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ウクライナが迎撃したロシア巡航ミサイルKh-101から興味深い事実が判明。ウクライナ戦は各種装備品技術入手の格好の舞台になっている。

 Intriguing Features Seen On Largely Intact Russia Cruise Missile Wreck

Ukrainian Air Force

  • ロシアの最新鋭巡航ミサイルが、ウクライナ中部で比較的無傷で落下し捕獲された

  • 今回見つかったKh-101から、ロシア最新鋭の空中発射型巡航ミサイルの新たな側面がわかる

墜落した比較的無傷なロシアのKh-101空中発射巡航ミサイルの写真に、特徴が明確に見られる。Otblesk-U電気光学誘導システム用カメラと思われるものや、対策システムと思われるものなどだ。

ウクライナ空軍のFacebook投稿によると、Kh-101は1月26日に同国中央部のヴィニツィア地方でウクライナ軍により撃墜されたとある。ウクライナ空軍は、この日、巡航ミサイル47発を破壊したと発表した。空中発射のKh-101、Kh-555、Kh-59と、海から発射されたカリブルであったとされる。ただしThe War Zoneは詳細を確認できなかった。

Ukrainian Air Force.

ソビエト連邦時代の1980年代に開発開始のKh-101は、現在でもロシアで最も近代的な空中発射型巡航ミサイルの1つ。通常兵装のKh-101(核兵器搭載のKh-102も同様)は、外観のデザインが大幅に変更され、ある程度のステルス性がある。

Kh-101は、Tu-160ブラックジャックやTu-95MSベア爆撃機から発射でき、2015年にシリアで初めて戦闘に投入された。小型ターボファンエンジンを搭載し、最大射程距離が2000マイル(情報源によって数百マイル前後)と報告されている同ミサイルは、約1年前に始まったウクライナ紛争で広範囲に使用されてきた。

手前にKh-101/102シリーズ空中発射巡航ミサイル12基、その後ろにKh-55シリーズが12基並び、Tu-160ブラックジャック爆撃機を背景に展示されている。ロシア国防省Russian Ministry of Defense


Kh-101のステルス形状は、ビニツィア地方で墜落したとされる残骸ではっきり確認できる。ミサイルの飛び出す翼は本体に取り付けられたままだが、発射後に後端から下方へ飛び出すエンジンは失われているようだ。

A look at what's left of the rear of the missile. Ukrainian Air Force

Ukrainian Air Force

ミサイルは反転し横たわっており、主翼の間に円形の窓のようなものがあり、その後ろにカメラが設置されている。これが何かは断言できないが、Otblesk-U誘導システムの一部のようだ。

飛び出した翼の間にあるミサイルの胴体下面にある円形の窓のクローズアップとその背後にあるカメラと思われるもの。ウクライナ空軍 Ukrainian Air Force

Kh-101は、衛星や慣性航法の両方を誘導に併用し精度を高める。また、レーダーを使った地形輪郭適合(TERCOM)機能で、低高度で目標まで飛行できるため、敵軍に発見されにくく、迎撃されにくい。このミサイルのTERCOMシステム関連のレーダーアンテナと思われるものが、カメラウィンドウのすぐ前にあるようだ。

その上に乗るのが「Otblesk-U」で、デジタルシーンマッチングエリアコリレーション(DSMAC)システムで、地形画像の内部データベースと照合し、兵器の誘導に役立つ。DSMAC機能は、米国のトマホークの一部も搭載している。

アメリカのトマホークを例に、TERCOMとDSMAC誘導システムがミサイルの位置を決定するためにスキャンする内容を、ごく一般的に視覚化したもの。via the Federation of American Scientists

Otblesk-Uは下方の地形をスキャンし、Kh-101の誘導システムで「最も正確かつ妨害に強い」と、ロシア軍の航空専門家でWar Zone寄稿者ピョートル・ブトウスキーは2017年に出版した著書Aircraft Ordnance Today(ロシア製航空機兵器の現在)」で述べている。

