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シンガポールがF-35B追加調達を決定。東南アジアで独自の安全保障を堅持する同国の動向に注目。

 Singapore Commits To F-35B Stealth Jets With Follow-On Order

USMC

シンガポールはF-35Bを8機追加購入する

F-35共用打撃戦闘機の評価を終えたシンガポールは、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型F-35Bをさらに8機購入すると発表し、これで合計12機を購入することになる。シンガポールはステルス機を強化しているが、STOVL型は、滑走路から独立して運用するか、将来的には大型水陸両用艦の飛行甲板から運用するかとは関係なく、東南アジアの小国であるシンガポールに重要な利点を提供する。

シンガポールは2022年の第3四半期に米国でのF-35A(通常離着陸型)とF-35B(通常着陸型)の評価を経て、STOVL型8機の追加購入を決定した。

「技術的に高度なF-35Bは、RSAF(シンガポール空軍)がシンガポールの空を守るため、将来への備えと効果の維持を保証します」と、同軍は今日のツイートで宣言した。

シンガポールの国防大臣ン・エンヘン博士Dr. Ng Eng Henは、「完全な評価を経て、国防省とシンガポール軍は、F-35が現在および将来の防衛ニーズに最も合う機体という結論に達した」と付け加えた。

「RSAFはさらに8機のF-35Bを取得し、2020年代の終わりまでに追加する」と大臣は続けた。「2030年代半ば以降のF-16の漸進的退役を支援するものとなる。F-35とF-15を有するRSAFは、我が国の空を守る強力な空軍となる」。

シンガポールは、2003年に安全保障協力参加国として共用打撃戦闘機事業に関与している。

シンガポールが2019年にF-16後継機としてJSFを選択した後、米国政府は翌年、F-35Bの売却を承認した。シンガポールは、有償海外軍事援助(FMS)契約で、2026年に引き渡される予定のF-35Bの初期バッチを4機発注した。シンガポール空軍は、F-35BのSTOVLバージョンを陸上基地だけで運用する初のユーザーとなる。

公式発表によれば、最初の4機は、F-35Bがこの小国に本当に適しているかの評価に使用されるとある。しかし、同じバリエーションでさらに8機オプションを行使するという今日の発表で、シンガポールにおける統合打撃戦闘機の将来に疑う余地がなくなったようだ。

2015年12月、アリゾナ州ルーク空軍基地の第61戦闘機隊を訪問し、F-35ヘルメットマウントディスプレイシステムについて学ぶシンガポールの国防大臣、ン・エンヘン博士 U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Staci Miller

ただし、最初の12機以降の発注で、全部または一部がF-35Aに切り替わるかは未定だ。F-35AはF-35Bより安価で、技術的に複雑でない一方で、より大きなペイロードとより大きな戦闘半径、そして多数のオペレーター国との共通性という利点がある。2022年8月、RSAF関係者は、F-35Aが将来のシンガポールでの発注の候補に残っていると示唆していた。

現在、60機のF-16C/Dが就役しており、F-35の型式がこれらの航空機の最適な代替機になるかという問題は、将来的に必ずまた出てくる。シンガポールは必ずしもF-35の戦力構成を急ぐ必要はない。特にバイパーが特筆すべき性能レベルにあり、比較的新しいブロック52/52+の機体は、すでに大幅なアップグレードを受けている。最近では、F-16V仕様にアップグレードされ、必要ならば、2030年以降も使用できる。

アリゾナ州ルーク空軍基地の第425戦闘飛行隊に所属するシンガポール空軍のF-16Dが、2022年3月3日にネバダ州ネリス空軍基地のレッドフラッグ-ネリス22-2に到着した。U.S. Air Force photo by William R. Lewis

一方、シンガポールはF-35Bで臨み、最初の4機は米国での訓練に使用される。訓練はアーカンソー州フォートスミス地域空港のエビング航空国家警備隊基地に設置される新しいFMSパイロット訓練センターで実施される。RSAFは2023年にエビングでF-16訓練を開始し、その後F-35訓練を開始する予定だ。

シンガポールが、RSAF向けに特別改造されたF-35Bを入手しても、まったく不思議はない。例えば、シンガポールは過去に、イスラエルが提供する電子戦システムを米国製戦闘機に搭載したことがある。イスラエルの電子機器や兵器が、RSAFのF-35Bに搭載される可能性もある。シンガポールのF-15やF-16と共通化し、A330 MRTT(Multi-Role Tanker Transport)機のブーム方式の燃料補給に対応するため、F-35Bに給油タンクを搭載することも考えられる。

