同時に、機体自体の限界の範囲内で制御することができる。「つまり、フライ・バイ・ワイヤは基本的に、より優れた性能、より安定した性能を得ることを可能にし、パイロットの負担を軽減する」。

 また、機械的な能力ではなく、すべてデジタルであるため、フライ・バイ・ワイヤ・システムは「主翼のさまざまな部分に武器を追加搭載できるようにする」と彼は付け加えた。F-15EXは最大12発の空対空ミサイルを搭載できるほか、空対地兵器や外部燃料タンクなどの他のペイロードも搭載できるという。

 このような追加的な積載能力を持つことは、コン司令官が言うような制空権を獲得する上で大きな要因になるとノボトニーは言う。

 「EXは、長距離を移動し、大量の兵器を搭載し、環境を感知し、本当に困難な空間でも優位性を獲得し、維持することができます」。

 2023年8月、インドネシアがボーイングとの間で最大24機を取得する覚書に調印した後、インドネシアがF-15EXの最初の国際的な顧客になることが決まった。売却の最終決定は「政府間の話し合い」になるが、ノボトニーは「(F-15EX)キャンペーンの勢いがどこに向かっているのか、非常に楽しみだ」と語り、ポーランドなど他の国も同機に関心を示している。

 将来のプラットフォームを見据えて、日本、イギリス、イタリアはグローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)を通じて第6世代の超音速戦闘機を共同開発している。2025年にプログラムの開発段階を開始し、2035年までに航空機を就航させることを目指している。

 3カ国は12月、GCAP国際政府機関を設立する条約に調印した。英国国防省の発表によれば、プログラム本部は英国に置かれ、日本の関係者がプロジェクトの最初のCEOを務める。

 BAEシステムズの輸出パートナー・ディレクター兼軍事アドバイザーであるジョナサン・モートンは、政府組織は3つのプライム・コントラクター(イギリスのBAE、イタリアのレオナルド、日本の三菱重工業)間の「ジョイント・ベンチャーに組み込まれる」と述べ、両組織は2025年に立ち上がる予定だと語った。

 このプログラムは「順調に進んでいる」と彼は航空ショーで語った。「現在、作業配分の段階にあり、......難しいかもしれない」が、パートナーは「今年末のプログラム目標達成に向け順調に進んでいる」と述べた。BAEシステムズの広報担当は、GCAPのパートナーは、2025年の開発フェーズ開始に先立ち、「一連のコア・プラットフォーム・オプションが評価された共同コンセプティング活動」を通じて「急速に進展している」と電子メールで述べた。

 モートンは、GCAPチームが、ネクスト・ジェネレーション・エア・ドミナンス(NGAD)と呼ばれる第6世代戦闘機を同時開発中の米空軍とコミュニケーションをとっているかとの質問に対しては、詳細は語らなかったが、「相互運用性が今後の鍵となる」と述べた。

 NGAD戦闘機とともに、米空軍は有人プラットフォームとともに飛行する無人共同戦闘機を開発している。GCAPは、自律型共同プラットフォームと呼ばれる同様のコンセプトの「運用分析」を行っている、とモートンは言う。

 無人航空機は、2つの形態のいずれかになると彼は言う: 超音速で有人戦闘機と一緒に飛ぶ「忠実なウイングマン」と、超音速ではないもののセンシングや武器など追加能力を提供する「忠実ではないウイングマン」だ。

 自律型共同プラットフォームのコンセプトの分析は、「結論が出るまで、おそらく来年かそこらで進展するだろう」と彼は語った。

 GCAPにとってネックになりそうなのが輸出規制だ。航空機の輸出可能性は「プログラムにとって重要なユーザー要件」であり、イギリスとイタリアは「防衛技術の輸出についてかなりの実績がある」が、日本は「そうではない」とモートンは述べた。日本は、「プログラム内で私たち全員が求めている輸出体制をとることができるように、変更を進めている」とモートンは語った。

 12月に調印された条約は、航空機を潜在的な買い手に輸出するだけでなく、3カ国すべての承認が得られれば、「新たなパートナーがプログラムに参加する可能性もある」とモートンは述べたが、GCAPに参加する可能性のある具体的な国の名前を挙げることは避けた。サウジアラビアは2023年3月、戦闘機に関し将来的な協力の機会を探るため、英国との「提携可能性調査」を開始しており、GCAPに加わる可能性がある国として言及されている。


戦闘機に投資するインド太平洋諸国とともに、米空軍もこの地域の動向を観察し、自軍の取得優先順位に反映させていると、アンドリュー・ハンター空軍次官補(取得・技術・兵站担当)は語った。

 大国間競争での再最適化努力の一環として、空軍は「我々の取得プログラムに情報を提供するため、作戦コミュニティとの関係を強化・緊密化している。

 空軍はインド太平洋と東南アジアに「大きな重点を置いている」ので、「この地域のパートナーとの関係を強化、育成、拡大、深化させることが本当に重要だ」とも語った。■


Asia Emerging as Hot Market for Advanced Fighter Jets

3/22/2024

By Josh Luckenbaugh