ただし、「標的の一定の認識と標的写真の事前存在が必要条件となることが重大な限界だ」とある。「ミサイル運用のためのデータ収集と処理には、インフラと有資格要員が必要だ」。

「したがって、Otbleskは非核Kh-101ミサイルのみでターゲットに近い端末誘導段階だけで使用される」。「巡航中は、精度は低いが、要求が少ないTERCOMレーダーシステムが使用される」。

墜落したKh-101の別の写真では、6個ずつ2列に対称的に並んだ12個の円形の穴または開口部が見える。目的はすぐには分からず、泥が12個すべてのポートについている。

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Ukrainian Air Force

墜落したKh-101に見られる泥で埋まった円形の穴または開口部のクローズアップ。ウクライナ空軍 Ukrainian Air Force

これは、レーダー妨害用のチャフを装填したカートリッジなど対抗措置の可能性がある。初歩的なレーダー警告受信機を使い、事前プログラム済みの無線周波数の放射を検出すると自動的に作動させる。また、ミサイルの飛行ルート上にある脆弱な特定箇所で発射するプリセットもできる。

Kh-101の残骸に見られるものは、ソ連時代の固定翼機やヘリコプターに使われていた対抗策ディスペンサーの外観と酷似している。

ポーランド軍所属のソ連設計のMi-24ハインド攻撃ヘリコプターに見られる対策用ディスペンサー。Boevaya mashina via Wikimedia

この穴や開口部は、アメリカのBQM-167スキーターをはじめとする空中標的型ドローンに搭載される対抗措置ディスペンサーと、似ている。このような能力で、敵防空網を通過する友軍機やミサイルの経路を遮断する対抗策に使用する、ターゲット・ドローンに固有の二次的な役割を与えているのです。2003年の米国主導のイラク侵攻作戦の初期段階において、チャフを搭載したFirebeeターゲットドローンが、まさにこの用途で使用されていた。

A BQM-167 Skeeter target drone. USAF

BQM-167の機首上部にあるカウンターメジャー・ディスペンサーをクローズアップした。USAF



このことは、Kh-101が、対抗措置のプラットフォームやデコイとして機能するよう構成されているのかとの問題を提起する。少なくとも昨年11月以降、ロシア軍はウクライナ攻撃の一環として、弾頭を持たない「非核化」Kh-55空中発射巡航ミサイルを投入していた可能性がある。おそらくデコイとして、またあらゆる種類の精密スタンドオフ弾の在庫が減少しているためであろう。これらのミサイルは、1月26日に撃墜されたと言われているが、弾頭の代わりに重量のあるダミーの「プラグ」を備えていた。

ロシア軍が、近代的で高性能、そしてますます貴重になっているKh-101を純粋にデコイとして使用する可能性は低いように思える。穴や開口部は、自己防衛以外の目的にも使えるかもしれない。これは、ある種のユーティリティ・インターフェースやベント・システムかもしれない。現時点では、何とも言えない。

Tu-95MS「ベア」爆撃機の翼の下にあるKh-101空中発射巡航ミサイル。

ウクライナ紛争で、ロシアのミサイルにこれまで見られなかった対策が施されていることが明らかになったのは、これが初めてではない。ロシアは紛争初期にイスカンダルM短距離弾道ミサイルを多用し、その兵器に特殊消耗品である対抗措置が搭載されていることを明らかにしていた。

ウクライナの戦場は、ロシアの高度兵器システムなどあらゆる軍事装備の一部が無傷で見つかる宝庫であることがすでに広く証明されている。ウクライナ当局の情報収集で、Kh-101を含むロシア兵器の多くが西側電子部品に大きく依存していることが判明している。ウクライナ当局者は、得られた詳細や捕獲したシステム全体を、米国を含む国際的なパートナーに転送し、さらなる分析を進めるのはほぼ間違いない。■


Intriguing Features Seen On Largely Intact Russia Cruise Missile Wreck

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JAN 30, 2023 9:18 PM

THE WAR ZONE

https://www.thedrive.com/the-war-zone/intriguing-features-seen-on-largely-intact-russia-cruise-missile-wreck


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