空 対空戦の転換期に開発されたAIM-9サイドワインダーは、世界初の赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルで、ドッグファイトだけでなく、戦闘機の設計、製造、戦争での使用方法をも変えた。しかし、何と言っても驚くべきことは、この画期的なミサイルが米軍の支援を受けて開発されたのではなく、むしろ米軍を無視して開発されたことだ。 第二次世界大戦の空戦は、大胆なパイロットが敵に接近し、搭載された様々な銃火器で敵を攻撃するのが主流であった。空対空ロケットは、第一次世界大戦では観測気球に対して、第二次世界大戦では爆撃機に対して限定的に使用され効果を発揮したものの、無誘導兵器であり、射程と効果は極めて限定的であった。 空対空ミサイルは、レーダー誘導から生まれた 第二次世界大戦の終わりには、レーダーの出現で誘導空対空ミサイルの登場が現実味を帯びてきた。1947年になると、イギリスとアメリカは、イギリスのフェアリー・ファイアーフラッシュやアメリカのAAM-A-1ファイヤーバードなど、レーダー誘導型新兵器を次々と開発していった。初期の空対空ミサイルは、複雑で、製造は困難で高価だった。 しかし、物理学者ウィリアム・B・マクリーン William B. Mclean は、モハベ砂漠にある米海軍兵器試験場(NOTS)の物理学者として、新兵器開発には関わっていなかったが、当時の通説の一歩先を見ていた。海軍の無関心と同僚の嫌がらせにもかかわらず、彼はそれを証明しようと動き出した。 ウィリアム・B・マクリーンとAIM-9サイドワインダーミサイル。 マクリーンの道楽作業場 初期のレーダー誘導型ミサイル契約の1年前、ウィリアム・B・マクリーンのチームは、赤外線(熱)に反応する設計の硫化鉛製の近接信管を研究していた。赤外線を感知し爆発する信管を作れば、熱感知で飛行中に進路を修正する誘導装置を開発できるかもしれないと考えた。 一つ問題があった。マクリーンには、この種の兵器を設計した経験がなかったのだ。 マクリーンはカリフォルニア工科大学で学士と修士、博士号を取得し、アイオワ大学でフェローとして原子物理学を学び、...
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