F-35Bは、シンガポールの特殊な地理的条件や運用環境で、特に有利な点がある。

B型が選定されたとき、ン大臣は、非常に脆弱な空軍基地のインフラから離れた場所で活動できることが、「国土の狭いシンガポールでは重要な特徴だ」と指摘した。シンガポールの国土面積は280平方キロメートル未満だ。このような環境では、F-35Bを適切に補強された道路や小さなコンクリートパッドに分散させると、非常に大きな価値が生まれる。

シンガポールの衛星画像を見れば、小ささがよくわかる Google Earth

空軍基地が攻撃されても戦闘機が出撃可能にする必要があるのは、中国の主張が南シナ海で強まっているためで、この地域に対する中国の広範な主張から緊張が著しく高まっている。

中国は南シナ海のほぼ全域を自国領と主張し、その立場を強化するため人工島による軍事基地を建設している。一方、シンガポールは南シナ海の領有権を主張せず、さまざまな地域機関や国際機関を通じ解決策を模索してきた。特に、シンガポールはこの海域を横断する海上貿易ルートに大きく依存しており、マラッカ海峡のような天然のチョークポイントは、地域危機の際に中国に封鎖される可能性があると強く認識している。

南シナ海における中国の軍事力増強は、危機事態において潜在的な敵の機動力に挑戦できる広範な対アクセス・領域拒否(A2/AD)戦略の観点から見られている。長距離地対空ミサイル、戦闘機や爆撃機の運用、陸上対艦ミサイル、沿岸ミサイル艇のすべてが、人工島からの運用に助けられ、この一翼を担っている。一方、人民解放軍海軍は新型の水上戦闘機や潜水艦の建造を急ピッチで進めており、戦力を増強中だ。

ステルス性の高い統合戦闘機(JSTF)は、こうした脅威に空から対抗するための最適なソリューションといえる。太平洋地域の他の地域でも、オーストラリア、日本、韓国が同様の決断を下している。米国のF-35は、この地域に常駐し、頻繁にローテーションを組んでいる。

2017年12月、ユタ州ヒル空軍基地から配備された米空軍F-35Aと韓国クンサン空軍基地のF-16Cが、クンサン付近で訓練ミッションに参加する。 U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Josh Rosales

どのバージョンの組み合わせが選ばれるにせよ、F-35はRSAFにとってF-16後継機として高い能力を発揮する。また、防衛大臣が2030年代半ば以降、F-35BとF-15Eストライクイーグルの発展型F-15SGがRSAFの第一線で一緒に働くと想定しているのは興味深い。これは、RSAFがF-15の優れた航続距離と搭載能力を、長距離防空と攻撃に利用することを示唆している。F-35の内蔵兵装量の不足を補う「兵器運搬車」として利用することも考えられる。一方、F-35の強力なセンサー群は、F-15にターゲットデータを提供し、状況認識を高めるなど、F-15に有利なように使用できる。おそらく、これは将来的にF-15を追加購入する可能性を示すものであり、最新のF-15EXが候補となる可能性が高い。

2014年7月、ネバダ州ネリス空軍基地で行われたレッドフラッグ14-3で、F-15SGの発進準備をするシンガポール共和国空軍の航空機乗務員とクルーチーフ U.S. Air Force photo by Lawrence Crespo

新世代の航空機対応艦艇にF-35Bを搭載する可能性もある。シンガポール海軍のエンデュランス級ドック艦4隻に代わる新型ジョイント・マルチミッション船(JMMS)の導入は、以前から出ている。JMSSは、主にヘリコプター用全長飛行甲板を備えると予想されるが、F-35Bの限定的な運用も可能だ。JMMSの就役は2030年代半ばとされており、F-35Bを搭載するための改修には時間がかかると思われるが、JMMSに統合打撃戦闘機の常時搭載が期待されているわけではなく、STOVLジェットも新型艦を前提に選定されているわけでもない。とはいえ、JMMSを海上での前方兵装・給油地点forward arming and refueling point(FARP)に使うことも有用なオプションになるはずだ。



F-35やJMMS(Joint Multi-Mission Ship)など、2030年以降に軍で使用される主要プラットフォームを示すシンガポール国防省のグラフィック。Singaporean Ministry of Defense



シンガポールがF-35Bに深くコミットする決定をしたことは、同国が米国との防衛関係を拡大するだけでなく、利用可能で最高級の能力に投資する意思があることを改めて示している。また、シンガポールの決断は、陸上での分散運用のメリットを享受したい国へのF-35B売却に拍車をかける可能性もある。


中国がこの地域で脅威となり、独自の最新鋭の能力を開発し続ける限り、シンガポールは自国空軍を東南アジアで最強の戦力として維持するだろう。■


Singapore Commits To F-35B Stealth Jets With Follow-On Order

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED FEB 24, 2023 3:04 PM

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