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2016年6月7日火曜日

★米海軍がP-8をシンガポールから運用する意味



P-8の機内の様子など初めてわかる内容もありますが、そうですかP-3Cは乗員には優しくない機体だったのですね。ゼロから作ったP-8Aですが、わがP-1はどうなのでしょうか。そのうちに機内の様子などわかってくるとは思いますが、海外へのアピールをもう少ししたほうがいいのではないでしょうかね。それにしても中国は大変ですね。周囲に味方が皆無でこんな高性能機に見張られていては。

The P-8, Singapore & South China Sea Strategy

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on June 06, 2016 at 4:01 AM

Sydney J. Freedberg Jr. photo
Singaporean Defense Minister Ng Eng Hen and US Defense Secretary Ash Carter pose in front of a US Navy P-8 Poseidon operating from Singapore.
OVER THE MALACCA STRAIT: アシュ・カーター国防長官はシンガポール国防相ン・エン・ヘンともにシャングリラ対話開会前に中国へ鋭く明瞭な声明を出した後、米軍が誇る対潜哨戒監視機P-8ポセイドンに乗り込んだ。
「この機はどんな感じなの」と長官がP-8搭乗員に尋ねるとトリー・プラム中尉は「大好きです」と答えた。
Sydney J. Freedberg Jr.
米海軍トリー・プラット中尉がアシュトン・カーター国防長官、ン・エン・ヘンシンガポール国防相を自らが機長をつとめるP-8に迎え入れた。
ボーイング製の同機に夢中なのはプラム中尉だけではない。米、オーストラリア、英国、インドの各軍に共通した受け止め方で各国が同機を配備しようとしている。
米海軍の最新鋭機P-8が真っ先に太平洋に配備されたのはとかく疑念を持たれる「アジア再バランス」が本物だとの証拠だと国防関係者や海軍上層部はいう。
国防戦略の担当者にとってはP-8がシンガポールを基地にしていることは興奮を呼ぶ事実だ。同国は昨年9月に同機の常駐を受け入れた。シンガポールに恒久的な米軍基地はないが、この事例はアジアにおける米国の新しい同盟関係のモデルになっている。世界有数の海洋ハブから最新鋭海上哨戒機が展開するのは中国にはうれしい話ではないだろう。
シンガポールから運用することの意味
まず地理だ。この地域は「スーパータンカーのスーパーハイウェイだ」とカーター長官はシンガポールへ向かう機内で報道陣に語った。
P-8体験飛行を終えてから「マラッカ海峡上空を飛行しましたがいつ見ても奇跡のような場所です。国際海上通行の混雑度、あらゆる国の船籍、すべての主発港、仕向け地と、まさしくグローバルコモンズの生きた証明であり、これこそ軍が守ろうとしていることです」
「シンガポールと比較できる国も立地条件も世界に存在しません」と長官はフライトの後でパヤ・レバ空軍基地で記者団に語った。
シンガポールはマレー半島先端で戦略的な位置にあり、マラッカ海峡につながり、同海峡を通り原油その他経済活動に不可欠な物資が韓国、日本、中国に輸送されている。逆に製品が今後は西方へ運ばれる交通の要所だ。
P-8配備は「この海域の重要性への共通認識のあらわれ」とン国防相がカーター長官の隣で発言している。「13百万バレルの原油が輸送されているのはホルムズ海峡に次ぐ規模。不安定要因が発生すればASEAN各国のみならず世界規模で経済活動が影響を受けます」
ロイドが海賊活動を理由に同海峡通過の保険料を数年前に引き上げが域内各国は2005年シャングリラ対話で海賊撲滅で合意し、米国など外部関連国が支援を約束した結果、共同パトロールが海空で始まり、保険料の高止まりは解消したとン国防相は説明している。
各国協力で海上通商の安全を守ればすべての国の利益につながるのであり、中国も例外ではない。「特定国だけが対象ではなく、むしろ中国も含めすべての国が対象なのです」とカーター長官は述べた。
だが作戦運用で問題がないわけではない。通過するのはタンカー、貨物船、漁船以外に中国の軍艦、潜水艦もある。海南島の軍事施設が出発地で、同時に中国の南シナ海進出の本拠地であり、人工島は海南の外縁部となる。そこで海南島の諸施設は中国が何としても秘密を守りたい対象で米軍が接近するたびに迎撃含め何らかの反対行動をとってくる。特にP-8のような長距離監視偵察機に敏感に反応する。
