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気球の存在とあわせ、国防総省が公開した時期で疑問と懸念が広がっている
米国当局によると、中国政府の監視気球がミズーリ州北西端上空を飛行中という。これは、水曜日にモンタナ州上空で初めて公に目撃されて以来、気球が辿ってきたおおむね南東方向の軌道と一致している。
本日未明、ミズーリ州カンザスシティ近くのプレザントヒルにある米国国立気象局(NWS)が、遠くに見える気球らしきものの写真をツイートしている。その後、同州の他の場所でも画像が公開された。セスナ・サイテーションビジネスジェット機を操縦する民間パイロットが、カンザスシティ付近の約5万フィート上空で「漂流中の廃気球」を見たと報告したようで、これが中国の気球かもしれない。
これはすべて、独自に行った気球の航路予測と一致しており、気球は米国を横断し大西洋に向かって概ね南東方向に進むとされている。もちろん、この予測は時間の経過とともに大きく変化する可能性がある。
今日の記者会見で、ペンタゴン報道官のパトリック・ライダー米空軍准将は、気球は昨日からモンタナ州から東に移動し、現在はアメリカ大陸中央部上空にいるとだけ述べた。さらに、高度約60,000フィートにいると付け加えた。以前の報道では、気球はアラスカのアリューシャン列島とカナダ北西部の一部を通過した後、南下して米国本土に入ったとされていた。
「北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が、引き続き注意深く監視している」とライダーは付け加えた。「我々は現時点で、気球が地上の人々に軍事的または物理的な脅威を与えていないと評価しています」。
国防総省報道官は会見の後半で、「気球は進路を変更したため、再び監視を続けている」とも述べた。これが、気球が米国やカナダの領空に入る前に起きた変化なのか、それとも後に起きた変化なのかについては、詳しく説明しなかった。
ライダー氏はまた、国防総省が気球に「操縦能力がある」と評価したと明らかにしたが、全く驚くべきことではない。現代の高高度気球には、非常に長い距離を航行し、指定区域で卓越風にもかかわらず滞空する能力を持つものがすでに多数存在することが知られている。この中には、米軍の情報収集監視、通信中継、あるいは長距離攻撃など、各種任務の遂行のために積極的に試験しているタイプも含まれる。
国防総省報道官は、この気球はコースを外れただけいの民間の気象研究資産という中国政府の主張を、本日未明、真っ向から否定した。
「我々はこの気球が監視用であることを知っている」とライダーは述べたが、どのようにその評価をしたのか、また具体的な情報収集能力について詳しく説明を避けた。「この気球が米国の領空と国際法を侵犯していることは確かであり、容認できない。そのため、私たちはこのことを中国に直接、複数のレベルで伝えた」。
中国政府は気球が中国から飛来したことを公式に確認している。中国外務省の毛寧報道官は公式声明で、この気球を「主に気象学的な研究目的で使用される民間飛行船」で、「自己操縦能力に限界があり」、「予定コースから大きく外れた」と説明した。「中国側は米国側と連絡を取り合い、不可抗力による不測の事態に適切に対処していく」と続けた。
気象関連の調査は、もちろん、今世紀に入ってからの大部分は、長距離高高度空域の秘密情報収集活動の定番のカバーストーリーであった。冷戦時代、アメリカ政府は気球を使ったソ連監視を隠蔽しようとしたし、偵察機U-2ドラゴンレディを気象偵察機としてきた。
それ以外にも、中国政府はシステム、施設、能力に関する疑惑に対して、純粋に平和的な科学的または商業的な用途を意図していると主張してきた長い歴史がある。例えば、2021年には、中国外務省の別の報道官が、新しい分数軌道砲撃システムのような戦略兵器のテストを、民間スペースプレーンの実験と主張した。
この気球が表向きは民間の研究プラットフォームであっても、搭載センサーによって、情報価値の高いデータを収集できる可能性がある。中国が民間の科学研究資産を軍事・諜報目的で二重利用する可能性は、過去も何度か指摘されている。
NASAのミネソタ宇宙グラント・コンソーシアムの副ディレクターで、ミネソタ大学航空宇宙工学・機械学部の准教授ジェームズ・フラテン博士は、NPRのジェフ・ブランフィールに、気球の大きさと高度に言及し、「本当に気象パターンの研究に関心があるなら、こんな気球を飛ばす理由はないだろう」と述べた。
この事件の影響は、米中関係や国内政治の両面からまだ見えてこない。アントニー・ブリンケン米国務長官が来週予定していた北京訪問は、一部中止された。
The Hillによると、国務省高官は「我々は(中華人民共和国の)遺憾の意を表明したことに留意したが、この気球が米国領空に存在することは、国際法のみならず米国の主権に対する明確な侵害で、これが発生したことは容認できない」と述べている。「省庁間パートナーや議会と協議した結果、ブリンケン長官の中国渡航は現時点では条件が整わないとの結論に達した」。
訪中は米国のトップ外交官で5年ぶりとなるはずだった。国務長官が習近平国家主席と会談することは、専門家やオブザーバーの間では、昨年のナンシー・ペロシ下院議長(当時)の台湾訪問でさらに激化した両国間の和解の兆しとなるとみられていた。
モンタナ州などの議会議員や州・地元関係者は、気球に怒りをあらわにし、ジョー・バイデン大統領の対応に批判的な見解を示している。