Navy photo
2014年8月に海南島沖合でP-8ポセイドン偵察機に嫌がらせをする中国海軍のJ-11戦闘機。
P-8の機内様子他
「高性能偵察機が海南島付近に来るのは中国には気に障ることです」と解説するのはブライアン・クラーク(退役海軍中佐、海軍作戦部長の上級補佐官を務めたあと戦略予算評価センターで主任研究員)だ。シンガポールのような戦略地点から運用するP-8は「水上活動を監視記録でき、フィリピンやヴィエトナムといった中国の南シナ海進出に反対する勢力に対する行動の記録も例外ではありません。またP-8が海南島から展開する中国潜水艦を監視していることにも懸念しているはずです」
P-8には対潜戦(ASW)能力もあり、浮上式ソナー(ソノブイ)を投では1960年代のP-3Cオライオンと比較すると二倍以上を投下できる。誘導式魚雷も運用する。現時点でソナー信号のプロセッサはP-3と同型式だが今後アップグレードし性能を引き上げ潜水艦探知能力は向上する。また水上艦探知能力も向上しており、ハープーンミサイルで攻撃も可能だ。
さらにP-8は高性能電子センサー類が搭載できるとクラークは指摘する。レーダー基地の位置を突き止め、無線交信を傍受すると、従来のEP-3の性能をしのぐ。中国がEP-3を海南島沖合で迎撃して戦闘機と空中衝突したことがあったが、EP-8としてシンガポールから飛来するのを中国が気持ちよく思うはずがない。
P-3やEP-3がシンガポールから飛来しても中国はここまで憂慮しないだろう。プロペラ推進の両機は空中給油を受けられないが、P-8は可能だ。速度と飛行距離からP-8は広い地域をカバーでき迅速に行動できる。高性能センサー類がすべてを探知できる。また新型機のため整備時間は短くその分飛行時間を多く確保できるのだ。
Sydney J. Freedberg Jr.
カーター長官とン国防相がP-8機内のセンサー操作員の仕事ぶりを視察した。
乗員の受け止め方
プラム中尉は記者に「P-3と比べてずっと新しい機材です」と離陸前に手短に取材に答えてくれた。パイロットとして中尉は「完全グラスコックピット」のデジタル表示の利点を挙げ、「飛行計器が全面的に新しくなり、今までなかった状況認識手段がつき、航空路の状況や気象状況がよくわかります」
「オートパイロット機能もあるね」とマーク・バーデン中尉(戦術調整士官(TACCO))が口を開いた。TACCOは機内のセンサー操作員を取りまとめる。
「そうね、オートパイロットはP-3でもあったけどうまく機能していなかった」とプラム中尉も述べた。
「機内で後ろから見ているとソフトウェアのインターフェイスがセンサーすべてで改良されていますね。無線装置がたくさん搭載されており、各システムの作動で正確度が上がっていると思います」(バーデン中尉)
「P-3も高性能でした」とバーデンは急いで付け加えた。「でもインターフェイスはここまでよくなかったですね。なんといってもP-3は1960年代のアナログ機で40年間にわたりアップグレードを重ねましたが、P-8は思い切って新しくスタートした全面デジタル機です」
「搭載機材の多くが前と同じで性能でもよく似ています」とバーデン中尉は述べるが、P-3の旧式装備は機内スペースをたくさん必要とし、操作員はかがみこむように対応していた。対照的にデジタル技術の恩恵でP-8機内はすっきりしており、乱雑ではない。センサー操作員とTACCOは一列に座り、高解像度の画像を共有したりメモの交換が簡単になった。
「替わってくれるかな」と操作員の一人が隣の同僚に気軽に頼み、センサー操作を任せてカーター長官、ン国防相への説明に専念した。P-3では機内配置の関係でここまで簡単にはいかなかっただろう。
P-3では乗り心地が悪く乗員がよく嘔吐する悪評があった。P-8はこれがない。「滑らかな飛行をしてくれます」とプラム中尉。確かに民間で多用される737が原型だ。「乗り心地が良くてずっと静かです」
結語
滑らかで静か。これこそシンガポールがP-8配備で望むことで、中国を怒らせることは避けたいのだ。「米国のプレゼンスは過去70年間にわたり安定の条件となってきた」とン国防相は述べている。「同時に状況の変化も認識している。中国が国力を伸ばし、われわれはこれがゼロサムゲームではないと理解している。封じ込めるかどうかの問題ではないのだ」
とはいえ南シナ海で緊張が高まる中でP-8は状況が円滑さを欠けば本領を発揮する機材だ。■
Sydney J. Freedberg Jr.
飛行後にクルーに感謝するアシュトン・カーター国防長官。左端はペンタゴン報道官ピーター・クック。


2014年8月23日土曜日

中国の米軍機への異常接近が危険度を増している 今回はP-8A対J-11B



Chinese Fighter Buzzes US Patrol Aircraft

Pentagon: Intercept is 'Very Dangerous, Very Unprofessional'

Aug. 22, 2014 - 03:12PM   |  
These images of the Chinese J-11B fighter were taken from a US P-8A Poseidon aircraft over the South China Sea on Tuesday. The fighter is seen beginning a pass under the Poseidon, then crossing the P-8A's nose and showing weapons — a display of potentially hostile intent.
P-8Aが撮影したJ-11B、この後同機はポセイドンの下部を通過したBy CHRISTOPHER P. CAVAS   |   Comments

WASHINGTON — 米海軍P-8A哨戒機が南シナ海公海上空で中国戦闘機による迎撃といやがらせを8月19日に受けていたことをペンタゴンが22日に認めた。
  1. 中国機の飛行は「極めて接近し、極めて危険、好戦的かつプロらしくないもの」だったとペンタゴン報道官ジョン・カービー海軍少将が報道陣に語り、今回の事件を2001年以来最も危険な事例になったと述べた。
  2. 問題の中国機は瀋陽J-11BフランカーBで所属は人民解放軍空軍。同機はP-8Aの通過飛行を3回繰り返している。
  3. 発生地点は海南島の東135マイル地点だとペンタゴンは発表し、同空域は国際法により軍事活動が「航行と上空飛行の自由を行使」できる地点であることを強調している。
  4. 「三回の通過飛行のうち中国J-11は米軍機の直下50ないし100フィートで飛行している」とペンタゴンは発表。
  5. 「またP-8Aの機首から90度方向で通過し、P-8Aに対して武装を誇示している。この際に中国機パイロットはP-8Aを視認しておらず空中衝突の可能性があった。中国機パイロットはP-8の真下、横を飛行し、最小20フィートしか離れていなかった。その後、機を安定させた後横転し、P-8から45フィートで飛行していた」
  6. このP-8Aはフロリダのジャクソンビル海軍航空基地第45哨戒隊所属で嘉手納空軍基地から西太平洋で飛行していたもの。
  7. 今回と類似しているのは好戦的な中国機が米海軍EP-3EエリアスII情報収集機にちょっかいを出してきた2001年の海南島付近の事例だ。この際はJ-8迎撃機がEP-3Eに衝突している。中国パイロットは死亡、損傷を受けたEP-3Eは海南島に緊急着陸を迫られた。機内の最高機密の破棄は全部できず、中国側に見られている。
  8. EP-3E乗員は中国に11日間抑留され、離陸を中国が拒否したため、機体は分解され米国へ送付されたままになっている。
  9. 海南島には滑走路多数と潜水艦基地があり米国等過各国が関心を示す地点になっている。.
  10. 「今回の事件は米軍機に対する非常識的、プロらしからず、かつ危険な迎撃が増えていることの一環で、2013年末から急増している。問題の中国機が海南島から発信したのは間違いない。同様の事件は3月、4月、5月に発生している。迎撃機の乗員が好戦的になっていること、我が方の乗員の安全への配慮が欠如していると明らかになっていることに憂慮している」(ペンタゴン)■

コメント 以前に紹介した中国空軍のおかしな慣行(高卒をそのまま採用して同じ基地に貼り付ける)が原因で国際法など尊重する余地がないパイロットが危険な離れ業を行っているのでしょうか。しかし、軽はずみなパイロットの行為だけとは思えず背後に何らかの組織の意思を感じますが、事故とならないことを祈るばかりです。