国防総省によると、バイデン大統領は水曜日にモンタナ州上空で気球を撃墜するオプションを要求したが、安全上の懸念から最終的に撃墜しないことを決定した。気球の高度などを考えると、そのような作戦は試みることさえ難しいかもしれないし、気球の破片が地上にいる人に危険を及ぼすかもしれない。
The War Zoneが以前指摘したように、気球を撃ち落としたくない理由には、情報関連の理由もある。気球をそのまま進ませることで、気球の能力を観察し、気球が発する電子放射のデータを収集する機会が得られるからだ。国防総省は、気球が収集しうるデータを制限するため不特定の緩和措置を講じ、米国政府が決定した場合には気球を撃墜する権利を留保すると発表している。
この気球と、それに対するアメリカ政府の対応については、多くの重要な疑問が残ったままだ。特に不思議なのは、国防総省が気球の具体的な位置や動きをどのように監視しているかといった情報を提供していないことだ。
ライダー准将は、一般市民が気球の位置を知る権利があるかとの質問に対し、「一般市民は空を見上げて気球の位置を確認することができる」と答えている。
昨日の記者会見で米国防総省高官が行ったように、ライダー准将は気球が情報収集可能かもしれない重要性を軽視した。そもそもなぜ中国政府はこんな面倒なことをするのかという質問には答えず、それは北京の当局に聞くべきことだと言った。
昨日、The War Zoneが取り上げたように、気球が搭載している可能性のある正確なセンサー・パッケージは不明だが、目的ターゲットに接近し長期間にわたり持続的に活動できる空中プラットフォームは、軌道衛星で得られる情報とまったく異なる能力を提供する。また、センサーをより早く、より安価に配備でき、ミッションもより柔軟に立ち上げられる。
おそらく最大の未解決の問題は、なぜこのことがもっと早く公表されず、中国によるものとされたのか、過去のこうした活動は今まで公表されなかったのか、ということだ。国防総省によると、中国の監視用気球が米国本土を含む米国領土上空を通過したのは今回が初めてではなく、先行事例は2021年1月にバイデンの就任前からあったという。別の報道によると、中国の気球は以前、フロリダ、ハワイ、グアムの不特定多数の地域の上空を通過した。
国防総省は、米国本土上空で中国の気球が監視された先行事例のいずれについても、詳細は機密事項としている。米当局は今のところ、ほぼ1年前にハワイ北岸に浮かんだ非常によく似た気球が、米軍の同様の反応を引き起こしたかについて、肯定も否定もしていない。
国防総省のライダー報道官は今日の記者会見で、「今回と異なるのは、気球が米国領土上空にあった期間と長さだが、それ以上詳細には立ち入ることができない」と述べた。
The War Zoneは、国防総省、ホワイトハウス、NORAD、カナダ国防省に、この事件がなぜ公表され、帰属するのか、なぜ気球が米国やカナダの領空に最初に入ったと思われる数日後に声明が出たのかについての詳細情報を求めているところだ。
カナダ国防省への問い合わせでは、同国軍が第2の気球の可能性を監視しているとの昨日の声明について最新情報も求めた。国防総省のライダー報道官は、この件に関して追加情報を提供していない。
今回の気球事件は、The War Zoneが数年前から強調してきた、心配な傾向を浮き彫りにしている。最大のものは、未確認飛行物体(UFO)と俗称される未確認飛行現象(UAP)の目撃例の多くが、実際には外国の空中情報収集装置を発見した人々である可能性だ。
現在までの事例のほとんどは、ドローンや気球のような物体によるもので、複数の無搭乗システムが米海軍の駆逐艦に嫌がらせをしたり、民間の原子力発電所など機密性の高い場所の上空を飛んだ事例がある。気球他の軽量プラットフォームは、多くの国にとって情報収集のエコシステムの一部として過小評価されている。中国が監視やその他の任務用に多様な種類の飛行船に多額の投資をしているが、米軍も同じことをしている。
国防総省に新設された全領域異常解決局(AARO)と国家情報長官室(ODNI)の航空担当国家情報マネージャー(NIM-A)が1月に共同発表した非機密レポートによると、2022年に新たにカタログ化した366件のUAP事件のうち、163件は「気球または気球に似た存在」だったと断定している。
現在米国上空を飛行しているものと同一ではないにせよ、類似した気球が、過去数年間にインド、日本、そしてコスタリカの上空でも目撃されている。また、フィリピンのルソン島や南シナ海の近くでも、昨年、中国由来の飛行船が目撃されている。
「人工衛星やドローンを使い自分たちがやっている」。そして『未確認飛行現象』の目撃例の多くは、中国の航空機であると考えられている」と、「この問題に直接詳しい人物」がNBCニュースに語ったと、NBCニュースのチーフ外国特派員リチャード・エンゲルが今日ツイートした。「中国は毎日米国をスパイしている 」という。
いずれにせよ、中国の気球による監視活動やその他の類似の事件に関する米国政府の発表が、今後どのように変化するか、あるいは変化しないかを追うのは非常に興味深いことだ。■
Chinese Spy Balloon Reaches Missouri | The Drive
BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED FEB 3, 2023 5:13 PM
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